冬の京都合格祈願紀行~京都御所から北野天満宮編

2017年12月27日更新:

 どれほどデジタルな世の中になっても、受験生にとって最後の希望は神頼み。

今回は今年の正月の京都訪問時に訪れた、初めての北野天満宮をはじめ、京都御所周辺の合格祈願街道となる行程についてご紹介したいと思います。
受験生を持つ保護者の方への参考情報となれば幸いです。

記事の内容は、地下鉄烏丸線丸太町駅を起点とした以下の行程となります。

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道真誕生の地 菅原院天満宮

 わが子の受験祈願とお礼参りに続いて3度目の訪問になる菅原院天満宮ですが、観光スポットとしても受験祈願としてもあまり知られていないためか、いつも閑散としています。

地下鉄烏丸線丸太町から、京都御所参観のために蛤御門に向かう途中に静かにたたずむこの小さな神社は、曾祖父の代から続く菅原道真生誕の地であり、真正面に御所を望む立地から、当時菅原家の人々が御所に日参する姿が目に浮かびます。

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鳥居の左足元に「菅原邸跡」の石碑が建つ。奥のレンガ造は聖アグネス教会および平安女学院

 

 仕事でもこの烏丸丸太町辺りに来ることは多く、いつの間にか前を通ってしまう縁のある神社です。

中に入ると、現代住宅程度のこじんまりとした敷地の中に、祠(ほこら)程度の小さな本殿が迎えてくれます。

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おこがましいとは思いつつ、日比谷高校を志す君や全国の受験生のために、ささやかな祈願を行いました。
ペンがかすれていたと言い訳しつつ、人にお見せするような達筆ではないのでお恥ずかしい限りですが。
『合格祈願 全国の受験生が本番で力を発揮できますように』
 日比谷高校を志す君に送る父の言葉 mommapapa @菅原院天満宮

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本殿の脇には、道真公誕生の際に使われたとされる産湯の井戸が残っており、今でもこの水を汲むことができるよう、写真の井戸とは別に専用の蛇口も用意されています。

京都の地下水を汲むための、街中にある身近な場所ともいえるでしょう。自販機で買った人工的なジュースよりも、歩く中ではおいしくいただけます。

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そして全国御朱印女子のおかげで、現在ではどこの神社に行っても、たいてい御朱印を授かることができます。

初穂料は概ね300円から500円程度。社務所の方に目の前でしたためていただけますから、商業製品的なお土産よりもずっと想い出に残る、世界に一つの記念の印です。

神社それぞれのオリジナル御朱印帖を見るのも楽しみの一つです。

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 菅原院天満宮の御朱印

 

スポーツ・学芸の神様 白峯神社

 今思うと革靴のままで少し無理のある行程のような気がしますが、京都御所から北野天満宮まで歩いていこうと思いました。20分程度で着くかな、という程度の認識です。

今出川通りを西にまっすぐ歩いて行くと、幹線となる堀川通にぶつかる手前で白峯神社に出くわしました。

訪問する予定は全くなかった、というよりこの神社の存在を知りませんでしたが、折角なので寄ってみました。 

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入ると他の神社と少し趣が異なります。拝殿や本殿の至る所に様々な球技のボールや記念品が奉納してあります。
全く知りませんでしたが、ここは平安時代から蹴鞠や和歌の宗家、師範として朝廷に仕えた飛鳥井家の守護で、古くから球技や芸能の守護神とされてきた神社です。

f:id:mommapapa:20170129174802j:plain  白峯神社の拝殿には、あらゆる球技のボールが奉納されている

 
この白峯神社には、全国からスポーツ競技での活躍や勝利を祈願する学生やプロ選手が多く参拝に訪れるようです。
しかしここも一般の観光ルートにはないのでしょうか、初めての訪問ですが、閑散としていました。

ここでもおこがましいと思いつつ、スポーツや音楽、芸術分野で技能試験を受ける全国の受験生のために、ささやかな祈願を行いました。


『全国の実技試験を受験する受験生が 本番で日頃の実力を発揮できますように』
 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉 mommapapa @白峯神社

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白峯神社を後にし、堀川通を南に下ると直ぐに晴明神社がありますので、観光目的であれば立ち寄るところですが、今回は時間の制約があり、目的が異なるので寄らずに北野天満宮に向かいます。

晴明神社もかつての安倍晴明屋敷跡、天文学者の身分で参内する者として、御所の鬼門に自ら位置して帝の護衛を務めたことでしょう。

そしておよそ半世紀程の時を違え、道真は都を悩ます怨霊として、晴明は都を守護する陰陽師としてこの地で対峙することになります。
今でも御所の西側、京都府庁を挟んで道真と晴明が睨み合っているんですね。

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 白峯神社の御朱印

 

はじめての北野天満宮

 堀川通を越えて大宮辺りまで歩いた際に、大宮から北野天満宮までバスでの所要時間が約6分と書いてあり、このまま歩いていくと午後からの仕事に間に合わないのではないかと、ふと気づいてバスに乗りました。

しばらくぶりに乗る京都のバスですが、昔と比べてずいぶん案内が親切で分かりやすくなっていて驚きました。知らない土地でバスに乗るのは、日本であっても目的の場所で降りられるのかと何だか緊張するもの。

でも今時のバスの案内板は表示はアナログ式とはいえ、待ち時間や行き先表示も分かりやすく、さすがに観光先進都市だけあるなと思いました。

 

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久々にバスに乗って公共交通の進歩を感じました

何より、ICカード決済が導入されてから、バスに乗る億劫さから解放されましたね。
このICカードのシステムが全国的に統一整備された事で、小銭の心配から解放され、本当に公共交通機関の利便性が上がりました。

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 北野天満宮は今回初めてなのですが、やはり先の二つの神社とは異なり、参拝客が大勢見られました。決して広くはない参道前にも観光バスやタクシーがびっしり。

そして参道には、何頭もの使いの牛が座しています。
ここではどの牛の赤い前掛けにも、合格祈願の書き込みを見ることができます。

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 北野天満宮の牛たちは、受験生の思いを運びます

 愛知県の名門岡崎高校志望のこの受験生は、いろいろな牛に祈願を綴っていましたが、この前掛けへの祈願は初穂料が必要なのでしょうか?
北野天満宮のホームページには特に記載がないようです。

すると、神社が定期的に新しいものに取替え、空いていれば自由に書き込んでよいのでしょうか? あるいは、自宅から持ち込んだものを掛けているのでしょうか?
わざわざ書き込みやすいようにフェルトの前掛けになっています。

よく分かりませんが、自由に記載してよいのであれば、皆にご利益が届くよう、限りある首資源を多くの受験生が利用するために、相互配慮で祈願したいものです。

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受験シーズン土曜日でしたが、それほど人出も多くなく、ゆっくり参拝できました。
それにしても見事な冬の青空です。
天満宮の象徴である境内の梅も、白梅はまだぱらぱらと三分咲き、紅梅は木によっては満開近く咲いていました。

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そして本殿の奥には合格祈願の札掛け所があります。

何日分がたまっているのでしょうか、比較的新しいと思われる絵馬(絵牛)が、新たに掛ける場所を探すのにも苦労するほどびっしり並んでいます。

札所に入って直ぐに日比谷高校合格祈願の絵馬を見つけました。
たくさんの受験生とともに、インフルエンザや風邪に負けることなく実力が発揮できるよう、合格絵馬を奉納しました。

『全国の受験生が試験本番に実力を発揮できますように 合格祈願』
 日比谷高校を目指す君に贈る父の言葉 mommapapa @北野天満宮

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 双子のご両親でしょうか、日比谷&西高W合格祈願の絵馬を見ました

わが子の代わりに訪れた北野天満宮。ご両親の愛情を感じます。

日比谷と西の都立ツートップ同時合格。
それぞれの想いを秘めた志望校選定でしょうか。二人それぞれ第一志望に合格できるとよいですね。

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 北野天満宮の御朱印

京都御所通年一般公開(おまけ)

 そして現在、この烏丸丸太町から今出川通りを抜ける行程で注目される場所は、京都御所ではないでしょうか。

ちょうど半年前の平成28年7月26日から、事前申し込みなしの通年公開となりました。

今までは文字通りの門前払い、一度も御所内に入ったことがありませんでしたが、今回はまたとない機会を得ました。 

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折角なので、教科書にも登場する蛤御門から入ります。

ここはかつて常に固く閉じられていた門が、宝永の大火の際に開いたので蛤御門と呼ばれるようになったのが定説だそうですが、毎日新聞デジタル版2016年5月15日号には、実はもっと前から蛤と呼ばれて開放されていたとの新説が書かれています。
名前の由来はともかく、今でもあちこちに弾痕が残っているのが確認でき、日本の近代の夜明けが忍ばれます。

門のはす向かいには、足腰の神様である護王神社が鎮座しています。ここは狛犬ではなく狛猪だったり、足腰にこだわった一風変わった仕掛けを多く目にします。

それにしても、土曜日の9時過ぎにもかかわらず、御所内に人の気配がありません。
早起きでもありませんが、なんだか得した気分です。

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 御所への入り口となる清所門と警備の警官

  
出張ついでに訪れた人気スポットが貸し切りみたいな状態になることが度々あるのですが、今回の御所はまさにそんな日でした。

春のように温かい陽気と快晴に恵まれた土曜日にもかかわらず、訪問客はまばら。
広大な敷地を独り占めしたような大きな心持ちがしました。

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 紫宸殿の正門となる承明門前 人気がありません

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 承明門から紫宸殿を望む 背後に建礼門が控えており、かつては選ばれし者のみ目にする光景です

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 紫宸殿 土曜なのに貸切状態です

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 清涼殿も静かに佇んでいます

 
合格祈願やお礼参りの参拝に北野天満宮方面に足を運ぶ際には、合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
我々にとっては教科書や古の物語の世界である宮中を、身近に感じる機会となります。


さて、私立受験も都立入試もいよいよカウントダウンの時期となりました。

今年もインフルエンザが猛威を奮いそうな気配ですので、直前の追い込みで体力や免疫力を低下させないよう、睡眠と食事と体調管理には十分気を付けて残りの日々に集中できるよう、ささやかながら応援しています。

そして万一、インフルエンザにかかって床に臥せている君は、都立本番まではまだまだ巻き返しの時間はあるので焦らず、まずは体力の回復に専念し、最後のラストスパートを迎えることができるよう、古の都からエールを送ります。

ではまた次回。
 

参拝時間や機会のない君に贈る

日比谷高校と縁の深い日枝神社の話