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日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

開成高校が高校入学募集を停止する日

 いよいよ4月。新学期の始まりです。
年度が変わった今回は、全国受験業界の最大関心事の一つである開成高校の入学募集枠の停止について考えたいと思います。

このテーマは、わが家の受験が終了した1年近く前から気にしていたものですが、今日までの間に高校受験をめぐる様々な社会的変化や関連情報の発信もあり、平成29年度新学期の始まるこの日が、この話題を取り上げるタイミングとしてはちょうどよいと考え、今回お届けすることにしました。

尚、本記事は、公に発信された客観的な情報の積み上げに基づく本ブログ独自の考察であり、開成学園の実際の運営方針とは直接の関係がない点を予めお断りしておきます。
また本記事が何らかの社会的扇動を意図するものではないことを合わせて宣言すると共に、エイプリルフールでもある日に、嘘か誠か、放言御免の提言を行います。

では早々、中学生の君も、受験生を持つ保護者の方も、そして教育産業界のすべての方が気になるこの話題について見てみましょう。

 

開成高校は高校募集を止めない

 いきなりの結論ですが、開成高校は高校入学募集の停止を行いません。

ですから開成学園は、自らの教育理念を否定するような安易な高校入学枠の廃止については、今後とも行わないものと信じています。
開成高校には、全国の私立進学校の雄として、また引続き高校受験業界の頂点に君臨する圧倒的な存在として踏みとどまってほしいと思います。

中高一貫進学校は、なぜグレートウォールを高々と築くのか? - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 
昨年10月に記載した通り、個人的には開成高校の高校募集停止はないと考えています。

そして本記事を裏付けるかのように、2017年に入り、柳沢校長本人も大手新聞社を通じて最低2回、高校募集停止をきっぱりと否定しています。

開成は高校からの入学もあります。完全な中高一貫にする予定はありませんか。 
柳沢「全くありません」

サンデー毎日発:初対談 日比谷・武内彰校長vs.開成・柳沢幸雄校長 両校に「合格」したら、どちらを選ぶ? - 毎日新聞

2017年1月22日発信

 

中高一貫校でありながら、高校からも募集を続ける開成高校の柳沢幸雄校長に、理由を聞いた。――今年の高校入試で受験者が113人減りました。高校入試は続けられますか。

柳沢「国立大付属など他校の入試日程の変更で併願パターンが変化した結果だと思う。はっきりしているのは、高校入試はやめないということです。」

朝日新聞デジタル:東京)変わる進学/開成高校長に聞く - 東京 - 地域

2017年2月25日発信


長い間高校入試枠について沈黙を守ってきた学園側が、ここにきて急に世間に向かって高校募集枠の廃止をしない旨について宣言し始めた理由は何でしょう?

また、これだけ校長本人がはっきりと廃止を否定しているにもかかわらず、引続き開成高校の入学枠削減が受験業界の話題となるのはなぜでしょう?

その答えは、やはり開成1次合格者の入学辞退数が増加しているからだと思います。

ただし、辞退者数の増加については公の資料がないこともあり、個人的にはどちらかというとネット上の流言の類に近い噂である旨の感覚がずっとありました。
本当だろうかと。

ところが、2017年高校入試の結果を受けた学習塾の高校合格実績一覧の中に、その流れを裏付けるかのような驚くべき変化がありました。

何と、開成高校合格数最大手のWアカデミー社が、2017年度合格実績から、開成・国立合格よりも、日比谷をはじめとする都県立高校合格を大きく謳うようになったのです。

利潤の最大化を目的とするのが企業ですから、受験産業大手企業のこの営業方針の方向転換は、顧客である受験生の志向を端的に反映する指標だと考えることができます。

 

Wアカデミー社の営業方針の転換

 4月1日現在、同社のホームページを確認すると、早慶合格数に次ぐ2番目に目立つ合格実績として、日比谷高校が掲示されているのが分かります。

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Wアカ社の都県立優先方針は、本年度が初めてだと思います。
こんな対応は今まで考えられなかった。

昨年までは、同社が発表する日比谷高校および都県立合格者数は、ついでに表示するというような些末的な扱いとなっていました。
逆にそこに、首都圏高校入試最難関を謳う、同社のプライドや気骨を感じたものです。
日比谷高校合格者数最多って何?そんなの別に大した事じゃないでしょ、だって偏差値全然高くないし、という素っ気なさがありました。
見ている消費者側が、もっと宣伝すればいいのにと思うほど。

そこにはある種の偏差値至上主義的な美学を感じましたが、現在はそのような気概は感じられません。ついに同社も公立人気の波に呑まれてしまったなと、はっきりとした時代の流れを感じます。

コピーライトもあり、同社のホームページを転載せず、印象のみお伝えする情報として合格実績を掲載してありますが、逆に掲載優先順位が強調される資料となりました。

これを見る限りにおいては、平成30年度以降の高校受験生向けの営業広告としては、

 早慶 > 日比谷 ・都県立 > 開成・慶女・国立附属

という優先順位に戦略を変えたようです。

10年連続全国No.1の開成高校合格実績よりも、5年連続全国No.1の日比谷高校合格実績の方が、受験生への訴求力が大きいとの判断に至ったと考えられます。

同社も現状のままでは、来年度日比谷高校合格全国No.1の座はZ会教室に奪われる可能性が高いでしょうから、高校入学後の大学入試予備校の優秀層の囲い込みや実績拡大のためにも、都立スルーのイメージの払拭と共に、都立上位校を希望する受験生を確保するための明確なメッセージを発信し始めたのかもしれません。


冷静に考えると、早慶合格を最大の売りにしているということは、中学受験にせよ高校受験にせよ、合格後の大学受験に向けた継続顧客とはなりませんから、長期契約可能性を初めから放棄した、一見顧客相手の商売をしているようなものです。
同社の大学進学予備校としての弱さもその辺りにあるのかもしれません。

ですから、公立上位校の難関大学合格実績が難関中高一貫校に伍す程の状況となった今、同社が弱い大学進学予備校としての伸びしろを、定員も合格者も難関国私立高校より圧倒的に多い都立県立高校に求めることは、営業戦略としても理に叶った選択のようにも思います。

いずれにしても、どこよりも私立・国立附属合格実績にこだわり続けた塾最大手の1社が下した結論ですから、この裏にある受験生の都立志向の流れは、同社にして抗いきれないほど力強いものになっているのだと思います。

諸行無常の響きありですね。

 

2021年、開成の高校募集に変化はあるか?

 そういう状況にあっても尚、高校募集枠を閉じることはないと学校側が断言していますが、仮に高校枠を廃止したり、何らかの変化があるとすると、それはいつ、どのようなタイミングでの発表になるでしょうか?

個人的にはある理由に基づき、明確な実施時期を意識しています。

それは、2021年度です。

つまり、東京オリンピックとなる2020年度が現状高校入学組の最終学年になる。
あるいは高校枠の廃止がなかったとしても、何らかの変化が発表される可能性がある。
もちろん、仮定の話ですが。

そればなぜか?

それは2021年に、開成学園が創立150年を迎えるからです。
創立150周年に向け、高校校舎の建替えを進めており、この2021年が竣工の年となる。

そしてその開成の未来を創ると題した150周年記念イベントの一環として、開成学園の未来に向けたメッセージ、つまり学校改革の要綱が発表される。
この中に、高校募集枠の再考も含めた様々な取組が盛り込まれるでしょう。

この150周年式典に合わせて実施する施策であれば、すべてが受け入れられる。
高校入試枠の廃止または縮小に対して、高校受験業界における敗退というネガティブな対応ではなく、未来の発展に向けた新しい自己変革であるということができる。

ですから逆に開成学園は、この2021年創立150周年に合わせて、高校入試枠にこだわらない、もっと世間の評価を集めるようなイノベーションに取り組むかもしれない。

例えば、高校枠を廃止したり、定員の見直しを行うのであれば、その削減分はどこに振り向けるのか。
中学入試枠を拡大するのか、あるいは男女平等参画社会をリードする人材の育成のために、現在の高校入学枠の100名分の全部または一部を、女子枠とするのか。

そしてこのような改革を実施するかどうかは、実は現時点で既に決定している内容であるはずです。
なぜならば、創立150周年事業の目玉として進められている新校舎建設において、学校が求める機能は設計内容にすべて反映されているからです。
女子トイレや更衣室が不足している状態では、共学化などできないわけです。

開成新校舎の基本設計は2015年9月に完成していますから、既にこの時点では、将来に向けた学校のあり方は大筋でまとまっていたことになります。

 

開成創立150周年記念事業

 開成学園が未来に向かってどのような教育活動を行うかは、新校舎の機能や図面を確認すれば全て理解できるはずです。
当然設計図書の公開はしていませんので詳細をつかむことはできません。
ただし、計画の概要を説明した資料はホームページ上で一般に広く公開されています。

学校経営の規模を維持するために、高校400名定員を減少することは考えにくい。
逆に中学定員を増やすのであれば、中学全体で100人x3学年=300人分の教室の増加が必要になる。
こうした運営方針は、建築設計を見れば概ね理解できる。

仮に現在の高校入学枠男子100名を別用途に振り分けるとしたら、どのような可能性が考えられるだろう。

  • 男子中学枠の増加
  • 女子中学枠の新設
  • 高校男女共学化
  • インターナショナル枠の設定
  • 上記の複合的実施

といったところでしょうか。
どれも21世紀の新しい開成学園として意欲的な取り組みとなりそうです。
では、現在公開されている新校舎の設計概要を見ながら、上記の可能性について確認 してみましょう。

 

開成学園新校舎

 新校舎の概要は、開成ホームページ上に特設ページとして公開があります。

今回建て替えが行われるのは、普通教室棟、特別教室棟、体育館、南北本館、旧館となっています。中学校校舎は対象外です。

この内、学校機能を決定する施設面の現状校舎からの大きな変更として、以下の項目が挙げられます。

  • 諸室床面積の増加: 現在比+27%
  • 予備教室増加: 2室 → 6室
  • 大体育館拡大: 現在比+38%
  • 共用部増加(トイレ、廊下含む):現在比+43%
  • 中学校棟と高校棟との空中廊下接続

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詳細が不明なので断定的なことは何も言えませんが、ただ上記の変更点を見ただけでも、先の高校入学枠の再編可能性に掲げた内容はどれも実現可能です。
中学枠の100名増加についても、一部学年を高校棟側に設置することになりますが、全体の床面積の増加もあり、予備教室6室を使えば純増分を受け入れられそうです。

現状生徒数は、中学900人+高校1,200人=2,100人。
中学枠を増やす場合、100人x3学年=300人増加の2,400人で約15%の総生徒数の増加ですから、今回の床面積増設や共用部の拡張で十分追従できるのではないでしょうか。

偶然か必然か、予備6教室は 50人x2クラスx3学年分とぴったり同じ数です。
また、中高教室棟を基準階で接続することで、学習環境の一体性を確保しようとしていますから、多少不便があっても非現実的な対応でもありません。

もちろん真偽のほどは、学校関係者のみ知るところでしょう。

 

未来の開物成務に向けた次の一歩

 開成学園は、2021年の記念の年に、次の未来への一歩として新校舎のハード面だけでなく、ソフト面のどんなイノベーションを我々に見せてくれるだろう。

高大教育改革が謳われる中、高校入学をどう扱うのか、男女平等参画社会に対してどのような答えを出すのか、開成学園関係者だけでなく、中高学校関係者、教育産業関係者、および小学校、大学関係者もみな見守っています。

開成の次の一手が、大げさに言うと教育関係に従事するすべての個人や団体に少なからず影響を及ぼす。

特に、俗に2番手以下と言われる中高一貫校の学校経営者にとっては、開成学園の対応は直ちに自校の入学者の変化として現れますから、学校運営に直結する経営上の重要な外部要因の一つです。

また開成側にとっても、坂の上の雲の時代である150年前の学校設立から現在に至るまで、東京大学合格予備校としての機能が学園を支える隠れた校是というべき学校ですから、これを崩すわけにもいかない。
東大合格No.1を譲ることなく、時代をリードする常に新しい姿も同時に発信することが求められる。注目が高い分、なかなか難しい対応です。


いずれにしても、来るべき2021年には、開成高校の未来を創るメッセージが発信されることでしょう。

この際公益に資する教育機関の責任として、万一高校入学枠を廃止する事態となる場合には、少なくとも3年前には高校募集枠の停止が予め発表される。
これからの3学年は、最後の高校入学世代となるが、それでも入学するのかと。

そして2021年に高校入学募集を中止するのであれば、それは3年前の2018年度入試に向けた告知となる。それはつまり今年2017年のこの春のことです。

ですからこの春から夏にかけて、開成高校から高校入学枠廃止のメッセージが発信されなければ、今後とも全体の25%、すなわち100人の高校入学を継続するという無言の意思表示であると考えてよいでしょう。

ただし現在、東京オリンピック関連事業による建築費の高騰の煽りを受け、新校舎全体の竣工は当初計画の2021年から2025年に遅れることが決定しています。
このため、この4年延長の間の社会状況の変化によっては何らかの方針転換が行われる可能性は0ではないですが、これは今考えても仕方のないこと。

まずは、2021年に向けた動きに注目したいと思います。

 

さて、東京の開花宣言から1週間経った今でも、ぶり返す寒さが続き日比谷高校周辺の桜はまだ一分二分咲き。
大好きな桜の花が待ち遠しい反面、今年は入学式の日に、暖かい春の到来と共に満開の桜が君の入学を迎えてくれそうな嬉しい予感。

4月。いよいよ新しい高校生活がはじまります。
日露戦争の時代から、開成や他の伝統校と共に日本の近代化を支える人材を輩出してきた日比谷高校の学び舎の地に、桜と共に咲く君の初々しい笑顔を楽しみにしています。

ではまた次回。

 

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 未来に向けた中高一貫校の意識改革とは