日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

平成30年度 日比谷自校作成問題は、なぜ記述問題が増加するのか?

 来春平成30年度入試から、都立進学指導重点校の入試3教科が完全な独自問題となるのは既に周知の通りです。
誰もが新しい問題の傾向を知りたいはず。

そんな中、Z会進学教室では、6月17日に日比谷高校学校講演会と題して、武内校長を招いた学校紹介を開催しています。
この中で、来年度自校作成問題について以下のような言及があったようです。

来年から「自校作成入試」に戻ることで、武内先生からは「英語と国語は記述問題が増えるだろう」というお話がありました。
以前に実施されていたころの日比谷の自校作成入試は、骨太の良い問題が多かったので、とても楽しみです。
出典:ただいま添削中。~Z会の教室より~

誰もが試験問題の難化を想定していると思いますが、その一つとして、記述問題の割合が増えるということのようです。

校長が公の場で受験生に向かって言及しているのであれば、試験作成担当教官にその旨指示を出しているということですので、確実にそうした試験になるでしょう。

数学の記述問題の割合増加については言及がありませんが、グループ作成問題部分がすべて独自問題に差し替えられるので、Z会ブログが述べているように、骨太の良問が並ぶような試験問題になると考えるのが自然のように思います。

Z会教室は、今回塾内だけに情報を抱え込まずに、受験生の誰もが気になる内容を広く発信してくれたので助かります。
迷いなく勉強に打ち込むために、こうした早い段階での情報は受験生にはありがたいものです。
 

日比谷グループ作成問題の課題

 先の記事において、近年の入試合格点が毎年上がっている点を指摘しました。

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これを見ると、2017年入試において、合否判定となる総合得点が本当に高かったことがうかがえます。
男女とも1,000点換算得点平均は800点を超えています。本当にたった2年の内に、ずいぶん平均点が上がっていますね。 学校が発表している素内申点情報では、上限値に近いのか下限値に近いのか判断がつきませんが、仮に中間値だとすると、平均点は男女とも815点程度。 平成29年度の最終受検倍率は男子が1.92、女子が1.75ですから、男子の合格ボーダーは平均点の少し下、もしかすると800点を超えているかもしれません。女子も800点前後ではないでしょうか。

2017年度日比谷高校入試結果・合格点レビュー ~平成30年度入試基本情報 - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉


そしてこれを裏付けるかのように、本ブログにコメントを投稿いただいた平成29年度の日比谷受験生は次のように語っています。

先日の入試で日比谷高校を受験し、不合格だった者です。
私は得点の開示請求を行いましたが815点でした。ですがら、ブログ主さんの算出された平均点816は男子のボーダーの可能性が大いにあると思われます。
また、平均点上昇の考察についてですが、確実に受験者層のレベル上昇が大きいと思います。
問題を実際に解いた身としては国数英のレベルが変わったとは思いませんでしたし、寧ろ理社に至っては問題形式の変更もあり多少難化した印象も受けました。
加えて個人的なことであり確固たる根拠になり得るかは分かりませんが、私の知り合いで筑駒を蹴って日比谷に行った人が3人います。

2017年度日比谷高校入試結果・合格点レビュー ~平成30年度入試基本情報 - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉


残念ながら日比谷に合格が叶わなかったこの受験生は、有名私立に通う今でも日比谷のファンだそうで、時々この日比父ブログを見ているのだそうです。
このコメント情報が昨年度の受験生の実感だとすると、日比谷高校受験者平均点の上昇は、受験生のレベルアップに起因するところが大きいということになります。

この場合、全都共通問題である理社は仕方ないとしても、グループ作成問題が含まれた3教科の現状の入試問題は、現状の日比谷受験生にとってはそれほど歯ごたえがあるとは言えない問題、何点取るかよりもミスしないことが求められる試験になっていたのかもしれません。

この我慢比べのような状況は、受験生にとっては逆にきつかったことでしょう。

 

国語と英語の記述問題増加の理由

 平成29年度のグループ作成問題3教科の正解率を見ると、この複数学校に共通の設問が、日比谷受験生にとって如何に容易な問題であったか裏付けられます。

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この一覧の情報は、大手進学塾の公開資料に掲載された、直近平成29年度の日比谷入試問題の結果を編集したものです。
日比谷高校は毎年6月に塾向けの説明会を開催していますから、受験生指導向けの様々な指標が提供されているのかなと思います。

大問の内、グループ作成問題である前半部分の回答率は、実際どの教科も9割近い得点状況です。
これとは対照的に、日比谷独自作成の問題に差替えた後半の回答率は、英数については4割程度と、差替えの効果がはっきり表れています。

仮に差替え問題がなければ、平均点はずっと高く出たでしょう。
その場合、まさに試験当日の失点をに如何に減らすかという我慢比べ、内申点差の逆転が難しい入試制度となってしまいます。
独自問題への差替え制度が残って、本当によかったのではないでしょうか。


私はこの正答率一覧を見た時に、「なるほど」と思いました。

そこに日比谷高校の平成30年度の入試3教科の難易度の構成が見えたからです。

つまり武内校長が、なぜ国語と英語の記述が増えると言及し、逆に数学には言及しなかったのか、その意図するところがはっきり理解できたのです。

それは要するに、日比谷高校としては、平成30年度の自校作成問題は、平成29年度の「数学」に似た正答率と平均点に回帰したいと考えているのではないかと。

つまり以下の通りです。

  • 英数国の平均点は概ね60点とする。
  • 導入部は受験生の緊張をほぐす意味でも正答率80%程度の比較的解きやすい問題を配置する。
  • 中盤は60%台の良問で受験生の力を試す。
  • 最後は正答率50%前後の骨のある、その教科が得意な者と苦手な者の得点差が付きやすい問題で、学力上位者の得点を促す。

平成29年の国語でいえば、大問2~4を6割程度、大問5を50%程度に、英語であれば大問2を6割程度としたいのではないでしょうか。
この方針は何も奇をてらった構成ではなく、世に数多ある選抜試験一般に適用されるごく自然なものでしょう。
むしろそうすることで、健全な学力試験が確立されるといえるでしょう。

そして、試験問題難化の具体的な調整方法の一つとして、記述問題の増加という手法を採用するのだと考えられます。

現在でも2020年の大学共通テストに対応している都立重点校の入試問題について、更に対応を進めるという面もあるかもしれません。
もちろん、記述にかかわらず、設問自体が難化する内容の変化もあるでしょう。

上記は私の直観的な推測にすぎませんが、なぜだか納得してしまう説得力があるのではないでしょうか。

失点しない我慢比べから、学力を適切に測るための加点方式への試験問題の変化は、日比谷高校にとっては健全な入試競争を醸成する、歓迎すべき変更だと言えるでしょう。

間接的に内申点の影響が薄まり、当日の試験得点の影響が高まる、つまり内申に不安があっても、学力の高い受験生には試験当日での逆転が生じやすい状況になるのではないでしょうか。

 

過去問対策には注意が必要

 試験問題の構成と難易度変化に伴って、受験対策も当然変わってくることでしょう。
特に、過去問を利用する際には注意が必要です。 

毎年出版される過去問集は、直近5年の問題が掲載されたものが多いはず。しかし今年平成30年入試向けとして発売される過去問題集は、今年で終了するグループ作成問題が大部分の過去問集となるでしょうから注意が必要です。
塾に通っている君であれば、塾側が承知の上で過去問を選んでくれるでしょうが、独学や通信教育中心で受験勉強をしている君は、試験本番の問題よりも易しい過去問で対策してしまわないよう、意識することが必要でしょう。

2017年度日比谷高校入試結果・合格点レビュー ~平成30年度入試基本情報 - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

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今年度で終了となったグループ作成問題の制度適用年度は平成26年から29年まで。
この間の試験問題は、平成30年度からの入試本番の問題レベルより全体で見ると易しい可能性が高いと認識する必要があるでしょう。
これは日比谷に限らず、トップ校であれば共通して言えることではないでしょうか。

出版社も過去問集に直近の問題を掲載しないわけにはいかないでしょうから、今年発売される過去問集には平成25年から29年度の内容になるはずです。

この場合、グループ作成問題が4年分含まれますから、これらをベースに入試対策を行っていると、試験本番の方が問題が難しいと感じたり、試験時間が足りなくなるという危険性すらあります。
記述問題が増える見込みの英語と国語については、特にこの点が顕著でしょう。

気の利いた出版社であれば自校作成過去問集を出版してもよさそうですが、需要の面からするとあまり期待できませんので、独学で勉強する君は、過去問の実施年度を気にする必要があります。

WEBで検索すれば過去問を公開しているページは結構ありますし、都内在住であれば学校や近くの図書館にも平成25年以前の過去問集が置いてあるかもしれません。

何らかの理由で塾に通わない君や、特に現在地方在住であったり海外から日比谷を目指す君であれば、都内在住の一般受験生と比べて情報収集面で相当なハンディキャップを負っている状況ですから、今回の情報は、特にそうした情報ハンデを負った受験生に対してお届けするつもりで書いています。


そして過去問に関してもう一つの注意点は、平成25年以前の受験生と、平成30年以降の受験生では母集団の学力レベルがかなり違っているということ。

過去問集や過去問を公開するようなウェブサイトには、該当年度の平均点や合格想定点などが書かれているものがあるかと思いますが、現在の受験母集団であれば、直近3か年に平均点の上昇がみられたように、当時の平均点を上回ってくるでしょう。

ですから、当時の問題を来年度の受験生に課した場合は、合格最低点も上昇していると考えられますから、その分を考慮した自己分析が必要となるでしょう。

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過去5年間を見る限りでは、前回の自校作成問題最終年度の平成25年とグループ作成問題初年度の平成26年度の平均点辺りが学校の目標値に近いかもしれません。

ただ、この6割前後を平均点とするための入試問題が、その当時と同じ難易度のものであるとは限りません。
学校側も受験母集団の学力水準が上がってきていることは把握しているでしょうから、前回の自校作成問題当時よりも難易度の高い問題が出題される、ということは十分あり得るのではないでしょうか。

この辺りのさじ加減は、実際に学校側に聞くのが一番望ましいでしょう。

 

2017年 日比谷高校の学校見学会

 来年度の入試問題がどのようになるのか、塾や受験情報提供各社の情報も大切ですが、何といっても学校側から話を聞くのが一番です。

そうしたニーズに応えて、現在日比谷高校では、7月と8月に合計10回の中学生を対象とした見学会参加者を募集しています。
日時は以下の通りです。

 1)7月17日(祝)・計4回

 2)8月8日(火)・計4回

 3)8月16日(水)・計2回

毎回約400人枠で10回ですから、合計4,000人を対象としている大規模なイベントです。
こんなに多くの参加者があるのかなとも思いますが、7月9日の時点で、既に7月17日の1,600人分は満席です。

当年度の都立高校の入試ルールは毎年9月に正式発表されますから、この夏の見学会では入試制度に関する話は多くはないでしょう。
ただし、学校側も自校作成問題についてはかなり意識しているはずですし、自校作成問題は学校の裁量範囲ですから、何らかの言及はあるように思います。

海外に暮らす君であれば、こうした説明会の日程を意識した一時帰国の計画を立てるのが良いかもしれません。

いずれにしても、来年度日比谷高校を受験する君は、試験問題の難易度アップに備えた心構えと対応が必要となるでしょう。

 

制度変化に動揺しない気持ち

 2020年の大学入試改革が、中学高校受験の動向に影響を及ぼすように、来年度都立進学指導重点校の自校作成問題の復活は、多くの受験生に不安な気持ちを生じさせていることでしょう。

その不安の主な原因の一つは、やはり来年度の入学試験が、どのような形式やレベルになるか情報がないことからくるものでしょう。
そんな不安を抱えた君のために、今回の情報が少しでも役に立てばと思います。

制度変更の初年度は、誰もが不安に陥り安全志向に走る受験生が増えるもの。
平成28年度に4教科2倍の内申評価制度変更となった際も、そうした傾向がみられました。
ですから、逆に本当にその学校に入りたいと強く願う受験生にとっては、ブレずに進むということがチャンスであると言えるかもしれません。
そしてそのための対策を行う。

それでも万一試験当日の問題が、想定をはるかに超えて難しかった場合でも、焦ることなく解ける問題に集中する強い気持ちを持ちたいものです。
問題が解けないのは、君の実力が日比谷合格レベルに達していないからではなく、久しぶりに作る100%自校作成問題の機会に奮い立った先生方が、思いの他頑張って問題を作った結果であるかもしれません。

しっかりと準備した君が難しいと感じる設問は、きっとライバルたちにとっても難しい問題であるはずです。

受験に不安はつきもの。合格発表までその不安は拭えません。
誰もが感じるその感情に飲み込まれてしまうのではなく、受験勉強に最後まで謙虚に励む力に変えることができるよう、願ってやみません。


間もなく夏休み。
まだまだ多くの受験生が、中学最後の大会に向けた練習に集中していることでしょう。
日比谷高校は、学校生活や部活に最後まで頑張る君の入学をきっと待っているはず。

塾の夏期講習や合宿に参加して自校作成問題の準備に頑張る君も、最後の部活に集中する君も、早めの情報収集はできるもの。

限られた時間の中で行う受験勉強が空振りに終わってしまわないために、夏休み前のこの機会にもう一度、自分が立てた計画の中身を見直してみるのもよいかもしれません。

ではまた次回。


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