日比谷高校合格と公立中学からみる、東京教育不動産情報

 都立日比谷高校の直近3年間の公立中学校別合格数の集計記事は、予想外に多くの方からの反響をいただきました。

公立高校の複数年度の全ての出身中学について、体系的にデータベースとして公表した資料は貴重なものであるといえるでしょう。
しかもその対象が日比谷高校であれば、全国の多くの方の興味を引くのはある意味必然であるのかもしれません。

この日比父ブログで日比谷高校の出身校にこだわるのは、人口分布に基づき都内全域に存在し、東京に住む一定数の教育熱心な子育て家族が回避しようと考える公立中学であるからこそ、逆に教育不動産とでも呼ぶべき教育環境中心の観点でみた東京での住まい選びに対して、多くの有効な情報を発信しているのではないかと考えるからです。

もちろん、相対的に日比谷高校に多くの生徒が合格するからといって、その公立中学校の学習環境が優れているとは一概には言えません。
公立中学は受験進学校ではないのですから、それは当然のことです。

ですから、特定の公立中学校を特別視したり、ブランド化するのは公立中学の評価としては正しいアプローチとは言えませんし、そのための情報を提供しようとする意図もありません。公立中学校間の競争を煽るのは、本意ではないのです。

ただしその一方で、日比谷高校という全都からの受験生を集める教育アイコンに焦点を当てた際には、確かに出身中学による合否の大小の傾向が現れるのも事実です。
それは毎年の傾向として、確かに特定の学校に現れる顕著な傾向です。

その結果が中学校自身が持つ教育力ではないとするならば、その要因はいったい何なのでしょう?

個人的にはその答えは、該当する公立中学を取り巻く住環境の教育水準の高低が大きく関係するのではないかと思うのです。
住環境の教育水準とは、そのエリアに暮らす子育て家庭の集合意識を核として広がる、学校や図書館のような教育文化施設や児童館のような教育福祉施設、学習塾に代表される学外教育機関のような、地域教育クラスターとでもいうべき学区に根ざしたその地域の総合的な教育力のことです。

高い教育意識の集合体と、教育機関がお互いに惹かれ合って、他のエリアよりも高い教育不動産価値を形成しているのではないか?
そしてその教育力の高いエリアを分かりやすく示す象徴としての一つの指標が、日比谷高校合格力に表れているのではないか?
一つの仮定です。

中学校学区などで定義される広域の住環境エリアの中でも、より教育意識の高い居住エリアを、本ブログでは『教育不動産』と呼ぶこととします。

今回は、日比谷合格3年データを元に、教育不動産の分布状況について考えます。

 

基本フィルター「単純合格数」

 大学合格実績であれ何であれ、合格力の大小を評価する一番単純な指標としては、合格者数の大小が挙げられるでしょう。
東大合格実績などに代表されるように、有力校に対する単純合格数は、多くの方の興味を引く数字です。

では早速、公立中学の直近3年間の日比谷合格数を大きい順に並べてみましょう。

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3年間の日比谷合格校は全部で336校もあるので、ここでは単純平均で毎年2名以上合格となる、3年合計6名以上の中学を合格者数順に並べました。

今回の結果は、昨年まとめた2015~16年の2年間の実績と、順位変動はありながらも登場校は大きくは変わっていないように思います。
おそらくは、各地域で日比谷常連校と呼ばれる学校ではないでしょうか。

また前回紹介した日比谷合格上位行政区の文京区、世田谷区、大田区、江戸川区の学校が34校中20校を占めており健在です。
今回はこれに目黒区を加え、5行政区の学校が一覧上34校の2/3を占めており、日比谷志向の強さを伺わせます。

たったこれだけの単純なフィルターでも、地域による傾向の違いをそれなりに表せるものです。

ただし、この単純合格数は学校規模を反映していません。
このため受験者の絶対数を考えると、生徒数の多い中学校の方が合格数も多くなるという一般傾向はあると思います。

例えば、3年合格者数トップの町田市立つくし野中学は、この一覧では生徒数がダントツに多い、都心では珍しい1学年300人近く在籍するマンモス校です。
これに対して、6名合格の港区立御成門中学や大田区立田園調布中学は、3学年全体でもつくし野中学1学年より少ない規模になります。

ですからこの単純合格者数は、多くの方の興味を引く眺めて楽しい数字のようには思いますが、社会的な何かの傾向を判断する指標としてはあまり意味がありません。

このため、まずは各校の合格数が比較できるベースを得るために、学校規模を考慮した数字となる一覧内の『100人当の合格者数』に注目して並べ替えてみます。

今度はどのような結果になるでしょうか?

 

合格力フィルター「100人当合格数」

 まずは説明抜きで、学校規模を考慮した合格数を見てみましょう。

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 はい、出ました。

下限の取り方が難しいですが、ここは30校程度に収まるよう、生徒100人当たりの合格数について1.5人以上で切りました。

こうして同じ生徒数で比べてみると、見え方がまた違ってきます。
単純合格数では、ほとんどの学校が3学年生徒総数が300人以上、平均でも489人であったのに対し、今回は平均317人、大小さまざまな規模の学校が登場しています。

旧学区に色がついている学校は、先の単純合格数でも一覧に掲載のあった学校です。
全部で17校あります。
これらの学校は、数的にも割合的にも、安定した日比谷合格中学といえるのかもしれません。
結果を見て頷いている、それぞれの地域で古くからお住まいの方もいるでしょう。

この一覧は、先の単純合格数よりも日比谷合格実績の大小をより的確に表していることは確かですが、抽出条件の性質上、一つクセがあるといえるかもしれません。

それは、生徒数が極端に少ない学校の実績が上振れしやすいという点です。
特に合格数が1名の学校の場合は、実際の合格傾向より合格事実が過大に評価されている可能性はあります。

このため、3年間で合格数が1名の学校は、特異値として除くべきかとも考えましたが、恣意的な操作を排除する意味と、小規模校でも合格者がない学校もある事実を鑑みて、抽出結果のまま全て掲載しました。

多くの地域の方への参考情報となるように、100人当たり1.0人以上合格までの学校も、以下に合わせて掲載します。

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不動産フィルターの導入

 この100人当たりの合格者を見て何を感じるでしょう?

既にお気づきのことと思いますが、この表には不動産情報として、新たに学校の路線価が表示してあります。

個人的には、概ね地価が高いとされるエリア、全国の方も知る都内の代表的な住宅街の名前を冠した学校が上位に一定数並んでいるという印象です。

実際、ここに登場する上位32校の平均路線価は、601千円/㎡。
これは概ね、文京区や山手線内外の都心に近いエリアの単価です。

路線価で平米600万円、つまり概ね坪200万円。
実際の宅地不動産取引価格はこれを軽く上回りますから、やはりそれなりの住宅地が並んでいるということが言えそうです。

そして、合格数1.2人、1.0人で区切るにつれ、平均路線価は直線的に下がります。
不思議な気もしますが、日比谷高校合格という情報を不動産価格という視点で考えると、このように顕著な傾向が伺えるのです。


では、本ブログで不動産価値を持ち出すのは、何のためでしょう?
特定の住宅エリアの優位性を示すためではありません。

教育に関心の高い、より幅広い所得層の子育て家庭に対して、良好な教育不動産についての参考情報を提供するためです。
特に、かつて私自身がそうであったように、右も左も分からないような、初めて都内で暮らす家族のために。

そこで今度は、この不動産価格をフィルターとして並べ替えてみます。
今回のデータの並べ替えでは、従来よりもきめ細やかな事前調査を行っていますので、より興味深い結果が得られるはずです。

では見てみましょう。

 

住宅フィルター「路線価考慮100人当合格数」

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 さていかがでしょうか。

今度は多摩地区を中心に、より広域に分布する中学校が登場してきました。
この一覧は、先の100人当たり合格数を路線価で割った結果順に並べたものです。

各中学校のもつ路線価による合格数の違いを、共通のテーブルで比較するための数値ですので、数字自体の意味は考えても仕方ありません。
強いて表現するのであれば、日比谷高校合格のための不動産コストパフォーマンス。
地域の教育不動産バリューです。
こちらも30校程度で切るために、400を下限として抽出しています。

トップとなった青梅市立第七中学校は3年間で1名合格のため、意識ある一人の学生が生み出した特異値であるといえるのかもしれません。
ここは公立中学では全国的に珍しい、自転車部のある学校でもあります。

地価も生徒数も他と比べて極端に小さいため、突出した数字となりました。
JR青梅駅や西武池袋線飯能駅から更に車で20分ほどの山里にある学校です。
日比谷高校までは片道1時間半以上かかると思いますが、日々実際に通学しているのでしょうか?

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昨年の比較では、こうした小規模校や合格の絶対数が小さい中学校は検討対象から外れていましたが、今回は直近3年間で合格実績のある全ての学校を対象としていますので、その意味でよりきめ細やかな検証となっています。

そして、不動産価格を考慮した日比谷合格数から選出された中学校の平均路線価は、先ほどまでの都心型の価格帯とは異なり、258千円/㎡、坪当たり約85万円の、より多くのビジネスマンにとって現実的な不動産価格に近づきます。

一覧の29校の中では、今度は町田市が6校となり、多摩地区では圧倒的に日比谷志向の強いエリアであることが見て取れます。

ではより多くの情報提供のために、先の続きを見てみましょう。

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地価を考慮することで、日比谷高校合格中学校の情報が、教育不動産という観点で居住地域を考える場合の参考情報となるように思います。

 

適家族適所

 これまで見てきた一覧を、改めて住まいという観点で見ると何が言えるでしょうか。

個人的には教育不動産情報として、以下の整理ができるのではないかと思います。

  • 100人当合格数
    この一覧は、不動産価格を無視した日比谷高校への合格力が高いエリア情報であり、そういう意味では都立授業料無償の対象外(世帯年収910万以上)となるような、やや所得層の高いビジネスマン向けの住まいを考える参考情報になるように思います。
  • 路線価考慮100人当たり合格数
    不動産価格に配慮した上での合格力指数であるこちらの一覧は、逆に都立授業料無償化の対象(世帯年収910万円未満)となる一般的なビジネスマン向けの参考情報といえるのではないでしょうか。


中学受験に向かう理由の一つとして、

「地元の公立中学には絶対に行かせられない」

という尤もらしい親の意見がよく語られます。

これは、両親や先祖から受け継いだ大切な土地に暮らす家庭や、社宅など住居地が指定された家族が語る言葉であれば仕方がないと思いますが、転勤や不動産購入による意志ある転居を伴った後の発言であれば、少し哀しい言葉だと思います。

なぜならばその言葉は、自らの「不動産選択敗北宣言」であるように思うからです。

自ら選んで暮らすエリアの公立小学校や中学校にわが子を絶対に通わせたくない。
そんな自己否定にも似た環境で子育てし、家族と暮らすのは少し哀しい。当然、街にも地元のコミュニティにも愛着が湧くことは稀でしょう。
その地域を心から好きで暮らしている家庭も多い中で、明らかな不動産選定上のミスマッチを犯しているのです。
それは家族にとっても地域にとっても、日常的な不幸というべき状況ではないでしょうか。

地元の公立中学も捨てがたいのだけれど、でも子供の将来を考えて、もっと良い教育環境を提供しよう。そういう気持ちで中学受験に送り出す方が、より豊かで健全な生活が実現できるのではないでしょうか。

好きな服や好きな雑貨に囲まれて暮らすように、好きな環境で子供を育てたい。
それは保護者にとって、あるべき願望です。

そして所得にかかわらず、そんな住まい選びは現実的だと思います。

例えば我が家も都内の複数行政区で子育てを経験しましたが、どの学区の公立中学校も、わが子を通わせることに抵抗のない学校です。
そしてそのどの学校も本記事の一覧に登場しています。

少しでも環境の良い教育不動産を求めた結果、今見れば日比谷高校にそれなりの割合で合格者を輩出する公立中学校の学区を選んでいたのです。

この記事に示した一覧の学校は、ほとんどが実際に訪れたことのない地域の公立中学校ですので、実際に良好な教育環境であるかは分かりません。そうでないエリアも含まれるかもしれません。
ただ、教育不動産という観点で見た場合に、ほんの少しでもそうしたエリアを探し出すための足掛かりやヒントになればよいと、ささやかな期待を込めてお届けしています。

もちろん、ここに掲げたのは、あくまで日比谷高校という特定のフィルターで抽出した結果ですので、それぞれの学校フィルター毎にそれぞれの結果が現れるのは当然のことですし、好む学校の合格フィルターで結果を抽出するのが望ましいでしょう。
それがより自分や家族にとって心地よい住まい情報を提供するはずです。

例えば都内でも教育熱が高い地域として有名な国立市は、日比谷高校という観点で見れば全く登場することはありません。
その場合、例えば国立(くにたち)高校合格というフィルターで抽出した学校を確認すれば、そのエリアを希望する家庭にとって、より有益な教育不動産情報が得られることでしょう。
ただ、残念ながらそうした基礎情報はなかなか取得できない現実があります。

ですから今回示した学校やその通学指定エリアが、都内の他の地域よりも教育環境として優れた地域であると主張しているわけではありません。あくまでも、日比谷高校合格という特定の条件で抽出した結果について、全体として見られる傾向を考察をしているに過ぎません。

そして同時に、誰かにとって良好な住環境が、別の誰かにとっても快適な環境であるとは限らないのも、また一つの事実です。

 適家族適所

それぞれの所得や、それぞれの価値観にあった愛着のあるエリアで、子供を育て家族と暮らすことができれば、それはとても素敵なことではないでしょうか。

そんな素敵な地域との出会いの実現を、心から願います。

 

日比谷合格情報の見える化

 今回は新たな情報の提供試みとして、合格情報の見える化に取り組んでみました。

合格情報の見える化とは何でしょう?
百聞は一見に如かず、以下の通りです。

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3年合格336校を、グーグルにマッピングしてみました。

ピンの色は各校の合格力を示す「100人当合格数」に基づき、

  • 青:日比谷高校
  • 赤:2.0人以上の合格中学
  • 橙:1.5 ~ 2.0人合格中学
  • 黄:1.5 ~ 1.5人合格中学
  • 緑:1.0人未満の合格中学

を表します。

青いピンで示した日比谷高校を中心に、千葉、埼玉、神奈川県境まで合格学校が広がっているのが見て取れます。
先の青梅第七中の地理的特異性もはっきり認識することができます。

このデータベースを使うと、例えば100人合格数の高い公立中学はどのエリアや沿線に多いか、という情報が直感的に把握できます。

実際に表示してみましょう。

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こうしてみると、先に文章で示した、城北である文京区から、城南に位置する目黒区、大田区への皇居の西側南北ラインに、合格数の高い公立中学が多く位置していることが分かります。

これに1.0人以上の情報を加えると、傾向が一層顕著となります。

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先の南北ラインを中心に、西は環状八号、東は臨海方面へ拡大していきます。

地図上、左の紫色のピンは都立西高校です。
この西高校から時計回りに練馬区、新宿区、世田谷区で囲まれたエリアには、ぽっかり穴が開いたような空白地となっています。
ここにはちょうど中野区がすっぽり入るのですが、立地の割には23区の中では城東エリアと並んで日比谷志向が高くないことが伺えます。

いかがでしょうか。

このマッピングデータを使って、もっと様々な情報を検証することができるはずですが、今回はこれ以上は踏み込まずに終わりにしたいと思います。

そして本当は、アクティブな位置情報として掲載することで、ご覧いただく方が自由に情報を活用できる環境が整うと思うのですが、時間的および技術的な問題もあり、今は図としてお届けしています。

 

グーグル学校訪問

 最後にオマケ情報ですが、各学校の路線価を設定する際の確認スキームを紹介したいと思います。

路線価情報設定スキーム

 路線価の設定については各校について以下の作業を行っています。

1)グーグルマップ上に対象中学校を表示

2)マップ情報から住所を取得

3)国税庁路線価図上で対象中学校を表示

実は、路線価図上で対象物件を特定するだけでもかなり手間がかかるのです。
このシステムは、利用者の利便性が優先されたものとは言えません。もう少し情報の確認が簡単にできるとよいのですが。

いずれにしても、ここからが更に大変な作業になります。
なぜなら、当たり前ですがどの土地も少なくとも4辺以上の多角形から構成されており、各道路の路線価が異なるからです。
提供する情報に客観性と信頼性を持たせるため、主観を排除した路線価決定のルールが求められます。

日比父ブログでは、学校の校門(正門)前の路線価を採用することにしています。
例えば、各辺の平均価格を採用するという方法も考えられ、こちらの方が作業的にも楽なのですが、この辺りは個人的なこだわりです。

そしてこのルールは、思う以上に大変なのです。
なぜならば、正門の位置を特定しなければならないからです。門の位置は、校舎の配置などから概ね想定はできるのですが、正確ではありません。

このため、

4)グーグルマップに戻って写真表示

5)ストリートビューで地図上に降り立つ

6)校門を目視する

7)該当箇所の路線価を取得する

これを何百校に亘ってコツコツ繰り返すわけです。
336校のマッピングも大変だと思いましたが、この路線価決定作業は格段に多くの時間を要するのです。

 

教育不動産コンサルタント

 しかしそれでも愚直な作業を繰り返す内、見えてくる世界があります。
それは、疑似的な体験であるとは言え、都内の多くの中学校周辺の環境を確認して歩くことができたことです。

日比谷高校合格という数字上の価値感とは異なる、学校施設そのものや周辺環境。

一口に公立中学といっても、ハード面でも一校一校が全て異なります。
古くて手狭な学校から、新しくて広々とした羨ましいと感じるような環境が整った学校まで、地域はもちろん同じ行政区内でもそれぞれ大きく異なります。

そして疑似訪問して分かったことは、現在公立中学校は、震災後の耐震改修を経て建替えや改築の時期に入ってきたのではないかということです。
私立かと思うような新しい校舎を持つ学校が、各地で散見されるのです。

そうした現地の実情も、住まいを選択する上では大切な情報ではないかと思います。
必ずしも最新の情報とは言えませんが、気になる学校や地域がある場合には、まずはグーグル上で気軽な地域訪問をしてみることも、住まいを選ぶ際には一つの有効な方法であるかもしれません。

もしかするとそうした疑似訪問は、仕事や旅行などを中心に、既に当たり前のようにやっている方が多いのかもしれませんが、今回短期間で都内の多くの中学校周辺を巡るという試みは、個人的には確かに新鮮で興味深い体験となりました。
こうした機会がなければ一生訪れることもないような街角を巡り、周辺環境を確認し、その地域や学校での生活を想像する。

仮に教育不動産コンサルタントという職種があるのならば、現在私は多くを語ることができるでしょう。そう思える程の、膨大な数と時間の基礎訪問です。
それでもこうした作業に没頭するのは、社会学的好奇心とでもいうべき結果に対する純粋な探求心からです。

進学という観点から見た場合、我々は誰もが合格実績という数字上の結果に心を奪われがちになりますが、実際は子供や家族が日々過ごす、その環境が大切であることに違いありません。

今回は、その当たり前のことを再発見する東京の街歩きとなりました。


お盆も終わり、夏休みも残りわずか。
9月は受験勉強の後半戦の始まりであると同時に、多くのビジネスマンにとっては半期の締めとなる季節。
10月の異動で都内への転勤が決まり、住まいの選定に頭を悩ませることがあったなら、今回の中学校情報を基に、パソコンや携帯上で新しい生活環境への想いを馳せてみるのもよいかもしれません。たとえ疑似体験であったとしても、文字情報だけでは気づくことがないような、貴重な発見をもたらしてくれるに違いありません。

そして一覧に登場しない学校に通い、不安に思う受験生の君にとっては、青梅の先輩のように、むしろ先駆者となる大いなるチャンスが目の前に広がっていると考えてみてはいかがでしょうか。
状況に左右されず、自らの目的に向かって道を切り開く強い決意で受験に臨む。
それこそが、日比谷高校の求める生徒の姿に違いありません。

ではまた次回。


本記事で採用する最新路線価情報

平成29年分 財産評価基準書 東京都 (路線価図)|国税庁


本記事の元データ。中学校別日比谷3年合格実績
 

日比谷高校合格で考える住まい選び第1弾