日比父ブログ2017年秋報告

 日比父ブログをはじめて15か月。

日比谷高校というフィルターを通して私的に語る、教育とすまいをテーマとし、日本と世界のあり方や時事ネタをスパイス程度に加えたこのブログも、現在一つの転機を迎えているように思います。

実はこの1か月ほど、ブログ運営に関してちょっとした課題に直面していました。
それは、新たなテーマとブログの関わりについて。

日比谷高校を中心テーマとした文章は継続しながらも、小学校高学年となる弟の中学に向けた進路や住環境について書きたいという思いが大きくなり、それぞれ別のブログを立ち上げようか思案していたのです。

偏差値志向の中学受験に向けた軌道に乗せることには消極的だけれど、それは何も学習そのものを疎かにしたり、学びの機会や環境を排除するということとは違う。

横並びの中学受験には興味がなくとも、子供の教育には関心の高い保護者も多いはず。
そんな保護者が何を考え、どのような選択をするのが良いのか、リアルタイムで悩み、考える場を、新たに作りたいと考えていたのです。

そして、『すまい』について。
個人的にはハードとしての住宅以前に、ソフトとしての住環境に強い興味があります。
それは、街でありコミュニティであり、子育てや教育とは切っても切れない強い親和性があるテーマでもあります。

記事として、時折思い出したように住環境を取り上げるのも、ブログカテゴリーとして「住まい」を設けてあるのも、住まいに対する強い関心の表れといってよいでしょう。

本当は、自分にとっても家族にとっても今よりもっと相応しい、まだ見ぬ住むべき環境が、この東京のどこかにあるのではないか?

そう感じながら暮らしている、保護者の方やこれから子供を持つ家庭も多いはず。
それはまだ見ぬ異性への憧れにも似た、ある種の切ない想いです。
そんな、東京で暮らすこれからの子育て家族を応援したい。

そしてもっと語りたい。
しかしそれらはこの日比父ブログの中で書くべきテーマなのか?
書きたいという欲求が大きくなるにつれ、日比父というこれまで育んだアイコンやプラットフォームに対する葛藤が、日に日に大きくなっていたのでした。

住まい情報メディアからの誘い

 そんな中、ブログの問い合わせフォームに一本の照会が届きました。
WEBメディアへの寄稿の依頼です。

しかもそれはマイナーな企業ではなく、テレビCMを日常的に流し、街の小さな書店でも必ず雑誌が置かれているような、誰もが見たり聞いたことのある最大手の一社です。
しかも取り上げられた記事は、数十社の大手WEBメディアへの配信力を持つ強力な情報プラットフォームです。
編集デスクから直接連絡をいただきました。

先に記載した通り、ちょうど転機を迎えていると感じていたこともあり、またこの夏に息子がブログの存在を認識し、思いの外自然に受け入れてくれたこともあり、これまでの秘匿性を維持した活動だけでなく、もう少し広くオープンな場で語ることを考えていたタイミングでもあったため、直接お話を伺うことにしました。

日比父ブログは収益の追及を目的としていませんので、原稿料を得るためのサイドビジネス目的ではなく、より強い情報発信力への関心と、それ以上に、ブログが世間やプロの編集者から見てどのように受け止められ、評価されているのか知りたいという、自己への興味が強くあったのです。 

そしてその面会は、ブログ読者との初めての対話の機会でもありました。

日比父読者との面会

 本ブログの訪問者は、概ね100%近くが検索エンジンからの流入です。
固定読者を確保するための機能は敢えて排除していますし、ランキング的な枠組みからも距離を置いています。ですから、訪問者の総数は常々認識していますが、どの程度固定読者が存在し、どの程度世間から受け入れられているのかは全く把握していません。
時々コメントや情報提供をいただくことはあっても、一方向の孤独な創作活動です。

今回デスクと面会して気づいたことは、そんな孤島に位置するブログでも、しっかりと向き合い評価してくれる方はいるのだということ。

WEBビジネスの観点で見れば、ブログの世界はPV(ページビュー)数、つまりどれだけの読み手や集客が見込まれるのかという点が、書き手の価値なのだろうと思います。
つまりブロガーの最大価値は顧客数、要するに期待される商圏や売上の規模。
その書き手を取り込むことで、自社の商品やサービスがどれだけの顧客の目に触れるのか、また販売が見込めるのか、出版であればどれだけの部数の発行が見込まれるのか、内容よりは数の論理です。

そしてそれは、本ブログの運営方針から最も離れた世界。
情報経済における消費財の一部となることを避け、コンテンツの質的向上を図る。
訪問数や収益の向上を目的とするのではなく、語るべき内容を在るべき言葉を選びながら真摯に紡ぎだす。

そして今回の依頼は正に、数ではなく内容に対するオファーであったのです。
それは到達点の見えにくい愚直な個人活動に対する最大評価でもあり、素直に嬉しいと感じると共に、心の内に芽生えた思考が実社会の中で現実化するという、内外の現象がシンクロする不思議な体験の機会でもありました。

読者でありデスクである方との初めての面会で気づいたことは、この日比父ブログが、何も日比谷高校に関心のある狭義の読者のためのコンテンツではなく、教育や住まいに関心をもつより広い対象を潜在的な読み手として抱えるアイコンであるということ。

つまりこのブログを検索で訪れるのは、中学生や小学生の保護者の方だけでなく、これから小学生となる保護者の方やこれから親となる若い世代。現在から未来へと続く時間軸の中で、現在および将来保護者と呼ばれる多くの方に訴求する可能性を秘めたコンテンツだという現実。

それを2時間ほどの対話の中で気づき、強く認識するに至ったのでした。
それはまた、一つの迷いが消えた瞬間でもあります。

つまり、『日比谷高校を志す君に贈る父の言葉』というプラットフォームが扱うのは、都立高校受験という狭義の受験コンテンツではなく、現代の子育てや教育、そしてそれを受け入れる住環境全般に係るテーマであっていい。
むしろそのように、大きく育てるべき場所なのだと。

mommapapaというペンネームは、父と母を意識した名前であります。
それは幼児が初めて口にする可能性をもつ言葉をつなげたもの。教育の始まりの言葉。

だから、小学生の教育に関わるテーマについても、新しいブログを立ち上げるのではなく、むしろ積極的にこのコンテンツの中で扱うこと。
今ではむしろその方が、より自然でより社会に求められる対応であると感じています。

中学受験回避に秘めた思い

 個人的には、中学受験を否定しているわけでも、嫌っているわけでもありません。
それぞれの家庭の考え方ですから、それ以上のことはありません。

ただ、向いているかどうかはあると思う。
わが家の例で言えば、海外赴任のために受験機会のなかった兄は、今思えば抜群に中学受験向きの子供だったといえるかもしれません。
第一子であるにも関わらず、明らかに利発な子供であるということが、かなり早い段階で認識できたからです。幼稚園に上がる頃には既に、言葉に対する理解力が全然違いました。

これと比較して弟は、到達度別に振り分けられる学校の算数の授業では一番上のクラスに所属してはいるものの、学力で全国や全都上位をうかがう状況とは全く異なります。
ただ対照的に、コミュニケーション能力や運動神経は抜群です。
そして、決めたスケジュールを日々規則的に反復する能力もずっと高い。兄のような気まぐれな直前集中型ではなく、長期継続的な学習習慣です。
土日平日に関わらず、自主的に毎日朝6時から自宅学習を行い、夜9時になれば寝る。
毎日が規則正しく動くのです。

そんな弟が、中学に向けてどのような学習を行うべきなのか、中学受験に向かい合うべきなのか、あるいは受験とは異なる将来に向けた学びに取組むべきなのか。
第二子であるにも関わらず、中学進学を控えた進路選びは親として初めての経験です。
これが東京で暮らす小学生を持つ親の悩みなのだと、今さらながらに感じます。

中学受験を回避して、都立の上位校に合格することが見込めるのであれば、それは積極的な選択の一つでしょう。ただそのような見込みが立つような状況にはない。
そうした平均的な学力に位置する東京の小学生が、どのような学びの機会を選択すべきなのか、あるいは無選択の結果として、公立中学へ進学するのか。悩みは尽きません。
それをこの目で確かめたい。そう思うのです。

幸いわが家の中学校区は、日比谷高校合格常連校の一つ。
帰国後の兄の公立中学への進学を前提として選んだ住まいですから、弟が学区の中学に通う点についても大きな抵抗はありません。
ただ公立中学以外に選択のなかった兄とは異なり、弟はまだどのような選択肢も可能な状況。だから積極的に公立中学を選択すると言うために、改めて多くの可能性について考えてみる。

そのために、まずは情報収集してみよう。

秋は新年度に向けた学校や学習塾のイベント開催の時期。今年はそんな弟のために、様々なイベントに参加してみようと思います。

そして情報収集と並行して、中学受験組も含めた現在の学習到達度の立ち位置を知ること。この目的ため、いわゆる全国テストを様々受けてみることにしました。

  • 10月:日能研・全国テスト
  • 11月:四谷大塚・全国統一小学生テスト
  • 11月:栄光ゼミ・公立中高一貫オープン

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   画像出典:模試実施各社HP


正直言って、各テストがどのような性格を持つ試験なのかも把握していない状況ですが、まずはちょうど良いタイミングでの第一歩。
ただ中学受験向け勉強をしておらず、いわゆる秀才タイプではない弟にとってはどれも困難な時間を過ごすことになるかもしれません。

日々こなす学校の宿題と補助教材としての通信教育。
3年生の2月にはスタートする中学受験組の学習成果との差がどれほどのものなのか、おそらくは平均的な学習理解度を持つ一般の小学生が出す結果に、保護者としては興味があります。

そしてその結果として、5、6年生の学びへの取組みを考えてみようと思うのです。

中学(非)受験部

これは中学受験を否定するという意味ではありません。
また、中学受験を経ずに高校受験に向けて先行して取組むという意味でもありません。

受験に非ず。学びたり。

つまり中学受験のための勉強ではない、小学校高学年のための日々の学習への取組み。
一都三県で8割以上の家庭が通るその道を、改めて確かめてみたいと思います。
それがどのようなものになるのか、現在の想定は頭に描いてはいるけれど、まだ明確には決まっていない学習への取組み。
この秋のイベントを経て、一つの結論を出したいと考えています。

日比父ブログのこれから

 日比谷高校を中心に、高校受験について発信したい情報は、まだ数多くあります。
今後はこの中心テーマに加え、中学に向けた小学生の学びの在り方についても、並行して書いていきたいと考えています。

そして今まで以上に世間を意識しながら書くべきは、住まいと子育てについて。

WEBメディアへの寄稿については、これから条件を詰める段階であるし、実際に記事の提供が実現するかどうかは現時点では分かりません。

しかしこのテーマについては、情報に対するより多くの社会的なニーズが潜在的に存在すると今回明らかになったことで、より強い発信力を持ったプラットフォームへの寄稿を中心に展開するのが良いのではないかと感じています。

いずれにしても、日比父ブログは2年目を迎え、新たな段階を迎えているのだと感じます。

そしてそれは、ちょうどわが家の子育てが、大学受験と中学受験を同時に意識する時期に差し掛かったことを意味することでもあり、東京のある街で暮らすある家族の子育てを語る父の言葉が、まだしばらく続くということでもあるのです。

ではまた次回。