日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

『君の名は』瀧くんは番町小学校、麹町中学出身なのか

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 地上波で放映された『君の名は。』

主人公の瀧くんは都立神宮高校生の設定で、朝起きてから寝るまで都心の生活を送っていることが分かります。地方の高校生から見ると、毎日が本当に輝いて見えるかもしれません。でも瀧くんたちの放課後生活は、大学生に近いかなと思います。

神宮高校は実際には存在しませんが、設定からすれば都立青山高校がこれに当たるでしょう。青山高校は進学指導重点校、都立でも屈指の人気難関進学校です。
実際の放課後は部活や勉強に忙しく、劇中のような華やかなバイト生活を謳歌する生徒は皆無だと思います。

そして映画の中には直接は登場しませんが、実は日比谷高校の存在も見え隠れするなど、都立高校との縁の深い映画であることがうかがえます。そこで今回は、受験勉強のコーヒーブレイクを兼ね、日比父流視点で見た『君の名は。』と受験について考えたいと思います。

他のファンサイトでは得られない、新たな事実が浮かび上がります。

 

瀧くんの自宅は千代田区六番町

 アニメにしろドラマにしろ、ファンの方が気にするのは劇中のロケーション。
実は主人公瀧くんの自宅は明確な設定がなされています。

 説明をしだすと、きりがないのだが(そして瀧にも説明不能であるのだが)、東京都千代田区六番町に住む男子高校生立花瀧と、岐阜県Z郡糸守町在住の女子高生宮水三葉は、現在、周期的に、相互人格転移を起こす関係にある。
出典:君の名は。 Another Side:Earthbound

劇中の立花親子は、いかにも公団マンションという雰囲気に住む父子二人暮らし。とても番町在住とは思えません。

千代田区番町といえば、江戸時代の旗本屋敷から続く、都心山の手の高級住宅街の代名詞。現在でもお金も地位も人格も備わった人々の住まいという、港区の華やかさよりもある意味品の高い、一線を画した最上級の住宅地というイメージがあります。
関西でいえば、芦屋市六麓荘が皇居の脇にあるという感じでしょうか。ただ山の上ではないので、今ではマンションやビルが多いですが。

六番町の位置を確認してみましょう。 

なんとここは、奥寺先輩と待ち合わせで登場する「四ッ谷」駅まで徒歩数分圏内。
初デートで決定的に遅刻するかに見えた瀧くんが、走ってギリギリ間に合ったのはこれが理由のようです。

町内にはお受験で有名な雙葉小学校附属幼稚園や、中学受験女子御三家の雙葉中学、隣接した一番町には女子学院中学が位置する、正真正銘の山の手といえる場所です。
いわば、女子お受験ママの聖地のような場所に暮らしていることになります。

こんな場所にある公団的なマンションということで、立花家の父は霞が関のキャリア官僚、住宅は国家公務員宿舎といったところでしょう。天然に見える瀧くんも、実は地頭が良いに違いありません。

劇中の状況からして、瀧くんの父親は地方公立高校から東京大学卒業のキャリア官僚、年齢は40代半ばで年収は1千万程度でしょうか。
母親とは死別なのか離婚なのか分かりませんが、父子二人暮らしの公務員社宅暮らしだとすると、質素な生活ぶりからして月々のフリーキャッシュフローはかなり良好だと思います。逆に離婚で一定の送金を行う結果の生活状況だとすれば、母親が妹を引き取って出て行ったのかもしれません。

堅実な官僚というイメージの父親は、おそらく受験も将来も自分の好きにしろ、ただ大学だけは行けよという感じ。瀧くんも生活に負担をかけないように中学受験はしなかったように思います。
年収はそれなりにある父親と都立高校生の息子の素朴な二人暮らし、というイメージを崩さないための家庭状況とは何でしょう。

母とは死別、父は祖父母の病気や介護のために毎月一定額を負担しており、残りは瀧くんの将来のために密かに貯蓄しているといったところでしょうか。あくまで想像です。

千代田区立 番町小学校卒業

 そしてこの地図情報で注目したいのが、指定区立小学校である「番町小学校」です。

瀧くんが小学校時代からこの場所に住んでいると仮定すれば、確実に番町小学校卒業生ということになります。千代田区のホームページを見ると、六番町は全域が番町小学校指定であるからです。

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そして家庭の雰囲気と、都立高校に通う事実から、中学校も地元の公立中学に進んだと考えるのが自然です。
キャリア官僚は2年毎にきっちり部署移動がありますから、本省勤務でなければ、地方公立小学校出身という可能性はもちろんあります。

千代田区立 麹町中学校卒業

 番町小学校卒業の瀧くんですが、中学校は麹町中学校卒業です。

実は千代田区には、現在公立中学は麹町中と神田一橋中の2校しか存在しません。そしてどちらの中学校に通うかは、自由に選択できる制度になっています。

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ただし、六番町から麹町中は徒歩圏、神田一橋中は電車で通う程の距離となります。
また、瀧と三葉の初めて入れ替わりが発生し、瀧となった三葉が寝坊した際に父親が、

「遅刻でも、学校はちゃんと行けよ」

と釘を刺す当たり、教育面に最低限の関心を持っている点から考えても、かつてのエリートコースである、番町小から麹町中学という選択をするのが自然でしょう。
ですから、高校入学時に地方からの転入でない限り、瀧くんの出身中学は麹町中学校という結論になります。

 

瀧くんの学校の成績

 開成高校などの中高一貫校が台頭する以前、かつて日本のエリートコースと呼ばれたのが、番町小学校 ⇒ 麹町中学校 ⇒ 日比谷高校 ⇒ 東京大学です。

瀧くんは、何故日比谷高校を受験しなかったのでしょうか?
ここでは瀧くんの学力や学校の成績について検証します。

瀧くんの通う都立神宮高校が青山高校と同じ学力レベルの学校だと仮定した場合、彼の学校の成績はズバリ以下のようになります。

瀧くんの中学時代の成績

 麹町中学校:学年10番台、内申点40前後

これは同中学から青山高校に進学する生徒の標準的な学業成績だと思われます。
麹町中学校は、公立中学では珍しく進学実績をホームページに掲載しています。

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青山高校は、日比谷高校の次、戸山高校などと並んで都立2番手校に位置します。
主観ですが、私立国立高校も含めた一覧の中で、区立中学からの進学先として青山高校並みか上にある学校にチェックを入れてみました。
平成26年度と27年度の実績差が大きいので想定ですが、概ね10番台だろうと想定されます。内申点は素内申で40点程度が平均的でしょう。

あるいは家庭の事情で都立高校進学がマストだった場合、都立は成績に関わらず1校しか受験できませんから、レベルを落としての受験という可能性もあります。
レベルを落として確実性を優先した結果の青山高校合格だとすると、実際の実力は学年1桁、内申も45点満点に近いかもしれません。

こうしてみると、瀧くんの成績はかなり優秀ということになります。
 

君の名は。と都立青山高校

 青山高校は、エリア的な事情からか、特に女子人気が高い都立高校です。有名人では男子で石田純一、女子は滝川クリステルが卒業生ですから、まさに青山通りというイメージではないでしょうか。

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この航空写真を見ると、青山高校と『君の名は』の主要ロケ地の位置関係がはっきり分かります。

  • 青山高校 =神宮高校
  • いちょう並木 =親友との放課後タイム
  • 信濃町歩道橋 =空を見上げる陸橋
  • 四ッ谷駅 =デート待ち合わせ、自宅駅
  • 四谷須賀神社 =ラストシーン階段

瀧くんの通学路は、JR四ツ谷 ~ 信濃町下車 ~ 明治神宮外苑 ~ 学校となります。
ちなみに、四ツ谷から信濃町は僅か1駅で、乗り換え検索で乗車時間1分、歩く時間を入れても20分圏内、自宅から全て歩いても30分程度といえるでしょう。
しかも毎朝、信濃町駅から神宮外苑の気持ちの良い緑の中を散歩し、オリンピックの年には国立競技場メインスタジアムの横を通って通うことになります。

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そして、映画の印象的なシーンの一つ、瀧くんが信濃町駅前歩道橋で空を見上げるのは、特別なことではなく、通学路上にある日常的な行為だったということになります。

ちなみに、写真地図中の「シェイシャック」が瀧くんが仲間とケーキを食べる店の位置ではないかとの情報がネット上にありますが、そうであったとしても現在は閉店となり元の店は存在していません。

仮に瀧くんが上智大学に入学した場合には、自宅から徒歩6分になります。出身は分かりませんが、真の都会人高校生だったのですね。
世のお受験保護者が喉から手が出るほど欲しいのに届かない住所や都心生活を、全く無関心と思しき立花家が実現しているのは、過度な受験競争や出世競争社会への隠れたアンチテーゼ、新海誠流の隠れたメッセージなのかもしれません。
いずれにしても、その状況こそが、三葉の田舎暮らしとの圧倒的な対象として必要だったのでしょう。

君の名は。と都立日比谷高校

 劇中、日比谷高校が直接の舞台となることはありませんが、上述した通り、自宅エリアと出身校から、日比谷高校の存在がぼんやり浮かんできます。

そしてそれを反映してか間接的に、日比谷高校生の日常的な風景が登場します。それが次のシーンです。

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画像出典:Tv asahi「君の名は。」放送

ここは日比谷高校生の多くが通学で利用する、赤坂見附駅。日比谷生の日常風景です。正面のTOP CAMERAは実際にはビックカメラ赤坂見附店ですが、トップカメラという命名に、都立トップ校の暗示を感じます。

そして見上げた視線の中、プルデンシャルタワーの左、赤坂エクセルホテルのちょうど後ろに、日比谷高校の存在が隠れています。

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画像元出典:Tv asahi「君の名は。」放送

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瀧くんは麹町中学の成績上位。番町小学校、麹町中学と進んで、きっと日比谷高校への進学にも心揺れ動いたに違いありません。

本当の理由は分かりませんが、最終的には神宮高校への進学となりました。日比父ブログでいつもお伝えしているように、都立進学校受験は泣いても笑っても1校しか受験できないなかなか厳しい入試です。
志望校に合格した瀧くんは、糸守に惹かれてスケッチを描いた際に見せた、あの神がかり的な集中力で、高校受験を突破したのに違いありません。わが子の高校受験直前期も、あのような鬼の集中力を感じました。

ちなみに、仮に瀧くんが日比谷高校に入学した場合、通学は徒歩20分、地下鉄利用の場合は四ツ谷から永田町までやはり1駅のたった10分となります。 

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こうしてみると、半世紀前の都立学校群制度が導入されるまでは、女子も男子も、大学前のお受験の聖地はこの番町、麹町、永田町に集中していたことが理解できます。
その総本山が日比谷高校。雙葉小中学校に通う女子生徒もその母親も、日比谷高校の制服姿に淡い憧れを抱いたことでしょう。
その当時の様子は、芥川賞受賞作、自身も日比谷卒業生である庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』に詳しく描かれています。

 

君の名は。受験版『クロスロード』

 そして今回の地上波放送で最大の話題となったのが、Z会とのコラボCMである『クロスロード』でしょう。

今回初めて「君の名は」を見た方の中には、CMであることが分からずらず混乱したケースが多発したようですが、この短編CMは、受験と青春と、そしてさりげない広告が凝縮された、本当によくできた印象のよい新海誠作品です。

クロスロードは君の名はの直前に作成された短編でもあり、君の名はの表現や世界観に非常に近いものがあります。「君の名は。」の受験バージョンと言って差し支えないでしょう。

これは完全に個人的な妄想ですが、このクロスロードの主人公である高村翔太は公立高校に通う生徒だと考えられますから、志望校の状況から見ても、日比谷高校生の可能性が高いのではないかと思います。正統派の学ラン姿もそれを暗示しています。

そこには家庭の事情で瀧くんが果たせなかった、受験生としてのもう一つの顔が投影されているのではないでしょうか。同級生が進学塾界隈に向かう中、なぜだか反対方向に歩く翔太。瀧くんと同じくバイトと大学受験の両立です。

「やべ、そろそろ塾だ」

と友人と別れてコンビニのバイトに向かうあたりは、切ない家庭の経済状況がうかがえます。きっと地頭がよく、中学受験であれば十分な学校が狙えた生徒でしょう。

そして遠い離島のまだ見ぬ彼女、倉橋海帆も同じ。おそらくは二人とも学校の授業を大切にし、必要最低限の科目を通信教育で補強しているのでしょう。

ここに描かれた受験生二人の姿は、正に東京大学が求めている学生像に他なりません。
幼少から東大合格養成コースを歩いた難関大学合格が目的の学生ではなく、自分の意志と努力で未来の目標に向かって大学合格を目指す。

Z会がよいとは言いませんが、CMが描き出す世界観は、理由はともかく中学受験を迂回して公立中学に進む都立進学校の家庭や地方の情報弱者である地域に共通するのものでしょう。

ちなみにこの珠玉の短編の中で個人的に好きなのは、アニメらしさが溢れだす次の1コマ。120秒の中で起承転結の世界観を描くだけでなく、コミカルなボケを挟むあたりはさすがですね。

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実際の日比谷生は、7割が授業料免除適用外となる、それなりに収入も社会的立場もある家庭が多いです。わが家のように海外経験者も非常に多い。
子供が賢くて経済的余力があっても中学受験しない家庭は今でも一定数あり、そういう保護者の方は、やはりしっかりしています。

中高一貫校進学は大学受験での有利不利に影響するかもしれませんが、将来、わが子が幸せとなるかどうかには直接関係ない、と考える保護者はいるということです。
中学受験か家族で海外赴任か迷う家庭には、細かい事情は分かりませんが、よほどの危険地帯でない限り、家族帯同で赴任することをお勧めします。

そして新海誠作品には、そんな語らぬ背景を持った都立高校生がよく似合う。
クロスロードの長編も、ぜひ見てみたいものですね。

アニメの主人公たちと同じように、君も第一志望に手が届くよう、応援しています。

ではまた次回。

番町、麹町、そして日比谷高校の現在

お受験ママが憧れた日比谷高校生の時代 

日比谷高校に実在したある苦学生の物語