高校ラグビー全国大会 花園出場の夢よ再び

2018年新人戦試合結果更新:
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画像出典:日比谷高校ラグビー部Facebook

 大学受験生にとってはセンター試験本番、そして都立受験生にとっては志望校への出願が迫るなど、受験生にとっては正念場となるこの時期に、日比谷高校保護者としては気になるイベントがあります。

それは、2018年1月14日に行われる、日比谷高校 対 早稲田実業のラグビー新人戦。現在全国各地で来年度のチームを担う1、2年生による高校ラグビー大会が開催されています。
日比谷高校は、51校が参加する東京都新人戦において、現在ベスト16に残っています。そして次の相手は、早稲田実業。

早実といえば、今年日本ハムに入団した清宮選手擁する野球部を筆頭に、スポーツ推薦による強化チームも多い、全国民が知る運動強豪校の一つです。
シード校のため、日比谷戦が初戦となる新生早稲田実業は、直近11月に行われた全日本高校ラグビー東京予選では、決勝で敗れ81年ぶりとなる花園出場の夢は実現しなかったものの、都大会準優勝の強豪です。新しいチームになったとはいえ、シード校であることに変わりはありません。

同じブロックに入った幸運はあるにせよ、そんなチームと実力で勝ち進んで対戦する訳ですから、保護者の一人としては非常に楽しみなのです。

この春の受験では、日比谷と早稲田実業を受ける受験生もいることでしょう。
そこで今回は、受験直前に頑張る君のために、体を張って頑張る先輩達の姿を紹介したいと思います。

早稲田ラグビーと日比谷ラグビー、縁遠いようで案外深いつながりもあるのです。

 

日比谷ラグビー部 全国大会ベスト8

 過去を振り返ってみると、日比谷高校ラグビー部が早稲田実業より存在感を示した時期が確かにありました。1959年、昭和34年当時です。

この年日比谷ラグビー部は、全国大会である花園に東京代表として出場し、初出場ながらベスト8まで勝ち残っています。そして東京二校出場枠のもう一校である保善高校は、その大会の優勝校ですから、当時の東京大会はレベルが高く、日比谷高校も実際に強いチームだったことがうかがえます。
そして、その花園ベスト8となったチームのキャプテンが、内閣官房長官を勤めた故・町村信孝氏です。
この1959年の日比谷高校東大合格者数は169人ですから、当時は文武両道の化け物のような学校だったのではないでしょうか。

ところが一方の早稲田実業ラグビー部は、部のホームページによると、1939年つまり昭和14年から1961年、昭和35年までの約20年もの永きにわたって、太平洋戦争の影響により活動を停止しています。このため日比谷高校ラグビー部の全盛期には、早稲田実業との直接対決は実現しませんでした。

 

2011年の日比谷 vs 早実戦

 そして現在日比谷と早実のラグビー対決をネットで検索してみると、2011年の一戦がYoutubeにアップされています。10月30日ですから、高校ラグビー全国大会東京予選での対戦と思われます。

その映像を見ると意外なことに、日比谷高校が善戦という試合結果になっています。
画像から判別できるスコアは以下の通りです。

   日比谷  早稲田実業

前半   7 - 24
後半  10 - 12

合計  17 - 36

トライ    3      6

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日比谷 対 早稲田実業スクラム/ 画像出典:Youtube

実はスコアほど力差があるようには見えない均衡した試合でした。
ノーサイド、つまり試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、早稲田実業の選手が両腕を大きく突き上げてガッツポーズする姿がその接戦を物語っています。
前後半とも初得点トライを挙げたのは日比谷高校。1試合3トライを挙げています。

しかも、明らかに体格が勝る選手も多い相手に、スクラムとモール(立った姿勢でボールをキープした肉弾戦)は日比谷が押しこむシーンが多く見られ、タックルも低く入って一人目で相手をしっかり止めており、力負け以上に気力負けしていない印象です。早実は控えチームなのでしょうか?そんな疑問さえ浮かぶ日比谷のパフォーマンスです。

特にファースト・トライのシーンは、日比谷のラインアウト(コート外からのボールの投げ入れ)から始まる第19次連続攻撃の末にトライを奪っているのですが、相手の反則を挟むその19回の連続攻撃の内、バックスによるボール展開はわずか1回、全てフォワードがラックサイド(倒れた密集の脇)を突っ込み力づくでゴールラインを越えようとする強気の攻撃です。

その当時の両校の実力や力関係は分かりませんが、今回も1トライは取れるのではないか、という期待が湧いてくる内容です。

ただし、実業ラグビー部の戦績を確認すると、2017年は49試合中35勝14敗で強豪校以外からの負けはないので、やはり力の差は歴然とあると言わざるを得ません。それでも何とか1トライはなどと、こうして過去の実績を参照しながら、試合当日を思う時間も楽しいものです。新年度を占う試合でもありますから、日比谷高校は気後れせず、ケガのない範囲で、思い切りぶつかって健闘ほしいと思います。

それにしてもこの映像を見ると、スクラムを組む際には、現在のような先にバインド、審判の声に従ってしっかり組んでから体重を掛け合う方式ではなく、相撲のように両チームが離れたところから勢いよくぶつかり合いますので、この数年の内に始まった安全に配慮したルール改訂の痕跡が見て取れる映像でもあります。
当時のスクラムは、今見ると危なく感じます。

 

早稲田大ラグビー部 後藤禎和監督

 そして日比谷と早稲田の関係といえば、2012年から15年まで早稲田大学ラグビー部監督を務めた後藤禎和氏が挙げられます。

後藤氏は日比谷高校ラグビー部OB。しかも、早稲田大学ラグビーの黄金期を支えたレギュラー選手です。

私は個人的に、早稲田の今泉選手がキッカーを勤めた頃に、大学ラグビーを好んで見ていました。蹴る前に大股で下がる動作に合わせて、観客からイチ、ニ、サンと声が上がったのを記憶しています。今思うと、動きは異なりますが五郎丸選手と同じくルーティーンとしての所作だったのだなと思います。懐かしいです。

いずれにしても、この文章を書く今まで知らなかったのは、あの頃輝いて見えた早稲田大学ラグビー部のレギュラーの中に、この後藤氏が含まれていたことです。
1989年には、今では清宮選手の父であり、現ヤマハの監督であり、当時は主将だった清宮、キッカーの今泉、スクラムハーフの堀越らと共に大学全国制覇を果たした、当時の学生最強チームの一員です。職人的な働きを見せていたのでしょうか、残念ながら後藤という名前は全く記憶に残っていません。

後藤氏はその後ヤマハに入社し、現在でいえはプロチームであるトップリーグの主将としても活躍。2000年以降は早稲田大学ラグビー部コーチに就任、鬼コーチとして名を轟かせた後、2012年には同監督となっています。

それにしても、一般学力試験で入学した強豪でもない普通公立高校の学生が、黄金期の早稲田大学ラグビー部のレギュラーとして活躍するということがあるのでしょうか。ある意味すごいことではないでしょうか。
当時ももちろんスポーツ推薦で入学する生徒は大勢いたはずですから、本当に努力したのだなと思います。

私は30年ほど前、統廃合の影響で今はなき伏見工業高校の躍進を描いたスクール・ウォーズをきっかけにラグビーに関心を持ち、大学に入る頃には興味がが薄れ、前回のワールドカップでの南アフリカ戦を見て戻ってきたにわかファンですが、数十年ぶりに見た早稲田大学の試合中継で、監督の経歴に日比谷高校出身のテロップを見た際には驚いたものです。

残念ながら早稲田の監督としては、部の輝きを取り戻すような期待された結果を残すことができなかった後藤氏ですが、それでも早稲田元主将でも、日本代表でもない後藤氏に周囲が名門早大ラグビー部の再建を託した事実は、素直に称えるべきことだといえるでしょう。

後藤氏は現在も日比谷ラグビー部と密接な関わりがあるのでしょうか?残念ながら私には分かりません。

 

2018年新人戦 早稲田実業戦

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 奇しくもセンター試験本番と同じ日に開催となった、2018年の新人戦について、結果を簡単に報告します。
尚、本ブログでお伝えする内容は、あくまで素人である一保護者の目から見た非公式な見解であることを予めお断りしておきます。公式の試合報告は、日比谷ラグビー部およびOB会のホームページからご確認ください。

   日比谷  早稲田実業

前半  0  -  7
後半  5  - 17

合計    5    - 24

トライ     1         4

前半

 試合前、一方的な試合運びで惨敗を喫するという覚悟も正直していましたが、終わってみれば何とか食い下がって1トライを奪取した試合となりました。

特に前半は、終了間際まで0-0が続く緊張した状況で、無失点のまま折り返してほしいと思う中、終了ギリギリの時間帯に犯したペナルティーから押し込まれてトライという惜しい展開となりました。

後半

 開始からいきなりノーホイッスルでトライを奪われると、立て続けにトライを奪われズルズル大量失点につながりそうな嫌な空気が流れましたが、うまく立て直して最後まで緊張した試合を維持できたことはよかったと思います。

ノーサイド間際の時間帯に、2011年の早実戦を思わせるようなゴール前からの連続攻撃で、最後に1トライを奪取することができ、感動しました。


感想

 ベスト8決定戦からはシード校が登場しますが、この辺りから部活的なチームと、ある意味プロ的なチームとの差が歴然としてくるのだと思います。同日行われた他の試合では、実際に10-0、0-51、99-5、0-71など無得点や大量失点となる一方的なゲームが多い中で、日比谷高校は格上相手によく健闘したと感じます。

日比谷高校も、後半の立ち上がりは0-51のようなワンサイドゲームになる危険性もありながら、最後まで集中力を保ってよく粘りました。もう少しミスが減れば、10-19辺りの得点差で終えることができたかもしれないと思う反面、まだ勝つには至らないという確かな力の差も感じました。

ただ、部の目標であるベスト8進出から見ると、模試でいえば現時点ではD判定辺りでしょうか、現在はまだ実力が及ばないものの、秋の本番までには何とか合格する力をつけることができるかもしれないと期待させるものがありました。
選手達も、もう少しやれたと感じているのではないでしょうか。

試合中すがすがしさを覚えたのは、得点差が開きかけた後半の途中、相手ゴール前で反則を獲得した際に、ペナルティキックで3点を確保するという選択をせず、トライを奪うためにアタックを選択したことです。
1トライを奪うことを最低限の試合目標としていたのでしょうか、その思いが最後に達成された際には、受験直前の星陵祭にも通じる日比谷流の集中力を感じました。


さて、いかがでしたでしょうか。
結局のところ、スポーツも受験も、試合終了の最後まで集中力やモチベーションを切らさずに繋げることが大切です。
ただ部活の試合と決定的に異なるのは、受験の場合は絶対に試合に勝つ必要があるということです。健闘しただけでは意味がない。

このため、都立入試本番まで諦めずに立ち向かうこと、そして併願校や抑え校合格という得点を確実に重ねること。そして合格状況に応じて冷静に戦略を変えること。それが第一志望合格という、大切な試合に勝つための秘訣の一つではないかと思います。
受験本番ノーサイドまであと少し、君の頑張りをささやかに応援しています。 

ではまた次回。

2011年 日比谷 vs 早稲田実業(前半)


2011年 日比谷 vs 早稲田実業(後半)


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