日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

世界遺産 潜伏キリシタン旧五輪教会と青と白の水ノ浦教会

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旧五輪教会の尖塔窓より海を臨む

 世界遺産登録が叶った五島の教会群。

最後に五島を訪れたのは、前回「長崎の教会群」として世界遺産登録を目論んでいた2016年当時。後は寝て待つだけというような段階のはずでした。

しかし東京へ帰ってしばらくすると、世界遺産登録推薦取り下げのニュース。登録を心待ちにしていた、訪問先で親切にしてくれた地元の方々が気の毒な気がしました。

あれから2年程が経ち、内容は変わりながらも漸く登録が実現したことに、私自身も何だかホッとした気持ちです。

今回は、これから教会群を訪れようと考えている方のための参考情報として、自ら撮影したオリジナルの写真に基づき、心に残る建築を紹介したいと思います。

2019年度の入試でも、隠れキリシタンの歴史が取り上げられるかもしれません。

 

歴史を重ね静かに佇む旧五輪教会

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海から臨む旧五輪教会/撮影:mommapapa

 世界遺産登録の表の顔として登場する華やかな大浦天主堂とは対照的に、小さく、そして静かに、しかし歴史の重みを積み重ねながら人知れず佇むのが旧五輪教会。

久賀島の海岸線に位置するこの小さな教会は、観光客が大挙して訪れるべき場所とは異なる祈りの世界。

今 時の流れに

この手をひたせば

泡のように浮かび来る

それは悲しみたち

泣かさない

もう二度と

くりかえすこともない

大空にとばしてあげよう

優しい想い出たちと

鳥になれ おおらかな

つばさをひろげて

雲になれ 旅人のように

自由になれ

  
作詞: 五輪真弓


五輪教会の歴史は、ゴリンの歴史であり、イツワの歴史でもあるのです。そして、歌手五輪真弓のルーツでもある。

彼女の父親はこの教会で、オルガンやバイオリンを弾いていたのだそうです。何故この地域が五輪(ゴリン)と呼ばれるのか、五輪が意味するものは何なのか、歴史的、文化人類学的な興味は尽きません。

世界遺産登録を機に、長い間歴史の陰に隠れた人々の想いが、オルガンの美しい調べとともに鳥となって未来に羽ばたくことを願ってやみません。


私が訪れた時には観光客の姿はなく、窓も自分で開けるような閑散とした時期でしたが、逆に真っ暗な教会から望む海の青さは、遥か昔の人々が息を潜めて感じた希望の光に近いものだったのかもしれません。

 

インスタ映えする水ノ浦教会

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青と白のコントラストが美しい水ノ浦教会

 旧五輪教会のモノトーンに満たされた時の流れとは対照的に、色鮮やかで洗練されたプロポーションを見せるのは、真っ白な水ノ浦教会。

確かに潜伏の陰の歴史の中にある建物でありながら、今では見る者が海の青さと建物の白さのコントラストの美しさを意識する色彩美に満ちた教会です。

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インスタ映えする白亜の水ノ浦教会

海を見下ろす高台に立つこの教会も、観光施設とは異なる祈りの場。

今後観光客が押し寄せる風景は、本来はこの場所に似つかわしいものではありません。ただその美しさから、若い女性に人気のスポットとなる可能性も否定できません。

水ノ浦教会は先の旧五輪教会とは異なり、空港と同じ福江島内にありますから、タクシーやレンタカーで他の教会群と合わせて気軽に教会巡りが可能なロケーションにあるのも人気が出そうな要因です。

ただし教会には、大型バスが連なるような道も場所もありませんから、まだしばらくは平穏な日々が続くかもしれません。

関連教会群が世界遺産に登録されたことで、各教会の神父や世話人の方々も一般観光客の増加は予測しているのだと思いますが、水ノ浦教会を含めた多くの施設が現在も純粋な祈りの施設であることを念頭に、訪れる際には信仰と地元の方々に対して配慮と節度ある行動を心掛けたいと思います。

 

旧五輪教会と水ノ浦教会の共通点

 モノトーンの旧五輪教会と色鮮やかな水ノ浦教会。

この対照的な雰囲気を持つ二つの建物も、建築的視点から見れば明確な共通点が存在します。それは、

  • ゴシック建築であること
  • 木造建築であること

教会の外観を特徴付ける頭の尖ったアーチ窓を見れば、どちらもゴシック様式を持つ教会だと気づくのは難しくありません。

そして例えば、日本家屋サイズの小さな旧五輪教会も、一歩中に足を踏み入れば、明らかなゴシック様式の言語に囲まれた空間が訪れます。

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旧五輪教会内部礼拝堂/撮影:mommapapa

外観から判別可能な窓形状に見られた尖塔アーチが、祭壇に続く中央の身廊とその両脇に控える側廊を仕切る意匠として随所に散りばめられています。

そして天井を覆う湾曲した木材の付梁は、ヨーロッパの大聖堂を思わせるリヴ・ヴォールトそのものです。

空間の中心をなす中央礼拝所の脇を固める側廊は、水ノ浦教会の正面を見れば明らかなように、建物中央の高い天井を持ったメインホールを左右から支えるフライング・バットレス(飛び梁)の役割を担っていることが理解出来るでしょう。

旧五輪教会では、この側廊から最頂部を走る棟に向かって真っすぐに垂木が伸びることで、段差のない一つの屋根の下に構造がきれいに収まっています。

 

国内22件目となる新しい世界遺産に、この夏歴史のフィールドワークを兼ねて訪れるのもよいかもしれません。日頃はあまり乗る機会のないプロペラ機での離島への旅も、またよい想い出となることでしょう。

日比父ブログは2周年を迎えました。
未来を担うすべての子供たちが、家庭環境や時代の暴力の下に身を潜めることなく活き活きと輝くことができる世界への願いをこめて、引き続き言葉を紡ぎたいと思います。

ではまた次回。

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五島教会マップ/出典:五島市公式サイト まるごとう

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