大胆予想!2019日比谷入試実況中継

 受験生が入試本番直前期に最も気になるのは、何点取れば合格するのか、ということではないでしょうか。

今年度は最終応募倍率が、昨年比男子で1ポイント、女子では1.5ポイント上がりましたから、女子を中心に、合格への不安を抱いている方も多いのではないかと思います。

そこで今回は、過去の入試実績に基づき、平成最後の入試となる2019年度入試の状況について考えてみたいと思います。

もちろんここでお知らせする情報は、あくまで一つの参考値でしかありませんが、本番直前期の不安を多少なりとも解消する意味を込めてお届けしたいと思います。

 

実質受験倍率は男女とも概ね1.8倍

 今年度日比谷高校の最終応募倍率は、男子では平年並みの2.47倍、女子ではここ3年間で最も高い2.14倍となりました。

これは都立西高校の男子1.73倍、女子1.56倍、国立高校の男子1.70倍、女子1.62倍と比較すると、突出した状況です。

内申点や学校の指導に基づき、予め受験者数を調整する都立高校入試にあって、倍率2倍を超えると、心理的プレッシャーは相当大きいのではないでしょうか。

だからといって、直ちに不安に陥る必要はありません。

なぜならば、実際の受験者数と合格者数から算出される、『実質受験倍率』を把握すれば、実体以上に倍率が大きく見える錯覚を取り除き、姿なきライバルの影に徒に怯える必要はなくなるからです。

そのために、まずは過去の実質倍率を参照し、実際の入試状況を確認します。今年特に不安に感じる受験生が多いであろう、女子の状況から見てみましょう。

日比谷【女子】受験倍率推移

 日比谷女子については過去7年間、概ね安定した倍率を保っています。

日比谷女子実質倍率7年推移

日比谷女子実質倍率7年推移

実質倍率は、平成26年度を除き、入試改革前の平成27年までは概ね1.8倍、改革後の平成28年度以降は1.7倍程度で安定しています。

日比谷女子の特徴は、男子と比較して応募倍率と実質倍率の差が大きく開かない、ということが言えると思います。女子は日比谷を第一志望とする受験生が多いということになります。

特に、直近3年間は応募倍率と実質倍率の差が縮まっている状況が確認できますから、テレビや週刊誌等で21世紀型授業を積極的に推進する共学校の様子が発信される昨今の状況を考えると、本年度も応募倍率からは大きく下がらないことが考えられます。

このため、本年度の実質倍率は、低い場合で1.8倍、高い場合は1.9倍程度に落ち着くのではないでしょうか。

日比谷【男子】受験倍率推移

 では次に、男子の状況を確認します。男子の場合は平成28年度の入試改革を境に、状況が大きく異なります。

日比谷男子実質倍率7年推移

日比谷男子実質倍率7年推移

応募倍率は女子以上に安定していますが、実技4教科内申点が強化された平成28年度以降、実質受験倍率は顕著に下がっています。

これは、女子生徒ほど内申点獲得が得意ではない男子受験生の特質ですので、今年も同様の水準を維持することが予測されます。すなわち、平成29年度入試に近い1.8倍程度となるのではないでしょうか。

日比谷高校の場合、最終応募倍率は過去7年間常に男子の方が高い状況にありますが、実質受験倍率で見ると、入試改革以降はむしろ女子の方が高い状況があります。今年度も女子の倍率がやや高く、どちらも2倍を超えない程度で推移するといえそうです。

つまり、平均内申点を確保している生徒であれば、入試本番で受験者平均点を獲得すれば、十分合格圏に到達するということになります。

 

入試本番での必要得点目安

 次に、受験生が最も知りたい情報であると考えられる、試験当日の必要得点について考えたいと思います。

その検討の際に必要となるのが、想定合格ボーダーラインですが、過去の記事で記載した通り、自校作成問題入試の平成31年現在では、日比谷の場合男女共に780点を目安にするのがよいと個人的には考えています。

もちろん、入試当日の問題の難易度や受験者母集団により、毎年合格点は変動しますから、実際の合格点は結果が出るまで誰にも分りません。逆にだからこそ、合格点の事前予測にこだわっても仕方がないこともまた事実です。

ここでは本番直前の受験生が、試験でどの程度の得点を確保する必要があるのか、目標点を把握することが目的ですので、まずは男女共780点を合格想定点として必要な得点を考えます。

では見てみましょう。

合格想定780点の場合の入試必要得点

合格想定780点の場合の入試必要得点

この一覧は、縦軸に実技4教科、横軸に主要5教科の合計内申点を並べたものです。

タテヨコの交わった数値が、780点を合格点と想定した場合に、試験当日に獲得すべき5教科500点満点中の得点になります。

例えば、5教科内申24、4教科内申16の、内申40点の受験生であれば、試験当日373点を獲得すれば、内申と試験の合計が780点に到達することを示しています。

具体的には以下の計算となります。

内申点得点:

(24+16x2)x300/65=258.46

小数点以下は切り捨てルールですから、内申点は258点となります。

つまり、試験での必要得点は780-258=522点

522点は700満点換算の得点ですから、500点満点では

522x500/700=372.8

つまり、780点獲得のためには、試験当日383点が必要となります。

一覧中の青色と桜色の線は、それぞれ男子と女子の受験者平均内申点の目安を、薄黄色のセルは試験400点以上の獲得が必要な内申点を、濃い黄色のマスは425点以上の獲得が必要な内申点の範囲を示しています。

女子の場合は平均内申点が男子より高い半面、当日の試験平均は低く、男子は逆に内申は低い反面試験の平均点は高いことから、どちらも最終的には780点程度の合格ボーダーに落ち着くことになります。

 

理科社会180点の場合 

 自校作成問題が復活した、平成30年度入試の受験者平均点は以下の通りとなります。

平成30年度日比谷高校受験者平均点

平成30年度日比谷高校受験者平均点

平成30年度の結果からは、共通問題となる理科社会の合計は、最低でも180点は確保したい状況であることが伺えます。実際、日比谷受験生であれば皆そのように考えていることでしょうし、多くの受験生がむしろ満点を目標としていることでしょう。

そこで先ほどの必要得点一覧から、理社180点分を引いた一覧を作成しました。こうすることで、英数国3教科の目標得点が把握しやすくなります。

理社180点の場合の英数国必要得点

理社180点の場合の英数国必要得点

この一覧の数字は多くの受験生にとって、自校作成問題である英数国3教科の目標得点を表すことになるのではないかと思います。つまり、理科社会の得点が思ったほど伸びず、平均近い180点で収まった場合を予め折り込んだ、3教科の目標得点です。

薄黄色のセルは3教科平均70点となる210点以上の内申点を、濃い黄色は3教科平均80点以上の内申点範囲を示しています。

こうしてみると、平均内申点を確保した受験生の場合は、英数国の得点が6割となる180点を確実に確保することが合格への課題となりそうです。

また、内申点30台中盤の受験生は7割を確保することで不安なく合格圏に達することが確認できますし、逆に3教科8割を確保することができれば、内申点30台前半であっても、十分合格圏に逹することはできるような状況です。

一部自校作成問題時代ですのであまり参考になりませんが、日比谷生の長男が受検した平成28年度入試では、5教科8割は余裕で確保していましたので、難関私立国立受験を併願としている受験生にとっては、内申点を気にし過ぎる必要はないように思います。

 

平成31年度入試に向かう君に

 今年度は、平成最後の入試であると同時に、私にとっても日比谷生の父親として見守る最後の入試になります。

わが家の長男が入学した僅か3年前と比較しても、日比谷高校を評価する世の中の目は大きく変わったと感じます。

保護者として学校の取組に積極的に関わった者として感じることは、世間の評価だけでなく、日比谷内部の環境も、大学入試改革や日本社会の構造的な変化を先取りする形で確かに変わりつつあるという事実です。

ケンブリッジ英検の全員受講など、長男入学後に始まった新しい学びの試みや教育環境の変化が、保護者も驚くばかりの勢いを伴って現在進行形で進んでいます。

今春日比谷高校に入学する君が、これから始まる新しい時代の新しい学びの環境で経験する新しい出会いを想う時、保護者の一人としても嬉しい気持ちに包まれます。

その出会いを現実のものとするために今、試験当日に獲得すべき目標得点について、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

ではまた次回。

合格想定点を780点とする根拠

入試本番に臨む君へのメッセージ

 ライバルの偏差値を意識する必要がない理由

それでもライバルを意識したい君へ