日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

日比谷高校にコンビニとカフェテリアを

日比谷高校カフェテリア(案)

星陵祭の日比谷高校カフェテリア

 桜が満開となる3月下旬、愚息の大学入学手続きは着々と進み、東京大学の学生証を手にすると共に、駒場キャンパスでのサークル勧誘テントの洗礼、スーツの新調、塾講師の研修など、新しい生活は既に始まっています。

新しい大学生活に思いを馳せる中、3月末を年度の最終日とするならば、現役日比谷生の保護者として発信するのも、これが最後の機会になります。

そこで今回は、教職員や教育委員会、学校関係者の方々に対する無礼を承知の上で、入学以来ずっと感じていた学校改善への提言について、書き残したいと思います。

 

公立高校にカフェとコンビニを

 長男が過ごすこの3年間、日比谷高校の学校行事にはかなり積極的に参加しました。

入学式に始まり、体育大会や合唱祭、星陵祭はほとんど顔を出しましたし、授業公開なども時間の許す限り参加しました。

神宮球場での夏の高校野球予選やラグビー部の試合、合唱部やオーケストラ部の演奏会など、様々な部活動の現場にも直接足を運び、日比谷生という、ある意味時代を象徴する高校生のリアルな青春像を通じて、現代教育現場の現状と変化に触れてきました。

そんな私が日比谷の門をくぐる度に、いつも思うことがあります。

それは、現在の日比谷高校には、学級や学年の枠を超えた者同士が気軽に集まって情報交換できるようなオープンスペース、いわゆるサロンのような場所と、学生の誰もが望んでいるであろう、購買部の充実が必要ではないかということです。

前者は部活動のような特定の背景を共有するクラスターではなく、図書館や自習室のような特定の行動を前提とした場所でもない、知的な出会いや発見が日常的偶発のもとに生まれ、新たなネットワークや刺激が生まれる場所。

後者は昼食向けの販売に限らず、パンやスナックのような食品をはじめ、文具、参考書や学習関連グッズまでを常時扱う、いわゆるミニ大学生協的な学生支援の場所です。

個人的には、前者の機能が校内に存在することで、日比谷生の知的興味とレベルが一段上がり、後者が存在することで、高校生活がより充実した密度の高いものになるのではないかと感じています。

 

HIBIYA CAFE

 仮称ですがサロンたる日比谷カフェの存在は、日比谷生の知的好奇心を刺激し、学生生活をより充実したものに昇華する学校機能の一つではないかと思います。

そこでは昼食の弁当を広げたり、既知の仲間や部活動が集う場というだけでない、社会問題や学問的命題から日々の悩みまで、学年も所属も異なる学生が自然と集まり議論したり交友を広げる機会を提供する求心的な学生空間です。

すなわち、授業や生徒活動という予定調和に裏付けされた知的空間とは異なる、偶発的で開かれた知的発見機会の創出を誘発する仕掛け。

もちろん、可能であればスタバのような商業施設が入れば理想ですが、採算ベースに乗せるのが難しいことは容易に想像がつきますので、できれば高速道路のサービスエリアに並ぶような、飲料や食品を扱う自販機の充実があればベター、それも難しければ場所の提供だけでも望まれます。

学生多目的空間の設置場所については、星陵祭で休憩コーナーとして利用される、大階段前のスペースが、やはり日比谷カフェとしては最適でしょう。

星陵祭よりももっと多くの椅子と小型テーブルを常設し、様々な集いの場として生徒に開放することができれば、学校生活が一段豊かになるのではないかと想像します。

この空間は本来であれば、上記のようなサロン的利用のされ方が初めから想定されているのだと思うのですが、日ごろ有閑スペースとして無為に放置されているように見えるのは、もしかするとアイディアの欠如というよりは、何らかの問題を学校側が想定した結果であるのかもしれません。

いずれにしても、学校はそのような生徒主導の多目的空間を日常的に提供することで、学業面での充実が著しい日比谷生の努力に対する信頼と更なる成長への期待を示すことができるのではないかと思います。それは日比谷高校という学びの空間が、更に一皮むけるために現在求められる機能でもあると思うのです。

生徒のための自由空間からどのような状況が生じるのか、21世紀型の学びを体現する一つの方法論として、全国の公立高校への波及も見据えた生徒のための多目的空間の設置検証に取り組んでみるよのもよいのではないでしょうか。

 

校内販売の現状と充実

 おそらく日比谷高校に入学した生徒と保護者の方が、あればよいと強く感じる施設の一つが、コンビニ的な常設の購買部ではないかと思います。

学習ソフト面では進歩的で充実した機能を提供する日比谷高校も、全国大部分の公立高校の御多分に漏れず、学食や購買部といった生活ハード面では、私立と比較して極端に脆弱な現実があります。

もっとも私立の場合は施設設備費が徴収されるため、サービスの受益者である生徒や保護者が生活施設の充実を期待するのはある意味当然であるのかもしれません。

これに対し、税金で運営されている公立学校の場合は、施設費が無償であるが故に、逆に学習施設以外の生活支援施設の拡充が難しい現実があるのでしょう。

9月の星陵祭を訪れた際に、日比谷の購買部で昼食や飲み物を購入する方も多いと思います。決して大きくはない星陵祭の臨時購買部ですが、日常的な購買部は、昼食時間帯のみに開かれる、パンなどの食品を提供する程度のずっと小規模な販売機能です。

日比谷星陵祭の購買部

日比谷星陵祭の購買部

もちろん、日々販売を引き受けてくださる業者の方には、保護者の一人として感謝の気持ちで一杯です。十分な利益が期待されるものではないでしょうから、どちらかというと善意に基づき、おそらくは学校側も頭を下げて来てもらっているものと思います。

そういう状況だとは認識した上で、それでもやはり購買部の充実は、生徒と保護者双方の悲願の一つではないかと思います。これは日比谷に限らず、多くの公立高校に共通する願いであるようにも思います。

一般的に公立高校で学食や購買部が脆弱な理由としては、先の通り税金の積極的な投入が難しいことと、反対に民間ビジネスとして見た場合には、学校関係者のみを顧客とするテナントからの売上期待値が採算ベースに乗りにくく、かつ売り上げの拡大機会に乏しいために引き受け業者がいないということだと思います。

経済合理性からみて仕方のない状況だとは思いますが、しかしその点は、考え方を少し変えてアプローチしてみることで、民間事業者にとっても新たな市場を獲得するビジネスチャンスとして捉え直すことができるのではないかと思うのです。

 

高校無人販売ソリューション事業

 文部科学省の統計によると、平成29年現在、全国に公立高校は3,571校、生徒総数は2,224,821人在籍しています。個人的推測ですが、今どきの公立高校の多くには常設の学食や購買部の機能は存在していないのではないかと思います。

要するに、少なく見積もっても全国3,500か所の公立高校で、200万人規模の潜在的かつ独占的な消費者が、いつか誰かが常設の購買部を開設する日を、ほとんど諦めたに似た気持ちのまま心の中で願っているといえるでしょう。

常設の校内販売が維持できない最大の要因は、主に人件費が賄えないことだと思いますが、今では店員不在のAI店舗が世界中で普及しつつありますから、その点のハードルは越えられる可能性があるように思います。

日本でも様々な企業が無人店舗の検証を始めている状況がありますが、問題は有効な実地検証をどこで行うのかということだと思います。

その点、素性が明らかで信頼性の高い潜在顧客を抱える日比谷高校で、民間企業に無人店舗事業を検証していただき、ノウハウを携えて全国の学校に展開するということは、企業にとっても学校関係者にとっても、生徒や保護者にとっても、現状の課題を解決するソリューション事業として、相互利益の大きい夢のある話ではないでしょうか。

そして日比谷の店舗から企業が得るものは、売上げだけではありません。

例えば、「日比谷高校で一番売れている数学の参考書」だとか、「日比谷で一番人気のノート」といった情報は、市場規模の大きい公立高校生に対する訴求効果が高いからこそ、企業にとっては価値の高い基礎データになるのではないでしょうか。

個人を特定しない程度の属性を持たせた専用カードと無人店舗を組み合わせることで、採算的なハードルをクリアしながら事業として継続可能な方法論を検証する。

かつて公団主導の高速道路のサービスエリアが、いかにも役所然とした物品販売所のような魅力も採算性も低い場所から、民間企業の参入を促すことで、わざわざサービスエリアを訪問目的地として車で高速に乗り入れる程の人気スポットに変貌を遂げたように、学校内の物品販売事業もまた、情報の流通を加味することで、利用者である生徒や教職員にとっても企業にとっても、魅力的な事業とすることができるのではないかと楽観的に想像しています。

 

学校生活支援プラットフォーム

 そのような学校内の購買サービスを提供する企業としては、先ずコンビニ業界が思い浮かびますが、個人的にはベネッセのような教育関連サービス事業者が、学校支援の一環であるプラットフォーム事業として展開するのも面白いかなと思います。

前者の場合は店舗と仕入れ管理を伴う一般小売業の無人販売事業として、後者の場合は事業者が無人店舗の機能提供を行い、自社商品の販売を希望する企業に陳列スペースをテナントとして供給するサービス業として展開する。

企業にはできれば校内カフェと一体運営していただくと、保護者としてはうれしく思います。

HIBIYA屋外カフェ&コンビニ候補地

HIBIYA屋外カフェ&コンビニ候補地

個人的には、先の校舎内の候補地以外にも、かつて生徒が集う活動拠点であった講堂跡地、現在の体育館前の空き地辺りに、カフェでありコンビニであるような実験的な施設があれば面白いと感じます。

いずれにしても、日比谷高校で無人店舗事業としての可能性を検証した暁には、先ずは進学重点校のような内申属性の高い都立高校に仕組みを導入すると同時に、購買部の充実を求める全国の有力公立高校に水平展開する。

その無人店舗が集める販売情報は、現代高校生の等身大の姿が反映されているはず。

私立学校と異なり、自前での生活支援施設の充実が困難な公立高校であるからこそ求められる、またそれだからこそ今まで手つかずで放置されたままの、全国3,500か所、200万人以上の独占的で属性の知れた顧客が対象となる手つかずの青い海。

対応機会があるのなら、私自身がやってみたいと思う面白味と社会貢献性の高いこの事業を、実現してみる者はいないかと、一人の保護者であり企業人として常々心に留めるのでした。

そしてその当事者としての想いは、本日で本当に最後となります。

今春、星が丘で新たな高校生活をスタートする君の、学校生活が充実したものとなることを、保護者OBの一人として願ってやみません。

ではまた次回。

 

日本の学校に木の学び舎を

 日比谷高校周辺の桜見学

半世紀前の日比谷高校生活と学生像 

日比谷高校最後の行事