駒場の春 ~学校周辺桜歩き

2020年3月21日更新:

 新型コロナの影響で、入学式や新歓イベントも自粛が続く2020年度の春ですが、それでも桜の季節は訪れます。

桜が開けば、世の中も子供たちの心も少しは明るい気分になることを願い、昨年の春に歩いて回った、駒場キャンパス周辺の桜の見所をお届けします。

東大駒場キャンパス正門の桜

東大駒場キャンパス正門の桜

 桜の季節になると心がそわそわするのが例年の常ですが、今年は長男が大学に入学するため、新しい環境でどのような桜が見られるのか楽しみにしていました。

駒場周辺は目黒区と世田谷区が接する良好な住宅地であると同時に、大学から中高一貫校まで多くの学校が集まる文教地区でもあります。

桜満開の週末に、駒場周辺の学校環境と桜事情について確認しながら歩いてきましたので、今回は今後の学校選びの参考情報としてお知らせします。

尚、本文章で登場する学校は以下の通りです。

  • 東京大学駒場キャンパス
  • 駒場東邦中学高校
  • 筑波大附属駒場中学高校
  • 都立国際高校
  • 都立駒場高校
  • 駒場保育園
  • 大学入試センター

駒場周辺学校地図

駒場周辺学校地図

 

東大駒場キャンパスの桜事情

 多くの学生が利用する京王井の頭線の駒場東大前駅ですが、その名の通り駅の正面に位置するのが東京大学駒場キャンパスです。文Ⅰから理Ⅲまで、教養課程のすべての学生が2年間を過ごす場所です。

駅舎の階段を下りるとすぐに情報教育棟に面した見事な一本桜のお出迎えがあります。

駒場東大駅前の桜

駒場東大駅前情報教育棟の桜

駅から駒場キャンパスまではわずか50mほどの距離。駅正面に直結した正門の桜を右奥に見ながら、1号館と名付けられた時計台の左方向にあるテニスコートへと進みます。

駒場テニスコートの桜

駒場テニスコートの桜並木

テニスコートを見下ろす側道には、左右から枝が伸びる桜のアーケードが、運動場を訪れる者を奥へと誘います。

駒場野球場とラグビー場の桜並木

駒場野球場とラグビー場の桜並木

テニスコートをさらに奥に進むと、野球場とラグビー場脇の小道を覆うように、堂々とした枝ぶりの桜並木が待ち受けます。

この日は偶然にも、ラグビー場で東大vs東工大ラグビー部の交流戦が行われていましたので、桜吹雪の舞う穏やかな陽気に包まれながら、天然の観覧席である土手の上からノーサイドの笛が鳴るまで図らずも観戦してしまいました。

ラグビー場の緑と桜色のコントラストが美しいグランドです。

駒場ラグビー場の桜

駒場ラグビー場から見る桜並木

 

駒場東邦中学高校の桜

 東大を後にして次に向かったのが駒場東邦のキャンパスです。

個人的にはちょうど30年ほど前、まだ怪しげな駅前市場が活況だったころの下北沢に下宿していましたので、渋谷まで自転車で移動することが度々ありましたが、駒場近辺に密集する学校群を意識したことはありませんでした。

駒場東大前周辺にこれほどたくさんの学校が集中していることも、今回歩いて初めて気づいたことです。

駒場東邦中学高校正門の桜

駒場東邦中学高校正門の桜

駒東のキャンパスは、警視庁第三機動隊に面した表通りから入る袋小路に位置するため、意識して訪れなければ学校の存在に気づかない場所に正門があります。

正門脇に美しい桜が連なっていますが、写真の通りちょうど学校の敷地正面を横切るように電線が伸びており、美観を損ねているのがもったいない。

学校ホームページの公開写真には電線は映っていませんので、おそらくは修正画像だと思いますが、気にしているのであれば学校側も、行政と相談して地中埋設にした方がよいのではないかと感じます。

ところで、駒場東邦は初代校長に当時の日比谷校長を迎えて創立しているため、ルーム制など日比谷高校と共通する文化が散見されるようです。お互い意識することはないものの、ある意味で隠れた兄弟校といえるのかもしれません。

駒東は近年、中学入試での人気が微妙に揺れ動いているようですので、令和の時代を迎えどのような学校評価に落ち着くのか注目されます。

 

筑波大附属駒場中学高校の桜

 正門の位置は異なりますが、駒場東邦と敷地を隣接するのが筑駒のキャンパスです。

ここは農業教育専門学校の名残か、敷地前面道路から見た校内には、温室や畑のような施設が確認来ますが、残念ながら表通りに桜の木はほとんど見られません。

筑波大附属駒場中学高校正門

筑波大附属駒場中学高校正門

筑駒は一時期、文部科学省の有識者会議で指摘のあった、国立附属校進学校化解体のシンボルとして大きく取り上げられましたが、いつの間にか耳にしなくなりました。

筑駒は大学入試センターと目と鼻の先にある国立附属校という立地から、本来は新テストの試行実験などを行う学校であるべきなのかもしれませんが、現状では学力水準が一般から乖離しており、むしろ検証の参考値とはなりにくい学校だといえるでしょう。

 

大学入試センターの桜

 2020年からの大学共通テストが話題となる大学入試ですが、センター試験や共通テストを作成する大学入試センターも、駒場文教地区の一角にあります。

大学入試センターの桜

大学入試センターの桜

大学入試センターの桜は、正門から都立国際高校に向かう駒場通り沿いに見事な桜並木を形成しており、歩行者を飽きさせない贅沢な咲きっぷりとなって連なっています。

普段はめったに訪れることのない施設ですが、国立大学を目指す受験生であれば、必ずお世話になる教育施設です。

2019年度センター試験の話題をさらったリスニングの野菜キャラも、ここから生まれました。

 

都立国際高校の桜

 都立国際高校が駒場にある学校だということを今回改めて知りました。

閑静な住宅地の中、大学入試センターと駒場野公園に隣接する素晴らしい立地の学校です。帰国子女の枠にとどまらず、都立高校の中でも人気が高いのも頷けます。

都立国際高校正門の桜

都立国際高校正門の桜

大学入試センターから続く駒場通りの通用門側にはほとんど桜は確認できませんが、井の頭線側の正面玄関には桜の大木が並んでおり散策する者の目を楽しませています。

東京都教育委員会は、白金高輪駅近くに新しい国際高校を設立することを公表していますが、駒場にしても白金台にしても、いずれも東京を代表する住宅地。

都立学校は大地主だからでしょうか、日比谷にしてもそうですが、地域の一等地に位置することが多くあります。

 

都立駒場高校の桜

 国際高校と同じく駒場に位置する都立高校が、進学指導特別推進校の駒場高校です。

都立駒場高校の桜

都立駒場高校の桜

都立駒場も初めて訪れましたが、ずいぶん施設が大きく立派な印象を受けました。

ここは先の国際高校をはじめ、小山台、新宿、町田、国分寺、国際、小松川といった7校と共に、都教育委員会から「進学指導特別推進校」に指定されていますが、特に保健体育科の設置がある運動が盛んな学校として認識されています。

いつか進学指導特別推進校の中からも、日比谷と同じ進学指導重点校に昇格する学校が出てくるのでしょうか。

 

駒場保育園の桜

 ちょっと番外編となりますが、同じ駒場エリア内に位置する駒場保育園の桜が見事なので最後に紹介しておきます。

区立駒場保育園の桜

区立駒場保育園の桜

春一番のような強い風の存在を想起させる勢いのある枝ぶりで、いかにも見る者に何かを語り掛けてきそうな園のシンボルツリーです。

この桜の木は、過去から未来へと、駒場周辺の子供たちの成長を長い間見守って来たに違いありません。

目黒区駒場地区は、東の世田谷区北沢と西の渋谷区松濤に挟まれた、都内有数の住宅地であり文教地域の一つでもあり、駅の北に位置する東大を中心に、様々な学校の学生が行き交う学校ヒエラルキーの交錯するエリアでもあるのだと思います。

今回は、桜と学校をテーマに駒場の街を散策してみました。

そして改めて、学校は偏差値だけではなく、立地や周辺環境を最大限考慮して選ぶべきものだという思いを確認した次第です。

第一志望だけでなく、入学する可能性の低い併願校であっても、必ず一度は現地を訪れて、自分の五感で学校評価を行うのが、後悔しない学校選びの基本なのだと感じます。

ではまた次回。

 

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