読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

求む! 日比谷高校教員募集

高校教諭 学校群影響

 お盆を迎えた今日、みなさん実家や旅先でゆっくりお過ごしでしょうか。あるいは、目標達成に向けて、夏季講習や合宿に参加して忙しい毎日を送っているでしょうか。それとも、中学生活最後の部活の夏大会に集中しているでしょうか。

 さて今回は、視点を変えて日比谷高校教師についてお話してみたいと思います。
都立トップ高校や進学指導重点校の教員ってどのようなイメージでしょう?そして、どうやって日比谷高校への教師の赴任が決定されるのでしょうか?

 

進学指導重点校の教員公募制度

 実は進学指導重点校では、平成14年度から教員の公募を行っているんですね。
都立トップ校の改革は、やる気のある教員の採用と密接に結びついているわけです。
確かに日比谷高校の公開授業を見に行くと、特に理科社会などは、自分の高校時代の授業とは全く異なる質の高さに嫉妬します。内容はよく分からないのに、聞いていて面白い。話に厚みがあるし、この先生、自分の担当教科が本当に好きなんだろうなと、よく伝わってきます。素直に羨ましいです。

教師の方でも、望んで就いた日比谷高校の教諭の座ですから、当然モチベーションは高いでしょう。特に現職員としては、自分たちが都立の復権を成し遂げたという意識もあでしょうし、それに呼応するかのように周囲の評価も目に見えて上がるわけですから、一般異動で配置が決まる公立高校の教職員や一般公務員と比較すると、学校内外の評価やフィードバックを直接得やすい環境でもあり、就労形態は公務員ですが、どちらかというと民間企業的な、ある意味私立高校や予備校教師的な立場に近いのかもしれません。公務員なので賃金的な対価はないでしょうが、労働対価としては民間の成果要素も得られるという、安定志向の公務員の中では、ある意味羨ましい労働形態ですね。
やる気と実力のある教師にとってはやりがいがあるでしょう。

個人的な事情をお話しすると、私が海外業務に就いたのは、組織内で自ら手を挙げた結果でした。それはプレッシャーも大きいですが、充実感も全然違います。
そして、海外の日本人学校の教職員も、海外青年協力隊のようにやはり公募制なんですね。赴任地によって全然違うでしょうが、タフな海外での生活ですから、やはり志願という手続きが必要なのでしょう。
東京都の一般職員も、こうした公募制度を活用することが、都職員のやる気と力を引き出す健全な改革の一つではないでしょうか。ヒントは身近にあるものです。

 

大学受験生必携! 試験に出る英単語

 学校群制度が導入されるまでの日比谷高校には、名物教師と呼ばれる方も多数いらっしゃったようです。
例えば、現役高校生の親世代は一度は手に取ったことがある本だと思いますが、大学受験英語で一世を風靡した英単語集のバイブル、青春出版社の「試験に出る英単語」の著者、森一郎は、日比谷高校の現役英語教師時代にコツコツとこの画期的な本をまとめました。森教諭は1955年から13年間日比谷高校の教壇に立ちました。そして最後の1967年にこの本を世に送り出します。1967年は奇しくも学校群制度が導入された年、残念ながら本人はこれを機に日比谷を去るのです。

今では当たり前すぎる頻出順の単語集ですが、それまではABC順が当然の文化の中で、過去の膨大な入試問題を頻出順に、しかも大学受験に必須の1万語の中から大胆に割り切って1,200語程度だけを抽出して並べるという、当時としては、というより学習参考書の歴史として相当画期的な出来事です。割り切りのおかげで持ちやすく、重さや大きさが気にならないのも、見えない心配りでしょう。電車やバスの中など、ちょっとしたすきま時間の学習に向いているのは今も同じですね。

 我々親世代の大学受験当時を想い出してみると、確かにこの「でる単(シケ単)」はどの本屋にも平積みしてありましたが、ちょうどコンピューターが社会に浸透し始めた時代、「英単語ターゲット」といった、最新デバイスを駆使して抽出度の高さを謳った単語帳も多数登場し、単語集を選ぶのが悩ましい時代の幕開けだったように思います。ただ、企画の原点となる発想や図書サイズなど基本的な部分は、この単語集が形成したオリジナルをどの書籍も踏襲したま現代まで続いているわけです。この本は、累計1,500万部以上売れていて、なんと今でもまだアマゾンでも販売されており、レビューにも直近の日付が並んでいるなど驚かされます。

 

都立トップ校の教壇への誘い

 そして平成28年8月現在、この都立重点校の教員公募のお知らせが、進学指導重点校等のHP上で公示されています
日比谷高校、西高校、国立高校の他全体で25校が対象となっています。
今回は、東京都教育委員会の策定する、本年度から平成30年までの三か年計画である、都立高校改革推進計画「新実施計画」が反映されたものと思います。以下に要旨を抜粋すると、「公募制人事の改善」という部分に公募に関する記載があります。

  都立高校改革推進計画・新実施計画(平成28年2月)
    第2部 都立高校改革推進計画・新実施計画
     目標Ⅲ 質の高い教育を支えるための環境整備
      2 教員の資質・能力の向上
       (3)人事交流の促進
         ア 公募制人事の改善

『これまで行ってきた、中高一貫教育校、エンカレッジスクール、チャレンジスクール等の公募制人事を引き続き実施するとともに、進学指導重点校等については、「進学指導重点校進学指導特別推進校・進学指導推進校 担当教員公募」を実施することで、人事配置をより統一的に行い、各校のレベルアップを図っていきます。』

 最近の都立高校の改革方向性としては、より広い底上げを図りたいという趣旨が見え隠れするような気がします。世間で一定の評価を受けている都立重点校改革の裾野を広げていきたいという事でしょうか。重点校以外に通う保護者の要求や期待も大きいのでしょう。底上げのつもりが、逆に均一に向かうようなことはないようにしていただきたいですし、注意して見守りたいと思います。


 さて、上記の計画によって、今回募集がかかる高校は以下の通りです。

1)日比谷高校  2)戸山高校  3)西高校  4) 八王子東高校  5)青山高校

6)立川高校  7)国立高校

8)小山台高校  9)駒場高校  10)新宿高校 11)国際高校  12)町田高校

13)国分寺高校

14)三田高校  15)豊多摩高校  16)竹早高校  17)北園高校  18)墨田川高校

19)城東高校  20)小松川高校  21)江戸川高校  22)日野台高校

23)武蔵野北高校  24)小金井北高校  25)調布北高校


募集対象としては、以下の教諭となります。

国語・世界史・日本史・地理・倫理・政治経済・数学・物理・化学・生物・地学・英語

   応募期間: 平成28年8月30日(火)~9月6日(火)必着

公募の趣旨としては、

進学指導に意欲と実績のある教員及びそれらに加え、高い語学力を有する教員を公募します。」だそうです。


公募の選定方法は分かりませんが、東京都教育委員会が進学指導重点校の改革成果をまとめた公開資料を見ると、数年前の公募制度を評価した記述があります。 

  進学指導重点校等における進学対策の取組について(平成23年1月)
    
第4 都教育委員会による支援策
     (3) 人材育成・資質向上支援
       ア 校長の人事構想を重視した人事異動(公募制人事)

教科指導力の高い教員によって、生徒一人一人の学力の向上を図り、生徒や保護者が期待する進学希望を実現させるとともに、組織的で計画的な進学指導を推進するために、進学指導重点校では平成14年度から、進学指導特別推進校においては平成20年度から、進学指導に意欲と実績のある教員を公募により配置している。公募しているのは、国語、地理歴史、公民、数学、理科、英語を担当している者であり、書類選考の上、面接を実施し、専門的知識、能力、意欲などを勘案して任用先を決定している。 
 今後も、高い指導力と旺盛な意欲を備えた教員が進学指導重点校等で活躍できるよう人材の発掘も含めて取り組むことが必要である。」

ということですので、選考方法が変わっていなければ、各校長の意向に基づいた採用と配置がなされるものと思われます。この方法であれば、それぞれの高校のカラーが反映される制度であると評価できるでしょう。応募用紙を見ると、進学指導重点校・進学指導特別推進校・進学指導推進校のいずれに応募するか、希望は出せるようなので、本人や各校長の意図しない機械的なマッチングではなさそうです。

 

 教員応募に課される課題とは?

 進学指導重点校の教諭に応募するためには、勤続年数など簡単な基本条件がいくつかありますが、進学指導に対する取組みについて記載する、いわば入試でいう小論文的な設問が面白いです。いっしょに見てみましょう。 


進学指導への対応

1 最近の大学入学試験問題をどのように研究し、分析してきたか具体的に書きなさい(A4判片面1枚以内)。

2 進学指導重点校等に配属された場合の授業について、学習指導案(50分授業)を作成し添付しなさい(形式自由、添付資料を含めA4判片面3枚以内)。

 

1を見ると、まさに森一郎教諭の発掘のようです。
私立進学校や予備校の先生方もうかうかしていられませんね。公務員である都立の先生の中にも、こういう分析が好きで独自に研究している方がいるんでしょうね。東京出版の「大学への数学」のようなイメージなのでしょうか。都立トップ校の改革を揶揄して予備校化と言う方がありますが、公務員が仕事の傍ら、例えば東大の数学の問題をコツコツ分析している姿は、むしろ学問的興味の探求に近いのではないでしょうか。そういう地道な努力に陽の目が当たるのは良いことですね。

個人的には、2により期待しています。
都立高校の教諭の中にも、努力を重ねて積み上げた知的好奇心を満たす素晴らしい授業というのはたくさんあるでしょう。そんな先生方の努力やノウハウが、耳目が集まる都立トップ校等に登用されて注目が集まり、都立全体に還元されるということがあれば、教師本人も、生徒にとっても、教育委員会や保護者にとっても、もちろん社会にとってもよいではありませんか。

 日比谷高校ではこのお盆休み中も、教師による学内の夏期講習が毎日開講されています。7月25日~8月31日までの6週間、土日以外は毎日開講です。生徒は完全に希望による任意出席ですが、担当教師はもちろん出勤ですので、やはり高いモチベーションが求められますね。

都立高校現役教諭の皆さん、これまでの経験や積み重ねたノウハウを、都立トップ校で活かしてみませんか?保護者としても、やる気と知性とウイットに富んだ教員の登壇は大歓迎です。
来春、そうした先生方が、星陵の丘に日比谷の門を叩くことを期待しています。


本日は8月15日。受験生の君もしばしペンを置き、先祖に手を合わせて生に対する感謝の気持ちを伝えてはいかがでしょうか。

ではまた次回。