日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

世界一受けたい授業~日比谷高校の授業を体験しよう!

2017年12月9日更新:f:id:mommapapa:20170920232808j:plain
昭和21年天覧授業/出典:日比谷高校百年史

 1967年の学校群制度以来半世紀の沈黙を破り、再び世間の耳目を集める日比谷高校。
小・中学校時代を受験勉強とは縁のない生活を送った生徒も多い中、中高一貫校に伍する進学実績を叩き出す秘密に迫るべく、日比谷高校の授業体験についてお話します。 

平成29年度 日比谷高校の公開授業

 実は毎年10月の上旬に、受験生とその保護者等が日比谷高校の実際の授業を見学できる学外向け授業公開が行われます。平成29年度の概要は以下の通りです(終了)。

(1)公開日時・学年  
 2017年10月9日(月・祝)
 時間:2~5校時
 (第5校時までが昼休み前) 
  受付開始 09:00
  第2校時 09:20~10:05
  第3校時 10:10~10:55
  第4校時 11:05~11:50
  第5校時 12:00~12:45
希望の時間に来校の上、見学
第3学年は非公開) 

(2)授業見学の資格と条件
  次のいずれかに該当し、郵便はがきによる事前申し込みをされた方に限る

  1)入学希望の中学生、その保護者・家族・後見人、及び中学校進路指導関係者
  2)本校の教育に関心を持たれ、授業見学を希望する理由を明示できる方 。

(3)申込み方法(9月22日必着)
  郵便はがきに必要事項記入の上、投函。

(4)授業見学上の注意(詳細省略)

日比谷高校の授業公開は小中学校の授業参観同様、通常授業風景を見学します。3年生の授業を除いては、自由に教室を渡り歩くことができます。
そして見学時間が3時間以上ありますので、当日の授業プログラムによりますが、その気があれば、日比谷高校の全教科の授業を垣間見ることができるのです。 

次回は2018年、例年保護者の方は毎年5月、受験生は10月となる見込みです。 

日比谷の進学実績を支える授業の秘密 

 本ブログでは繰り返しお伝えしていますが、日比谷高校や都立トップ校の入学者は、入試制度上、受験学力が高い生徒ばかりではありません。

都立の進学重点校には、それほど受験能力に特化していない生徒が多数入学するにもかかわらず、大学受験時には一定の成果を見せているということです。

国公立100大学合格力に思うこと - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 中高一貫高校などの生徒と比べると、都立高校の生徒は幼少からの受験学力の蓄積や、高校入学時の学習進度に大きなハンデがあるのは確かだと思います。

我が家も家庭の方針から、小学校時代に塾に通わせたり、中学入試の勉強をしたことは一度もありません。都立ではそういう家庭は少なくないでしょう。

そんな状況でも、最近の日比谷高校の大学合格実績を見ると、学校群制度前の状況にはまだまだ程遠いですが、中高一貫校を多少脅かす程度には伸びてきたように思います。
入学時の大きなハンデがあるにもかかわらず、これは一体どういうことでしょうか。
学校のカリキュラムや授業に、何か秘密でもあるのでしょうか?

他の高校の実情は分りませんが、一保護者から見た日比谷の特徴だと感じる点は、

 1)45分7時間授業

 2)土曜授業なし

 3)2コマ連続授業

 4)理社9教科全員必須

 5)土曜講習、夏期講習
   
(いずれも任意参加)

といったところでしょうか。それぞれもう少し詳しく見てみましょう。

45分7時間授業、土曜授業なし

 進学校の中には土曜授業を行う学校も多いと思いますが、日比谷高校は完全週休二日制です。その裏返しでしょうか、毎日が1コマ45分の7時間授業となっています。

学校見学案内にも記載がありますが、昼休みが始まるのは5校時が終了する12時45分。毎日午前を中心に学ぶのです。
ただ、始まりは8時25分、終わりは15時10分ですから、平日に長時間の授業をしている、というほどではないようです。

その代わりに昼休みが遅いため、日比谷では「早弁」が日常風景です。
午後13時近くまで待てずに途中の休み時間に弁当をつまむのは、育ち盛りの子供たちにとっては、自然な行為でしょう。 

2コマ連続授業

 数学や理科をはじめ、体育や芸術の授業などは、2コマ連続の100分授業が行われています。これは、1コマ45分の欠点を補うためだと思います。

確かに、実験や実習を伴う教科などでは、45分では時間が短く十分な成果が得にくいという内容が多々あるでしょうから、この発想はなかなか合理的だと思います。じっくり落ち着いて、実験なり課題なりに取り組むことができますね。

そして教室を覗くと分かりますが、グランド側の窓を除いた教室の三面全部が黒板になっています。この三面黒板も、日比谷の特徴であり、伝統のようです。

東京大学に毎年200人近く合格者を輩出していた学校群制度導入前の日比谷高校では、生徒同士が自主的に教えあう授業スタイルが特徴だったようです。

先生は仕切り役、生徒同士が教室全面の黒板を使って、課題を検討し合う、現代の教育現場が標榜するようなアクティブラーニングが自発的に展開されていたのでしょう。

現代の日比谷生がまだまだ及ばない、授業自体が遥かに自立した知的活動の場だったのではないでしょうか。 

理社全教科全員必須

 物理、化学、生物、地学、そして日本史、世界史、地理、政治経済、倫理。
理系文系や大学受験科目にかかわらず、全員が全ての教科を勉強します。

学校側はこれを、「全科目履修型・教養主義カリキュラム」と呼んでいるようですが、親としてはこの方針には非常に共感します。
個人的には、小手先で大学進学実績を求める学校の追従を許さないこのカリキュラムは、特に良い制度だと思います。

早くから大学受験に特化せず、幅広い範囲を学ぶという点は、将来の教養や思考の確かな基礎をつくることは間違いないと思います。
目先の大学進学実績を優先した傾向と対策的なアプローチをとらず、全方向的な学習を目指す、その姿勢を支持します。

大学受験へのスタートが遅いにも関わらず、逆にこうした遠回りにも見えるアプローチが、急がば回れ、むしろ大学進学実績の向上に大きな力を発揮しているのではないかと、そのように思います。

生徒にとっては大変なカリキュラムだと思いますが、今にして思えば、日本史も世界史も、地理も生物も、もっと学びたかったという素直な気持ちはあります。
子供と話をしていても、自分よりも教養の基礎範囲が広いなという点は常々感じ、うらやましい気持ちになることも少なくありません。

今時の言葉で表現すると、日比谷高校は、グローバルリーダーを育てるための、リベラルアーツと進学校の二面性がうまく共存している、ということかもしれません。
そしてそれを自力で乗り越えた子供たちが、難関大学の高い壁に臆することなく登っていくのではないでしょうか。 

 土曜講習、夏期講習

  日比谷高校の入学式後に行われる保護者ガイダンスにおいて、進路指導の担当教師の口から最初に出るメッセージは、「塾には行かないで下さい。学校に任せてください」というお願いの言葉です。
この点は入学後、繰り返し保護者に向けて学校側が発信するメッセージです。

保護者向けに配布される学校通信にも、「授業を100%理解し、補助教材を確実にこなせば、それだけで志望する大学への入試準備としては十分である...多くの先輩が塾や予備校に頼らず、現役で、第一志望に合格している」と記載してあります。

塾に行かないで、と学校の先生が明確に声に出して保護者に伝える事は、今まで聞いたことがありませんので、新鮮でもあり最初は少し驚きます。

これは学校側の自信と自負の表れでもあり、日々の宿題や部活に疲れて塾に行く余力はありませんよ、むしろ全部が中途半端に終わりますよという、生活指導上の注意喚起でもあると思いますが、そう言われても、戸惑う保護者もいるでしょう。

難関大学合格には通塾は必須、という世間のイメージからかけ離れていますから。

それでは、日比谷高校の日々の授業や宿題って、そんなに必死に頑張らないと首が回らないほど勉強に追われる生活なのでしょうか?教師たちも、強制的に受験勉強に縛り付ける受験監獄のようなことを行っているのでしょうか?

答えはNOです。

土曜講習も、1年生は月に1日、しかも自主参加ですし、夏期講習も毎週開催されていますが、完全に自由参加なのです。
わが子は部活や合宿や帰省や本人の希望から、1、2年生では夏期講習を申し訳程度に受講していました。

1年生の頃は、日頃の学校生活でも、部活に集中しながらも時間的にもだいぶ余裕があるように見えました。わが子を見ている限り、入学前の春休みの課題も夏休みや日頃の宿題も、入学前に聞いていた噂と違って、むしろ緩い気がします
勉強しているように見えないので、指定通りやっていないだけかもしれませんが。

高校受験の際に通っていた塾からは、1年次には執拗な勧誘がありましたが、結局塾にも行かず勉強は学校の宿題をやる程度で、とりあえず部活と趣味を満喫していました。成績もそれなりに悪くはないようですし、親としても本人の意思を尊重しています。
わが家の方針は、国立大学に行けという程度で、勉強は本人次第という状況です。 

そしていよいよ3年生が近づいた現在でも、引き続き塾や通信教育などには一切手を出していません。これは親の指導ではなく本人の意思ですから、思うところがあるのでしょう。本人に任せています。

改めて、日比谷へ行こう

 さて日比谷高校を志す君は、自分の五感で実際の授業を体験することで、公立高校最高峰といわれるレベルを肌で感じると共に、合格への強い思いが高まるように思います。そして、この文章に書いてある内容について、一つ一つ自分自身で確かめてみてはいかがでしょうか。

日比谷の先輩や教員たちは、そんな君のために、秋の祝日を公開授業に充てて待っているのですから。体育の日にはしばし受験勉強の筆を休めて、星陵の丘に登って見るのもよいかもしれません。

そして日比谷生の保護者の方は、春の喜びがまだ消えやらぬ穏やかな気候の中、世界一受けたい授業の詰まった日常の風景を、通勤時間を遅らせたり半日休みを取りながら、見学に行くことをお勧めします。
我々の世代が受けた高校の授業との違いに驚くと共に、訪問して初めて分かることですが、通勤前の父親と思しき社会人が多く授業見学に訪れている状況を見ることで、日本社会における労働多様性の有り方を考える機会となるかもしれませんから。

秋の見学会時期に行われる、夏目漱石『こころ』の授業には本当に感銘を受けました。
国語の授業を受け続けたいと思ったのは、人生で初めての経験です。

12月16日放送予定の『世界一受けたい授業』では、番組出演者が実際に日比谷高校の授業を受けに来ているようです。この秋の見学会に参加できなかった君も、現在地方や海外在住の君も、今一番旬の授業の様子を、まずはテレビの中で体験するのもよいかもしれません。
わが家のバカたれが口を開けて眠っていないか、私も確認しなくては。

ではまた次回。

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