2016年度 日比谷高校合格点ボーダー検証

 これまで度々紹介してきたように、10月1日に、秋の日比谷高校学校説明会が行われました。

残念ながら今年は参加資格がないために出席できませんが、何と、サイト上での情報提供の呼びかけに応じ、説明会に参加された保護者の方から連絡をいただきました。

WEBデザインの本を真似て初めて作ったばかりの入力フォームへの反応でもあり、本ブログを応援してくれる方もいるんだという実感もあり、また、説明会に参加できない方々にも最新の情報をお届けできるという気持ちから、非常にうれしく感じました。
情報ご提供ありがとうございます。

そして10月に入り、合格ボーダーライン記事へのアクセス数が急上昇していることもあり、特に海外など地理的条件で説明会に参加できない方や、11月の第2回説明会まで待ちきれない方のためにも、今回は早速、最新情報として受け取った昨年度入試情報を基に、都立入試制度改訂初年度となった平成28年度の合格ボーダーについて考えてみたいと思います。

 

2016年度の入試結果情報

まずはいただいた情報から、平成28年入試結果を見てみます。
記載ミスがあればお知らせください。

<平成28年度 受験者平均点>

 【男子】
  国語76.1(63.2:+12.9)
  数学53.9
(63.6:△9.7)
  英語69.1
(55.7:+13.4)
  社会85.1
(77.4:+7.7)
  理科82.6
(87.8:△5.2)
  5科合計 367.1点(347.9:+19.2)
注)各教科を足すと366.8点となりますが、端数処理の影響と考え無視して進めます
 (  )内は平成27年度、以下同様


 【女子】
  国語76.7/数学47.4/英語64.7
  社会81.7/理科78.0

  5科合計 348.6点(情報なし)
注)各教科を足すと348.5点となりますが、端数処理の影響と考え無視して進めます

 

<平成28年度 素内申平均点>

 【男子】 41.3点(40.2:+1.1)

 【女子】 42.6点(情報なし)

 

これを見ると、平成27年度入試ボーダーでお話しした通り、まさに、男子は試験の点数が若干高く、女子は内申点が若干高い、という傾向通りであることが分かります。 

また男子を見ると、試験平均点合計が昨年より上がっていますが、これは受験者のレベルが上がったためか、全体として試験問題が易化したためか判断がつきません。

内申平均点は、男子が+1.1点と上がっていますが、これはおそらく、特別選考枠の廃止と4教科換算2倍の影響により、受験学力はそこそこでも内申点が低い受験生が敬遠した結果、実際に受験した生徒の平均内申点が上がったものだと考えます。
この点は予測の範囲内ですので、特に驚く傾向ではありません。

では今回も、これらの情報をもとに、2016年度入試の合格ボーダーを検証してみましょう。 考え方は前回と同じです。

ここからは、学校の発表した入試実績を基にした独自の考察になります。 これまでにも繰り返し述べたように、都立高校受験の場合は筆記試験と内申点の合計により合否が判定されますから、最終合格点の判断も単純ではありません。 ここでは、

1)学力試験のボーダーを確認する
2)内申点のボーダーを確認する
3)2つを加えて最終的な合格ボーダーラインを得る
という方法で検証します。

日比谷高校の合格ボーダーラインを知る - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 

学力試験のボーダーラインは何点か?

 まずは学力試験について考えます。日比谷高校のホームページから、昨年度の受験者倍率をみてみましょう。余談ですが、公には受験ではなく受’検’と表現します。

<平成28年度 受検倍率>

 【男子】1.81(2.18倍:-0.37)

 【女子】1.83倍(1.79倍:+0.04)

男子は過去5年間、最終受験倍率が2倍を下回ることはありませんでしたが、2016年度は突然下がりました。逆に女子は、過去5年間1.8倍に達したことがありませんでしたが、突然超えました

個人的には、これも明らかに都立入試改訂の影響だと考えています。
つまり、内申点の影響が増したため、全体として内申点低めの男子は受験を敬遠し、高めの女子は逆に挑戦した受験生が増えたのではないでしょうか。

いずれにしても、男女とも倍率2倍をやや下回っていますから、合格点についても平均点の若干下がボーダーラインということになります。
ただし、平均点情報と合わせて保護者の方から送っていただいた得点分布グラフを見ると、平均点からやや下にかけて、多くの受験生の分布がありますので、ここではそのまま受験者平均点を合格ボーダーとして考えます。
そして実際の学力試験の得点は、以下の換算が必要となります。  

調査書300点と、学力検査700点の合計1,000点満点で合否が判定されます

内申点と合格点の探求 ~導入編 - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 

実際の合否判定の段階では、学力試験は700点に換算された数字を使います。 換算方法は単純に以下の通りです。

学力検査点 = 学力試験得点 x 700/500

日比谷高校の合格ボーダーラインを知る - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 
したがって、学力検査点ボーダーは以下の通りです。端数は切り上げます。


<平成28年度 学力検査点ボーダー> 

 【男子】367.1 x 700/500 = 514点

 【女子】348.6 x 700/500 = 488点


 

内申点のボーダーラインを考える

 さて次は、内申点について検証します。
まずは計算でボーダーを算出します。方法は単純です。

計算で求める内申点ボーダー

調査書点300点満点、素内申45点満点ですから、単純計算で素内申1点当たりの調査書点は300/45=6.66点となります。

日比谷高校の合格ボーダーラインを知る - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

素内申とは、一般的にいう通知表記載の45点満点の点数です。
調査書点300満点を算出する際に、4教科2倍の傾斜をかける「換算内申点」が現れるため、はっきり区別するために素内申と呼ぶことがあります。

これを適用すると、内申点のボーダーは以下の通りとなります。
端数は切り上げとします。

<平成28年度 調査書点ボーダー> 

 【男子】41.3点 x 300/45 = 276点

 【女子】42.6点 x 300/45 = 284点

 

換算内申点表から確認する

さて、計算で求めた調査書点について、内申点換算表からも確認してみましょう。先の記事で示した、以下の換算表を確認します。
自分で作って何ですが、この表は内申点全体が見渡せて、なかなか便利です。

f:id:mommapapa:20161007080014p:plain

 

表の見方としては、
・横軸が主要5科目素内申合計点(5科x5=最大25)
・縦軸が4科目の素内申合計点(4科x5=最大20)
・交わった個所が、学力試験に加算される調査書点
・階段状の破線は、素内申40点となる参考ラインです

内申点と合格点の探求 ~導入編 - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉


そして追加情報として、緑線は男子内申平均点の目安となる41点ライン、赤線は女子の目安となる42点ラインです。
表の中の3桁の数字が、各素内申点に対応した300点換算調査書点ですが、算出根拠が不明な方は、上記「内申点と合格点の探求」記事を先にご覧ください。

さて、男子の内申平均は41.3点ですから、内申41点ライン上中央の272点から276点にかけて、換算得点の平均点が来そうです。また女子は内申平均42.6点ですから、内申42点ライン上の281点と286点の286点寄りに平均点が来ると考えられます。

いずれにしても、先に計算で求めた換算内申点を採用してよさそうだ、ということが視覚的にも確認できます。

 

2016年度の合格ボーダーライン 

 それでは準備が整ったところで、最後に2016年度のボーダーを確認してみましょう。

平成28年度の日比谷高校合格ボーダーラインは、検証値ですが以下の通りです。

 1)試験得点 = 男子514点/女子488点

 2)調査書点 = 男子276点/女子284点

1)および2)より、

日比谷高校平成28年度合格ボーダー

 【男子】514 + 276 = 790点(+32点)

 【女子】488 + 284 = 772点(昨年不明)

ということになります。

ここでは厳密な合格点を算出することが目的ではなく、あくまでも合格目安となる参考値を知ることが目的です。

毎年試験問題が異なり、学力検査点は当然上下しますから、上記得点が毎年通用する絶対値ではありません
しかし何も分からない状態と比較すれば、学校が発表する確かな実績値に基づいて算出した数字ですから、明らかに受験勉強の目標参考値となる重要な情報です。

 

受験目標点をどこに定めるべきか?

 直近の2016年度入試の合格ボーダーが明らかとなったわけですが、それでは来年度の受験生はどこを目標にすればよいのでしょうか?

目標を定めるために重要なのは、合格ボーダーはあくまで合格の最低ラインであって、それを目標にすることは賢明ではないということです。

参考までに同じ2016年度に受験したわが子の例を挙げると、1,000点換算の合計点では、男子合格ボーダーを100点近く上回った得点を上げています。そしてそれでもまだ上の得点者がいるのです。

都立最高峰の日比谷といっても、合格ボーダー線上の合格者と上位の合格者では、内申点の影響もあって、現実に100点以上の得点差が生じるのです。

したがって、合格ギリギリ滑り込みを狙う受験生以外は、男女とも1,000点換算で800点以上の確保を受験勉強の目標ラインとすべきではないかと思います。

そして目標となる800点を、1)学力検査点と2)調査書点、どちらで何点獲得するかということが、それぞれの受験生によって異なる受験戦略となるのです。

この点を理解した上で次に気になるのは、合格点を確保するために、

  • 受験学力上位の生徒にとっては、内申点は最低何点必要なのか?
  • 内申点上位の受験生にとっては、学力試験は最低何点取ればよいのか?

ということではないでしょうか。本当に気になりますね。
でも試験も内申点も、途中に得点換算が絡みますから、分かりにくいのです。
この点は早く確認したいことだとは思いますが、長くなるので、また次の機会にお話ししたいと思います。


さて、今回検証した平成28年入試の実績は、間もなく君が受ける平成29年度入試に適用されるルールと唯一同じ基準で行われた初めての入試実績となります。ですから非常に貴重な情報なのです。
この大切な情報を、すべての受験生のためにご提供くださった保護者の方に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

ではまた次回。

 

10月8日追記:
本記事を出したすぐ翌日の朝に、このブログ全体の内容と重なるような東洋経済のWEB版が掲載されました。来年度の志望校を決定するこの時期に、立て続けに日比谷高校の復活を印象付ける記事が大手経済出版社から出ていますので、日比谷のボーダーラインは今後増々上昇する可能性があり、注意が必要です。

それにしても、東洋経済記事の星陵祭入場者4,000人は1日分ですので、明らかな間違いです。本サイトを予め確認していただければ間違いに気づいたでしょうに。

 

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