創立139年の歴史で初めての海外校姉妹校締結

NZコロンバカレッジ校舎


 今年のセンター試験は「おっぱい」が日比谷高校でも話題になっていたようです。
高校入学以来全く勉強する気配のないわが家の愚息も、センター試験当日は不承不承ながら、多くの同級生と共にセンターチャレンジ、本番の試験を受けに行っていました。

今年の3年生は、校長先生から、入学時にはどうなることかと心配したが、、、という冗談めかした話があったそうですが、センター試験はまずまず健闘したようです。

英語に限って言えば、学年320人全体の平均点は200点満点中180点超え、つまり9割を超えたそうです。満点も全体の1割程度いるようです。

日比谷高校というとSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)など、理科学系に力を入れているような情報が多いように思いますが、保護者から見ると、外国語教育の機会も結構多いなと感じています。

このところ、学校から語学や国際教育関連の情報が続けて発信されています。
また、この1年を見ただけでも、新しい試みが次々と始まっているように思いますので、受験出願期を迎えた今、日比谷高校第一志望の君や来年度以降の受験生のために、東京グローバル10の指定もある日比谷高校の外国語や国際関係教育環境について触れてみたいと思います。

 

NZ伝統校との姉妹校締結

 このニュースは学校から対外的には発信されていませんが、生徒や保護者向けには既に昨年から配布印刷物として、提携学校名と共に進捗が公表されています。

複数の高校との提携を行うようですが、まず1校目として、創立100年以上の歴史のあるニュージーランドの伝統校と姉妹校締結を完了したと、先日わが子が学校から聞いて帰ってきました。
気になる学校名はここには記載しません。しかるべき時期に日比谷高校からの対外発表があるでしょう。

詳細は分かりませんが、早ければ来年度にもネット経由のディベート交流や短期交換留学なども検討されているようですので、この春入学する君のクラスの同級生となる可能性があるかもしれませんね。

希望者なら誰でもというわけではないでしょうが、NZへの留学制度も近い内に整備されるのではないでしょうか。

尚、日比谷高校の取組みとは別に東京都教育委員会は、「次世代リーダー育成道場」という、都立学校生徒向けの手厚い留学制度事業を以前から行っています。
これとは別に、今後は日比谷高校独自の交換留学制度が期待できそうです。

都立高校向けの留学制度事業に興味がある方は以下のURLをご覧ください。

東京都都立高校生対象留学支援 次世代リーダー育成道場

 

 

ケンブリッジ英語検定

 今年度から、グローバル10事業の一環として、1、2年生全員がケンブリッジ英検を受けることになりました。
2年生は年末に受験済み、1年生はこの3月に受験する予定です。
ケンブリッジ英検って聞きなれない検定ですが、協会や実施団体のホームページを見ると以下のように書かれています。

ケンブリッジ大学(Cambridge English Language Assessment)が実施しているケンブリッジ英語検定は、130ヶ国以上で実施されている年間300万人以上が受験する権威ある試験です。世界で最も広く認知されている当検定の認定書は、生涯にわたる世界標準の英語力の証明となります。
出典:ケンブリッジ英語検定事務局

ケンブリッジ英検は、世界中で 20,000 を超える大学、企業、政府機関によって英語力を証明する試験として認定されています。ケンブリッジ英検は世界的に広く認められていることから、高等教育への機会を提供し、雇用機会を向上させ、学習者の就学や就職に際し選択の幅を広げることに役立っています。
出典:ケンブリッジ英語検定機構


ケンブリッジ英検は個人的には受験経験のない検定ですが、読む、書く、聞く、話すの4要素が必要になる総合判定試験のようです。

他の英語検定とのスコア対照は、ウェブ上にいくつも掲載がありますが、どの資料も書いてあることが違うので、実際のところはよく分かりません。
参考例として、多くの検定との比較が記載された試験実施センターの資料を掲載ます。


英語検定試験レベル比較表(一例)

ケンブリッジ英検レベル表
出典:ケンブリッジ英検東日本センター


日比谷生がどのテストを受けるのかは聞いていませんが、入学時点で英検準2級程度の英語力が推奨されていますから、1年生の初年度の様子見としては、おそらくPET辺りではないかと思います。 英語で授業を行うには最低でもこの程度は必要でしょう。

中高生向けケンブリッジ英検:
http://www.cambridgeenglish.org/images/168484-cambridge-english-parents-newsletter-article-issue-10.pdf

 

 

オール英語授業

 今時珍しくもないでしょうが、日比谷高校は1年からオール英語の授業があります。
現在はケンブリッジ大とコロンビア大学卒業のどちらも若い先生が担当しています。

受験英語が得意な君も、英語圏やインターナショナル校からの帰国組でない限り、公立中学での余裕の授業とは異なり、ほどよく緊張する時間になるのではないでしょうか。

ウェブ上の質問サイト等で、語学教育や海外留学、帰国子女に強い高校はどこか?という照会を目にすることがあります。

日比谷高校は、外国語学習という点を特に強く押し出しているわけではないため、そうした質問の回答に名前が挙がる例は少ないと思いますが、受験英語で点数を取るための教育以上に、コミュニケーション道具として使える英語を会得しようとする、アクティブ・ラーニング志向が強いように思います。



オンライン英会話

 これもグローバル10の一環として、今年度からスタートした授業の一つです。
インターネット経由で海外のネイティブ・スピーカーと英会話を行うオンライン英会話の授業が始まりました。生徒一人一人が同時に別々の講師と会話する仕組みで、後期より月1回程度実施しているようです。

こうした仕組みはたいてい東南アジアなど非欧米圏英語国の講師が登場しますが、これはコストの面と、それ以上に時差の影響が大きいのだと思います。
昼夜逆転した明け方の時間に、日本人の英語の相手をする講師を多数確保するのは無理があるでしょう。

この授業は大手教育会社のWEB英会話のインフラを利用しているようですが、日比谷高校へ授業の教材を提供することは、教育産業に携わる企業にとっても、現状の高校生の語学レベルを測ったり、新しい教材開発の参考にしたりと、大きなメリットがありそうです。

それにしても、世の中を斜に見ているような皮肉屋のわが家の愚息が、どんな顔をして画面に向かって話をしているのか、親としては一度見てみたいものです。
きっと家では見せない営業用の笑顔が、相手の画面に映っているのでしょうね。 


 

第二外国語

 第二外国語は最近始まったというものではないでしょうが、学校案内にも掲載されている通り、1年生から第二外国語を学ぶ機会が用意されています。
これは自由選択制となる、通常授業後の時間外での受講になります。

ちょうど先週、来年度からの第二外国語の受講申し込みがありました。独語、仏語、中国語、韓国語、そしてより深く英語を学びたい生徒のための英語講座があります。
これ以外に、今1年生はスペイン語の講座を受けています。

受講する者しない者、大部分の生徒には大学受験には直接関係しない科目ですが、土曜講習や夏期講習同様に、それぞれの自主性に任された自由な選択です。受けなくても構いません。


6か月報告で軽く紹介した生物の授業での眼球の解剖は、ゼラチンや寒天のようにメスですっと切れると思いきや、実際は硬くてなかなか二つに切れないのだと、家でレポートを作成していた愚息が申しておりました。
そうした実体験や気づきが、アクティブな授業の重要性なのでしょう。

日比谷の場合は理科も社会も、受験教科や文系理系に関係なく全科目全員必須ですし、単に大学受験の点数や実績を上げるための授業とは異なり、学ぶ意欲のある生徒にとっては質の高い多くのアクティブ・ラーニング的な教育機会が提供される学校の一つではないかと思います。

公立中学から公立高校を経て難関大学に入学する実績を見て、日比谷高校は学校の授業と宿題でがんじがらめにされて、猛烈に大学入試向けの受験勉強を詰め込まれている、という判断を下す外部の方も多いようですが、内部から見ると、実際はそんなガチガチの受験教育とは異なる、学校や先生方の意欲が伺えます。

どちらかというと、急がば回れ、回るうちに底力がついてくるという考え方に近いような気がします。
逆に大学受験科目に特化して、最短で志望校に合格したいという志向の学生には向かない学校だと思います。

しょっちゅう授業で寝ているらしい我が家の愚息も、理科社会の授業はかなり面白いようで、家で内容を話すことがありますが、教科書の範囲を超えて相当突っ込んだ学習をしている印象があり、うらやましく思うことがよくあります。

遠方からの学校関係者の見学も多いようです。


 

グローバル10海外研修

 文部科学省が指定するSSH事業とは別に、東京都は独自に平成27年に以下の目的で都立高校10校を「グローバル10」として指定しています。

東京都教育委員会は、次代を担うグローバル人材育成に向けた学校の取組を支援するため、都立高等学校及び都立中等教育学校の中から10校を選定し、東京グローバル10に指定しました。
 指定校は、外国語授業の改善に向けた先進的取組や、学校独自の特色ある取組を実施するなど、意欲ある生徒の外国語力の向上を推進するとともに、積極的に国際交流を行い国際理解教育を一層推進していきます。
東京グローバル10の設置及び指定について:東京都教育委員会


現在の指定校は以下の都立10校です。

  • 日比谷高校
  • 深川高校
  • 西高校
  • 国際高校
  • 飛鳥高校
  • 千早高校
  • 小平高校
  • 小石川中等教育学校
  • 三鷹中等教育学校
  • 立川国際中等教育学校

指定を受けると予算が付きますので、それぞれの学校が独自の活動を行っていると思います。
日比谷高校の場合は、これまで見てきた日常的な取組みの他に、毎年海外研修を含め、国内外の大学や研究機関、行政施設の訪問など実施しています。

海外研修は全員が直接参加できるプログラムではありませんが、SSH事業と並ぶ複合的な活動の一つとなります。
平成28年度は概ね以下の行程です。

  • ハーバード大学訪問
     大学院キャンパス案内など
  • MITマサチューセッツ工科大学訪問
     大学院でのリーダー論の講義など
  • ボストン市街視察
  • ニューヨーク連邦準備銀行FRB訪問
  • ニューヨーク市街視察
  • 国連本部訪問
  • アスペン研究所研修
     食糧問題解決のプレゼンテーション

グローバル10の研修内容は、日比谷高校ホームページ上でも公開されています。
簡単な内容は以下をご覧ください。学校説明会などでも研修内容紹介があります。
http://www.hibiya-h.metro.tokyo.jp/pdf/global.pdf


  

SSH海外研修

 ちょうどこの週末の21日に、平成28年度のSSH成果報告会が、校舎内と星陵会館で行われました。
今年のSSH海外研修は、米西海岸シリコンバレーおよびハワイ島研修です。

SSHは、海外研修や国際関連研修というよりも、名前の通り科学全般に関する様々なプログラムを中心に、日ごろから広く生徒がかかわる仕組みです。

今回のテーマとは異なるので詳しくは書きませんが、日比谷高校のSSHの活動報告は、学校ホームページに定期的に紹介されています。
海外研修の内容は以下のURLから確認することができます。

http://www.hibiya-h.metro.tokyo.jp/pdf/28ssh_dayori_kaigai.pdf

 

 

さて今回は、東京都グローバル10の指定以降に変わりつつある日比谷高校の外国語や国際関係の学習環境について概要をお知らせしました。

先にも記載したように、日比谷高校での学習内容は大学受験勉強に特化したものではありません。むしろ大学受験科目以外の教科も多く履修する必要があります。
3年間という限られた時間の中に、部活動や学校イベントも含めて欲張りなプログラムが詰まっていそうです。

年末に学校から配布された資料を見ると、1年生の通塾率は全体の30%未満。
例年概ね同じ傾向ですから、大部分の生徒が学校の学習環境を頼りに勉強していることになります。それでも今の実績を出せるんですね。

塾に行かないわが子にも、様々な学習塾からの入学案内が定期的に届き、中を見られることなく虚しくゴミ箱に向かいます。
少しくらいは中身に関心を持ってほしいという親心も正直ありますが。


さて、本日1月23日はいよいよ推薦入試の願書提出日。
受付時間は15時までですから、間違えて遅れたり、電車の遅延で時間が過ぎてしまわないよう、ゆとりをもって出願してください。
来春、君が海外の仲間たちと、星陵の丘で友情を育む機会が得られますように。

ではまた次回。

 

2017年2月5日追記:
 朝日新聞デジタル版で、武内校長が今年のセンター試験の英語平均点が180点を超えたことを自ら語っています。本記事記載の通りですね。

 

 日比谷高校の授業の秘密に迫る

 

日比谷高校の帰国子女事情を垣間見る