東大安田講堂と明治神宮球場の熱い夏

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画像出典:なおこさんのツイッターより

 7月19日は、日比谷高校にとって大きなイベントが二つ重なりました。

東京大学安田講堂で行われる、全校生徒参加のSSH特別講演会と、神宮球場で行われる、野球部出場の夏の甲子園東東京大会4回戦です。

東京大学と神宮球場という、都内で文武両道それぞれの極みを示す場所で行われる二つの行事が重なった奇遇が、昨今の日比谷高校の躍動を象徴的に示す出来事のようであり、またわが家の長男と同じ3年生最後の夏のビッグイベントということで、保護者としては感慨深く見守りました。

そこで今回は、この二つの特別なイベントについてご紹介したいと思います。

 

東京大学安田講堂SSH講演会

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画像出典:日比谷高校ホームページ

日比谷高校では、全校生徒が東京大学安田講堂に集まって、時の科学者の講演を聴くと共に、舞台上で生徒と講師がパネルディスカッションを行うというSSHの活動を実施しています。

これまでに、ノーベル生理学・医学賞の利根川進OBが1回、ハワイ島すばる天文台創設のプロジェクトマネージャーである小平桂一OBが2回、同講堂で日比谷高校SSH向けの特別講演を行っています。授業としては、総合的な学習時間に当たります。

2018年度の講師は、三浦 謙一OB。

日比谷から東京大学卒業を経て、イリノイ大学で博士課程を修了。2009年にはスーパーコンピューター業界のノーベル賞と呼ばれる「シーモアクレイ賞」を受賞するなど、スパコン界の権威であり、現在もシリコンバレー在住の卒業生です。

講演やパネルディスカッションの様子は、いずれ日比谷高校の各種説明会や星陵祭の展示などでも一般にも公開されることでしょう。詳細は不参加の身には分かりません。

安田講堂では東京大学主催の不定期での記念講演などは行われているようですが、日比谷の他にも大学外の学校や団体などが同施設を利用してイベントを実施しているのでしょうか?他の状況がどうであれ、貴重な経験には違いありません。

高校生にとっては将来への展望を開く刺激的な取り組みだと思いますので、これからも続けてほしい行事です。そうした機会のある愚息がうらやましいです。

尚、一般の方が安田講堂でのイベントに、事前申し込みなしで見学参加できる主な行事としては、毎年5月に開催される東大五月祭があります。東大フィルをはじめ、音楽系の同好会がこの舞台上で活動しますので、客席が一般に無料開放されます。

私自身も一度訪問したことがありますが、席はたいてい空いているので、安田講堂内を自由に体験したい場合はこの学園祭が一つお勧めです。

 

日比谷 強豪に迫る初回の猛攻

 そして全校生徒と教師が安田講堂に集結している午後の同時刻に、日比谷野球部は明治神宮球場で試合前のウォーミングアップを行っていました。

第100回の節目を迎える夏の高校野球 東東京大会で日比谷高校は連勝し、この日ベスト16をかけて東京学生野球の聖地、神宮球場メインスタジアムでシード校である錦城学園との対戦を控えていました。

安田講堂での特別公演が始まった20分後のプレイボールです。

 
日比谷関係者にとっては、何とか喰らいついていけるのではないかという希望の見えた1回の表です。

誰もがほっとした、最高の滑り出し。

そしてその裏の日比谷の攻撃は、ワールドカップロシア大会の日本代表対ベルギー戦のような、まさかまさかの意外な展開となります。

 


この1回の攻防は、日比谷の選手や応援団にとっても、相手チームにとっても、審判や主催者にとっても、何より目の肥えた高校野球ウォッチャーにとっても衝撃的な出来事だったに違いありません。

日比谷関係者にとっては、まさかの希望の展開。上位を狙うシード校にとっては、まさかの絶望の展開。

まだ記憶新しいベルギー戦と同じく、誰一人想像さえしていなかった試合運びです。

しかし次第に力の差が現れ始め、というよりは選手層の厚さの違いでしょうか、明らかに投手の球威も落ちていたと思われます。

終わってみれば、6回コールドでの終了です。

ただあの時の日本代表と異なるのは、悔しさよりも、高校野球最後の夏を最高の舞台の上でやり切ったという晴れやかな表情。 

 

 背中に1番を背負ったエースの顔にも笑顔が広がっているのが伝わってきます。 猛暑が続く暑い日差しの中、中1日空けての連投。私自身も知る生徒たちの、平成最後の、そして高校野球の最後の夏の大会に、胸を張っての敗戦です。

秋季大会で、近い将来あと1勝をあげれば、文武両道の21世紀枠で春のセンバツへの出場権が得られるかもしれないという、大きな夢を感じる試合になりました。

この日、東京大学安田講堂の舞台では、学問の限りなき真理を極めようとする生徒たちが、そして明治神宮球場の舞台の上では、青春の限りある時間の中で最後まで意気たゆむことなく戦う生徒たちが、それぞれの夏を全力で駆け抜けたのです。

 

この夏日比谷を目指す受験生に

 日比父ブログの目的は、日比谷高校を美化したり人気を高めようとするものではありません。中学受験でも高校受験でも、好きな学校を選べばいい。

ただ、巨大な資本が動く中学受験産業の目からすり抜けこぼれ落ちた子供たちの躍動を、保護者の視線で静かに見守りお伝えしたいのです。

青春の1ページに様々な夏があるように、教育に対しても、様々な家庭の様々な事情と価値観のある事実が、もっと尊重されてもよいと思うのです。

次の楽しみは9月の高校ラグビー花園予選。

夏休みの始まった日比谷の3年生は、まだ終わらない夏の大会と受験勉強と高校最後の星陵祭に向けた、それぞれの集中の時。

日比谷高校を目指す受験生の君も、憧れの先輩たちと同じように、最後まで諦めたくはない部活や学校生活には手を抜かず、もちろん勉強も疎かにすることなく充実した中学最後の夏を過ごすことができれば良いなと思います。

もしかすると、海の向こうでまだ見ぬ学校の校庭に想いを馳せる受験生も、他府県の学校から憧れの東京を目指す受験生も、そして都内の一貫校に通い、密かに高校受験を目指している受験生も、それぞれの舞台の上で、悔いのない最高の夏が過ぎることを願います。

わが家の長男も、部活のために、高校受験勉強一本に集中できたのは中学3年生の秋。

勉強時間の長さと、勉強の到達度は必ずしも一致しないもの。モチベーションや集中力を高めた君が、その能力を開放するその時まで、しっかりと青春の1コマを楽しみながら生活することを、保護者の一人としては願わずにいられません。

充実した夏休みが過ごせますように。

ではまた次回。


次は花園出場ラグビー部

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文武両道を目指す道

今年も始まる夏の伝統行事