日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

世間知らずな父の元で、東大生の兄と勉強嫌いな弟が織りなす家族の物語

海外インターから日比谷高校を受験する君へ

日比谷高校HP:海外のインター生へ

日比谷高校HP:海外のインター生へ

 現在日比谷高校のホームページ上に、海外インターナショナルスクールに通う学生へのメッセージが掲載されているのを存知でしょうか。

『海外のインター生へ』と書かれたその文章は、日本人学校も塾もない国のインターナショナルスクールから、一般入試を経て日比谷高校に入学を果たした先輩による、海外のインターで学ぶ君へのメッセージです。

 

帰国子女枠のない日比谷

 日比谷高校は、海外帰国子女入試枠のない学校です。

それでもわが家の長男のように、海外駐在経験を持つ生徒は多く存在します。

その一方で、海外のインターナショナルスクールから直接日比谷高校へ入学する生徒はどの程度いるのでしょう?

客観的な情報がありませんのであくまで推測ですが、その数は、現在のところ極めて少ないのだろうと思います。だからこそ日比谷高校は、応援の意味を込めて、そんな君へのメッセージを敢えて掲載したのではないでしょうか。

 私は現在、日比谷高校に通う帰国生です。

日比谷受験前は、海外のインターナショナルスクール・ハイスクール10年生をしていました。塾もない、日本人学校もない国から受験直前クリスマスホリデーに帰国して受験しました。

受験から合格まで、自習生活で日比谷を受験できるのかずっと心配でした。帰国時にお世話になった日本の塾では「インターナショナルスクールから直接帰国受験で都立一般枠合格した人は見たことないなぁ」と言われました。

前例が身近になかったために頼りになるアドバイスをしてくれる人もなく、日比谷で撃沈するかもとドキドキしながら受験しました。

もしも今、私と同じような気持ちで迷っているインター生がいたら、『インター生だから』という理由で日比谷受験を断念することなく、私の体験談が皆様の勇気にかわるとうれしいです。

出典:日比谷高校ホームページより(抜粋)

この文章に書かれているのは、もし君が、日比谷高校への入学を強く望むのならば、制度上の理由から夢をあきらめてはいけないという、先輩の声です。

内外を問わず、多くの受験生は学力上の問題から、日比谷への挑戦を断念することでしょう。

しかし、海外帰国生、特に内申点のつかないインターナショナルスクールに通う生徒にとっては、それ以前に制度上の問題から、都立一般校への入学を断念していることが多いのではないでしょうか。

それがインター生にとっては、現在当たり前の受験常識なのかもしれません。

日比谷高校は、その既成概念を打ち破りたいと考えているのでしょう。

 

内申点のないインター生

 高校受験におけるインターナショナルスクール生の特徴は、内申点がないことです。

海外日本人学校では、公立高校入試に適用可能な内申点が交付されるはずですが、インター生には内申点がありません。

ホームページ上の先輩の文章を読んだ際、個人的に最も引っかかったのがこの点です。内申点のない生徒が、ルールの確立した都立一般入試でどのように評価されるのだろうかと。

結果から言えば、内申点は一切なくても当日の試験結果によって判定され、内申点がない、という特異な状況でも問題はありません。

内申点がないということは、これまでインターで取り組んできた学習や活動への評価は一切なし、面接もなし、というインター生的には厳しくも寂しいものですが、内申点がないからと言って自信をなくさないでください。

出典:日比谷高校ホームページより(抜粋)

現在公開されているインター先輩の文章から判断する限りでは、内申のないインター生は学力試験のみで合否判定されるようにも読むことができます。

もちろんこの文章は学校側が承知して掲載しているものですから、内容的に誤りはないものと思いますが、どのような制度に基づくものであるのかは見えてきません。

昨今の医学部を代表とする入試制度への社会的不信感がある以上、学校側も既存の入試制度や社会的な通念を疎かにするような合否判定は行わないはずです。

どのように内申なしの入試評価を行うのか、この点について言及する資料は見たことがありませんので、今回都教育委員会の担当部署に直接聞いてみました。

 

インター生の内申扱いは学校次第

 結論から述べると、内申点のない海外インター生に対する内申点の評価は、学校の内規によるという回答です。

つまり、教育委員会としての統一的なルールはないのであり、裏を返せば、学校側がそのような生徒を求めるのか否かによって変わるということです。

正確かどうか不安もありますが、私の現在の理解によれば、以下の通りです。

  • 試験と内申点の割合7:3はそのまま
  • 試験の点数は当日の結果に従う
  • 内申点は学校側が判断する

もしかすると、試験の点数のみを対象に評価、すなわち500点満点を1,000点に換算して一般生と比較するのかとも思いましたが、教育委員会の回答としては上記の通りです。

では、内申300点はどのように評価するのでしょう?

これは分かりません。

日比谷高校の場合は、海外インター生に対して受験門戸を広げたいと考えている訳ですから、少なくとも不利になるような事は決してない、むしろ前向きに評価される可能性が高いと考えるのが自然ではないでしょうか。

だから、海外で頑張る君に、もっと挑戦してほしい。

個人的な解釈ですが、学校はもっと多様な教育環境を実現したいのだと思います。先輩の文章にあるように、それがお互いの知的好奇心を刺激して、よりよい学びの環境につながると考えているのだと思います。

 

義務教育期間をいつ終えるか

 都立高校受験を考えるインター生にとってむしろ重要なことは、日本の義務教育に該当する9年教育をいつ卒業する(した)のかということです。

つまり、卒業時期が3月であれば、他の受験生と同様に同学年として一般入試に臨むことができる訳ですが、例えば6月卒業となると、入試時期を過ぎるため9月編入を伺うか、翌年の新学期に合流するという状況になります。

義務教育期間に海外での就学先を決定する際には、そうした事情も考慮する必要があるといえるでしょう。

わが家の場合は、幸いどの駐在地にも日本人学校が存在したために、迷わず日本人学校を選択しました。日本語での思考能力をしっかり定着させたいという強い想いと、英語をはじめ外国語は必要に応じて後天的に学べばよいという考えからです。

もちろん、せっかく海外に暮らすのだからインターナショナルスクールに通わせたいと考える家庭や、日比谷の先輩のように、日本人学校そのものが存在しない地域がたくさんある事もまた事実です。

そのようにインターで育った家庭の子供たちが帰国に際し、国内インターや帰国子女枠のある学校のみを盲目的に選択するのではなく、もっと広い学びの選択肢の中から、学びの環境を選択することができるのであれば、それはよいことに違いありません。

高等学校は、大学入試を迎えるための予備教育ではないばかりか、人生の中で最も青春を謳歌すべき青年期を過ごす大切な環境ですから、先輩のように、高校入学に際し一斉スタートを求める学生が潜在的に多く存在することも確かなことだと思います。

そのような環境を求める相対的に学力の高い生徒にとって、日比谷高校は、帰国枠入試がないハンデを克服する価値のある、魅力的な学校であると言えるのではないでしょうか。

 

海外インター生の合格想定点

 日比谷高校を受験する潜在的学力がある場合でも、海外のインター生にとって精神的なハードルとなるのは、試験で何点取れば合格に逹するのか情報が明確でないということではないでしょうか。

そこで今回日比父ブログでは、先の教育委員会の説明に基づき求められる想定得点を考えてみます。当然のことですが、ここに示す得点は、実際の入試結果とは全く関係のない一つの仮説である点をご理解の上ご覧ください。

想定合格点

 ここでは想定合格点を、男女共780点、試験得点と内申点の割合を7:3と想定して話を進めます。尚、試験と内申点の合否判定換算についてよく理解していない場合は、文章の最後にリンクを掲載した別の記事で確認ください。

①内申満点評価の場合

 学校が内申評価を最大とする場合、内申点は300点満点となります。

この場合、試験当日に求められる点数は480点(780-300)となります。

試験480点は、700点換算後の得点ですから、5教科500点満点の場合は、

 480 x 500/700 = 343点となります。

つまり、500点満点の概ね7割を獲得すれば合格と考えられます。

②内申平均評価の場合

 もう一つ、内申点を受験者平均点として評価する場合について考えます。

日比谷高校一般入試の素内申平均は、例年概ね男子で41、女子で42強となりますから、ここでは内申不利側となる素内申41(5教科25点、4教科16点)で考えます。

この場合の換算内申合計は、

 25+16 x 2 =57、

更に300点換算すると、

 57x300/65 = 263点となります。

従って合格に必要な試験得点は、

 780 - 263 = 517

500点満点で見た場合は、

 517 x 500/700 = 370点

つまり7割4分の得点率で合格と考えられます。

 

③試験のみで評価されると仮定した場合

 参考までに、試験の得点のみで判断される場合に必要な試験の点数も考えます。

この場合は単純に、

 780 x 500/1000 =390点

となりますから、8割近い得点が必要となります。内申点が試験の得点に比例して変わると考える場合も同じ点数が必要となります。

個人的には、①と②の①に近い状況ではないかと推察しますが、実際の評価方法は学校にしか分かりません。

以上はあくまで目安としての参考値です。

 

厳しくも光ある道

 海外のインタースクールが長い学生にとっては、先輩同様国語と社会の学習に課題が残るのかもしれません。

特に国語の場合は、日本語での高度な論理的思考能力が問われますから、日々授業の中で日本語を使わない学生にとっては、日比谷の一般入試を受験する過程において、厳しい現実の壁に突き当たることも多いでしょう。

その挑戦は、先輩の言葉を借りれば「無謀なこと」であり、「撃沈する」可能性の高いことであるのかもしれません。

それでも日比谷高校は、いやむしろそれだからこそ日比谷高校は、そんな困難な道を克服して入学を求める君を、手を広げて歓迎しているのだと思います。

それは中高一貫校が大学受験に圧倒的に有利と言われる状況の中、日比谷の先輩たちが学生生活と勉強の両立のために克服すべき困難に近い状況があるからかもしれません。

そしてそれは海外のインター生だけでなく、塾に通う機会がなく独学で日比谷を目指す君も、中高一貫校から日比谷を人知れず目指している君も、都外のどこかの市町村から日比谷を目指す君も、すべての受験生がそれぞれ抱える困難であるようにも思います。

そしてその困難の先にあるものは、先輩の次の言葉が端的に表しています。

 インター生で日比谷に興味を持っている人は挑戦する価値があります。私の自慢は日比谷の先輩、同級生たちです。高校時代に素晴らしい仲間に巡り会えたと思っています。日本に帰国するかしないか、それをも迷っていた私が日比谷の一員になり、すっかり日本の高校生になりました。

出典:日比谷高校ホームページより(抜粋)

先の通り、「インター生」の部分には、海外に限らず困難な状況にある様々な境遇の生徒が該当するのだと思います。

日比父ブログが存在するのもまた、そうした困難に立ち向かい、前に進もうとする子供たちや保護者の方々を、励まし応援するためなのだと考えています。

本日、『日比谷高校を志す君に贈る父の言葉』は累計100万PVを超えました。

これからも引き続き、子育て世代の父親の目から見た、リアルな教育関連情報を発信できればよいなと考えています。

ではまた次回。


日比谷高校ホームページ

>>『海外のインター生へ』(全文)

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