無料学習塾TERACOを訪問しました

無料学習塾TERACO

 経済的境遇などで学習塾に通うことができない子供たちのために、無料で学習指導を主催する団体が世の中には多く存在することをご存知でしょうか。

私自身はこれまでそうした教育組織の存在を意識したことはありませんでしたが、そのような無料学習塾の一つであるTERACOから、今年1月にツイッターのフォローを受けてその存在を知ることとなりました。

無料学習塾ってどんなもの?

 無料学習塾と聞いて本能的に脳裏をかすめたのは、社会的に意味のある取り組みだと前向きに思う反面、どこかの思想団体や新興宗教団体が母体となる組織だったらいやだなというネガティブな感情です。

営利目的でも特定の思想誘導目的でもなく、中立的な立場で、ある意味での社会的弱者の側にいる子供たちを支援する組織であれば応援したい。

そうした気持ちから、早々同団体理事長宛にメールを送付しました。

初めまして。
ブログ『日比谷高校を志す君に贈る父の言葉』を運営しております、前谷門馬と申します。
ツイッターのフォローをいただき、連絡させていただいております。

貴団体の活動に興味がございます。
ご迷惑でなければ、塾の見学や直接お話を伺えればと考えております。
取り組まれている内容により、当ブログで取り上げるなど、「情報支援」にささやかながら協力させていただけるかもしれません。

HPを拝見する限り、相当な運営費用は掛かっているものと感じます。
その辺りの仕組みなども確認したいと考えております。

ご連絡いただけると幸いです。

2019年1月11日 mommapapa送信メール

 

TERACO情報支援

同団体は、都立上位校への進学を希望しながらも、経済的理由から学習サポートが受けられない中学生に特化した無料学習支援を行っているようです。

ホームページに掲載されているメッセージからは、存在自体がまだ十分認知されていないために、設立趣旨を満足するような活動ができずにいるとの思いがあるようです。

また、団体の目的に該当するような生徒が存在する場合でも、どのような組織であるかも分からない不安の中、中学生にとっては最初の一歩を踏み出すこともなかなか容易ではないだろうと思います。

そこで今回、誰から頼まれた訳でもないのですが、個人的な興味と社会的貢献への関心から、世間の保護者を代表するつもりで、同学習塾を訪問し、理事長のお話を伺うこととしました。

 

無料学習塾設立への想い

 検索してみると、無料学習塾は全国的に案外多く存在することが分かります。

行政の支援を受けながら、多くの生徒を受け入れる比較的大きな団体から、個人主体の小規模な学習塾まで様々です。

その多くは広く生徒を受け入れるものだと思いますが、今回訪問したTERACOの場合、支援する対象生徒を学力ベースで絞ろうとしているのが特徴ではないかと思います。

ボランティアとして活動する団体が、学力基準により受入を判断することが適切かという議論はあるかと思いますが、理事長は、それ故に行政からの公的な資金は受けずに、自立した組織として運営を行なっていると言います。

団体設立前に別の無料学習塾に関わっていたという理事長は、自らの思いを実現するために新しい団体を立ち上げたのだそうです。

団体概要について教えて下さい

 特定非営利活動法人TERACO

  • 理事長:堀みゆき
  • 2018年1月法人設立
  • 2018年4月初年度授業開始
無料塾を主催する理由は何ですか?

 親が低所得であっても、志望する大学に進学して社会貢献して欲しいとの思い。希望する大学進学のためには、上位高校進学が重要との考えから。

入塾基準などはありますか?
  • 本人にやる気があること
  • 都立上位校を目指す意志のあること
  • 5教科評定目安平均点3.7
  • (世帯年収目安300万円程度)

確認のため、面談、入塾テスト実施。

現在の生徒数は何人ですか?

 10名程度。2019年度生徒を募集中。

塾講師はどのような方ですか?

  全員ボランティア講師です。東大京大早慶含む上位大学卒業者中心に、塾講師経験者など非常に多くの支援申し出をいただいています。

活動資金はどの様に調達していますか?

 本年度はある公益財団法人の助成金を受けています。ただし、実際の活動費用を全て賄うには足りず、残りは自己資金を充てています。


TERACOの現在の活動拠点は、渋谷のセルリアンタワー東急ホテルのすぐ近くのマンションの一室にあり、古びた物件とはいえ教室のレンタル料だけでも相当な額になるのではないかと思います。今年の新学期からは代々木駅前への移転が予定されています。

「不足する活動資金は自腹です」と笑顔で語る堀理事長のエネルギッシュな語り口に、並々ならぬ意志の強さを感じました。

都立上位校志望の生徒のみを集める活動目的の裏には、話題に上がるとか書籍の出版をするなどの目的があるのでは?との意地悪な質問にも、感情を害することなくにこやかに受け答えしていただきました。

潜在的能力のある子供たちが経済的な理由により、社会の一線で活躍する機会を得られない状況を何とかしたいという思い。

日本の子供たちの貧困率が上がっているという報道がある中、経済的に恵まれた家庭の子供たちだけが恵まれた環境を再生産し続ける社会に対し、一石を投じたいという強い思いがあるのだと感じました。

 

TERACOの挑戦は始まったばかり

 同団体はNPO法人の認定を受けることで、宗教や政治活動目的の団体ではないことが客観的に担保されていることになります。

本年度から授業を開始したばかりのため、活動趣旨となるような都立上位校への進学実績もまだありませんが、理事長の明るく活動的な人となりに接していると、今後様々な困難を乗り越えながら、少しずつ求める活動実績を積み上げていくのかなと思います。

活動趣旨に賛同する個人や団体からの支援の輪を広げながら、意欲と能力を伴った経済的弱者である子供たちのために、そしてよりよい社会を実現するために、公立中学から上位高校を経て、上位大学への道を拓く無料学習塾のモデルになるとよいと感じます。

日比父ブログでは、同団体を推奨する立場にはありませんが、何らかの理由により都内で高校受験を選択する子どもたちを応援する立場には近いものがありますので、今回は縁あって情報支援として、同団体の存在を広くお知らせすることとしました。

詳細は敢えて記載しませんので、同学習塾への通塾に関心がある場合は、直接同団体のホームページまでアクセスしてください。記事の最後にリンクを貼ってあります。

TERACO入塾方法

 

経済的弱者、情報弱者のために

 都立重点校には、都立無償化の対象外となる所得を持った家庭の生徒も多い中、日比谷高校にも、奨学金の受給が必要な経済水準の家庭は一定数存在することと思います。

経済的な理由により上位校への進学を諦めてしまう前に、無料学習塾の門を叩いてみることも、経済的悪循環を断ち切る方法の一つとして検討すべきことかもしれません。

その際一つ大事なことは、支援対象となる家庭やその子供たちは、今でも日常的にインターネット上の情報にアクセスできない環境に置かれている可能性があるという事実。

あるいは、保護者が日々の仕事に追われるなど、子の教育に関心を向けられず、そのような社会的支援の存在が子に伝わることなく流れてしまう可能性も考えられます。

高い知性を持ちながら、社会的な支援機能にアクセスできない子供たちが周囲にいると感じた際には、本人への直接的な支援活動は難しいまでも、無料塾の存在を生徒本人に伝えることで、我々もまた、社会貢献活動に携わることができるのかもしれません。

固定化が進む経済格差の現実の中で、経済的に恵まれない能力ある子供たちが社会で活躍できる道を切り拓くことは、日本社会の健全性の確保にとってもあるべきことに違いありません。

ではまた次回。

TERACOへの問い合わせはこちらから
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