南町田グランベリーパークとつくし野中学校

2019年11月13日更新:

町田市つくし野中学校正門/撮影:mommapapa

町田市つくし野中学校正門/撮影:mommapapa

 町田市と東急電鉄が共同で再開発を進める東京都内の大型まちづくりプロジェクト、『南町田グランベリーパーク』が11月13日にオープンしました。

東急田園都市線から半蔵門線へとつながる南町田周辺は、町田市役所が所在するJR横浜線町田駅周辺市街地とは異なる郊外型の穏やかな空気が流れるエリアですが、駅に直結する大型ショッピングモールの完成と共に人の流れがどう変わるのか、着工当時から注目していました。

何といっても南町田地区には、伝統の千代田区立麹町中学や文京区立第六中学校を抑えて日比谷高校5年累計合格数トップとなる「つくし野中学校」がありますから、この大型プロジェクトの情報発信と共に、都心へ通勤する子育て世代から改めて注目を集めるエリアになるという予感がしています。

南町田駅から駅名まで変えて臨む「南町田グランベリーパーク」駅周辺一帯は、正につくし野中学区域。

神奈川エリアよりも都内を好み、経済的にも環境的にも、二子玉川よりは郊外型の暮らしを求める家族にとって、今後の居住区選びの有力な選択肢の一つとなるのではないでしょうか。

画像出典:みなみまちだプロジェクトHP

画像出典:みなみまちだプロジェクトHP

町田市立つくし野中学校

 つくし野中学校は、毎年日比谷高校への合格数が多い公立中学校です。

2019年度入試でも、麹町中学と並んで5人の合格者を輩出してその実力は健在ですので、今後生徒数がどのように推移するのか注目されます。

日比谷高校合格公立中学校5年累計/作成:mommapapa

日比谷高校合格公立中学校5年累計/作成:mommapapa

つくし野中学は、麹町中など都心の区立中学校と比較すると倍ほどにもなる700人以上の生徒を擁するマンモス校。

過去には800人を超える生徒が在籍していたようですので、直ちに生徒の収容キャパが超えるということはなさそうですが、今後グランベリーパーク駅を中心に若い子育て世帯が増加するような場合には、将来的に学区の見直しがないとも限りません。

人気の学区では、学区周辺であれば越境も認められるという甘い認識で不動産を選んで後で泣くということがないように、人口変動で多少学区が動いても、確実に希望する学校に指定されるような住居選びが大切です。

特に都心の学校は、大型マンションの登場により子供の数が急激に増加することがありますから注意が必要です。

2019年10月現在のつくし野中学校の学区は以下の通りです。

2019年度つくし野中学校学区/出典:町田市HP

2019年度つくし野中学校学区/出典:町田市HP

行政の学区指定一覧は、どの行政であれ不動産を探す立場からするといつも不親切。せめて該当範囲を地図上に落としてほしいと思います。

そこで、完全に正確とは言えないまでも、一見してイメージしやすいように学区を地図上で囲んでみました。

町田市つくし野中学校学区地図(2019年度)

町田市つくし野中学校学区地図(2019年度)

こうして見ると、つくし野中学の学区は、141号線町田街道を挟んで東急田園都市線の「つくし野」「すずかけ台」駅を擁する北側地区と、「南町田グランベリーパーク」駅の位置する南側地区に2分され、3駅に跨る南北に広い範囲をカバーしていることが理解できます。

地図からは、北側エリアは街区が細かく整備された住居地域であること、反対に南側エリアは、大きな街区からなる再開発地域であることが伺えるのではないでしょうか。

従って、住み手にとっては予算や環境に合わせて様々な選択肢がありそうです。

ちなみに、このつくし野中学校区の東西および南側は、神奈川県に面しています。

北側地区:すずかけ台の並木道 

 つくし野中学校エリアの中で、特に落ち着いた環境を形成しているのが、すずかけ台駅からつくし野中学に向かって伸びる南つくし野エリアです。

南つくし野やなぎ公園並木道/撮影:mommapapa

南つくし野やなぎ公園並木道/撮影:mommapapa

南つくし野地区は自治会の定める建築協約により、宅地面積165㎡以上の2階建て以下の戸建て住宅の建築に制限されているなど、良好な住環境を確保するための制約が多く課されています。

このため世田谷区や目黒区の低層住居専用地域のような落ち着いた街並みが形成されており、高級住宅街の趣をたたえています。 

つくし野中学校はこの静かな南つくし野住宅街の中心にあり、地域や自治体に見守られた安全で穏やかな学習環境と言えそうです。

やなぎ公園から望むつくし野中学/撮影:mommapapa

やなぎ公園から望むつくし野中学/撮影:mommapapa

その反面、このエリアはマンションや賃貸物件が出にくく昔からの定住者が多い住宅街であるため、外から転入する若い子育て世帯にとっては不動産探しだけでなく、自治体や親世代との近所付き合いも含めて、敷居がそれなりに高い地域であるといえるかも知れません。

南側地区:グランベリーパーク

 若い子育て家族がつくしの中学校エリアへの転入を求める場合、最も現実的な地域が、新しく生まれ変わる南町田グランベリーパーク駅周辺ではないかと思います。

この地域はつくし野駅やすずかけ台駅と比較するとマンションや賃貸物件も多く、新しいショッピングモールのオープンと共に都内に持ち家を希望する若い世帯の住宅需要が刺激され、今後ともマンションや街並み開発が進みそうなエリアです。

南町田は田園都市線から半蔵門線に続く都心へのアクセスの他に、長津田から乗り換えて新横浜および八王子方面へ続くJR横浜線、また中央林間から藤沢、江の島へ続く小田急江ノ島線など、東京西地域と横浜地域の中央に位置する立地を活かし、東西南北への鉄道アクセスが豊富です。

また車での移動に関しては、駅近くに位置する町田I.C.から、東名高速および保土ヶ谷バイパスを通じて静岡方面や横浜、横須賀方面にアクセスが容易であると同時に、東名高速と並行して走る国道246号が渋谷から都心方面への実用的なバイパス経路として延びるなど、都心を意識しながら湘南や神奈川、静岡方面へのキャンプやレジャーを重視する家族にはアドバンテージのある立地であるといえるように思います。

画像出典:みなみまちだプロジェクトHP

画像出典:みなみまちだプロジェクトHP

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 都心で働くビジネスマンの都内23区外の郊外居住地としてよく耳にするのは、世田谷区と杉並区に隣接する調布市や三鷹市、武蔵野市が多い印象があります。 

南町田地区は、そうした23区に近い都市郊外型の居住地よりも更に外側に広がるゆとりある環境が魅力的なエリアであり、既存住民と行政と鉄道会社が共同して進める、新しいまち起こしの形として注目を集めるように感じます。

ただ一つ心配の種としては、現在でも他路線よりも相当ハードと言われる西から都心へ向かう田園都市線の朝の混雑が、更に増す可能性があるのかということ。

都心への通勤通学時の電車の込み具合が、この街の再開発の成功や発展と共に更に加熱するのか、そして東急がどのように対処するのか気になる点の一つです。

南町田地区は、東京都に住所を置きつつ、神奈川県の環境や利便性も併せて享受したい家庭にとっての有力な選択肢となるでしょう。この令和の時代の新しい街並みが、二子玉川や武蔵小杉といった都市型タワーマンションの再開発エリアと比較して、若い子育て世代からどのような評価を受けるのか、注目したいと思います。

ではまた次回。