新型コロナとSociety5.0と非接触社会の憂鬱

  新型コロナパンデミックの起源を巡り、アメリカと中国が対立しているのは周知の通りです。

トランプ政権のアメリカでは、これまで陰謀論やオカルト、あるいはネット言論と揶揄されるような情報が、政府の公式見解としてメディアを通じて発信されるようになった印象があります。

それを社会の劣化と見るのかタブーの瓦解として歓迎するのかは別にして、コロナを界に、大きな社会的変化が生じているのは間違いありません。

 

新型コロナに見る情報の揺らぎ

 新型コロナの発生を巡る情報から理解できることの一つは、政府であれマスコミであれネット上の戯言であれ、真実でない情報が多数含まれるという事実です。

例えばコロナの発生原因を巡る情報では、少なくとも以下の4つが発信されており、どの一つも重複して正とはなりませんから誤った情報が発信されていることになります。

  • 自然発生説
  • 武漢研究所発生説
  • アメリカ軍発生説
  • ビルゲイツ陰謀説

常識的には自然発生説を公の場で疑うことはないはずですが、今回は通常であれば陰謀論と呼ばれるような、アメリカと中国それぞれの主張が一般の報道からも普通に流れてきます。

4つ目は日本の主要マスコミでは報道している印象はありませんが、昨年10月にニューヨークで行われた公開イベントを根拠に世界で広まっている疑いです。

Statement about nCoV and our pandemic exercise

In October 2019, the Johns Hopkins Center for Health Security hosted a pandemic tabletop exercise called Event 201 with partners, the World Economic Forum and the Bill & Melinda Gates Foundation. Recently, the Center for Health Security has received questions about whether that pandemic exercise predicted the current novel coronavirus outbreak in China. To be clear, the Center for Health Security and partners did not make a prediction during our tabletop exercise. For the scenario, we modeled a fictional coronavirus pandemic, but we explicitly stated that it was not a prediction. Instead, the exercise served to highlight preparedness and response challenges that would likely arise in a very severe pandemic. We are not now predicting that the nCoV-2019 outbreak will kill 65 million people. Although our tabletop exercise included a mock novel coronavirus, the inputs we used for modeling the potential impact of that fictional virus are not similar to nCoV-2019.

出典:JOHNS HOPKINS健康安全センター

この英文は、”predict=予測、予言、予知する”というキー単語が理解できれば中高生でも読める内容だと思います。

新型コロナ世界感染者数の公表で日本でも知名度が上がったジョンホプキンスが、現在もホームページで公開しているこの公式声明文は、世界から疑いをかけられていることを意識した上で、今回のパンデミックに関与していない潔癖さを自ら表明する宣言であり、逆にビルゲイツというセレブの名前を使って表現される第4の説が、世界的に普及していることの査証となっています。

今回のコロナに関しては、発生している現象やそれに伴う市民生活の不自由も含め、正しい情報や根拠がよく分からない中で、我々一般市民が政府や社会の要求に対して盲目的に従い、パンデミックが過ぎ去るのを黙って待っているという状況にあります。

 

アフターコロナの世界

 医療従事者の奮闘や、事業の先行きへの悲観に暮れる事業主の苦悩や、学校が始まらずに悶々とする子供たちの報道が続く中、新型コロナの登場により、世の中が一瞬で変わってしまったという点については、公私を含めて一般に疑いようのない事実として捉えられています。

コロナ後の世界がどのように変化するかについては、緊急事態の中で我々自身が既に肌で感じていることが大きく反映されていくことでしょう。

例えばソーシャルディスタンスに代表されるような、非接触社会の到来です。

  • ソーシャルディスタンス
  • キャッシュレス
  • テレワーク
  • オンライン学習、会議、交流

こうした非接触型の社会生活は、現在では疑いようのない絶対的な正義として、老若男女を問わず全国民が否が応でも対応せざるを得ない内容となりました。

その中でも、例えばキャッシュレス社会のようなこれまで日本が出遅れていた分野については、便利さや感染症に対する意義が広く認識されたことにより、アフターコロナの世界にも必要不可欠な価値観として滞りなく定着していくでしょう。

 

新型コロナとSociety5.0

 日本では、新型コロナが発生する前に、成長戦略の要として、社会的変革の方向性を示すSociety5.0という言葉がありました。

Society5.0/出典:内閣府

Society5.0とは

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

出典:内閣府

今思うと日本社会でも、この数年の内に、以下のような革新的な技術概念が急速に広まってきた感覚があります。

  • AI
  • 5G
  • IOT
  • ICT学習
  • キャッシュレス

少なくともこれまでの普通の暮らしの中では、これらの情報技術が今後ある程度の時間をかけがながら、少しずつ日本社会に浸透していくであろうという感覚がありました。

ところが今回のパンデミックによって、こうした基礎技術はコロナの禍を抑えるための非接触型社会を支える基礎基盤として急速に生活に浸透することとなります。

例えば、レジのキャッシュレス化や通信教育のタブレット学習などがその例です。

いずれにしても、そうした社会の到来はもはや否定できない事実であり、Societi5.0で想定されたバーチャル世界に非接触が加わることで、今後の社会の方向性が明らかとなる気がします。

 

非接触社会の行方

 これまで日本社会に浸透した除菌フレンドリー社会の状況は、潔癖すぎるという批判が多くありました。ところが現在のコロナ禍の状況は、除菌社会を遥かに通り越して、非接触が是である社会へと変貌しています。

そして非接触を突き詰めていくと、恐ろしい世界が見え隠れしてきます。

携帯の位置情報でさえonにしない身としては、非接触社会の到来は、個人の嗜好や行動が全てサーバ上に蓄積されるという意味において気持ち悪さが残りますが、公衆衛生の観点からくる物理距離の確保のためであれば、時代の変化として何とか容認できるかもしれません。

私自身が警戒しているのは、現在のソーシャルディスタンスのその先に、人と人との接触を恒常的に非とする社会が到来しないだろうかという懸念です。

AIと非接触型社会が行き着く先の未来では、まさか妻が夫と接触することなく子を宿し、子が親と接触することなく育つ社会が現実のものになりはしないか。

その社会は、親兄弟や夫婦や家庭という従来の社会的概念から人々が解放される世界であるのか、あるいは人が肉体そのものを介することなく仮想現実の中で暮らす世界であるのか私には分かりません。

ただ非接触を突き詰めていくと、そのような小説的な世界が現れはしないか。

旧世代の人間としては、男女が夫婦として繋がり、遺伝的連続性を持つ大人と子供が親子として繋がり、血縁が家族として社会と繋がる社会的価値観は、AIが高度に生活の中に浸透した未来にも、人が生きる意味や証として変わらずに残って欲しい。

恋人が、夫婦が、そして親子が、お互いの生身の身体を抱きしめる接触型の社会が消えることなく続く世界。

もし仮に世界が特定のアジェンダに従って動かされている場合でも、人が人に触れるという感覚が排除された社会、そんな近未来映画のような悪夢的な現実が起草されていないことを、ただただ願うばかりです。

緊急事態宣言下のゴールデンウィークにこのような内容を自宅でぼんやり思考していると、なんだか今回の新型コロナの発生が、非接触社会の普及を進める上で非常に良いタイミングで発生したなという感覚が生じます。

本来は、そのような要求に技術的に対応できる時期にコロナが発生した幸運に感謝すべきはずのところですが、何故だかそのような基礎技術の実施目処が見込まれた時期だからこそコロナが発生したかのような錯覚さえ感じてしまうのは、長期在宅の精神的薄弱からくる妄想か、トランプ化する世界がもたらした思考の影響なのかもしれません。

Have a good touchless.

あるべき非接触社会の実現に向けて、一人の親としてまだまだ見守るべき状況はありそうです。

ではまた次回。 

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