コロナ休校の勉強時間、ゲーム時間

 39県で解除されたコロナ緊急事態宣言。

もう優に2ケ月を超える学校の休校も、東京ではもうしばらくは続きそうな気配です。

この間マスコミでは、オンライン授業への対応や学力格差の問題が度々取り上げられ、最近では9月入学への対応に動向が集まっています。

しかしそのような社会的な課題が様々あるのは承知の上で、実際に多くの保護者の方が本当に知りたいことは、自宅で取り組む勉強時間や学習内容が、他の子供たちと比較して多いのか少ないのか、内容が適切であるのか足りていないのか、あるいはオンラインゲームで遊ぶ時間やスマホと関わる時間が長すぎるのではないかという漠然とした不安ではないでしょうか?

そこで今回は、具体的な一家庭の状況として、わが家のリアルな巣ごもり環境について考えてみたいと思います。


ゲーム好き新中学1年生の在宅生活

 わが家にはコロナ休校が始まった際には小学校6年、現在は地元の公立中学1年生となった次男がいます。

東大生の兄ほどではないものの、物事に対してそれなりの理解力をもつ、オンラインゲーム大好きな今時の中学1年生です。

私自身もこの2ケ月ずっと在宅勤務が続き、四六時中家族と間近に接する中で、子供たちの日々の生活リズムは概ね把握しています。

例えば次男のこの2か月の平均的な1日の過ごし方は、以下のようになります。

新中学1年 次男の1日の生活時間

コロナ休校中の1日

この事実を見ると、教育熱心な保護者の方は目を疑うかもしれません。

何故ならば、香川県が条例で禁止する、ネットゲームに類するゲームや動画視聴時間が長すぎるからです。

一覧の中で「ゲーム、動画視聴、音楽鑑賞」は趣味の時間ですから、1日3時間が勉強、9時間が自由時間ということになります。しかもこの9時間は全てオンライン上での活動です。

更に3時間の勉強時間の大半が現在はオンライン学習ですから、結果的に次男は1日の半分、起きている時間の3/4をネットと繋がりながら過ごしていることになります。

しかしこの実態は、何もオンラインゲーム好きな弟に限った特異値とは言えません。

対象となる活動内容の差こそあれ、兄もオンラインで過ごす時間が毎日同じように長いからです。

大学2年生のこの時期であれば、講義数が極端に少ないこともあり、本来であればサークルの仲間との交流を中心に、バイトや様々な活動に精を出しながら、人生において最も輝ける一時期を送るはずのところですが、そうした活動がすべて停止となり在宅を余儀なくされる現在、結果的にSNSを中心に、WEBを通じた社会活動に頼らざるを得ない状況にあります。

ほぼ100%近くを在宅勤務で過ごす私自身も同じようなものです。

それでも大学生の長男はともかく、次男のネットとの関わりが長すぎるのではないかと思うことは正直ありますが、少なくともコロナ禍で自宅待機が続く現在は、黙って状況を見守ろうと考えています。

理由は様々ありますが、一つは短いように見える勉強時間の中で、相当真摯に勉強に向き合っていると感じること、そして次男がオンラインゲームで遊ぶ理由の根底に、友人との交流が目的にあると感じるからです。

大人がオンライン会議や飲み会を行うのと同じように、子供たちはオンラインゲームの中で、学校や屋外で行う仲間との交流を間接的に果たしているのです。

ある時、何かの都合で親しい仲間が全員オンラインゲームから離脱した際に、まだそれほど長い時間ゲームをしていたわけでもないのに次男も止めてしまったということがありました。

その時強く感じたことは、本当は本人も長い時間ゲームをしたいわけではなく、仲間とのコミュニケーションを求めているのだなということです。

自宅待機が続く中で、子供たちは大人からの根拠なき外出自粛要求を静かに受け入れながら、周囲に迷惑をかけることなくストレスや様々な感情を自分なりにコントロールしているのだと思います。

その状況を改めて前向きに評価すると、

  • 勉強: 3時間
  • 交友: 4時間
  • 趣味: 5時間

ということが言えるのかもしれません。学校で仲間との現実世界を過ごす代わりに、ネット上でアバターを介しながら友人とリアルに交流しているのです。

 

オンライン授業とタブレット学習

 新しく中学に進学してまだ1度も学校が始まっていない状況ですが、勉強に関しては1日3時間程度でもそれほど大きな心配はしていません。それなりに集中しながら、やるべきことは押さえてやっていると感じるからです。

学校の授業が行われない中ですが、3月からタブレット講座と塾の映像授業により、中学の学習範囲を学習しています。

現在次男は塾と通信講座の両方を受講しているのですが、これは休校が始まってからそう対応し始めたわけではありません。

運動部に入る予定の次男にとって、どのような学習支援がよいかを探るために、3月から2か月程度の短期間、トライアルとしてどちらも並行してやってみようと考え、年明け早々から準備していたことなのです。

両方試してみて、塾を希望すれば英数国3教科のみ塾を利用。逆に塾が合わなかったり部活が忙しくて通う気力がない場合には、すべてをタブレットに任せようと考えていました。

家計に余裕がない中で、それでも2か月程度であればと始めたところ、開始早々の3月にいきなりコロナ休校となり、長すぎる在宅時間の学習手段として、塾もタブレットもそのまま続けているのです。

幸いなことに、3月の塾代は無料、4月は半額という措置となったため、図らずも大きな家計への負担となることなくタブレット講座と塾の映像授業の両方の学習支援が受けられることとなり助かりました。

学校の授業が全くない中ですが、逆に余るほどの時間があるために、英語などは単語を覚える際に一つ一つ辞書を調べて発音記号を書き出してみたり、自分なりに工夫しながら勉強を進めているようです。

そのように塾とタブレット通信の教材の両方に真摯に向き合っても、1日3時間程度の勉強で済んでしまうという状況です。

 

勉強より大切なこと

 コロナ休校中、子の学習時間が1日3時間程度であるという事実を認識した場合、おそらく多くの保護者が焦るのではないでしょうか。

そしてついつい、もっと勉強しなさいと言ってしまう。

わが家では、中学の勉強が始まる3月から、前月の末に翌月の計画を立てるように求めています。その際には、子が自分で考え設定した内容を説明してもらいます。

次男の立てる計画には、1日の勉強時間を記載するのではなく、どれだけの内容を終わらせるのかという点が記されています。そしてたいていの場合、特に指摘することなく確認のみしてあとは子ども自身に任せます。月に何回か、進捗状況を確認する程度です。

そしてその計画を2か月実施した結果、1日の勉強時間は平均して3時間程度ということが明らかとなりました。

学校に通うことを思えば、圧倒的に短い学習時間であることは確かですが、3時間という時間の長短よりも、本人が予め自らの意志で立てた学習スケジュールと、その計画に対して自ら実施している時間であるという点が重要かなと考えています。

その時間が結果的に毎日2時間であっても6時間であっても、自分で立てた予定に対して真摯に向き合っている時間であれば、親としては特に口出しする気もありません。

次男は毎日勉強時間の3倍にもなる9時間を、教育熱心な保護者の方が最も嫌がるオンラインゲームとYouTubeとスマホの世界で過ごしています。

見方によっては、日々デジタル汚染を受け続けているわが家の子供たちですが、別の見方によってはこれからの時代に求められる基本的なリテラシーを身に着けているのかもしれません。そこに本当はどのような意味があるのか、現在の私には分かりません。

ただ一つ子供たちに言って聞かせているのは、WEB上のコンテンツをただ楽しんでいるだけの立場では社会の中で将来の発展性がないということです。

Youtuberであろうと実業家であろうとどのような形式であれ、自ら情報を発信する側に立たなければ、時代が変わろうとも一消費者から逃れられないことは確かだからです。

しかしそんなことよりも何よりも、現在最も大切なことは、この長い自宅待機時間に、心や体の変調をきたすことなく健やかな心身を保つことではないでしょうか。

だからやるべきことをやった後の時間に、子が自分の意思で何かに取り組む姿勢を見せたのであれば、それが著しく不健全で危険な内容でなければ、親が望む対象でなかったとしても、ある程度許容すべきことではないかと感じます。

親からの指摘を受けないために、勉強しているふりをして無為に時間を過ごすよりは、親の前で堂々と好きなゲームを楽しめる環境の方が健全ではないかと思うのです。

何時間勉強するか、何時間ゲームで遊ぶかは子どもの性格や家庭の価値観により一概に決められないものです。

決められないものを基準にして漠然と不満やイライラを募らせるよりは、思い切って子の判断に任せてみるのも手かもしれません。

わが家の中学1年生は勉強3時間、ネトゲ9時間の毎日です。

それが健全か健全でないかは、誰が決められるのでしょうか。

それでもコロナ外出自粛期間を通じて、次男の勉強への自主性は、むしろ強く育まれているのではないかと感じています。

学習に対しては、今はそれだけで十分な気がしています。

ではまた次回。


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