さよなら安倍晋三。保守と日本の行方

2022年7月8日更新:

G20大阪会場・デジタル経済会議/画像出典:産経新聞デジタル

 安倍元首相が凶弾に倒れました。

私自身は特定の支持政党も政治家もない立場ですが、日本を取り巻く国際情勢を鑑みると、例えばプーチンやトランプとの外交窓口の切り札を失うという意味だけ考えても、安倍元総理が亡くなるのは、日本にとっては大きな痛手だと素直に感じます。

特に今後のロシアとの関係改善において、これまでの立場や経験値が失われる大きさは、計り知れないものと思います。

首相の器

 世界を見渡してみると、好き嫌いは別にして、現在は政治家らしい政治家がずらりと並んでいる時代ではないかと感じています。

プーチン、トランプ、習近平など、日本を取り巻く大国トップの面々は、私自身が成人となってからのこの30年の各国指導者を振り返っても、いかにも厚かましくて曲者ぞろいの役者ぞろいです。

こうした中に割って入って日本の国益を主張する政治家、態度は揚々、国内であれば吹き荒れるマスコミからの執拗な攻撃に晒されても微動だにしない厚かましい面の皮を持つ政治家を探してみても、現状ではなかなか思いつきません。

菅前首相も岸田現首相も、残念ながら国際舞台で日本の顔となるような存在感は感じられません。従来の取り換え可能な一連のサラリーマン首相の一人という印象です。

広く政界を見渡してみても、特に国際社会における外交活動という点では、安倍元首相に匹敵する存在は当面現れる気配はなさそうです。

その経験値はもちろんのこと、諸外国の協力なボスキャラと対峙するために必要な攻撃力や防御力のどれをとっても、大幅な後退は否めません。

保守の政治懸念

 安部元総理が失われたことによる、保守の喪失感は計り知れないほど大きなものであると感じます。

先の通り、難局化する国際社会と日本の関係性において、代わるものがない経験値や人間関係が詰まった器だからです。今後世界政治の中で、特定の権力に盲目的に追従する日本の姿や、あるいは迷走する日本の姿が懸念されてなりません。

私自身は以下のような政治信条に対して危機感を抱いています。

  • 日本語が母語である国家が存続すること
  • 現在の日本の枠組みが継続すること

個人的には日本という国家を、日本語を母語とし、日本的な文化や信条を共にする人々が形成する器として捉えています。

そして日本語を母語とする民族や人々が、地球上あるいは宇宙に継続的に存在すること。これが最初の信条。

そしてその日本語を母語とする国家が、現在の日本の国土や領海が位置する場所に、やはりこれからも継続的に日本文化を維持した国が存続してほしいと考えると共に、神社や天皇や祭りやその他様々な日本文化が存続されるのが、二つ目の信条です。

今後これらの当たり前と考えられることが、非常に不安定になる危険を感じています。

天皇という在り方

 保守の立場であれば筆頭に挙げられるであろう天皇という存在に対しては、それ自体が唯一無二の存在という意味よりも、日本語を維持する枠組の一つという観点で捉えています。

日本語を外圧から守る大きなシールドのような存在、それが天皇制の一つの意味だと感じています。天皇が、日本語以外の言語で語りかけるという状況は在り難いからです。

そしてそのためには、天皇という存在が仕組み以外の恣意的な意思で在るということがない状態、つまり男系男子が世継ぎとなる現在の仕組みの維持が決定的に重要と考えています。

国体の在り方

 人類が地球に住むことができず、地球上の特定の場所へ移住したり、地球外に脱出しなければならないその日まで、日本語を母語とする人々が、現在の日本の枠組みを維持しながら継続的に存在してほしいと願っています。

そこにあるのは、日本人として日本に生まれた者が抱く国家や民族への愛情ということがもちろんベースにあると思いますが、それ以上に、日本語という言語への、愛着以上の特別な思いがあることも確かです。

それは直感的に、宇宙には日本語が必要だと確信している自分があり、天から人類に与えられた日本語という無形財産を、守り維持していかなければならないという意識が強くあるからです。

そして日本語や国体を現在の世界情勢の中で維持しようと考える時、コロナパンデミックの中で示された、岸田総理のグレートリセット推進発言は、そうした信条を脅かす危ういものに違いありません。

その盾となる存在の一人である安倍元総理が亡くなるのは、そうした意味においても非常に残念なことだと感じます。

今後の政局の行方

 いずれにしても、今後しばらく日本の政治状況は、保守界隈を中心に非常に不安定な時期に入るでしょう。

安倍政権の約8年間は、国際社会においては恵まれた天候の中を飛ぶ大型旅客機のような日本であったと今更ながらに改めて感じます。

勿論、国内ではグローバリストによる侵攻が大きく進んだという事実も確かでしょう。その一方で、モリカケ桜のような安穏とした国会を続ける余裕がまだあったからです。

それが現在は、乱気流の中を進む小型飛行機のように、刻々と変わる国際情勢に弄ばれ右に左に大きく期待を揺らしながら、墜落を逃れるように飛ぶしかありません。

その舵を握る岸田政権は、大きな力に盲目的に追従することで、国際社会の中で自ら難しい立場に日本を追い込んでいるとしか見えません。安部元首相のように、大国の要求を受けながら、世界の中の日本の在り方を考える事すら放棄しているように感じます。

安倍晋三暗殺と参議院選

 今回の安倍晋三襲撃は、日本の転換点と言われる参議院選直前に発生した事件です。直後の参院選への影響は、想像以上に大きいと感じます。

特に参政党をはじめとする、新しい保守系諸派にとっての影響は少なくないものと思います。

行き過ぎた日本社会の喪失を是正するための国民的な危機意識の高揚が、今回の事件によってぱっと立ち消えてしまうような、そんな一瞬の喪失感を感じるからです。

今回の事件は、直感的な第一印象としては、個人の単独犯行ではないように思います。

もしそうであるならば、犯人が選挙直前に変えたかった何かは、そうした一般市民の中に眠る潜在的な国民意識の目覚めだったのかもしれません。

前回2019年の第25回参議院選挙投票日の3日前にも、世間を揺るがす大事件が発生しました。京都アニメーション放火殺人事件です。

今回の事件と共通するのは、どちらも顔を晒した41歳の犯人が、人目に触れる中で白昼堂々と犯行に及んでいることです。

  • 7/18 京アニ放火|7/21 参院選投票日
  • 7/8 安倍晋三暗殺|7/10 参院選投票日

このような社会を激震させる大事件が生じる空気が、参院選直前には醸成されるのでしょうか。ちなみに先の2021年衆議院選挙当日には京王線刺傷事件が発生しており、国政選挙の前後に犯罪史上特異な事件が発生する傾向が近年現れています。

そして今回は何より、3m離れた位置から発射された散弾銃の弾丸が、安倍氏のみに命中して命を奪ったことに疑問を感じています。

それはJFKを奪った凶弾と同様に、将来にわたって合理的な解釈を求められる、永遠の弾道命題ではないかと感じます。

安倍晋三元首相。

好き嫌いや政治家としての評価は別として、氏が記憶に残る首相であったことは疑いのない事実でしょう。

その様なキャラクターや経験値が突如として失われることは、日本の国益、特に現在の左傾化する日本社会においては著しい損失であることは間違いありません。

安倍晋三元総理のご冥福をお祈りします。

ではまた次回。