はじめての中学定期テストと内申点

中学初めての定期テスト100点
中学初めての定期テスト0点

 次男にとって、中学で初めての定期テストと内申点が返ってきました。

テストの結果は、5教科9教科共に10番以内には入っているだろうという程度です。

程度というような曖昧な表現で書いたのは、各教科および合計点については明確な順位が示されるのではなく、学年全体の得点分布が開示される中で、自らの点数を頼りに、順位を判断しなければならないからです。

同じ公立中学に通った兄の場合は、5教科9教科ともに3年間ほぼ不動の1位であったことから、毎回難なく順位を特定することができたのですが、今となっては兄の状況が特殊だったということに改めて気づかされます。

それでも、勉強嫌いの次男にしては、本人にとってもそれなりに達成感のある結果であったようで、自分の立ち位置が定まったことで、だいぶ心が落ち着いた様子です。

逆に結果が確定した今となっては、試験での単純ミスを悔しがるような態度を見せるなど、学業に対してそれなりの向上心が芽生えているようです。

入学時には20番以内を漠然と目標に考えていた次男も、今やトップ3に入ることを目指すなど、勉強に対して入学前とは異なる前向きな意識の変化が生じています。

 

中学での著しい成長

 中学に入り半年が経った次男ですが、この期間に驚くほどの進化を遂げていると感じています。

まず何より親としてうれしく思うのは、自らの考えを言葉にして相手に伝えるという意識が現れたことです。

小学校卒業までの12年間は、まず自分から身の回りの出来事を話したり説明すことは皆無であって、しかも親から投げかけるどのような質問に対しても、

「ふつう」「別に」「好きだから」「嫌いだから」

といった数少ない定型的な単語を使って回答するばかりで、会話が続かないのはもちろん、物事に対する興味や関心が低い状況に変化が見られないことから、心配することも度々でした。

ある体験に対する感想を聞いても、ほとんどの場合は、

「ふつう」

と答えるのが常で、たまに好きという前向きな評価が出た場合に、なぜそれが好きなのか?と尋ねても、

「好きだから」

といった具合です。

ところが中学に入ってからは、食事の際には自分から学校での出来事を話すようになり、物事や出来事に対する自己評価や時々の感情の変化を端的に説明してくれます。

親からの質問に対し、自分の意思や感情を的確に説明することができず、というよりはゲーム以外の対象に対してあまり関心や興味を示さなかった次男が、ここにきてにわかに表現豊かな会話を行うことができるようになり驚いています。

そして会話だけでなく、作文に関しても同様の成長が見られます。今までは、

「ぼくは朝起きて、顔を洗って、ご飯を食べて、学校に行って、夜ゲームをして寝ました。楽しかったです」

という具合だったものが、中学夏休みの宿題の読書感想文では、分厚い小説を題材に選んだ上で、書いた文章を見てくれというので読んでみたところ、

「僕は○○を読みました。理由は二つあります。○○だからです。この物語の好きなところは三つあります。○○です。この本を読んで、僕はこれからは○○したいと思いました。皆さんも、是非この本を読んでみてください」

という文章が書いてあり二度驚かされました。初めて次男の論理的な文章構成を見たばかりか、自分の意見が的確に述べられていたからです。

何が次男を劇的に変えたのかは定かではありませんが、コロナ禍の難しい時期にあって、前向きに成長している子どもの姿を見て少しホッとしています。

思えば私自身が中学に入った頃には激烈な反抗期の最中にあり、親と絶対会話しない、ということを信条に生きていたため、結果的に自分の意見を相手に伝えたり他者と折衝する能力や、人から学ぶという謙虚な姿勢が著しく欠落した人格が出来上がるとともに、社会や人間関係から距離を置くような内向きで引きこもりがちな体質が形成され、大人になってからもずいぶん苦労したものです。

このため次男に対しても、自分の意見を相手に伝え交渉し、物事を前に進めるための能力が不足している点について、長らくずっと心配していたのです。

 

コロナ休校中の変化

 3月から6月までのコロナ休校期間中は、自宅で毎日9時間以上にも及ぶネットゲームと動画視聴の日々が続き大いに心配しましたが、6月から登校が再開されると徐々に部活も始まり、相変わらず1日に何時間もゲームや動画を見て笑っている状況は変わりませんが、そうした中でも著しい心身の成長が見受けられ、青年への階段を上りつつあることを実感しています。

勉強に対しては、今ではそれなりに高校受験も気にしているようで、特に偏差値には大いに関心があるようです。自分がどの程度の偏差値かということに対しては、母集団により数字の出方が変わることは理解した上で、自分の立ち位置を意識しています。

都内には公立中学が約600校あります。

学年順位10番では、全都では6,000人の10番以内が存在することとなります。

5番で3,000人、1番だけでも600人存在しますから、都立トップ3校の1学年生徒総数約1,000人の中に入ろうとするには、まだまだ距離がありそうです。

保護者としては、都心の進学指導重点校、日比谷、戸山、青山あたりに入ってくれないかなと思いながら、次男の学習状況を見守っているところです。

本人は、今のところ青山高校辺りを少し意識しているようです。

 

手厳しい内申点

 定期テストの結果は首尾よく一桁台を確保した次男ですが、初めての内申点は40にも達しませんでした。

次男は授業中の態度が悪いというタイプではなく、どちらかというと逆に教師から頼りにされる生徒だと思いますが、それでも9教科のテスト平均点がほぼ9割を確保した状況とは裏腹に、特に実技4科目の内申が伸び悩む結果に終わりました。

兄の場合は3年間ほぼほぼオール5だったため、内申点に関しても最低でも44は確保したいという意識でいたのですが、周囲の保護者の話では、わが家が通う地元中学は内申点が取りにくい学校という評価が定着しているようです。

その中でも特に音楽の評価は厳しいようで、絶対評価にも関わらず、学年でわずか数パーセントの生徒しか5が取れない現実があるようです。

東京都教育委員会が公表している資料を見ると、例えば音楽に関する内申点の分布割合については、都内公立中学全体平均でも内申5の生徒は学年で12.3%という状況にありますから、次男の中学校の内申評価は相当厳しい状況にありそうです。

都内公立中学3年生の内申平均点/出典:都教育委員会HP

都内公立中学3年生の内申平均点/都教育委員会HP

これに対し、内申点が高ぶれしている具体的な例では、あの千代田区の麹町中学の音楽の内申点は、2018年度は実に学年全体の44.9%もの生徒が音楽内申5、2019年度でも34.5%が内申5という驚くべき状況があり、次男の中学とは大きな隔たりを感じます。

内申点評価には、生徒の能力や資質だけでは説明のつかない要素が大いに関係することは確かに一つの事実だと思いますが、それでも現実社会を前向きに生きる者にとって、内申点が思うように取れない場合の対応方法として、教師や学校に対する愚痴や不満をこぼすだけという態度では現状の打開は見込めません。

幸いに、都立高校の場合は1、2年生の内申点は高校入試では評価されませんから、これから先、教師や学校に媚びることのない範囲で内申点確保に向けた対応を行うことが、学力向上と同様に次男にとっては意識すべき高校受験対策ということになりそうです。

そしてそのためには、まずはどのように内申点が評価されるのか、そのルールを把握することが重要になります。

 

モータースポーツと内申点

 都立受験にとって何が大切かといえば、もちろん学力だという点は間違いない事実だと思いますが、ただそれだけでは受験でよい結果になるとは限りません。

例えばモータースポーツの場合、勝敗はもちろん車の性能やドライバーの能力に大きく依存することは間違いないですが、ただその能力が高いだけではレース本番で勝てるわけではないこともまた事実です。

F1などで勝敗を分けるポイントとなるのが、ピットインの回数やタイミングです。

どれだけドライバーが最速ラップを積み重ねても、ピット内での対応状況により、順位は大きく変動します。結果的には、様々な時間の積み重ねによって勝敗が客観的に評価されることになりますから、ピット作業の数秒間も侮れません。

内申点の加味される都立高校入試でも、それに似た状況が発生します。マシンの速さが学力とすれば、ピット内の作業時間などは内申点に当たります。

都立高校一般入試における内申点の影響は全得点の3割であり、その中でも実技4教科の評価が2倍に換算されるということは基本的なルールですから、多くの方が把握している内容だと思いますが、ではそもそも内申点がどのように決定するか、という点については私自身でもほとんど理解が進んでいません。

今回次男の学内順位と内申点が明らかになり、順位から漠然と期待される内申点と実際の点数に開きが生じたことから、内申点評価や評定の方法について興味が高まる結果となりました。

 

内申点評価の仕組み

 内申点の評価に対しては、もちろん客観的な統一ルールが存在します。

中学校での内申点の評価方法は、各科目毎に以下の4つの観点に基づく評価がベースとなります。

  • 関心・意欲・態度
  • 思考・判断・表現
  • 技能
  • 知識・理解

そしてそれぞれの観点の中で、定期考査の得点や授業観察、宿題やレポートの内容といった具体的評価の対象項目が示され、その項目がどの程度重視されるか傾斜を考慮しながら観点毎の得点が決まり、最終的には4つの観点の総合評価として、内申点が決まります。

上記の内容は、中学校入学時に学校から配布される「評価・評定」に関する資料に具体的に示されています。ですから、まずはこのルールブックとなる資料の内容を把握することが大切です。

と、ここまで書いてはみたものの、こうした評価は2020年度で終了します。

2021年度からの公立中学校の内申評価は、新学習指導要領に基づき、4項目の観点が3項目に変更となります。

新学習指導要領・評価の観点変更/文部科学省

新学習指導要領・評価の観点変更/文部科学省

要するに、ルールは先行して決まっているにしても、実際の内申点評価がどのように変わるかについては現状では誰にも分からない段階ですので詳細はここでは触れず、今後の状況を見ながら少しずつ発信したいと考えています。

いずれにしても大切なことは、社会であれば法律を、スポーツであればルールを把握することであり、同様に公立中学校においては、先の「評価・評定」資料を把握することだといえるでしょう。

ラグビーの試合に例えると、残り時間10秒で4点差の場面において、トライを狙わずにペナルティキックを選択しても試合には勝てないということです。その瞬間が訪れた際に、迷わずトライを狙う選択ができるよう、内申点についても評価の基本ルールを把握することが求められます。

 

中学これからの生活と高校受験

 始まってよく分からないまま、いつの間にか半年が過ぎた次男の中学生活ですが、2年後の夏の終わりにはどの高校を志望校として選択しているのでしょうか。

そしてそれ以上に、一人の人間としてどのような成長を見せるのでしょうか。

引き続き在宅勤務がそれなりに続く今の生活の中で、次男の姿を小学校の頃よりも身近に感じながら、これからの成長を見守っていきたいと考えています。

そして次男の内申点が明らかとなったことにより、学校毎にどうやら内申点の分布状況が決定的に異なる事実がありそうだということを理解しました。

その差が地域における生徒の資質の差なのか、学校全体の評価に対する考え方や姿勢の違いであるのか、あるいは教師個人やその他の要因に依存するものであるのか、大いなる興味をもってまた別の機会に確認してみたいと思います。

東京の内申制度が適切なものであるのか、都立高校入試における内申点の扱いはどのようにあるべきなのか、次男の中学生活を通じて考えてみたいと思います。

ではまた次回。

 

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