2021年令和3年度受験生の関心事の一つといえば、受験時のコロナ対応にあるといってよいでしょう。
大変厳しい現実ですが、例えば東京都立中学受験予定の小学6年生は、試験当日に37.5度以上の発熱があると、受験機会を与えられないまま不合格(正確には受験できずに終了)という悲しい現実が待ち構えており注意が必要です。
37.5度のデッドライン
東京都教育委員会の発表によると、2021年度都立入試の感染症対応として以下の対応が行われます。
登校時に受検者の体温をサーモグラフィにより測る。
発熱がみられる場合は、別室等に案内し、改めて体温を測る。それでも発熱がみられる場合、それぞれ以下の対応をする。
都立高校入試と都立中高一貫校入試で共通して行われる対応として、試験会場への入室時に体温測定が行われるということです。
今では公共施設やショッピングモールをはじめ、人が集まる場所にはたいてい体温測定器が設置されていますから、それ自体に戸惑う受験生はいないでしょう。
問題は、2回の体温検査に引っかかった場合です。
都立高校受験生
- 37度以上37.5度未満の場合
都立入試実施要綱・第7に定めるインフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査の受検を促す。
当日の受検を希望する場合は、別室受検とする。
- 37.5度以上の場合
受検は認めず、追検査の受検を促す。
発熱が認められる都立高校受験生には、2つの受験方法が示されています。
37.5度以下であれば、当日試験を選択することが可能です。
37.5度以上の場合でも、後日試験機会が与えられますが、この場合は受験科目が大きく異なるなど入試環境ががらりと変わるので注意が必要です。
追試験については年度が異なりますが、以下の記事が詳しいです。
すべての受験生にとって2021年度受験の心構えとして大切なことは、まずは家を出る前にしっかり体温を測って37度未満であることを確認することです。
試験会場到着時に予期せず体温チェックで引っかかった場合、着席前に相当な時間が浪費されることと、精神的な動揺も小さくないと考えられるからです。
試験当日の体温が高めの場合には、十分な時間的余裕をもって会場に到着することと、実際に検査に引っかかった場合に当日試験を受けるかどうか、自分自身の態度をはっきり伝えることができるよう、予め対応を決めておくことが大切だと思います。
万一の事態に遭遇した場合でも、想定内の対応とすることで、比較的落ち着いて受験に臨むことができると考えられるからです。
特に日ごろから体温が高めの受験生の場合には、37度というサーモグラフの数字に動揺することがないよう、予めの心づもりは必要ではないかと思います。
都立中学受験生
高校受験に対し、都立中学受験の場合には厳しい現実があります。
- 37度以上37.5度未満の場合
別室受検とする。
- 37.5度以上の場合
受検は認めない。
試験当日に37度以上の熱が確認された場合に別室受験となるのは仕方ないにしても、37.5度以上の場合には受験機会が奪われる結果となります。
これは中学受験が義務教育にとって必要不可欠な試験ではないことと、都立中学受験には2次試験の制度そのものがないことに由来すると思いますが、都立一貫校を第一志望として真摯に受験勉強に取り組んできた小学6年生の親子にとっては受け入れがたい現実が突き付けられます。
そのような親子が実際に現れるかどうかは分かりませんが、仮に体温検査で試験機会が奪われるような状況が発生する場合には、その場が言葉のない深い悲しみに包まれるのか、あるいは保護者と学校関係者の間でちょっとした押し問答が発生するのか分かりませんが、判断する側もされる側も、居合わせた関係者の心情を察するに心が痛みます。
入試の最重要課題は体調管理
例年受験シーズンはインフルエンザの流行時期に重なるため、体調管理が重要であることは当然のことですが、2021年度受験では何よりも優先課題となります。
先に見た通り、状況により、受験機会が奪われてしまうからです。
体調が悪く日頃の実力が発揮できなかったり、交通機関が遅れて試験時間が十分とれないなどの大きなハンデを抱える以上に、発熱により試験そのものの機会が失われる可能性があるため、受験生は健康であることが最重要の受験対策となります。
受験勉強のやり残しを埋めるためにラストスパートで寝る間を惜しんで頑張るよりも、試験当日に平熱であるという当たり前の状況の方がとてつもなく重要になります。
こうした状況は、初年度となる大学共通テストにおいても同様です。
大学入試共通テスト
Q.試験当日、体調不良になった場合はどのようにすればよいですか。
大学入試センターのホームページには、共通テストのQ&Aが掲載されており、新型コロナ対策関連についても様々な要求が記載されていますので、予め確認しておく必要があるように思います。
A.試験当日、発熱・咳等の症状があるなど、体調が万全でない場合は無理して受験せず、追試験の受験を申請してください。
「受験上の注意」の「健康状態チェックリスト」の確認項目のうち、他の受験者や監督者等の安全確保のため受験できません。
- A欄で1項目以上又は
- B欄で2項目以上該当する場合は、
大学共通テストでも、37.5度以上の発熱の場合には、受験できない旨の記載があります。ただし共通テストも追試験はありますから、その点が救いです。
このあたりの判断は、入学試験の種類に関わらず、またその他すべての試験や面接等についても、社会共通の要求と考えた方がよさそうです。
そしてもう一点、共通テストでは、試験1週間前からの体調観察が求められています。
Q.「健康観察記録」は必ず記録し、試験当日に持参する必要はありますか。
A.健康観察記録は,試験日の7日程度前から、朝などに体温測定を行って体調の変化の有無を確認するために活用していただくものです。
「健康観察記録」が掲載されている「受験上の注意」を、試験当日に必ず持参してください。
この観察記録は今年初めての対応となるため、もしかすると試験当日になるまで気づかずに過ごしてしまったという受験生も現れるかもしれません。
そして日々の健康チェックは、大学入試だけでなく、中学受験や高校受験生も実施して、試験当日も会場に持参することが望ましいと思います。
理由はこうした記録を日々記録することで、体調管理に対する自らの意識が高まることに加え、万一試験当日に発熱が指摘されるような場合でも、こうした記録を持参していれば学校側も対処がしやすく、かつ入試運用側の信頼を得ることに繋がるからです。
試験当日はマスク持参
そして入試でもう一つ大切なことは、マスクを忘れないということです。
大学共通テストの場合、マスクなしでの受験を認めない旨が明言されています。
大学共通テストでは、試験会場内で常にマスクを着用することが求められています。
マスク(予備のマスク含む)を持参し、試験場内では常にマスクを正しく着用してください。
フェイスシールド又はマウスシールドの着用のみでは、受験することはできません。
マスクを着用せずに受験することはできないため、受験上の配慮申請を試験当日に申し出た場合は、追試験の受験を申請してもらうことになります。
最後の配慮申請については、身体都合上マスク着用が困難な受験生に対する予め申請が必要な特別措置ですが、当日申請を申し出る、要するにマスクを忘れた受験生は受験できませんと明確に釘が刺されています。
これについも今更言及することでもないですが、少なくとも2021年度入試においては、入試の種類に関わらず、マスクを持参することは最低限の対応です。
都立中学受験においても同様の運用が適用されることが、12月25日に追加で発表されています。
受験票は忘れても試験を受けることはできるかもしれませんが、マスクがない場合には本当に受験できない可能性がありますので注意が必要です。
日本と世界の状況を見る限りでは、本年度の受験シーズン中に新型コロナが落ち着くことはなさそうです。
あまりに特殊であまりに不安の多い受験を迎えるに際し、最後に頼れるものは自分の体しかありません。
試験の準備が十分にできることよりも何よりも、試験当日を平熱で穏やかに迎えることが、受験の勝ち組となるための最低条件ではないでしょうか。
いよいよ冬本番到来、小学受験生も中学受験生も高校受験生も大学受験生も、新型コロナがもたらす受験への不安や脅威を乗り越えて、満足のいく試験本番が迎えられることをお祈りしています。
ではまた次回。
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