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2021推薦入試個人面接一問一答

個人面接

 令和3年2021年度の都立推薦入試では、コロナの影響で集団討論の実施がされない旨について、以下の記事でお知らせしました。

この件に関し、実際に本年度の日比谷高校推薦受験生から以下のような趣旨の質問をいただきました。

日比谷高校の推薦入試は、やはり5〜10分延長されるようですが、それに対しどのような対策が必要でしょうか?

コロナにより入試環境が激変している本年度においては、全ての受験生が未知への不安の中で試験に臨むことになります。

例えば大学共通テストにおいて、”鼻出しマスクで失格”という情報が拡散された今、あらゆる試験会場でマスクの着用状況は強く意識されるものとなるはずですし、受験生としては他に合否に影響が及ぶような配慮事項がないか不安に陥るものです。

ましてや推薦入試の合否判定に直接影響を与える個人面接において、従来よりも時間が延長されるという未知の領域に対し、不安が増大するのは当然のことです。

そこで今回は、集団討論が廃止となる中で時間が増加する個人面接がどのように変わるのか考えてみたいと思います。

 

日比谷個人面接時間の増加

 2021年度日比谷高校の推薦入試における個人面接の時間は、本年度と昨年度の同校ホームページが示す通り、実際に長くなります。

令和2年2020年度まで入試

【Q7】個人面接の時間は、どれくらいですか。
【A7】入室・退室時間を含めて約10分を予定しています。

令和3年2021年入試

【Q3】個人面接の時間は、どれくらいですか。
【A3】入室・退室時間を含めて約15~20分を予定しています。

つまり今年の個人面接時間は、例年に比べて5~10分長いことが確定しています。

5~10分という幅を持たせた表現になっているのは、受験生により時間が変わるというよりは、今年初めての試みなので、実際にどの程度の延長になるか学校側でもはっきりしないという気持ちの表れのように思いますのであまり気にする必要はないでしょう。

学校側も未知の対応に不安を感じているのです。

まずはそうした状況と現実を理解して、少し安心してください。先生方も不安を抱えながら、コロナ禍での入試が滞りなく適切に実施されることを願っているのです。

そうした状況を理解した上で、冒頭の受験生の質問を別の言葉に置き換えてみると、

  • 増えた面接時間で行われることは何か?

ということになります。

たかが10分とはいえ、最低でも例年の1.5倍、最大で2倍の時間が追加となる事実を考えると、合否に関わる得点に与える影響は小さくはありません。だからこそ、どのようなことが行われるのか、多くの受験生が知りたいと感じているのでしょう。 

時間を倍にしてまで確認することとは、いったい何なのでしょうか?

 

面接時間を増やす理由

 最大で10分延びる時間の中で、どのようなことが行われるのか?

まず間違いないと考えられるのは、中止となった「集団討論」で行われるはずの評価の観点の補足に充てられるということです。

この点は、推薦入試の評価の観点を確認すれば明らかなことです。

先の記事に記載した通り、

集団討論と個人面接に共通な「評価の観点」は、「①リーダーシップ・協調性」「②コミュニケーション能力」「③思考力・判断力・表現力」の3つです。

集団討論では、面接委員からの求めに応じて自分の考えや意見を述べる場面があります。その際、受検者が、自分の頭で考え、それを自分の言葉で表現する力をみていきます。同時に、周囲の考えや意見に耳を傾け、それに対する自分の判断や意見を伝える力もみていきます。

更に個人面接では「④出願の動機・進路実現に向けた意欲」が評価の観点として加わります。面接委員からの質問に対して、質問を理解し、それに対応した自分の考えなどをわかりやすく伝える力をみていきます。同時に、本校を選択した理由や将来を見通してどのように努力してきたか、していくかといった受検者の意欲をみていきます。

 2020年度日比谷高校ホームページ

要するに、追加した面接時間で行われることは、評価の観点の内、「集団討論」が担う要素である、

  • リーダーシップ・協調性
  • コミュニケーション能力
  • 思考力・判断力・表現力

ということになります。

では具体的にどのような質問や要求が出されるかという点については、東京都教育委員会による以下の観点が参考になります。

集団討論の目的

  • 与えられたテーマについて自分の考えを明確に述べることができるか、
  • 受検者が協力して一つのテーマに関して論理的に討論を行い妥当な結論を導くことができるか
などを確認することを通して、個人面接では把握しにくい、受検者のコミュニケーション能力、思考力・判断力・表現力、積極性及び協調性、バランス感覚や傾聴力などを評価する。 

二つの黒丸の部分が、集団討論により評価すべき内容となります。

 

追加時間で行われる面接形式

 集団討論の実施方法を示す上記二つの内容の内、個人面接で実施可能な運用形式は一つしかありません。

  • 与えられたテーマについて自分の考えを明確に述べる

要するに、これが論理的な答えになります。

日比谷高校に関わらず、本年度の推薦入試において個人面接時間が従来よりも長い学校においては、その増えた時間の中で上記の内容が問われると考えるのが妥当という結論になります。

もちろん実際の対応は当日になるまで分かりませんが、都立入試の場合は入試の運用方法について明確に示されており、すべての学校がその枠組に従った対応が求められるため、学校独自の手法、例えば試験官の前で何かパフォーマンスを行わせるというようなことは難しいと思います。

あくまで一連の個人面接の中で行われる確認ですから、「試験官からの質問とその応答」という形で問われることになるはずです。 

では、具体的にはどのような内容が問われるのか?

受験生が一番知りたいのはこの点であり、「どのような対策が必要か」はその答えに対する準備ということになります。

 

追加面接時間で問われる内容

 さて今まで考えてきたことを総合すると、増加した面接時間の中で問われる内容は自ずと見えてきます。以下の通りです。 

  • リーダーシップ・協調性を確認する質問

なぜならば、上記以外の集団討論の評価の観点、「コミュニケーション能力」や「思考力・判断力・表現力」は、質問の内容に関わらず判断できる能力であり、それを測るために特別な質問を用意する必要のない観点だからです。面接時間を延ばすだけでも、それらの能力を見極めることに対しては有効に働きます。

これに対し、「リーダーシップや協調性」は、正に集団討論の中で確認することが求められる資質であり、通常の質問、例えば個人面接でしか測ることのできない内容である「出願の動機・進路実現に向けた意欲」といった質問では判断が難しいからです。

では、

  • リーダーシップ
  • 協調性

を測るために出される具体的な質問内容は何か?

正直これは誰にも分かりません。国語の試験でどの文章が出題されますか?と同じ種類の質問ですから、当然のことです。

ただし、どのような傾向の質問が出そうか、ということに関してはある程度の予測は可能です。

なぜならば、昨年まで実際に集団討論が行われていたからです。

つまり、本年度個人面接の中で学校が確認したいと考えているリーダーシップや協調性に対する能力を引き出すための設問のエッセンスは、昨年までの各校が集団討論のテーマとして出題した中にあるということが言えるように思います。

そしてその設問を、個人面接向け質問形式としてアレンジした内容が、本年度個人面接の中で問われると考えることが合理的と考えますがいかがでしょうか。

 

2021個人面接プラスαの対策

 仮に私が本年度の推薦入試の受験生あるいは受験生を指導する立場であり、受験校が昨年まで集団討論の実施校であれば具体的に以下の対応を行います。

  • 過去の集団討論のテーマを確認し傾向を把握する
  • その上で、特にリーダーシップまたは協調性を確認するようなテーマを想像し、その回答を予め考える

もし本年度の都立推進入試の個人面接に対し、現在も不安を覚えるのであれば、上記の対応を行うことを提案します。過去の集団討論のテーマは、各校のホームページに掲載があるはずです。

ない場合は、記事の最後に東京都教育委員会の該当ページリンクを貼ってありますので参照ください。

例えば日比谷高校の直近の集団討論のテーマは以下の通りです。

  • 集団の力を高めるために求められることは何か
  • 「今後、日本人に求められているのは ~ 力だ。」
    ~なになにに言葉を入れ、なぜそう考えるのか説明しなさい
  • 自動化されると良いと思うものは
  • 日比谷高校のスローガンを考えてください
  • 中学校で新しい教科を一つつくるとしたら
  • 私たちは何のために学ぶのか

これらの問いに共通することは、特定の考えや正解を引き出すための質問ではなく、正誤に関わらない多様な回答が可能な設問だということです。個人の信条に関わらない中性的なテーマを課すことにより、逆にリーダーシップや協調性といった、評価の観点を浮き上がらせることを目的に設定されているということです。

テーマはあくまで討論を誘発するための仕掛けであって、よほど反社会的で偏った思想から導かれる答弁でなければ、解答の内容そのものは評価される対象ではないということになります。

ところが本年度は、受験生個人の面接の回答により、リーダーシップや協調性を確認する必要があります。

ですから質問の内容に関しては、以下の二つの可能性があると感じます。

  • 従来と同様にテーマが示され、面接官との間で集団討論的な質疑応答を行う
  • テーマ自体はなく、受験生のリーダーシップや協調性を直接問うような質問が出されそれに答える

後者の場合は、自分がリーダーの立場であった場合に課題に対しどのような方針や態度を示すか、あるいは逆にリーダーに誘導される立場であった場合にどう対応するかということが可能性としてあるかと思います。

そしてその際の設問としては、食料問題や環境問題、人口問題といったSDGsに絡むような地球規模のテーマであるかもしれませんし、あるいは学校や家庭といった日常生活で発生するような身近な課題であるかもしれません。

いずれにしても追加の面接時間で求められるのは、質問に対して自己矛盾のない明確な回答を返すということになります。その際、回答そのものが正解かどうかという点は、評価の観点には含まれないため気にする必要はないでしょう。

そういう意味では本年度の個人面接に臨むためのプラスアルファの対策として求められることは、世の中で発生する大小様々な課題に対し、自分自身であればどのように対処するかということを前向きに意識することかもしれません。

そしてそうした資質や態度は、残念ながら一夕一朝で身に付く種類のものでないことは明らかですが、目の前の受験に際しては、そうした状況を理解するだけでも漠然とした不安から解放されるという点で、意味のあることではないかと思います。

受験生は全員同じ不安を抱えています。

そして学校側も同様です。

まずはそのことを理解するだけでも、過度に気負った気持ちを和らげることにつながるのではないでしょうか。

コロナ禍の受験に臨む君の検討を祈ります。

ではまた次回

 

推薦入試各校の過去出題内容

 

コロナで変わる推薦入試

それでも前を向いて歩くために