都立高校男女合同定員枠の影響

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 いよいよ令和4年2022年度の都立高校入試本番が近づいてきました。

今年は何といっても、男女混合合格判定となる男女合同枠導入の初年度ですので、受験生としては、合同枠が男子に有利になるのか、女子に有利になるのか気になるところではないでしょうか。

無意味な総論評価

 そもそも都立高校入試の男女合同枠の新設は、男女別枠入試が男子に比べて女子に著しく不利益だという世間の空気感に端を発し、昨今の行き過ぎたジェンダー思想や多様性尊重という時代背景に後押しされて導入が決定されたものと理解しています。

一般的には男女合同枠は、女子の不利益を解消するものと認識されているようですが、それは都立入試全体の話であって、個々の高校入試における状況はそう単純ではないと思います。

少なくとも、日比谷高校のような偏差値上位の入試においては、直感的には得点力の高い男子に有利になるように感じますが、都立の場合は内申点制度が絡みますので、その感覚も正しいかどうかは分かりません。

一般的に都立上位校入試においては、学力は男子が高く、内申点は女子が高いという傾向で語られることが多いですが、これが事実とすると、重点校の男女合同枠はやはり男子に有利なのかもしれません。理由は、都立入試における試験と内申の合否得点割合は7:3で試験得点の方が判定割合が高いからです。

男女合同枠内申点の影響

 ちなみに、試験と内申点の合格影響力を整理すると以下の通りとなります。

  • 試験1点=1*700/500=1.4点
  • 内申1点(5教科)=1*300/65=4.6点
  • 内申1点(4教科)=1*2*300/65=9.2点

従って試験と内申点の割合は、試験1点を基準とすると、

  • 試験1点=1点(基準)
  • 内申1点(5教科)=3.3点
  • 内申1点(4教科)=6.6点

となります。尚、記載されている数字の意味が分からない場合は、以下の記事をご確認ください。

確かに、内申点の合否影響力は試験の3倍、6倍となりますが、そもそも上位校の場合、女子の内申が高い場合でも男女の平均内申点差が3点も4点も開くということは考えにくいので、内申点よりも試験得点の男女平均点差の方が影響が大きいということが考えられます。

女子が著しく不利と指摘される学校の場合、受験生の得点構成として、女子は真面目で内申点も試験得点もそこそこ、男子は不真面目で内申点も低く試験の得点も芳しくないという状況だと考えられます。

日比谷高校の男女合同枠

 では、具体的なトップ校の例として、日比谷高校における男女合同枠の影響について考えてみます。尚、2022年度入試における男女合同枠の定員は、以下の一覧にある第一段階の10%となります。

都立高校:男女合同定員枠以降イメージ

都立高校:男女合同定員枠以降イメージ

まずは直近の日比谷高校入試における、男女それぞれの入試平均点と平均内申点を確認します。

2019-21年度日比谷高校入試平均点

日比谷高校入試においては一覧から明らかなように、毎年男子の試験得点の方が高い傾向にあります。これを入試判定1,000点満点で比較すると、試験700点満点については以下の通りとなります。

2019-21年度日比谷入試男女得点差

2021年度入試では、コロナの影響で問題が易化した影響があり、得点差の開きが大きくなっていますが、3年平均で見ると男子の方が700点換算で概ね19点平均点が高いことが分かります。

これに対して内申点の平均は、直近では概ね男子で42.0点、女子42.6点という状況です。内申点の場合は5教科と4教科により得点が異なりますので正確には得点差が分かりませんが、女子の方が男子より有利となる最大の状況について得点差を確認します。

内申点の男女得点差が最も開く状況とは、それぞれの平均点の内訳が、

  • 男子5教科オール5
  • 女子4教科オール5

となる組み合わせの場合であり、この時の男女内申平均点の300点換算得点は、

男女内申得点差が最も大きい場合
  • 男子:(25+17*2)*300/65=272.3点
  • 女子:(22.6+20*2)*300/65=288.9点

となり、その差は16.6点女子が高い結果となります。ちなみに逆の場合は、

男女内申点差が最も小さい場合
  • 男子:(22+20*2)*300/65=286.1点
  • 女子:(25+17.6*2)*300/65=277.8点

となり、逆に男子の方が8.3点高い結果となります。

ここでは2つの結果の中央値を採用して、(16.6-8.3)/2=8.3点女子の内申点平均点が高いと考えます。

日比谷における男女合同枠影響

 さて、ここ数年の日比谷高校入試説明会では、男女それぞれの合格ボーダーは「入試平均点付近」とアナウンスされています。

これに従う場合、男女とも不合格者の上位得点者は男女それぞれの平均点辺りということになります。この場合、先の計算で見た試験の男女得点差18.9点(男子有利)と内申点8.3点(女子有利)の差、10.6点分男子の方が有利な状況にあるということが言えると思います。

仮に内申点の男女差が大きい場合は、男子のアドバンテージは2.3点となり、ほとんど差がなくなりますが、やはり若干男子有利な状況は変わりません。

勿論、個々の受験生の得点と内申点の組み合わせは分かりませんので、正確なことは何も分かりませんが、傾向としては、日比谷高校のような偏差値上位校の場合には、男女合同枠はどちらかというと男子に有利に出ると考えるのが妥当ではないかと思います。

志望校受験のすすめ

 今回は、本年度から導入される都立高校入試における男女合同枠について、日比谷高校入試を例にとってその影響について考えてみました。

ここに記載している結論は、あくまでもざっくりとした検証である点、本年度の合同枠は10%であるので決定的な影響は考えにくい点などを考慮すると、現時点では、合同枠の結果はあまり気にせずに、男子も女子も第一志望として目指してきた志望校受験に向けて引続き迷いなく取り組むのが賢明ではないかと思います。

都立男女合同入試枠について、やや煽り気味に報道されているような女子が大幅に有利になる状況は、あくまでトップ校では見られない点について感覚的に理解いただけるのではないかと思います。

受験本番まで残り僅か。

継続するコロナの中で、2022年度受験生のそれぞれの夢が叶うことを願っています。

ではまた次回。