コロナの中で始まった2021年度入試。
都立高校は2月4日に1次出願が完了。12日の出願取り下げを経て15日の午前中には実際の受験校が決定します。
コロナの影響で安全志向が強まるとの声がある中、実際の出願状況がどうなっているのか、23区の進学指導重点校を中心に、入学願書再提出直前情報としてお伝えします。
今回取り上げるのは、以下の学校です。
- 日比谷高校
- 西高校
- 国立高校
- 戸山高校
- 青山高校
- 新宿高校(特別推進校)
尚今回は、情報量が多くなるため男女別々の記事としてお届けします。
本記事は【女子偏】となります。
本記事配信情報の注意事項
2月15日に出願変更受付があるため、本記事の令和3年度の数字はすべて暫定数となります。誤認を避けるため、未確定情報は赤字で記載しています。
本記事作成の2月14日現在、公表されているのは”募集人員”と”1次応募者数”のみとなりますが、現時点での参考情報を示すために、過去の実績に基づき、合格倍率までの全ての数字を見込みとして表示しています。
このため令和3年度の情報については、あくまでも、本年度と過去との傾向を比較するための参考値であることを予めご理解の上ご覧ください。
日比谷高校女子の出願状況
最初は日比谷高校の出願状況です。
今年の入試は高校大学を問わず、コロナの影響で安全志向が強まるという事前の声がありましたが、日比谷女子の1次出願の数字を見る限りでは、必ずしもその指摘は正しくはないようです。
僅かながら、昨年の出願数は下回っているものの、直近5年間は毎年概ね250人前後の出願数でほぼ安定した入試を継続しており、今年もその延長線上にありそうです。
最終的な受験実質倍率は、今年も1.7~1.8倍程度に落ち着くと考えるのが妥当ではないかと思います。
日比谷高校の2021年度入試は、良くも悪くも、例年と変わらず都立女子頂点の闘いとなりそうです。
グラフの根拠となる数字を一覧として掲載します。
西高校女子の出願状況
次は都立西高校の状況です。
西高校は男子はこのところ減少傾向にありますが、女子の志望者数は微増傾向で安定していることが分かります。
本年度も昨年同様、最終的には200人程度の応募者数、実質倍率1.6倍程度の入試となりそうです。
グラフの根拠となる数字は以下の通りです。
国立高校女子の出願状況
では次に、多摩地区の雄である都立国立高校の状況を確認します。
国立女子の状況は、平成30年度から31年度にかけて出願者を減らした以降、平成31年度から安定していることが理解できます。
こちらも西高同様に、最終的には200人程度、実質倍率1.6倍程度の入試になるのではないでしょうか。
戸山高校女子の出願状況
次は往年の伝統校である戸山高校の状況です。
戸山高校は、国立女子と反比例するかのように、平成30年度から平成31年度にかけて出願者を増やした状況で安定しています。
その結果、直近では応募者250人前後、最終倍率も1.8倍程度となり、日比谷高校に近い状況となっています。
青山高校女子の出願状況
次に青山高校です。
青山は立地への憧れからか、あるいは二番手校という狙いやすい立ち位置からか、男子同様過去3年間で志望者が急増している学校です。開催するのかしないのか未だにはっきりしない、東京五輪会場国立競技場の目と鼻の先に位置する学校でもあります。
男子と異なる点は、今年も更に出願者を伸ばしているという点です。
コロナ禍にあっても青山女子の人気は衰えを知らないどころか、ますます加速しているように見えます。
個人的なイメージでは、女子の方が男子よりも入試に対して保守的なイメージを持っていますが、女子受験生の青山への憧れは相当強いものがありそうです。
このまま推移すると、応募倍率は2.5倍を超え、実質倍率も2倍を上回る都立屈指の激戦区となりそうです。
再出願を経た最終的が倍率がどの程度に収まるのか、注目です。
新宿高校女子の出願状況
最後に、進学指導特別推進校である新宿高校を確認します。
新宿は重点校ではありませんが、都心の受験生にとっては、八王子高校や立川高校より現実的な選択としてみなされる人気校の一つです。
ところが出願志望者は、先の青山高校人気の裏返しか、このところ減少傾向が続いています。
青山の激戦ぶりを見て新宿に出願変更する女子生徒が一定数現れるのかどうか、この点も気になるとことです。
尚、新宿高校は単位制と呼ばれる制度の学校であり、男女の入学定員枠の仕切りはありませんので、女子のみの応募倍率は存在しません。
アメリカの性別に対する特異な状況を見る限り、都立高校においても、やがて男女別の定員枠は無くなっていく方向にあるのかもしれません。
新宿の場合は、年度によって女子合格者が多い学年と男子が多い学年が異なります。過去2年間は女子の方が20名ほど合格者が多かったものの、大きく見ると概ね半々に分かれ、極端な男女比の合格差は見られません。
本来、二番手校や三番手校は安全志向の学力上位層と、挑戦志向の学力努力組に挟まれて、志望者の多い人気校となる状況がありますが、新宿高校が1次出願者の数を減らしているという状況は、コロナの心理的な影響というよりは、青山人気の煽りなど、その他の要因と考える方が妥当ではないかと思います。
2021年1次出願時全体状況
これまで見た6校の本年度の1次出願時の状況は以下の通りとなります。
横並びのグラフを確認すると、単純に、都心の学校ほど人気が高いという傾向は男子と同様ですが、青山人気の過熱ぶりが目立ちます。
また同時に、トップ校の中の日比谷1強の状況もについても、男子程極端ではないものの、同様の傾向が確認できます。
今回意外だったことは、女子受験生の方がコロナの影響をあまり受けていない印象を受けることです。いずれにしても、波乱のない、心穏やかな受験が実施されることを願います。
悔いのない出願選択を
2021年度2月15日は、出願取り下げの再提出日となります。
再出願を控える受験生は、1次出願段階での数字の大小に惑わされることなく、当初の出願の理由と、出願取り消しを選択した時点での判断基準や戦略をもう一度冷静に見つめ直し、最終応募結果がどのように振れた場合でも後悔しない納得のいく選択が求められます。
コロナの不自由な中での受験期間も残りわずか。
いよいよ春らしい穏やかな気候が感じられる今、最後まで悔いなく力を出し切れることを切に願っています。
ではまた次回。
2021年度男子出願状況
進学指導重点校の大学進学実績比較
三番手校の進学実績
2020年度入試レビュー