2021年9月25日更新:
自校作成問題が易しくなったという前評判のあった2021年度日比谷高校入試。
3月および夏の学校説明会で公表された入試情報を元に、コロナ禍で実施された令和3年、2021年度の日比谷入試について振り返ると共に、2022年度入試について考えたいと思います。
数学・国語平均点の大幅アップ
まずは入試平均点について確認します。
2021日比谷【男子】平均点
まず男子について、国語と数学の急激な平均点の上昇が目につきます。
特に数学に関しては、直近の6年で最も高い平均点となる68.2点となりました。試験直後から、受験生の間では相当易しくなったという意見が聞かれましたが、その通りの結果となりました。
その他英語は概ね横ばい、理社はどちらも昨年より平均点が微減しています。
自校作成問題の英数国3教科と、共通問題である理社それぞれの合計点をグラフにすると以下の通りとなります。
2021年度日比谷男子の入試においては、国語と数学では実力差が付きにくく、英語はそれなりで、案外理社の出来が最終的な合否の分かれ目になった可能性もありそうです。
理科社会は高校入試という観点からはもちろん、大学入試に向けた基礎勉強という意味からも、真摯に取り組めばいざという際の力になる侮れない伏兵といえるでしょう。
2021日比谷【女子】平均点
では次に女子の状況を確認します。
女子の場合も男子同様に、国数は大幅な平均点の上昇がみられ、数学はやはり過去6年間で最も平均点が高い結果となりました。
理社も男子同様平均点が下がりましたが、英語についても平均点が下がる結果となり、試験直後に英語が難化したと感じたのは主に女子受験生が多かったのかもしれません。
女子も2021年度は国数では差が付きにくく、英語はそれなりですが、理科社会の平均点がどちらも概ね80点という状況を考えると、やはり理科社会への対応が合否の分かれ目になった可能性があります。
女子の場合、理社に関してはまだまだ平均点の伸び代がありますから、この点疎かにしないことが合格を手繰り寄せる近道といえるかもしれません。
男子よりも女子の理社の平均点が低いのは、学力という面よりも、5教科型で国私立高校を併願する受験生が少ないことが影響しているのかもしれません。
2021年入試問題簡易化の意味
さて、男女とも国語と数学の平均点が大幅に上昇したわけですが、この点は受験生のレベルが著しく上がったと考えるよりは、コロナによる入試範囲の変更や受験生への配慮などにより、学校側が入試難易度を下げた結果と考えるのが妥当だと思います。
都立進学指導重点校の自校作成問題は、2017年までは「グループ作成問題」と呼ばれる、重点校が合同で作成する共通問題で運営されていました。現在の日比谷オリジナルの自校作成問題よりも相対的に問題が易しいという評価がありますが、2021年度入試では、この頃の難易度に下がったといえるかもしれません。
3教科得点の推移を見ると、その点が明確に現れています。
そして例えば数学について、SAPIX中学部の入試問題評価を基に他校と比較してみると、実際に日比谷数学が相当取り組みやすい問題だったことが理解できます。
その結果、2021年度は内申点が低く、数学や国語で逆転を狙った受験生にとっては少し厳しい入試だったかもしれません。
ただし2022年度は、入試範囲などコロナ化における特別な入試配慮がないことからも理解できる通り、再び従来の自校作成問題の難易度に戻してくることは確実だと思います。やはり60点を下回る程度が学力試験としては望ましいからです。
そして2021年度の高い大学合格実績もあり、上位私立や国立大附属合格を目指す受験生の日比谷進学希望者が増える可能性も否定できませんので、2022年度は、3教科の平均点が160点台程度となる難易度への対応が必要となりそうです。
夏の学校説明会情報
最後に、2022年度入試に向けた学校説明会情報を記載したいと思います。
受験生が気になる合格点に関する学校側の公開情報としては以下の通りです。
- 内申点の高い生徒が、入試でも高得点の傾向がある
- 平均点のやや下辺りが合否の分かれ目になる
- 理科社会は9割を目指す
これらは、学校が説明会で参加者に伝えている情報ですから正しい情報です。
また非公開の情報ですが、日比谷高校一般入試の平均素内申点は、女子の方がやや高い傾向はあるものの、男女とも概ね42点程度となります。
これらのことから言えることは、
- 素内申点は42以上を目指す
- 入試平均点確保を最低目標とする
- 理科社会は合計180点以上を獲得する
これらの条件が満たされれば十分合格圏ということになります。不足する条件がある場合は、マイナスに応じて入試得点のプラスアルファで補うということになります。
入試平均点については、先の通り2021年度は平均点が高すぎることから、2018年から20年の得点を参考にすることがよいと思います。
その場合、5教科合計で男子は350点、女子は340点が一つの目安になるかと思いますが、具体的には、過去記事を参照いただくとよいと思います。
コロナ2年目の2022度入試はどのような結果になるのでしょうか?
引き続きコロナへの警戒と不自由が続く中、受験のプレッシャーに打ち克って、笑顔の春が訪れることを願って止みません。
ではまた次回。