今回は江戸川区の内申点の状況について考えます。
評価の基準となる、東京都公立中学全体の平均標準内申点は以下の通りです。
この一覧から理解できることは以下の通り。
- 各教科の標準内申点は概ね3.3点
- 9教科の標準内申点は29.8点
- 都立一般入試における標準内申点は、300点満点中の199点
標準内申点がどのように算出されるか理解したい方は、以下の記事をご覧ください。
江戸川区の標準内申点
では、江戸川区公立中学校の内申点状況について確認しましょう。まずは区内全体の平均標準内申点を確認します。
まずは江戸川区全体として、都内全中学平均よりも標準内申点が低いということが理解できます。
素内申で0.7点、都立高校入試における300点内申得点で平均よりも4.5点のマイナスとなります。この数字は、5教科内申点1点分よりは大きく、4教科内申1点分よりは小さい数字となります。
入試ライバルの一つである世田谷区の場合には、標準内申点は都平均+5.2点となりますから、世田谷区平均と比較して9.7点のビハインドとなります。
この点数は入学試験700点満点換算の9.7点と同じ価値がありますが、これを分かりやすく5教科500点換算でみると、7点（9.7/1.4）ほどの開きがあります。
この7点は、5教科の素内申約2点分、実技4教科では1点分に近い開きとなります。
江戸川区の標準内申点ランキング
区全体の傾向を理解した上で、個別の中学校の状況を確認します。江戸川区内33校の標準内申点の高い順に上から並べると、以下の通りとなります。
江戸川区内の個別の中学全体の標準内申点の傾向として、まず初めに気づくのは、都平均よりも高い学校が7校（21.2%）と少ないことです。残りの26校は都平均より低い標準内申点となります。
一覧内の赤線が東京都平均、青線は江戸川区平均の境界を示します。
都平均以上の学校についても、トップの松江第六中学校の+7.9点を除いては全て3点未満となり、平均を著しく上回る学校が存在しない状況が確認できます。
逆に江戸川区内で最も標準内申点の低い小岩第五中学のマイナス15.6点をはじめ、都平均よりも10点以上標準内申点が低い学校が8校あるなど、相対的に内申点の低い状況が伺えます。
一覧を見る限りでは、例えば先の小岩地区に関しては、以下の通り、小岩第一中と第三中が都内平均プラス、小岩第二、第四そして第五中がマイナスであるなど、特定のエリアの標準内申点が著しく高いとか低いといった偏りはあまり感じられません。
逆に小岩地区のように、同じエリアの隣り合った中学校の標準内申点に小さくはない差異が見られることから、学校毎の評価基準にそれなりのばらつきがあるということが指摘できるかもしれません。第五中の数字の低さは突出している印象もあります。
そして区全体として、相対的に低めとなる現在の標準内申点が、生徒の能力を的確に反映したものであるか、あるいは内申評価基準の厳しさを裏付けるものであるのか、これらの情報だけでは分かりません。
実際に江戸川区の公立中学に通う生徒や保護者の方は、どのようにお感じでしょうか。
健闘する日比谷合格常連校
先の一覧内の中学校について、背景がクリーム色の4校、清新第一、西葛西、東葛西および南葛西第二中学については、日比谷高校合格の常連校ということができます。
一覧の内、最上位校となる西葛西中学と清新第一中学の標準内申点は、都平均よりもそれぞれ+1.3点および+2.9点のプラスとなり、ほぼほぼ都平均標準内申点に同じと言える状況にある一方、東葛西中学およびこの一覧の直下に位置する南葛西第二中学はそれぞれ-8.8点および-10.6点のマイナスとなり、内申点の優位性で合格数を伸ばしている訳ではないことが伺えます。
都内全域の中で標準内申点が特に高い学校として名前の挙がる、世田谷区桜丘中学の+35.4点、千代田区麹町中学校の+30.2点と比較すると、内申点の取りやすい状況があまり期待できない中で、なかなか検討している状況が伺えます。
具体的には、例えば西葛西中学と世田谷区桜丘中学の標準内申点を比較すると、内申300点換算で34.1点分の開きがあります。この数字は入学試験500点満点に換算すると24.3点、5教科素内申で見ると実に7.3点もの大きな開きを生じる状況にあります。
こうした状況の妥当性を考えるための基礎資料として、都内中学の内申点を1校1校確認しているところです。
今回は、江戸川区の内申点の状況について確認しました。
9教科それぞれの標準内申点の状況など、個々の中学校の詳細の情報については、また別の機会にお届けしたいと思います。
ではまた次回。
著しく高い桜丘中学の標準内申点
千代田区2校の内申状況
加熱する江戸川区の塾戦争
