超富裕層1%への富の集中と人口抑制

2022年7月8日更新:

ジョージア・ガイアストーン

ジョージア・ガイアストーン

 コロナパンデミックにより世界経済が打撃を受ける中、共同通信2021年12月26日付の記事によると、富の集中と寡占化が加速している状況があるようです。

世界の超富裕層1%、4割を独占

世界上位1%の超富裕層の資産が今年、世界全体の個人資産の37.8%を占めたことが、経済学者ら100人超による国際研究で分かった。下位50%の資産は全体のわずか2%だった。コロナ禍で落ち込んだ景気への刺激策で株式などの資産価値が急騰、格差が一段と広がった。

特に最上位の2750人だけで3.5%に当たる13兆ドル(約1490兆円)超を占め、富の集中は鮮明。研究報告書は「不平等は今後も広がり続け、巨大な水準に達する」と懸念し、富裕層や巨大企業への課税強化が不可欠だと訴えた。

共同通信 2021年12月26日

世界人口を78億と仮定した場合、この記事の示す実際の状況は以下の通りとなります。

世界人口と保有資産状況

短い文章を数値化してみると、なかなか興味深い現実が見え隠れします。

先ず世界人口の0.00004%を占める最上位層2,750人の保有資産は、一人当たり平均で4,727百万ドル、5,418億円となります。

日本の総人口を1億2,600万人とした場合、世界人口の1.6%に該当しますから、単純計算では日本国内にも44人この層が存在することとなりますが、この辺りは世界のパワーバランスが大きく左右すると思われますので、実際の有無は分かりません。

そして超富裕層と呼ばれる人々の資産は160万ドル、187億円となり、世界人口の1%とはいっても7,800万人も存在することになります。同じく日本には126万人もの超富裕層が暮らす計算になり、社会構造の要所を押さえていると思われますので、庶民がいくらSNSで格差に対する不平を声に出してみても、世の中の枠組みが変わらない理由がしみじみ理解できます。

そして世界人口の半数を占める一般層は、それでも平均資産670万円を有しており、持ち家を含めた総資産としては何となく妥当な金額であるように感じます。

下位50%の人々は平均資産22万円となり、日本国内であれば、持ち家も十分な貯蓄も持たず、日々の生活を維持することが精一杯といった貧困問題が想起されます。

そして、世界全体での一人当たりの平均保有資産は550万円となります。世界で暮らす全ての市民の保有資産が等しくこの金額であれば、世界中が中間層としてそれなりの家庭生活を維持しながら暮らしていくことができるのではないかと感じます。

習近平の「共同富裕」と日本

 現在、習近平が中国国内で進めているとされる「共同富裕」という政策は、この共同通信社の記事をベースに考えると、具体的には行き過ぎた富の集中を解体し、国民全体を資産550万円程度の中間層とすることを目標にした改革ではないかと考えられます。

20世紀の日本では、既に世界に先駆けてこの一億総中流化が実現した世界が形成されていました。治安が良く安全で、地域社会全体のコミュニケーションも機能した、今思えば楽園のような昭和世界のノスタルジーです。

よく指摘されるように、21世紀の幕開けとなる2001年から始まる小泉内閣と竹中平蔵氏の構造改革により、この世界に誇る日本の共同富裕社会は見事に解体されました。

現在の世界は、人口の0.00004%の人々の暮らしを支えるために、人口1%の超富裕層が社会を監視しながら、99%の一般庶民と下位層を使って成り立つ社会だと言えるかもしれません。

そして、2020年の米大統領選から一般用語として耳にする機会が増えたDS(ディープステート)という言葉は、正にこの1%と99%を分ける仕組みだと考えると分かりやすいと思います。

かつての公平で豊かな日本社会を取り戻すためには、126万人の1%の意識を変える必要があると考えれば、その困難さが改めて理解できるというものです。

そしてだからこそ、アメリカをはじめとする先進諸国において、社会の行き詰まりを感じる若者を中心に、共産主義のイデオロギーに傾倒する者が増加しているのだと考えると、それなりに理屈の通った社会状況であるようにも感じます。

世界の若者は皆、わが家の子どもたちも含めて誰も経験したことのない、平成の初期まで確かに日本に存在した社会共同体に、潜在的な憧れを持っているのです。

地球環境と世界人口の抑制

 世界の富の集中を考える際に同時に語られることが多い命題として、大きくなり過ぎた経済規模がもたらす地球環境への負荷とその削減に関する課題があります。

世界人口78億人が、平均資産550万円を持ちながら経済活動する現代社会は、地球にとって負担が大きすぎることは、直感的に理解できることです。

そして、その際に優先課題となるのが、増えすぎた世界人口の抑制です。

この人口の抑制が語られる際によく陰謀的に登場するのは、米ジョージア州に立つガイアストーンです。この石碑は陰謀世界の空想的産物ではなく、現に大地の上に存在する石碑ですが、石板上に刻まれた10あるガイドラインの内、冒頭に掲げられた人口抑制に関する次の言葉が、世界的陰謀であるとして物議の的に上がります。

Maintain humanity under 500,000,000 in perpetual balance with nature.
(自然との永久的共存のため、人口を5億人以下に保つ)

この一文の存在は、いわゆる世界の支配層と言われる人々が、78億ある世界人口を5億まで削減しようと目論んでいるという根拠として度々登場します。

仮にこのような計画が実際にあると仮定した場合、世界人口を5億に抑えるためには、実に地球上の90%以上の人々を抹殺することが必要となります。過去の世界大戦を見る限りにおいては、どのような戦争であっても、世界経済や地球環境に負荷をかけずにそれほど膨大な人口を減らすことは易しいことではないのは明らかです。

地球人口5億人の経済規模

 では仮に、地球環境への負荷を軽減するために、世界人口5億が今突如として実現したと仮定した場合の世界の保有資産状況を確認してみます。世界の支配層が目指す施策とし、下位層を削減する前提での試算となります。この際、失われた人々の保有する資産は、引き継がれずに経済活動の抑制として無に帰すると考えます。

世界人口5億人の場合の保有資産状況

この一覧から理解できることは、単純な引き算で明らかな通り、世界人口を5億とするためには、73億人もの一般市民を排除しなければならないという事実です。単純計算では、日本人9,200万人が失われ、超富裕層を中心に日本人口630万人のみが残る結果となります。

そしてそれが実現した場合に抑制される世界の資産は206兆ドル、2万3,650兆円規模となり、現在のちょうど半分程度の経済活動圏が実現します。

経済活動が現在の半分程度になれば、気候変動や食糧危機をはじめ、人類の未来に重くのしかかる危機的課題の多くはクリアできるのかもしれません。

世界の最上位層が、人類と地球の将来を冷静に見据えた場合、そのような考えに至ることは分からなくもありません。口減らしは確かに環境負荷に直接的に大きな効果のある方法だと思うからです。

しかしながら、人類と地球の未来のためという使命があったとしても、73億人もの一般市民を消し去るのは、倫理的な問題を除いても、やはり現実的な計画ではないように思います。

超富裕層の粛正

 逆にもし仮に、先の試算の通り、現在の経済活動を206兆ドル、日本円で2万3,650兆円縮小すれば人類と地球環境が適切に共存できるバランスを保つのであれば、その最適な方法は、73億の一般庶民の人口削減に限ったことではないはずです。

むしろ、一人当たり下位層の248万倍もの資産を保有する最上位層と超富裕層の経済活動を見直す方が、もっと現実的で効果的な持続可能な社会を得るための方法論が成り立つはずです。

そこで、世界資産の55.6%である206兆ドルを削減するために、最上位層の行き過ぎた生活を優先的に粛正する場合の数字を計算してみます。

地球環境負荷軽減のため上位層削減の保有資産状況

この場合、引き続き24億人という大きな人口抑制を行わなければならないことには変わりませんが、先の世界人口の93%以上を削減する悪魔的な計画と比較すれば、全体の2/3を残し、1/3が犠牲になるこちらの方法論は、ヒロイックな映画の脚本にも登場しそうな範囲の、多少なりとも人道的で献身的人類愛により計画可能な内容に思われます。

そしてその場合、残された世界人口49億人が、平均保有資産154万円を所有しながら、今よりは牧歌的風景の中で暮らす世界が訪れます。環境負荷の増大による人類存亡の危機が明らかとなった暁には、最上位層と超富裕層の行き過ぎた権力や豊満な生活を手放すことは、実現可能な人類の選択肢の一つなのでしょうか。

富と権力への執着の果てに

 もし仮に、世界の最上位層や超富裕層の集団意識がそのような人類への利他的で献身的対応に応じない場合、彼らは、多くの地球市民がその事実に気づく前に、自らの立場を維持するための施策を進めるかもしれません。自らの権力や暮らしぶりはそのままに、地球との共存を図るための人口削減計画です。

その場合に考えられる施策としては、まずはこれ以上世界人口が増えないために、出産数の抑制が重要になるに違いありません。

そのためには、女性が母親としてではなく、生産人口の一人として機能する社会を実現しなければなりません。そして子を産み育むことが負担である社会、その前に、男女が愛を育み、共に暮らし生活を営む価値観そのものを変える必要があるでしょう。

もしかすると、父と母、祖父と祖母、親子や親戚関係自体が取り除くべき社会構造であるかもしれません。民族や祖国、愛国心といった価値観も、彼らの計画を阻害する不要な価値観となるでしょう。

その行き着く先は、映画「2300年未来への旅」に描かれたように、親子や夫婦という関係性を持たない個々の人間が暮らす、AIが管理する人工社会。そこでは30歳を迎えた者は強制的に抹消されるという法律に基づき人口調整が行われる世界です。

2021年世界人口年齢別構成

世界人口年齢構成/出典:PopulationPyramid.net

現在の世界人口の年齢別構成を確認すると、30歳未満が全体の56.5%、78億に換算すると44億人となり、先の二つの人口削減計画の内、マイルドな選択肢に近い数となり、それなりに未来を予見した映画であるようにも感じます。

そして世界の支配層が、自らの権力や資産を手放すことなく世界を再設計しようとしているならば、今現在、既にその歩みは着々と進んでいるのかもしれません。

多すぎる人口を削減するために、ミサイルや核兵器を使用するのではなく、もっと静かで穏やかに、世界中の一般市民を同時並行的に巻き込んだ、人々が納得して受け入れるような、それとは気づかれにくい方法により、密かに出産を抑え、人口を削減することが進められているのかもしれません。

世界的なパンデミックの中、そのような計画は実現可能なのでしょうか?

これまでの人間らしい生活を維持するために、今こそ社会構造や身の回りの変化に意識を向ける時なのかもしれません。

ガイドストーン崩壊後の世界

 そして2022年7月6日、世界人口5億を掲げたガイドストーンは突然何者かによって破壊されました。

このモノリスの崩壊が、マネーで人々を支配する世界構造の終わりの始まりを示唆する一筋の光であることを願って止みません。

ではまた次回。