高校受験を迎える次男が、3年生1学期の通信簿を持って帰りました。
本人はやってしまったと考えているようです。
その理由は肝心の主要5教科の内申点が過去最低となってしまったことで、2年の時よりも成績が下がったからということです。
その状況をまとめると、以下の通りとなります。
次男の内申点は概ね39~40辺りで安定的に推移していることが分かりますが、確かに5教科は、2年の3学期から3ポイントも下がり、過去最低の21点です。
本人曰く、今回は4教科を頑張って5教科には時間を回せなかったという言い分ですが、確かに4教科については過去最高の18点を獲得しています。5が増えたからです。
1、2年生からの内申点が加味される行政が大部分の公立高校受験において、東京都は珍しく3年生のみの内申点が入試の得点として反映されますので、3年の内申点は受験生にとっては死活問題。その結果に一喜一憂、躍らされます。
印象より内容重視の内申点
悔む本人の気持ちとは裏腹に、都立高校入試という観点で冷静に次男の内申点を眺めてみると、実は思っているほど悪い状況ではないことが理解できます。
尚、一般入試と推薦入試では内申点の取扱いが全く異なるため、今回は一般入試の内申点のみについて考えます。
実際の入試内申得点を確認してみると、以下の通りとなります。
一見崩れたかに見えた次男の内申点は、都立一般入試という観点で見ると、何と過去ダントツの最高得点を獲得しています。
逆に5教科内申24点、9教科合計40点でこれまでの最高内申点だったように見える2年生の3学期よりも、落ちたかに見える今回の方が、入試判定得点で5点、同じ内申39を取った1年生の2学期と比較すると19点も上げています。
実際には本人の意図した通り内申得点を上げる結果となったのですが、そのような状況にあるとは露知らず、5教科の崩れ方に焦っていたいう訳です。
都立入試の内申点換算ルール
このような数字のトリックが成り立つのは、都立高校一般入試では非受検科目(5教科受検で4科目、3教科受検の場合は6科目)の内申が2倍に換算評価されるためです。
詳しい説明は以下の文章に任せますが、目安として、都立入試における内申点1点は、入学試験の得点と比較すると、
- 入試科目で3.3点(換算後4.6点)
- 入試対象外科目で6.6点(換算後9.2点)
分の価値があることを認識するとよいと思います。
数字の意味がよく理解できない場合は、以下の文章を合わせてご覧ください。
このため2年の3学期と比較して5教科内申を3点も落としたものの、4教科内申を2点(=5教科の4点分)上げたため、最終的に5教科内申1点分を増やす結果となったのです。
本人の意図としては、5教科内申は24点辺りをキープして、実技4教科のみ上げる皮算用だったのだと思いますが、蓋を開ければ本人の想定とはだいぶ異なるものの、最終的には過去最高得点となり、何とか結果オーライで落ち着いたという訳です。
一般入試における内申の妙
次男で起きた内申点の逆転トリックは、都立高校入試における面白くも怖いところであり、内申45点満点の生徒を除くすべての受験生にとっての悩みどころになります。
ちなみに今回の次男の内申39の入試得点は、5教科オール5で4教科オール4、内申41点の生徒と同じ得点、換算内申点で見ると同じ57点になります。
同様に、実技4教科がオール5であれば、5教科合計が17点、内申37点でもやはり同じ得点になります(4x5x2+17=57)。
ですので、一概に45点満点の内申点で一喜一憂しても意味がない理由が今回の実例で理解いただけたのではないかと思います。
次男のケースで見ると、5教科内申点は1年生からジワジワ点数を下げている状況ですが、逆に4教科が確実に上がってきたことで、入試制度上の得点としては底上げされていたことになります。
本人へのアドバイスとして、2学期は4教科は維持したまま、5教科内申を2点上げると良いという声を掛けました。
実際5教科の内申はギリギリ5が取れないという科目が多いため、本人にとっては2学期に向けての現実的な目標ですし、初めて親の言う言葉が腑に落ちた様子です。
もちろん、実際の5教科入試科目の実力が下がっていては元も子もないですが、その点は大丈夫でしょう。部活も終わり、夏休みにしっかり上げて来るでしょう。
内申得点確認のススメ
夏休みを迎える受験生の君の手元には、1学期の通信簿があると思います。
この機会に、単純な45点満点の内申点に一喜一憂するのではなく、実際の一般入試での得点に換算してその得点力を確かめることをお勧めします。
それにより、夏休みの段階で自分の現在の立ち位置を知り、志望校合格に必要な得点力とのギャップを把握し、夏休み以降の学習の指針に役立てることができます。
特に、トップ校やその他進学指導重点校、特別推進校などを目指す受験生で、実技4教科に内申3が含まれる場合は、自分が思う以上に足を引っ張る可能性がありますので注意が必要です。
確認するのが怖いという結果になっている場合は、むしろ今の内にしっかりと状況を把握した方がよいと思います。
内申点を今把握する3つの理由
都立高校受験生が1学期の内申点を夏に確かめること。その意味は、
- 45点満点内申点に一喜一憂しない
- 合格想定点とのギャップを知る
- 夏休み以降の学習の指針に生かす
つまり、この夏から秋冬にかけて訪れる、受験勉強本番に備えて自分の立ち位置を冷静に知るために、極めて重要な情報の整理ということになります。
夏の段階でこれらの点を一度冷静に把握するか否かは、この先の受験勉強と学校の定期考査対策にとって、小さくはない気付きをもたらしてくれるはず。
入試までの限りある時間をどのような対策に投下するのか、それを考えるヒントとして1学期の内申点を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
内申点の「評定」と「評価」
内申点を見つめる際には、結果としての「評定=内申点」と評定の基準となる「評価」を意識することが大切です。
各科目の評定判断については、
- 知識
- 思考
- 態度
の3つの評価項目から成り、それぞれA~Cまでの3段階の評価が記されています。
この評価を確認することで、
- 内申点が上がりそうか、下がりそうか
- どの教科に取り組むべきか
- どこを改善すればよいか
ということが見えてきます。
今回の5教科内申に対して、ギリギリ5が取れないと先に書いたのは、この評価判定でトリプルAにも関わらず内申4の教科が複数含まれるためです。
次男の場合、定期試験当日の点数が評定5の最低基準を下回ってしまった結果、5が取れずに4になってしまった可能性が高いことから、その科目は5に復活する可能性が十分見込まれるということです。
今ある内申評定を1段階上げ易い状況なのか、あるいは逆にギリギリセーフで下がり易い状態であるのかなど、この評価のA、B、Cの状況も合わせて確認することで、提出物なのか授業態度なのか、あるいはテストの点数なのか、この先の内申点対策をより戦略的に考えることが可能となります。
もし仮に、各教科の内申点と合計点を確認しただけの状態で、通知表を机の上や神棚に上げたままになっている場合は、今一度通知表を開き直して様々分析し直してみてはいかがでしょうか。
彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず。
内申点の状況と自分の実力をしっかり把握できれば、都立高校入試は徒に恐れるべき対象ではないのかもしれません。
ではまた次回。