来春2023年度の都立高校入試から、英語スピーキングテストが導入されます。
大学入試改革では早々に消えたスピーキング試験ですが、都立高校入試では実際に入試合否の得点として導入されることになります。
ネット上では批判も散見される民間事業者委託のテストですが、一般入試を受験する場合は好むと好まざるとに関わらず、その影響を避けることはできない状況です。
今回は、わが家の次男も巻き込まれることになったこの新しい技能試験について、入試結果にどの程度影響するのか考えてみたいと思います。
スピーキングテスト実施要項
- ESAT-Jを受験
- 令和4年11月27日(日)
都立スピーキングテストは、ESAT-J(イーサットジェイ)=English Speaking Achievement Test for Junior High School Students と呼ばれる評価体系に基づくテストであり、2月の入試を待たずに11月末の日曜日に一斉に行われます。
テストの中身はここでは省きますが、結果として20点満点をA~Fの6段階の評価に分けて得点付けする仕組みです。
- A=20点(満点)
- B=16点
- C=12点
- D=8点
- E=4点
- F=0点
スピーキング20点の加算方法
受験生や保護者の方の最大の関心事は、テストの内容もさることながら、スピーキングの得点が合否判定にどの程度影響するか知りたいということではないでしょうか?
その心は、影響の大小により、テスト対策を敢えて行うのか無視するのかを判断したいという気持ちがあるのだと思います。
私自身も全く同じ気持ちです。
スピーキングの20点は、以下のルールで合否判定に加算されます。
- 学力試験:700点
- 内申得点:300点
- ESAT-J:20点
- 総合計点:1020点
つまり2023年に入試から、これまで1000点満点だった一般入試の満点が、1020点に変わることになります。
ただしこの事実を知ったところで、スピーキングの影響が大きいのか小さいのかは全く分かりません。
そこで今回は、ESAT-Jの得点が入学試験の得点および内申点と比較してどの程度の価値があるのかについて確認したいと思います。
尚、推薦入試および後期・二次募集については、スピーキング結果は反映されないことが教育委員会のQ&Aに明記されています。
Q2︓都⽴⾼校の推薦⼊試を受ける場合も、ESAT-J結果は活⽤されますか。
A2:活用されません。分割後期募集・第二次募集以降の選抜についても、同様に活用されません。第一次募集・分割前期募集においてのみ、活用されます
出典:東京都教育委員会資料
同様に、入試に英語が課されない場合も得点反映対象外となります。
スピーキング1点の試験価値
ではまず、スピーキングテスト20点が、入試学力試験の得点何点分に相当するかを考えます。
これを確かめるためには、最終的な1020点満点の合否判定得点20点を獲得するために、テストで何点取る必要があるかを考えればよいということになります。
学力試験の換算得点
- 100点x5教科=500点 ⇒ 700点換算
学力試験は500点満点を700点に換算しています。
つまり、テストの点を「700/500=1.4倍」していることになります。ですので、逆に合否判定得点20点の価値は、
- 20/1.4 =14.3(四捨五入値)
概ね15点分ということになります。
入試テストの15点分というのは、なかなか大きな影響のように感じますが、冷静に考えると、同じ学校を受験する生徒間で、例えばAとFのような大きな差がつくとは考えにくいです。
実際には、失敗しても2段階8点の差というところではないでしょうか。
この点を考慮して、1ランク4点の価値を考えると、
- 4/1.4 =2.9点(四捨五入値)
ということになります。
上位校の生徒は当然Aの獲得が目標だと思いますので、Bの場合はテスト3点分、Cで6点分の差が開くと把握しておけば十分ではないでしょうか。
スピーキング1点の内申点価値
では次に、ESAT-Jを内申点と比較した場合の価値を考えます。
内申点の場合は、主要5教科と実技4教科により扱いが異なるので少し複雑です。
- 主要5教科x内申5 =25点
- 実技4教科x内申5 =20点
- 内申満点 =45点
9教科内申満点が45であることは十分認識していることと思います。
一般入試の場合は、実技4教科を2倍して換算得点とします。
- 主要5教科 25x1倍 =25点
- 実技4教科 20x2倍 =40点
- 換算内申満点 =65点
内申点の換算得点
- 換算内申65点 ⇒ 300点換算
つまり、換算内申点を「300/65 = 4.6倍(四捨五入値)」していることになります。
ただしこの数字は主要5教科の場合になりますので、実技4教科の場合は2倍して、9.2倍(四捨五入値)となります。
ですので、逆に合否判定得点20点の価値は、内申点1点と比較すると、
- 5教科:20/4.6/5 =0.9(四捨五入値)
- 4教科:20/9.2/5 =0.5(四捨五入値)
となり、5教科で内申点1点分、4教科で内申点0.5点分の価値ということになります。
先と同様に、A~Fの差分比較で1ランク4点分は20点満点に対して1/5ですから、
- 5教科:0.9/5 =0.2(四捨五入値)
- 4教科:0.5/5 =0.1(四捨五入値)
ということになりますが、こちらの数字はあまり意味がないかもしれません。
スピーキングテストの価値まとめ
都立入試初となるスピーキングテストは、結局のところ以下の影響となります。
- スピーキング20点の価値
=入試テスト:14.3点分
=5教科内申 :0.9点分
ただし得点差で考えると、
- ESAT-J 1ランク差 =約2.9点
となります。
以上のことから、全体像を捉える意味では、ざっくりと、
- 英語の内申点が6点満点になった
- 1ランク差でテスト3点分の差
という程度の認識でよいと考えます。
以上、スピーキングの結果差が大きいと考えるか小さいと考えるかは受験生本人次第。
特別の事前対策をするかしないかを考える上での参考情報となれば幸いです。
尚、初めてのことですので、ここに記載された内容に誤りがある場合はお知らせいただくと助かります。
スピーキングテストは、11月末には実施されることが決まっています。
初めての試みに、受験生ばかりでなく学校の先生や教育委員会を含めた運営側も緊張しているに違いありません。
初となる英語実技試験がどのような結果となるのか、改めて確認したいと思います。
ではまた次回。