文京区立誠之小学校のデザイン新校舎

文京区誠之小学校新校舎(工事中)

文京区誠之小学校新校舎(工事中)

 文京区誠之小学校の新校舎を訪問しました。

誠之小学校は1875年、明治8年創立の歴史ある小学校です。

2018年の公開授業の様子をお伝えした以下の記事では、新校舎開校は2020年予定となっていましたので既に新校舎を利用していると思っていましたが、コロナの影響か、2023年7月現在もまだ工事が続いています。

攻めたデザイン校舎

 姿を現した新校舎を一目見て最初に感じたのは、

  • 公立小学校としてはデザインを相当重視した学校だ

という印象です。

どの点がそのように感じたかというと、

  1. RC打放にブラックサッシが採用されている
  2. 全面柱型も垂れ壁もないサッシ面が連続している
  3. バルコニー手摺が細い(間に半透明板が入るのでしょうか?)
  4. バルコニー床と下階の軒が最小限の厚みでキャンティスラブ(下支えのない片持ち床)となっており、しかも軒と教室内の天井面が一直線になっている(ように見える)

工事中の誠之小学校教室棟

工事中の誠之小学校教室棟

以下の2018年当時の当初設計案を見ると、正門を入った右側の教室棟は、教室毎に柱型で区切られたオーソドックスな構造となっているのが分かります。

勿論安全面への配慮は盤石だと思いますが、設計者は、教室等についても大分攻めたデザインを採用したなという印象です。

誠之小学校改築基本設計

誠之小学校改築基本設計

音の問題や夏場の日差し、冬場の窓面の冷気などは問題ないのでしょうか?

学校の本分である、生活と授業が落ち着いてできればよいなと思います。

東京帝国大と誠之小

 誠之小学校区は、東大キャンパスと接しているため、明治の文明開化期より関係する研究者や知識人、文化人などが多く住み教育クラスターを形成した地域です。

例えば夏目漱石の旧宅も、現在の誠之小学校区内ではありませんが、吾輩は猫であるを執筆した”猫の家”としてこの地に残されています。

その中でも特に西片エリアは、以下の通り、誠之小学校と共にブランド化していきます。

本校には戦前より都下の有力者の子弟が学区を超えて集まり、その多くが一高→帝大コースを歩んだ。

学区の西片に居を構えることそのものが日本を代表する最高の「エスタブリッシュメント」であったことから、選抜試験を施さない公立小学校でありながら都内有数の名門小学校として知られ、帝大教授の子弟や貴族院議員の係累、子爵の末裔まで、およそ日本の上流階級が好んで集った。

現在でも、番町小や麹町小、青南小や白金小などと共に名門公立小学校として知られ、そのうち番町、麹町と共に小学校「御三家」と括られたこともある。

出典:Wikipedia「文京区立誠之小学校」

誠之小学校と誠之館高校

 そもそも誠之小学校は、徳川幕府の譜代大名であった備後国福山藩の藩校であった”誠之館”から取られた名称です。

1875年(明治8年)、文京区内では3番目の小学校として備後福山藩丸山中屋敷(江戸の藩邸)に設立された。当時の学校名称は、「第一大學區第四中學區第十三番公立小學誠之學校」であった(後に東京市立誠之小学校)。

これは、儒教の書「中庸」の「誠者天之道也、誠之者人之道也」(誠は天の道なり、これを誠にするは人の道なり)という一節から名づけられたもので、現在も「誠之人道」を校是としており、これは本校の礎とも言える福山藩校の誠之館と共通であり、またこの名前は誠之館開設者で当時の福山藩主で幕府老中筆頭であった阿部正弘と親交の深かった水戸藩主徳川斉昭の命名による。

出典:Wikipedia「文京区立誠之小学校」

 誠之小学校のルーツは、現在の広島県福山市にある県立福山誠之館高校にあり、現在も姉妹校のような関係が続いています。

誠之小学校学区

 公立小学校である誠之小学校に通うためには、当然ながら指定学区内に住居を構える必要があります。

現在の学区を地図上に落とすと、以下のオレンジの線で囲まれた範囲となります。

文京区誠之小学校学区(オレンジ)

文京区誠之小学校学区(オレンジ)

公立小中学校は、新校舎が設立されると生徒が新しい学校の方に集中する傾向があります。

誠之小学校はただでさえブランド化した人気小学校であるだけに、新校舎完成後は人気が再燃することでしょう。マスコミなどでも取り上げられ、耳目が集まるものと思います。

このため、同小学校に子を通わせたいと考えている保護者の方があれば、2023年中が最後のチャンスではないかと思います。周辺の不動産価格も、さらに上がる可能性が高いからです。

今回同地区を訪問した際には、戦後の古い町並みが新しい家に建て替わっている様子も確認できました。

誠之小学校周辺環境

 2023年7月の、誠之小学校周辺住環境の様子は、以下の動画に掲載しましたのでご覧ください。

同校の周りをぐるり一周歩きながら、新校舎の進捗状況と街並みの様子をお伝えしています。

 

ではまた次回