日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

日比谷合格中学5年累計の教育不動産評価

東大弥生キャンパス正門から望む文京区立第六中学校

東大弥生キャンパス正門から望む文京区立第六中学校

 夏休みは学校説明会が集中して行われる季節。

この時期、日比谷高校の合格中学を集計した記事を毎年配信してきました。 

日比父ブログが日比谷高校の出身中学にこだわるのは、海外や地方から東京に転入しようとする家庭、あるいは都内で転居する家族に対し、子の教育環境を中心に住まいを選択する上で、客観的で良質な情報がそこに凝縮されていると考えるからです。

過去3年の合格実績を基に初めての記事を書いた際には、少し懐疑的な気持ちを抱きながら一つの仮定として集計結果を配信しました。統計データとして傾向を普遍化するためには、サンプルが少なすぎると感じたからです。

その時は、せめて5年間の実績があったならば、客観的な統計傾向として世の中に配信ができるのに、という気持ちが強くありました。

しかし同時に、当時の集計結果と自分自身の過去の都内在住経験に照らし合わせた結論として、単年であっても、日比谷高校の合格公立中学には、都内の教育不動産情報として一定の価値や信憑性を持つという気持ちも強く持っていたのです。

 

日比谷合格5年累計の説得力

 そして今年、日比谷合格公立中学5年分のデータを集計した結果、これまでは仮定や推測として捉えていた教育環境と不動産に関する様々な価値観が、私自身の中でつながり一つの確信に変わることになりました。

その結論とは、日比谷合格実績が高い公立中学校区は、教育に対して相対的に意識の高い家庭が集まるエリアを間接的に示しているというものです。

その結果は、本社機能が多く集まる千代田区内外の企業を中心に、山の手沿線に通勤する働き手が主として住むであろう居住地情報として、営業上の恣意性が介在するどのような不動産情報誌やWEBサイトよりも良識的な情報を発信していると感じます。 

今回は、日比谷高校の合格者出身公立中学の過去5年間の累計実績値から見た、都内において教育環境を重視した学区選びの参考情報をお届けしたいと思います。

 

日比谷合格5年実績【合格者総数】

 はじめに、直近5年間の公立中学別の合格者累計数を確認します。まずは毎年平均2名以上の合格者を輩出する中学校を並べます。

日比谷高校合格者数5年累計値1(2015-19)

日比谷高校合格者数5年累計値(2015-19)

5年間で399校の公立中学校から日比谷合格者が出る中で、17校のみが残りました。

日比父ブログではすっかりお馴染みとなった中学校が並んでいる印象です。

町田市つくし野、文京区第六、何かと話題の千代田区麹町、そして江戸川区清新第一がしっかり上位に並びました。

恣意的な操作の介在しないありのままの結果ですが、誰が言ったか”公立御三家”という称号を裏付ける結果となりました。

特に、麹町中と第六中は日比谷高校が東大合格圧倒的優位であった半世紀以上前からの王道と呼ばれた公立中学区、清新第一は日比谷が学校群制度により凋落した以降に生まれた新しいベッドタウンの新興学区の象徴と呼べるかもしれません。

またこの累計総数一覧だけで判断した場合、”西の世田谷、東の江戸川”という子育て環境が浮かんできそうです。この2区のみで一覧の約半分を占めるからです。

良好な居住地として金持ち世帯の代名詞のように言われる定番の世田谷区と、ディズニーランドや葛西臨海公園などのウォーターフロント開発と共に発展した新しい居住地であり、サラリーマンにとっては比較的経済的な江戸川区。

中でも注目は、校則全廃で全国的に有名となった、世田谷区立桜丘中学校がしっかり登場していることです。

麹町中にしろ桜丘中にしろ、生徒の自主性を重んじた校則で縛らない自由な学校環境が、お受験ママとは一線を画した教育意識の高い子育て家族を呼び寄せているのかもしれません。

小田急線の複々線化が終了した影響か桜丘中学の評判からか、最近周囲の複数の30代の若い子育て世帯が、実際に桜丘中学学区である千歳船橋駅近辺に越しているような感があります。

 

日比谷合格5年実績【合格割合】

 先の累計合格者数は、生徒数の多い学校ほど優位にあるといえるでしょう。

実際、累計20人でトップとなった町田市つくし野中学校は、六中や麹町中の倍以上の生徒数が在籍するマンモス校ですから、合格者が多い理由の一つであることは確かです。

そこで次に生徒数を考慮した評価を行います。ここでは分かりやすく、学年100人当たりの合格者数を考えます。

過去5年内に日比谷高校に1名以上の合格者を輩出した中学399校について、今回はその全ての学校の生徒数を見直しました。今回は、1学年生徒100人当たり平均1.5人以上の合格数がある学校を掲載します。

生徒100人当たり日比谷高校合格者数1.5人以上(2015-19)

生徒100人当たり日比谷高校合格者数(2015-19)

生徒数をそろえて並べてみると、先の合格者総数と比較して生徒数の少ない学校が多く登場しています。これらの学校は、先の23区郊外型エリアとは対照的に、山手沿線区に位置する都心の中学校が多いことが分かります。

個人的な感想では、総数で並べた一覧が昭和の後半から平成時代に形成された新しい教育学区、そして合格割合で並べたこちらの一覧は、往年の伝統学区という気がします。

地価や家賃相場も当然後者の方が高いということになりそうですので、先の総数一覧は一般サラリーマン家庭向け、こちらの割合一覧は経営者や医師などを含めた個人事業主向けの情報ということができるかもしれません。

小中学校受験を意識する家庭にとっても、この割合一覧の中学校区は、受験不合格となった際の出口戦略を意識した居住区としての参考にもなるでしょう。

 

都内教育不動産総合学区評価

 では最後に、累計総数で並べた学区と合格割合で並べた学区を統合した、教育環境を重視した居住地域としての総合学区評価を試みます。

どちらの一覧も、399校並べた順に399点から1点までを各学区に付加し、両方の点数を単純合計して数字の大きい順に並べてみます。総数と割合を1対1で評価するのが妥当であるかは分かりませんが、傾斜をかける根拠もないので単純に等価加算を行います。

このような方法に基づいて学区評価を行うことにどれ程の統計的価値が伴うのかは定かではありませんが、世の中に教育環境と不動産価値を結びつけるための評価軸が存在しない以上、それでも十分な根拠に基づいた、街の不動産屋の主観評価よりもよほど適切で客観的な評価であるといえるのではないでしょうか。

399点x2となる798点満点の結果はどのようになるでしょうか。

日比谷高校合格者に基づく学区評価(2015-19)

日比谷高校合格者に基づく学区評価(2015-19)

上位25校のトップには、文京区立第六中学校が入りました。

続く2番手には千代田区立麹町中学が並び、往年の日比谷高校進学ルートを令和の時代に改めて確認したような感覚です。

文京区立第六中学校(グランド側)

文京区立第六中学校(グランド側)

六中は、千代田区立麹町中学校と並んで日比谷から東大コースの王道のように謳われることがありますが、日比谷保護者ネットワークの情報では、わが家の長男と同級生となる平成28年度の六中からの日比谷入学者4人の内、実に3人が実際に今年東京大学に現役合格していますから、単に日比谷への合格数が多いというだけではなく、世間の評価を裏付ける実力も伴っていることが伺えます。

そのような客観的な事実に基づき一覧を改めて眺めてみると、きっとそれぞれの地元に住む方々にとっては納得のいく結果になっているのではないかと想像します。

ここに登場する中学校区は、居住エリアとして古くから評価されている地域が多いのではないでしょうか。

一覧には、私自身もよく知った、地域で評判の高い中学校がいくつも並んでおり、納得感のある結果だと頷かされますので、その点からも日比谷合格中学は一定の意味を持つ評価軸ではないかと腑に落ちるものがあります。

尚一つ注意したいのは、一覧に登場するような公立中学に入学すると学力が伸びるというよりも、教育に熱心な家庭がそのような学区に集まってくると考えるのが正しい解釈ではないかという点です。

そしてもう一点、一覧に並ぶ学区の不動産価格は相対的に地域相場より高い可能性があるという点です。

例えば六中の学区は、ブランド学区好きなお受験ママに人気の文京区立誠之小学校とほぼ重なっており、一般サラリーマンには敷居の高い状況があると考えられます。

ただし小学校区を指定して住居を探すことと比較すると、より広域なエリアをカバーする中学校区ですので、不動産選定を行う上では、より現実的な評価基準であるともいえるでしょう。

特に、中学受験を考えない家庭にとって、良好な公立中学校区を選択するということは意味のあることだと考えます。

可処分所得が限られる一般サラリーマンにとっては、子の将来に望みを託して住居費や生活費は抑えながら教育費に投資するのも一つの考え方、良好な居住環境に投資して、学校は地元の公立中学校に通うのも一つの考え方。わが家は正に後者の方針です。

では、一覧に続く50校までを確認してみましょう。 

日比谷高校合格者に基づく学区評価2(2015-19)

日比谷高校合格者に基づく学区評価2(2015-19)

この50校までは、各学校から毎年1人以上、100人当たり概ね1人以上の日比谷合格者を輩出する中学校区となります。

日比谷高校の実質倍率は例年2倍を下回る程度ですから、実際の受験者は合格者の2倍程度、多い学校で10人以上の受験者があることがうかがえます。

できる子が集まっているから内申点や成績上位が取りにくいと考えるのか、そのような環境だからこそわが子も刺激を受けて高みを目指すと考えるのか、その辺りは家庭の価値観だと思いますが、数年に1人日比谷受験者が現れる中学校環境と比較すれば、同じ公立中学といえどもその教育意識の差は歴然としたものがあるのではないでしょうか。

私自身は長男が幼稚園に上がる際と、海外赴任から帰国して長男の中学校と弟の小学校を合わせて選ぶ時期に都内の不動産探しを行いました。

今思うことは、この日比父ブログの教育不動産情報が当時あったらよかったのにということです。結果的に、地域の教育環境選択の目の確かさを、ブログを通じて自分自身で確認するに至ったからです。

ここに掲げた学区情報は、客観的な統計データに基づく一個人の解釈にすぎません。またすべての家庭にとって意味のある情報だとも思いません。

ただ、自分自身が苦労した都内での居住地探しを思う時、それでもやはりこうした情報があれば参考程度以上には助かるのだと思うのです。

以前読者の方から全ての学校を掲載してほしいと依頼を受けたことがありますが、それは行いません。学校や街の序列化が目的ではない点が理由の一つであり、またここに掲載しているような、それなりに顕著な数値を持つ学区とは異なり、その他では敢えて並べる程の明確な違いがあるとも思えないからです。

手元には、399校すべての中学校のデータがあります。

時間が許すのであれば、すべての学区を実際に歩き、その街が醸し出す空気や人々の暮らしぶりを肌で感じながら、住環境に関するフィールドワークとして教育と不動産の関係性に関する資質や評価基準についてまとめてみたいなと感じています。 

そして最後に、今年もまた学校説明会に参加した保護者の方から貴重な資料を送付いただきました。日比父ブログへの期待と共に情報を託していただけることに対し、心より感謝申し上げます。ご協力ありがとうございます。

ではまた次回。

 

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