4年ぶりの復活、日比谷星陵祭2023に思う

2023日比谷高校星陵祭入場ゲート

2023日比谷高校星陵祭入場ゲート

 4年ぶりの一般公開となった、2023年度日比谷高校星陵祭に行ってきました。

コロナの影響がどのように現れているか、確認したかったからです。

教室劇場の復活

 訪問して一番驚いたのは、3学年各クラスが1日5回の公演を行う教室劇場が完全に復活していたことです。

三密回避が基本とされたコロナ禍の3年間と、そして学級閉鎖を含めて未だに全国的にくすぶる感染症対策として、密閉した教室に観客を詰め込む方式の採用は難しいのではないかと勝手に解釈していました。

保身的な教育委員会や周囲の大人たちによって、そのような舞台は容認されず、演劇公演を行う場合でも、教室ではなく体育館などより開放された場所で実施されるのではないかと考えていました。

しかしその事前の思い込みは、良い意味で見事に外れました。

コロナ前と同じく目張りされた教室のリアルを目にした際には、1人の保護者として非常に嬉しく、同時に頼もしさを感じました。

閉塞感の漂う社会の中で、一筋の光明を得た感覚です。

日比谷高校のような公立のフラッグシップ校が、様々なリスクや可能性を検討した結果、積極的にコロナ前の日常を取り戻す判断をしたことは、他校ばかりでなく社会にとっても大いなる勇気を与えることに繋がるからです。

校長や副校長など、学校側の決断にも拍手を送りたい気持ちです。

そして実際に校内を歩き、長い列に並び、教室に入って観劇してみると、生徒からも保護者からも必要以上の警戒感や緊張感は感じられず、今の現役生にとっては初めての一般公開であるにも関わらず、まるで何事もなかったかのようにリアル開催を受け入れ、復活した日常を歓迎しているように見えたのでした。

コロナ前、あれだけ汗だくになって鑑賞していた教室も、今回はエアコンが程よく利いており、むしろ快適に感じたくらいでしたので、拍子抜けすると共にかつての状況は何だったのかという気さえしました。

懸念していた劣悪な環境はそこにはなく、通常開催が可能となった理由と、準備段階での様々な改善や工夫が感じられた瞬間でした。

もし仮に、星陵祭後に一時的な学級閉鎖や集団での体調不良が発生した場合であっても、それが社会を揺るがす大惨事というべきものでない限りは、学校や生徒の英断は、引き続き讃えられるべきものであると思います。

一般整理券配布とデジタル後進国

 最も懸念していた、教室劇場の劣悪な環境が改善されていた一方、絶望的な気持ちに感じたのは一般来場者への整理券配布です。

良くも悪くもコロナ前と同じく、気力体力勝負の状況が復活していたからです。

実際に3年生のチケットを求めて列に並んでみると、合計1時間近く立って並んでいるだけの状態が続き、その内の半分は蒸し暑く密ともいえる状況で待機する必要があり、もう少しどうにかならないものかと素直に感じました。

おそらくは、久しぶりのリアル開催ということもあり、前例に倣ったのでしょう。

まだまだ厳しい暑さが続く9月中旬の気候の中で、途中で諦めて列から離脱する者や、床に座り込むご年配の方がいらっしゃるなど、心配な状況が散見されました。

公演チケットの配布については、1年生は直前でも入室可能という状況が多く、学年が上がるほど鑑賞希望者が増え、チケットが手に入りにくいという状況が現れます。

特に3年生の公演は希望者が収容キャパを大幅に上回るため、主催側としては、同一人物が家族や友人の座席までまとめて確保したり、一度に複数の公演を押さえたりする状況を排除し、公平な鑑賞機会を提供することを求めているのだと思います。

ただしその工夫は、残念ながら現時点ではまだ観劇希望者本人を時間的空間的に拘束するという方法が採用されているのですが、これこそは、ITやデジタル化で対応すべき課題だと思うのです。

星陵祭当日、指定時間に指定場所に足を運ぶという労力を求めるのは、確実な鑑賞意志を確認するための前提として妥当かも知れません。

ただし、確実に確保できるかどうかも不確かなチケットに対し、多くの方の身柄を1時間近くも拘束するのは、あまりにも非効率的だと思うのです。

現在のチケット配布の状況を目の当たりにすると、日比谷でもそうなのかと驚きを隠せないのと同時に、悲しくも日本がデジタル後進国であるという現実が痛感されてしまうのです。

生徒保護者向けには専用アプリの提供がされているようですので、来年以降は一般来場者向けのチケット配布のデジタル化を、是非とも検討いただきたいと思います。

仮にデジタル化が難しい場合でも、少なくとも狭い場所に汗だくになって立ちっぱなしとなる状況は、是非とも改善してほしいなと思います。

日比谷生への期待

 今回、35Rの公演を中心に、久しぶりに日比谷生を目の当たりにして感じたことは、男女とも生徒が素晴らしく賢く、そして同時にしっかりしているなということです。

改めて、首都東京のトップである日比谷高校の生徒であること、そしてその環境の中で生活することの意味を再確認した次第です。

長男の頃と比較しても、日比谷生の人物像や日比谷高校の学び舎としての環境は、格段に向上しているものと感じます。

何らかの理由により、高校受験を選択し、日比谷高校へ進学した生徒たちの、これからの社会での活躍に期待せずにはいられません。

現在、岸田首相が象徴的に示しているように、戦後失われてしまった独立国としての日本のイニシアチブを再び回復し、世界全体をまともな方向に導き立て直すために立ち上がり、実現する人材が輩出されることを願って止みません。

ではまた次回。


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