学習塾の体験授業のススメ

学習塾体験授業

 当サイトには、毎年多くの情報提供や問い合わせが届きますが、よくある質問の中に塾に関するものがあります。

こんにちは。
現在、高校1年の子供がおり、塾選びに悩んでおります。
東大も視野に入れているようなのですが、ご子息が通われた塾はどちらか教えていただけませんでしょうか?
よろしくお願い致します。

ブログの主要テーマの一つでもある学習塾ですが、わが家が関わった塾名や講師などの具体情報は開示していません。

理由はいくつかありますが、一口に塾と言っても、

  • 人により合う合わないが異なる
  • 教室や塾講師毎に内容が異なる
  • 毎年状況は変わる
  • 利用者の環境や利用目的が異なる

など、質問者本人やご家族にとって、その回答自体にあまり意味がないばかりか、逆に選択に迷いや悪影響を及ぼすようなミスリードを招く懸念があると感じているからです。塾も人の出会いと同じように、一期一会の縁という性格が強いように思います。

ただしその上で、学習塾の選択方法や活用方法といった、より普遍的なテーマであれば、中高大学受験それぞれに通用する知見や情報は様々あると感じています。

今回は、新学期の学習塾選びの参考となる、学習塾を選ぶ際に活用したい体験授業について考えてみたいと思います。

選択後のぶれない気持ち

 東大生の長男の言葉を借りると、塾や塾講師を活用する上で最も大切なことは、

「決めたら迷わず信じてついていくこと」

となります。

隣の芝の青さを気にするよりも、自分の芝を受け入れ活用しつくすことに集中することが大切だということです。

その長男については、高校受験の際は受験の右も左も分からない中でたまたま近所にあった学習塾にお世話になったのですが、その本人が高校2年の秋になって突然東大を受験すると宣言した際には、塾をどう選択すればよいかという悩みに直面したようです。

合格実現の手段として塾を利用したいという思いが立ち、本人から塾に通ってよいかの確認と、どの塾がよいと思うかの相談がありました。具体的には高校受験の際にお世話になった塾を選択するか、あるいは他にいくつか気になる塾の名前を挙げ、どこがよいだろうかという確認です。

私自身はどの塾がよいという回答は与えずに、気になる塾の体験授業を受けて実際に自分で確かめた方がよいとアドバイスしました。

体験授業の活用

 受験シーズンが一段落し、春を迎える季節になると、新学期の生徒を集めるための様々なイベントが行われます。そしてたいていの塾では、体験授業を受けることができるようになっています。

塾に限らずどのような業態でも同じですが、ホームページに掲載される輝かしい実績やサービスは企業全体の成績や能力であって、実際に個々が通うそれぞれの地域の拠点の実態とは往々にして異なるものです。

特に学習塾の場合は教材やカリキュラム、授業料は同じでも、教える講師は教室毎に異なることが普通です。特に教室数の多い塾では、必然的にそのような体制にならざるを得ません。

その実態を確かめずに、広告やWEB上の情報を頼りに塾を決めるのは、あまり賢明な選択ではないように感じます。

大学受験であれば生徒本人が、中学受験であれば本人と保護者が、高校受験であればどちらもあるとは思いますが、まずは入学説明会や受験イベントなどに参加して教室の雰囲気や企業の姿勢を実際に感じること。そして通ってもよいと感じた場合は、体験授業で実際のクラスや講師を確かめることが失敗しない塾選びにつながると思います。

実際に塾の教室に入って説明を聞くだけでも、第一印象を含めて五感からかなりの情報を得ることができるはずです。

実際私自身も次男が小学校の頃、中学受験するかどうかの準備も含めて本人と一緒に様々な学習塾の説明会や体験授業に参加したことがあります。保護者が小学生に交じって授業を受けることができるか分かりませんでしたが、ある塾では相談したところ快く引き受けていただき、結局中学受験はしなかったものの、その時にこの塾なら子を預けてもよいと感じた縁もあって、次男は現在、高校受験に向けてその塾にお世話になっています。

塾選びというのは、学校選びや人生の伴侶を選ぶのと同じ性質の選択であるはずですが、そうした対象よりは大分疎かになっているのが実情ではないでしょうか。

短くても1年、長ければ数年もの間お世話になる環境である以上、学習塾の実態を事前に体験することは、決して無駄な時間ではないように思います。

塾を渡り歩くこころ

 塾を信じてついていく生徒や保護者がいる一方、入塾後に転塾を検討する生徒や保護者が一定数いることも確かです。

その状況としては、多くの場合が本人や子の成績が思うように伸びないということが直接の原因だとは思いますが、場合によっては塾の環境や講師の人間性に疑問を感じるというような、そもそもの原因もあるかもしれません。

そうした状況は、少なくとも入塾前にその塾がどのような方針でどのような人々によって運営されているかを把握し確認する機会があれば、また違う対応があったのではないかとも感じます。

特に複数の学習塾に通っては止め、他に移籍するということを繰り返す保護者や生徒については、負担と時間の無駄が増すばかりでよい状況ではないことは確かでしょう。

勿論、限られた情報の中から最適な塾を見出すのが難しい状況があるのは私自身も経験済みですが、まずはWEBやチラシの第一印象を基に、通塾時間や家庭の経済事情に照らし合わせて実際に可能な塾の中から候補を絞り込むということになるかと思います。

後から時間と労力を無駄にするよりは、やはり事前に十分な手間暇をかけて選択精度を挙げる方がよいことは間違いありません。

迷うより行動を

 2月から3月にかけては、様々な学習塾や通信教育のチラシやDMが届く季節。学習塾の選択に机上であれこれ悩むよりは、志望校の入試最新情報を得る機会と捉えて気になる塾のイベントに参加するのは一つの有効な選択肢です。

コロナを機に、リアルイベントからオンライン説明会などにシフトする塾が多いと思います。この点は、場所や時間を選ばず様々なイベントに複数参加できる機会を得ることができるという意味でプラスである半面、現場を訪れることで得られる生の情報が制限されるということでもあります。

進学を希望する学校に、たとえ併願校であったとしても一度も訪問せずに入学することが現実的であるのか、そう考えると塾選びのアプローチも少しは違ったものに見えるはずです。

近所にある個人塾も、駅前にある大手の塾も、都市部にしかない精鋭型の塾も、それぞれに個性があり特徴があります。そして生徒にとっての相性もそれぞれ異なります。

ネットからは得ることのできない塾の生の声を拾うために、是非実際に気になる塾に足を運び、五感を使ってそのサービスや環境を体験してみてはいかがでしょうか。

塾の実績を追う以上に、それが最も納得性の高い塾選びではないかと思います。

ではまた次回。