塾選びの前に君がすべき、4つの自己分析

2023年5月14日更新:

 前回は、戦略性のない我が家の塾選びを紹介したわけですが、今回はその痛い経験を踏まえた上での、もう少し具体的な塾選択の方法についてお話しすることにします。

都立トップ校合格への塾の選び方

 日比谷高校に合格するためには、どの塾が一番いいんでしょうか?

受験生や保護者の皆さんの関心は、まさにこの一点にあると思います。

そのために、このサイトも含めたネット情報を集めたり、塾のカタログを見比べたり、合格体験談や身近な経験者の話しを聞いたりして、塾の評価を決定する。皆さんやってますね。

でもちょっと待ってください。

塾選びは都知事選びとは違いますよ!

誰が都政に一番ふさわしい候補だなんて、私事の受験において、そんな選別作業をしても意味がありません。

情報収集を行うのであれば、相対評価ではなく、自分にとって最大利益をもたらすのは誰なのかを見極めなければなりません。

塾選びは利益誘導型思考でいいんです。誰かにとって良い塾と、君にとって良い塾はきっと違います。当たり前です。美人投票ではありません。 

では、どう選べばいいんでしょうか?

例えば、日比谷高校に合格するためにどの塾を選択したらよいのか?

最初にすべきは、君自身が歩むべき合格経路を想定することです。 

”合格経路”とは聞き慣れませんが、どういうことでしょうか?

塾を選ぶ前に理解すべきこと

先の文章で入学する生徒の多様性について触れました。  

日比谷高校がユニークなのは、この 0)~ 4)までの全てのレベルの生徒が入学してくることです

つまり、日比谷に合格するのは、何も高校受験における受験学力トップ層の生徒ばかりではないのです。

これはまぎれもない事実です。

そのため、合格点をクリアするための、異なるアプローチがいくつか存在するのです。

先ずその点を理解することが重要です。

他の進学指導重点校も同様だと思います。これを現在の立ち位置によって改めて整理すると、主に以下の4つに分類できるのではないかと思います。 

  A)受験学力上位かつ、 内申も上位の生徒

  B)受験学力上位ではあるが、内申はほどほどの生徒

  C)受験学力はほどほどで、内申上位の生徒

  D)受験学力はほどほどで、内申もほどほどの生徒

もう少し具体的なレベルに落とし込んで説明すると、

 A)は駿台模試などで成績上位で、しかも素内申45に近いような受験生。

 B)は開成や慶應女子に合格する力はあるが、内申が40に届かない受験生。

 C)は難関私立国立を受ける受験学力までは達しないが、内申45に近い受験生。

 D)は中学校の先生に反対されながらも、どうしても日比谷高校を受けたい受験生。

では上記の内、どの受験生が合格するのでしょうか?

答えは、A)〜D)全てに合格の可能性はあります。もちろん、それぞれの生徒の総数や合格率は全く異なるでしょう。

当然、A)の受験生の合格率は100%に近いでしょうし、合格のボリュームゾーンはB)またはC)ではないかと思います。

D)は合格率も合格者数も著しく低いでしょう。

日比谷人気が高止まりする中、D)からの合格は幻想に過ぎないかもしれませんが、塾の誘導指導もあるのでしょう、このように挑戦して散っていく受験生は毎年一定数いるように思います。

この点については思うところが大きいので、別の機会にお話しすることとして、とにかく、実際の合格者を目の当たりにしての所感ですが、現在のところ、確かにどのレベルの生徒も合格の可能性があるのだと思います。

さて、ちょうど平成28年度入試より、いわゆる「特別選考枠」が廃止されました
内申点とは関係なく、入試本番の学力試験の結果により一定数を合格させる制度です。

この制度変更のために、国立附属や開成、慶應女子に合格する受験学力があっても、必ずしも日比谷高校をはじめとする都立トップ校に合格できるとは限らなくなりました

上記のB)に属する受験生ですね。

このため、B)とC)、この激戦区に位置する受験生にとってはますます、自分が何処で点を稼ぐのかを見極めて戦略を立てることが、合否に直結する大切な判断になるでしょう。

尚、この制度の廃止については、結局は東京大学や京都大学の推薦入試同様、受験勉強特化型の生徒のみが合格する入試方法は歓迎されないのが、昨今の高校、大学入試という理解でよいのではないでしょうか。

スタートからゴールへの道程を考える 

 さて、上記のように合格者の属性を分類した上で、

 1)自分の立ち位置を知ること

 2)その場所からどのように合格するのか、取るべき経路を見極めること

これが、合格のために非常に重要な戦略となるのです。中学受験や難関国私立高校受験のように、偏差値を上げるという一本道ではありません。

入学試験当日の点数と内申点、どちらで点数を稼ぐのか、推薦入試を受験するのかしないのかなど、合格への道はそれらが複合的に絡み合った上での最終的な結果となりますので、受験学力を上げることが合格への唯一の道ではないのです。 

繰り返しになりますが、都立の入試問題が教科書レベルを逸脱するような超難問ではない点と、内申点制度や推薦入試があるために、結果的に、いろいろな合格アプローチが存在するのです。

そしてこの多様性が、なかなか悩ましいのです。

C)にいる君であれば、推薦入試にチャレンジする事が、選択肢として大きく意識される事でしょう。

B)であれば、学力試験に磨きをかけるのか、内申点を上げる対策に取り組むのかなど、選択肢が分かれます。

そして逆にA)であっても、実は選択肢が多数存在して頭が痛いのですし、受験学力と内申点の傾向に相対的な差があるために、男女によってもその選択は異なります。

D)の君は自分の準備だけでなく、当日の試験問題が得意分野であるとか、合格圏の他の受験生の出来が著しく悪いなど、外部要素に依存する部分が多くなる現実を自覚して受験に臨む必要があるでしょう。

最初から合格する見込みもなく受験している可能性すらあります。

道程を共にするガイド役を見極める 

 そしてこれら様々な受験生の需要に応えるために、多様性に富んだ学習塾や受験教材が存在するのです。同じ塾であっても、コースやクラスが細分化されるわけです。

君が取るべき行動は、進むべき入試経路をしっかり見極めた上でサポートしてくれる、信頼できるパートナーを選択することです。

そしてそれが学習塾であったならば、大切なことは、自分がその塾に通った場合、どのクラスに所属することになりそうか、という事です。

自分が実際に所属するそのクラスから、志望校に実際にどの程度の合格者が出ているのか気にすることです。

塾全体の合格実績は、君にとってはあまり意味がありません。

選抜試験などで意に叶うクラスに入ることができない場合に、その塾に通って上を目指すことが賢明なのか、別の可能性を選択するべきか、しっかり意識することが大切です。

3年生であれば、夏休みが最後の選択のチャンスとなるでしょう。

尚、受験学力は、トップ校志望であれば校内テストの結果ではなく、自校作成模擬や駿台模試など、受験学力上位者が集まるテストを根拠とすることが大切です。

学校の成績がよくても、駿台模試では点は取れません。君が競うべきライバルは、校内にはいないのです。

この目的のために、候補として考えている塾の選抜試験を受けてみるのもよいかもしれません。模試より手早く学力レベルが分かりますし、塾や先生の雰囲気も確認できます。

また、夏休み時期であれば、夏期講習会に参加するのも一つの手段でしょう。

内申点は3年生になるまでに、概ね獲得できる水準が理解できているでしょう。

これらの情報を元に、まず自分を客観的に把握することが、塾の合格実績プロモーションに飛びつく前に冷静に行うべき大切なことなのです。

少し長くなりましたので、より具体的な塾へのアプローチ方法については、次の機会にお話ししたいと思います。

ではまた次回。