2016早稲田&慶應大学合格数

 いよいよ今週から、2017年度国立大学の合格発表が始まります。

今週末より、週刊誌上で大学合格特集が次々と発表されることになるでしょう。
春到来、そんな季節の風物詩の一つです。


そして国公立大の合格発表に先駆けて、2月上旬から、プレジデント・オンライン上で『親子で考える大学選び2017』と題して、この2017年度合格速報の発表直前期に、なぜか早稲田、慶應大学の昨年2016年度合格者数が改めて発信されています。

東大合格者実績など国立上位校がトップの戦いであるのに対し、毎年1万人規模の合格者があり、各進学校からも数百人単位の合格者を輩出する早稲田、慶應両大学への合格実績は、学校のボリュームゾーンとなる生徒学力を推し量るための分かりやすい指標の一つと言えるでしょう。

今回は、プレジデント社が発表した合格速報に基づき、2017年度実績へ向けたおさらいとして、各進学校の早慶合格力を確認したいと思います。

 

慶應大学合格実績

 まずは慶應大学の合格実績を見てみましょう。

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ウェブ記事では無料で25位まで、無料登録会員となると100位まで確認できます。
ここでは15位まで表示しますので、その先が気になる方は直接プレジデント社のページで確認してください。本記事最後にリンクがあります。

さて、合格総数でトップは開成高校、日比谷は2位につけています。
日比谷高校は、法学部19人と文学部22人でそれぞれ合格数全国1位です。

一覧の上位は東京、神奈川、千葉、埼玉(23位・浦和高)の首都圏の高校が並びます。
他のエリアでは、40位にようやく愛知の東海高校が入る程度となり、慶應といえども首都圏ローカルの色合いが濃い状況だと言えるでしょう。


ところで、この表にはプレジデント社の記事にはない情報が載っています。
何でしょうか?

「生徒数」です。 

そしてもう一つ、決定的に重要な数字があります。
それは、 その合格数は、何人受験した結果なのか? つまり不合格となった受験生は何人いるのか、ということです。

悩める君が塾に聞くべきたった2つのこと - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 

学校や塾の合格実績は、なぜかいつも合計数が取り上げられます。
しかし、1学年400人の学校と200人の学校ではそもそも母数が異なりますから、単純な合格数では、国盗り合戦の読み物としては面白いですが、受験生や保護者が気になる、自分自身の場合の合格の確からしさの指標にはなりません。

そこで今回、25位までの学校について、生徒数を全部調べてみました。
各学校のホームページには、在学生数の掲載があったりなかったり、また、募集人員よりも著しく多い生徒が在籍する学校もありますから、情報の一貫性を担保するために、今回は旺文社の運営する高校受験パスナビの生徒情報を採用しています。
その際、特異値を排除するために、3学年の生徒数を3で割った数を採用しました。

では、生徒数を考慮した合格者数を見てみましょう。

 

慶應大学合格数(生徒100人当)

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はい、出ました。

神奈川県の男子私立校が上位に並びました。
そして日比谷高校は3位。ここでも健闘していますね。
麻布、開成といった主力校も上位をキープ。

個人的に興味を引くのは、筑波大附属高校。
最近大学進学実績が振るわないという情報を耳にしますが、こうして見ると、そもそも生徒数が200人で開成高校の半分ですから、その点は加味することが元々必要なのかもしれません。

同様に、女子学院、洗足学園、桜陰などの女子高も、1学年250人程度が多いですから、合格総数で見ると進学校としては不利な状況でしょう。

パッと見た感じでは概ね、男子校 → 共学校 → 女子高という順に並んでいますから、男子受験生優位のように見えますが、実はこれらの合格総数には現役生と浪人生の両方を含んでいますので、その辺りが男子校有利となっているのかもしれません。
そう考えると、共学の日比谷は孤軍奮闘でなかなか頑張っていますね。

そういう訳で、次に現役の合格力を見てみましょう。

 
慶應大学【現役】合格数(生徒100人当)

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はい、どんと出ました。

先ほどの予測通り、女子高の合格数がまとまって上位に上がってきました。
その中で、日比谷高校は変わらずの3位です。

一連の表だけ見て判断すると、日比谷高校は男子進学校と女子進学校の強みを併せ持つ高校のようにも感じます。
ちょうど男子校の集団と女子高の集団をつなぐ位置にいる点が象徴的で興味深いです。

慶應大学合格に関しては、日比谷と浅野高校が安定した強さを発揮していますね。

 

早稲田大学合格実績

 では次に、早稲田大学の合格実績を見てみます。
プレジデント誌では、政治経済学部から人間科、スポーツ科まですべて含んだ合格者の合計数で順位づけしています。

ではまずは慶應同様、単純な合格総数を見てみましょう。

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慶應と明らかに異なるのは、慶應では1校も登場していない埼玉県の高校が多数登場していることが挙げられます。
これはやはり、西武新宿線など高田馬場へのアクセスが関係しているのでしょうか?

現在は副都心線経由で、川越、所沢方面から慶應日吉キャンパスまで直通となっていますが、所沢~高田馬場は30分、日吉までは最低1時間はかかります。
通勤と異なり、この通学1時間というところに壁があるのでしょうか?

他に、湘南高校や県立千葉など、東京都外の公立高校が登場しているのが異なります。

日比谷高校は麻布と同数で5位。
慶應同様、早稲田大学に対しても、安定した合格数を出しています。


では先ほどと同じく、生徒数を考慮した数を見てみましょう。


 

早稲田大学 合格数(生徒100人当)

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はい出ました。

なんと女子学院がトップです。
個人的に、早稲田は女子というよりはバンカラ男子、という古いイメージを今でも持っていますから、女子高が1位になるのは意外でした。

正直、私はこのブログを書き始めた数か月前までは、息子ばかりの家だからでしょうか、女子学院という学校を知りませんでした。
女子中学受験最難関の一つなんですね。
学校所在地は、特に早稲田寄りではないようですが、早稲田に通じるイメージの校風なのでしょうか? 

合格学部を見ると、多い順に政治経済、文化構想、法、先進理工と続きますので、純粋に社会や学問への探求心のようです。

少し余談ですが、女子学院以外にも先ほど慶應で見た浅野など、今回の一覧の中には、馴染みのない学校が結構あります。
中学受験を検討したことがない保護者にとっては、特に都外を中心に、高校受験枠のない学校名って全然分かりません。 

閑話休題。では続いて、現役合格数を見てみましょう。

 

早稲田大学【現役】合格数(生徒100人当)

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やはり、女子学院強しですね。
2位以下を大きく引き離しての断トツ1位です。

ここは慶應現役合格も4位と健闘していますが、合格率が全く異なります。
生徒100人当たり、慶應 32.8人、早稲田 65.2人
早稲田の方が2倍現役合格数が多いです。

慶應現役3位の日比谷の場合は、慶應 33.5人、早稲田40.0人ですから、ほぼ同数です。

他校では、慶應と早稲田の合格差が多い順に、筑波大附属(1.8倍)、渋谷学園幕張(1.7倍)、豊島岡女子(1.6倍)、桜陰(1.5倍)、渋谷学園渋谷(1.5倍)となりますから、女子高または共学に多い傾向です。

早稲田は女子人気なのか、単に合格しやすいのか分かりませんが、そんな傾向がありそうです。
現在では早稲田のキャンパスも、華やかな女子大生で溢れているのでしょうか。

 

 

早稲田 + 慶應大学合格実績

 それでは折角なので、今までの結果を基に、私大の雄である早慶両校を考慮した場合の合格実績を確認してみましょう。

合格総数、生徒100人当たり合格総数、現役合格数を同時に掲載します。

 

早稲田&慶應大学 合格数(単純総計)

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早稲田&慶應大学 合格数(生徒100人当)

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早稲田&慶應大学【現役】合格数(生徒100人当)

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いかがでしょうか。

最後の【現役100人当】に名前のある学校は、早稲田、慶應を抑えにして、難関国立を目指すという進学校のイメージでしょうか。
実際、日比谷高校では、現役最下位でも早慶現役合格という雰囲気が学内にあります。

ところで、これを書くと恣意的と言われそうですが、実は今まで掲載した全ての一覧に対して、常に10位以内を維持している学校が一校だけあります。

日比谷高校です。

実際には6位以上にいるのですが、こうして見ると、日比谷男子は男子進学校と伍し、日比谷女子は女子進学校と伍しているのが理解できます。

合格ボリューム、男女および現役浪人のバランスなど、日比谷高校は総合的に早慶に対して足腰が強い学校といえそうです。

15位以内に枠を広げると、日比谷の他に開成、渋谷学園幕張、女子学院、浅野の4校が入ります。


ネット上では、東大などの難関大学実績を上げるために、推薦やめろとか、男子定員を増やせとかいう意見をよく目にしますが、今回の結果を見る限りでは、これからの男女平等参画時代を考える上では、男女それぞれの母集団の中での日比谷高校の影響力は大きいものになっていくように思います。

日比谷推薦女子とか、これからの社会で活躍する機会が増すかもしれません。

そして冷静に考えると当たり前の結論ですが、男子校からは、将来にわたり、女性総理大臣は輩出されないわけですから。


そういう意味では、学力上位の女子にとっては、ただでさえ少ない高校受験枠という現実がありますから、その中にあって日比谷高校は、中学受験機会のなかった帰国女子も含めた高校受験女子にとっては、キラ星の如く輝く特別な存在の一校と映るのではないでしょうか。


 

早稲田&慶應大学 総合合格力(おまけ)

 最後に、日比父ブログのオリジナル評価として、今までのすべての評価を一つにまとめてみたいと思います。
以下の方式で算定します。

  • 早稲田&慶應大学合計合格数で評価
  • 単純総数、100人総数、100人現役数の3項目で評価
  • 各項目とも、早稲田大学、慶應大学単独評価で25位までに入る高校について評価(延べ高校数は32校となる)
  • 各項目1位は32点、32位は1点で評価
  • 3項目の評価点を加算して点数の多い順に並べる

説明してもわかりにくいと思いますので、結果を掲載します。


早稲田&慶應大学 合格総合評価

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はい、最後の一覧が出ました。
スマホだと少し見にくい大きさかもしれませんが、情報をすべて表示しました。

この表が何かを正確に示しているということはないと思います。

ただし、男女が比較的平等条件で受験する機会を得ることができ、難関国立大学受験生の多くが抑えとして受験することが想定される、学力上位マンモス大学である早稲田、慶應の合格状況を見ることで、男女共学それぞれの得意不得意や違いを超えた、進学校としての横並びの比較目安程度にはなるように思います。

一覧についてのコメントは特に行いません。
単純に一定のルールに従って並べただけの結果ですから、表の上にあるからよい、下にあるから悪い、というものでもないように思います。
一覧をよくご覧いただき、それぞれ評価を下していただければよいと思います。

ところで、この一覧を作成していて一番気になったのは、浦和高校の現役合格数が、他と比べて著しく低い点です。
余計なおせっかいですが、たとえ抑え校の位置づけであったとしても、もう少し現役の合格数が伸びないことには、保護者としては少し不安に感じるかもしれません。
もう四年生高校という時代ではないように思います。
このところ元気がないと言われる名門浦和高校の弱点を、早慶合格という一側面ではありますが、数字で垣間見たような気がしました。


さて、冒頭にも記載した通り、いよいよ今週から国公立大学の合格発表が始まります。
個人的にも、遥か30年も前の合格発表の瞬間が思い出されます。

今どきの受験生の君には全く分からない世界観だと思いますが、あの当時、旺文社大学受験ラジオ講座を朝早く寒い中一生懸命やっていたなという記憶がよみがえります。
よくそれだけで合格できたなと、今ごろ改めてしみじみ思います。
あの、タタタタターンというメロディは、アナログラジオのぷつぷつ途切れる音声と共に、今でもはっきり思い出すことができます。

そんな古い時代の話はともかく、今年の大学受験生みなの想いが届けられますように。

ではまた次回。


日比谷の大学合格期待値

現役生の進学の実態

ダイヤモンド社の指標による合格力