都立戸山・青山・新宿高校の入試偏差値と大学合格力

 都心の都立進学校を目指す場合、対象になるのは山手線内に位置する次の4校です。

  • 日比谷高校(進学重点校)
  • 戸山高校(進学重点校)
  • 青山高校(進学重点校)
  • 新宿高校(進学特別推進校)

この4校に共通する特徴と言えば、どの学校も立地が素晴らしく、そのため例年最終応募倍率が2倍を超える人気校だということです。

このため多くの受験生は、不合格という現実を意識して、最終的にどの高校を受験するか非常に悩むことになります。

今回は、学校選びの参考情報として、都心の都立進学校を目指す多くの受験生が憧れる、4校の現役大学合格実績について比較したいと思います。

4校の国公立大【現役】合格数

 初めに国公立大現役合格数を確認します。

2022年都立都心4校国公立大現役合格数

2022年都立都心4校国公立大現役合格数

合格数は各校のホームページから、入試偏差値は誰もがアクセスしやすいように、「みんなの高校情報」の値を参照しています。

こうしてみると、偏差値の傾きと国公立大の合格数には概ね相関関係があることが分かります。

国公立大学進学を意識した都立高校選びの場合、偏差値の高い学校を選択することの意味が明確に理解できます。

難関国公立【現役】合格数

 今確認した数字は、国公立大合格の量的評価ですが、どの大学に合格したかという質的評価を確認すると、以下の通り違いがはっきり見えてきます。

2022年都立都心4校難関国公立大現役合格数

2022年都立都心4校難関国公立大現役合格数

東京都教育委員会が進学指導重点校指定判断の参考とする、東大など難関大学への現役合格数に焦点を当てると、日比谷高校がずば抜けている状況が理解できます。

このため都立を目指す学力上位層にとって、日比谷高校を受験するかどうかが心理的に大きな壁となって受験生の前に立ちはだかります。

日比谷か、あるいはそれ以外の3校、戸山、青山、新宿を目指すのかというのが受験期の一つの線引きになりますが、日比谷を敬遠する場合には、今度は他の3校での学校選択に悩むことになります。

戸山・青山・新宿と難関国公立

 そこで、日比谷を外した3校について、改めて難関国公立大の合格数を確認します。

2022年都立都心3校難関国公立大現役合格数

2022年都立都心3校難関国公立大現役合格数

こうしてみると、最難関大学に関しては戸山高校が抜けており、青山と新宿は実績数が近いようにも見えます。

ただし、青山と新宿の東京大学の合格数に着目してみると、青山が新宿のWスコアを越えている反面、東工大は逆に新宿がWスコアであるため、先に確認した日比谷高校かそれ以外かの判断と同じように、東大かそれ以外の大学かという志望校に対する線引きが、学校母集団の中に潜在的に存在するのかもしれません。

実際、東大合格に対する心理面と学力面の壁は大きいからです。

そう考えると、青山と新宿の実際の学力差は、やはり入試偏差値なりに生じていると言えるようにも感じます。

以上のことから、国公立大学への現役合格を希望する場合、少なくとも統計的には、入試偏差値による線引きは、概ね大学合格実績にも引き継がれるということになります。

大学受験の志望校は、周囲の仲間やライバルの集合意識にも引きずられがちですから、大学進学という現実的な目的に着目した場合には、高校入試の段階で上位校を目指すことは至って合理的な判断ということになります。

4校の難関私立【現役】合格数

 次に難関私立大の合格実績を確認します。

2022年都立都心4校難関私立大現役合格数

2022年都立都心4校難関私立大現役合格数

国公立大に着目した場合には、入試偏差値との相関関係が顕著に現れましたが、私立大に関しては国公立とは異なる結果が現れます。

難関私大としての早稲田、慶應義塾、上智、理科大およびGMARCHへの合格実績は、敢えて括れば日比谷-戸山グループと、青山-新宿グループに2分されます。

尚、入試偏差値に従えば、戸山高校は早稲田の合格数が120名程度あってよい気がしますが、過去5年の実績を見ても、現役合格数は概ね60人前後で推移しており、国公立大の結果と照らし合わせると少し違和感を感じます。

この理由はもしかすると、戸山高校は早稲田大学キャンパスの目の前にある、ある意味早稲田の杜と一体の学校ですから、大学生活は別の場所を選択するために、早稲田を受験する生徒自体が少ないからなのかもしれません。

もちろん、実際のところは分かりません。

その点を除くと、難関私立大学も概ね入試偏差値に沿った実績と言えますが、一つ異なるのは、青山-新宿グループの方がGMARCHの合格数が多いという点です。

実際日比谷高校の場合は、GMARCH自体を受験する現役生がそれほど多くないなど、あくまで国公立進学を前提に、私立に関しては早慶など難関大以上に限定して受験するという傾向がありますので、戸山も含めてGMARCHを受験目標とするのかしないかが、都立上位校の一つの学力目安となりそうです。

最後に、国公立と難関私立大の現役合格数を合わせた結果を表示します。

2022年都立4校難関国公私立大現役合格数

2022年都立4校難関国公私立大現役合格数

やはりこれを見ても、統計的には戸山の早稲田合格が日比谷と青山高校の中間の120名程度あるのが自然な感じがします。

そのように捉えた場合、日比谷-戸山グループと青山新宿グループが、やはり入試偏差値に沿ったきれいな統計結果を示すことになります。

新宿高校と進学指導重点校

 現在の進学指導校指定は、2018年4月1日から2023年3月31日までとなっています。

要するに、現在中学3年生が来春高校に入学する年から、新たな指定が始まることになります。

今回一つの焦点になるのは、常々噂の囁かれる新宿高校が、進学指導重点校に昇格するかどうかということではないかと思います。

【進学指導重点校に関する選定基準】
  • 基準1 :センター試験結果(現役)
    5教科7科目で受験する者の在籍者に占める割合が、おおむね6割以上。
    難関国立大学等に合格可能な得点水準(おおむね8割)以上の者の受験者に占める割合が、おおむね1割以上。
  • 基準2: 難関国立大学等(※)現役合格者数15人。
    (※東京大学、一橋大学、東京工業大学、京都大学、国公立大学医学部医学科)

少なくとも、今回確認した2022年春の大学合格実績を見ると、新宿高校は<基準2>の15人合格はクリアしています。

前回2018年開始の重点校の指定は、2017年8月24日木曜日に指定公開されていますから、間もなく次の指定校の発表がある事でしょう。

2018-22年度 都立進学指導校指定

2018-22年度 都立進学指導校指定

もし仮に、新宿高校が重点校指定を受けた場合には、2023年春の入試出願状況に様々な影響が出るものと思われます。

間もなく発表されるはずの時期5年間の重点校指定がどうなるのか、都の発表を待ちたいと思います。

ではまた次回。