日比谷高校に合格した君へ

2022年3月10日更新:

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 日比谷高校に合格されたみなさん、おめでとうございます。


君はついにこの4月から、憧れではなく正真正銘の日比谷高生。

待ちに待ったこの日、人生の節目でしか見ることのできないその笑顔。両親や恩師の、いつになく誇らしげなその表情が、君の勝ち取ったゴールの意味を物語ります。 

春からは、新しい仲間が日本の政治の中心である永田町に集う。

これまでニュースの世界だった、首相官邸前の街頭宣伝カーの隊列や拡声器の喧騒も、国会議事堂を取り囲むデモ隊のシュプレヒコールや座り込みも、一帯を護衛する物々しい数の警察官や青と白の機動隊輸送車も、4月からは君の通学範囲の中にある風景。
そして世界一受けたい授業も、この春からは君の日課です。

そんな非日常的な環境の中の日常に広がる、高校フロンティア。
君の可能性を描く広大なキャンパスが、真っ白な手つかずのままで君を待っている。

桜の開花に先立って咲いた君の笑顔が、未来の日本の笑顔に繋がるよう、君のこれからの高校生活の充実と活躍を保護者の一人として楽しみにしています。

君の笑顔を支えるもの 

 受験終了と入れ替わり、日比谷の先輩たちは期末試験に向かいます。

合格を手にした君が、入学手続きのために構内を往来する際に、校舎の窓から顔を出して、「おめでとう」の声を届けてくれた先輩は、試験の中休み。

この春、どんな優秀な後輩が部活に入ってくるのか、先輩として君を迎える新2年生は今から心待ちな毎日ですから、返事はなくとも君の満面の笑顔に共鳴して喜びに包まれていることでしょう。

入試のおかげで、長い休みを楽しんだ先輩たちとは対照的に、先生方は、入試の準備や試験当日の運営、そして終了後は答案の採点に大忙し。
今年自校作成問題に戻った日比谷の入試問題は、記述量も問題文のボリュームも昨年よりは遥かに多い分だけ採点にも時間がかかるはず。

何より今の都立受験生は、後日自分の点数の開示を求めることができますから、正確性と公平性に対する教員のプレッシャーも相当なものに違いありません。

君の力を正当評価するため、作成にも採点にも相当の時間と労力を要する自校作成入試問題で迎えてくれた日比谷高校の教師の方々の尽力に感謝。

そんな努力に対して、持ちうる最大限の力で応えた君の誠意を、先生方も採点を通して受け取ったに違いありません。

そして合格発表の君の笑顔。

問題を準備した教師の面々も、達成感に満たされた心癒される瞬間です。

日比谷をはじめ重点校の教師陣は、公募で自ら手を挙げた公務員。
おそらくは金銭的な対価よりも、教師としての自分の在り方を見つめた結果の選択に、生徒が応えてくれるのは何よりもうれしいはず。

そして推薦入試も学力試験の発表も、先頭に立って合格発表掲示の手続きを見守る武内校長の下、今年復活した自校作成問題に込めた思いを叶えた君を、目を細めて見守っているに違いありません。大学入試改革の真っただ中にあって、敢えて都立進学校を選択した君の成長や活躍を楽しみにしていることでしょう。

家族への感謝の気持ちを込めて

 合格を手にした君が、忘れてはならないのは、身近に寄り添ってサポートしてくれた両親や家族の存在。 

インフルエンザを抑えるために、加湿器の給水を欠かさないよう気を配ったり、寒空の下、改札から出る君の姿を車の中でじっと待ち続けたり、塾からの帰りを待って温かい食事を準備したり、夜食や夜中のホットココアをそっと差し出したり、時には熱さましのリンゴ汁を飲ませたり、そして一言口をはさみたいところをぐっと我慢して静かに見守ったり、反抗期の難しい君に対して出しゃばり過ぎないよう気を使いながら、君が目標に向かって走り続けられるように見守ってくれたご両親。

そしてゲームやテレビの音量を絞って勉強の邪魔にならないよう、静かに過ごした兄弟姉妹や、籠りがちな君を日々の散歩で外に連れ出してくれた相棒と、そっと膝に飛び乗って温もりと静かな寝息で君を癒してくれた身近な家族。 

そんな大切な家族に対し、できることなら君の口から直接に、できそうにない場合でもなんとか態度で、改めて感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。

合格の知らせと君の笑顔で満たされた両親も、感謝の言葉をきっと心のどこかで待っているはず。合格の吉日くらいは恥ずかしい気持ちに打ち克って、ありがとうの気持ちを素直に言葉で表現してみてはいかがでしょうか。

日比谷高校入学に向けて

 晴れて日比谷高校への入学切符を手にした君は、これからの1か月あまり、この1年間封印してきた趣味や思い出作りに時間を使おうと考えていることでしょう。

そして楽しい時間と並行して、まっさらな教科書と共に手にする入学前の課題に追われ、あっという間に入学式を迎えます。

入学を心待ちにする喜びに満ちた気持ちの裏側で、まだ見ぬ高校での成績や学力への不安を覚えながら、この1ヵ月、思い切り遊ぶべきか、塾の無料講習会に参加しようかと、嬉しさの中にも漠然とした落ち着かない気持ちが続く、15歳の心揺れる日々。

もしそんな気持ちに陥ったなら、心落ち着かせるために、君に一つお勧めしたいことがあります。

それは、日比谷高校の校歌に親しむこと。

4月から星陵の丘に続く急な坂道を登る自分の姿を想いながら、先に新しい母校の校歌を、少しずつ口ずさんでみてはいかがでしょうか。

そうすることで、新しい仲間達よりも一足早く日比谷の門をくぐり、まだ見ぬ高校生活への憧れに思いを馳せ、日本の近代国家の礎を築いた偉大な先輩たちへを身近に感じることができるのではないでしょうか。

そして今自分のなすべきことを感じたり、気持ちが少しでも落ち着くことがあれば、君は諸先輩方の力と共に、既に高校生活の第一歩を落ち着いた気持ちで進み始めたのだと思います。

個人的には日比谷高校のこの校歌は、幼少のころから経験した数々の歌の中でも、聴いても歌っても、学校説明会で初めて耳にした時から不思議と心に落ち着く好きな校歌の一つです。

母校の校歌ではないはずなのに、年に何度かある保護者参加のイベントで、生徒の歌声を聴いたり自ら歌うのが楽しみな、そんな心待ちの時間。

これから訪れる青春の日々を謳い上げる先輩方の歌声が、入学前の不安定な君の気持をきっと落ち着かせてくれるはず。
電車に揺られながら、時にはJ-POPやK-POP、ボカロソングの代わりにでも、携帯を通じて一人耳を傾けてみるのもよいもの。4月の入学式を前に、繰り返し聴いてみてはいかがでしょうか。

 

 

日比谷高等学校校歌

  星陵 われらあり 自由の天地

  希望の空ひろく 雲晴るるとき

  大いちょう みどりに茂り

  やがてまた 風に黄ばめば

  過ぎ来し年 更に新たに

  進みゆく道は あかるし

   

  かがやく富士も見ゆ かすむは海か

  世界の中に立ち 意気たゆみなく

  かぎりなき真理を究め

  求むべし ともに 平和を

  正しく みな 自主を誓って

  友情の胸を 開かん

   

  ああ若き日の よろこびに

  歴史を誇る 日比谷高校

 

父親も入学式に行こう

 今時の父親像なのか、日比谷独自の状況なのか分かりませんが、様々ある学校行事への父親参加も多いように感じます。

中でも入学式は、人生に一度の特別な一日。

今日比谷高校の入学式に参加することは、父親にとっても、人生における価値ある日。
この日ばかりは自分のために、休みを取って是非参加してみてはいかがでしょうか。

オーケストラの生伴奏に導かれ、威風堂々と、晴れの式典に入場するわが子の勇姿を目に焼き付け、その選ばれた舞台に参列する喜びをかみしめる。そして覚えたての、どこか懐かしくもある調べに触れ、一段落した子育てへの喜びに目頭を熱くする。

校歌に触れることができるのは、一年通じて限られたイベントのみ。
せっかくですから、保護者の方にもお勧めしたい、入学式に向けた心の準備です。

変調となる最後の「ああ~」の部分は、年齢や容姿を棚に上げて言うと、何度聞いても切ない想いに包まれます。

残念ながら私の音楽センスでは、難しくてリズムと音程を再現できないもどかしさがありますが、何時になっても入学の喜びをかみしめ、はかなく美しい青春の日々と華やかな歴史に彩られた伝統の重みを同時に味わうことができる、日比谷高校にふさわしい調べをもつ楽曲ではないかと思います。

星陵の丘 桜咲く。

まだ寒さの残る中、都内各地で開いた早咲きの満開の笑顔が、冬空の灰色の都会の心を晴れやかに癒します。

そしてこの日比父ブログは、今でもまだわずか100記事に満たない、WEB上に落ちた小さなシミのような存在だけれど、日比谷高校の成長に寄り添うように、少しは受験生や保護者の方のお役に立っているのかなと感じる今日この頃。引き続き謙虚な気落ちで身を引締め、都内に新たに住まう家族を応援したいと考えています。


合格されたみなさん、改めておめでとうございます。
新入生となった君に、星陵の丘で出逢うことを楽しみにしています。

ではまた次回。 

春の喜び、桜への思い

まもなく迎える入学式の想い出 

あるか夏の伝統行事、勝山臨海合宿 

 日比谷高校の学びと生活のプレビュー