都立駒場高校を訪問しました。
いや、その施設の充実ぶりにびっくりすると共に、改めて、都立高校の多様性と奥深さを感じました。
挨拶とさわやかな笑顔
駒場高校を訪れて最初に感じることは、男子も女子も、生徒がきちんと挨拶してくれるということです。
もちろん他の学校でも生徒が大人に対して挨拶してくれることはあるのですが、駒場の生徒は特にその割合が著しく多く、爽やかな印象です。
これは「保健体育科」を擁する、体育会系が盛んな学校の特徴ということもあるかもしれませんが、運動部の生徒に限らず文化部の生徒も同様の印象ですので、やはり学校としての伝統なのだと思います。
この点は駒場に着任する先生方も、同じ印象を受けるようです。
駒場東大前学園都市の一角
都立駒場高校は、その名の通り東大駒場キャンパスや筑波大附属駒場などと一連の学園都市を形成する学校です。
地図から理解できる通り、駒場高校の西側には、道を挟んで筑波大附属駒場中学高校と私立駒場東邦中学高校が並んでいます。都立国際高校とも、直線距離で400mほどの距離にあり、これらの学校の生徒の多くは駒場東大前駅で合流することになります。
各学校のヒエラルキーがあるのかないのか分かりませんが、駒場と国際高校の場合は共学校という点において、筑駒や駒東とは一線を画した学生生活であることは間違いありません。
駒場高校と芸術高校
訪れて初めて分かることですが、駒場高校の敷地はものすごく広く感じます。
実際地図で見る限りでも、駒高の敷地面積は、筑駒と駒場東邦両校を合わせた程度の広さを持つようにも見えます。
何しろ都立駒場は、駒場の閑静な高級住宅街の中に、陸上競技用のトラック一面を擁する学校であり、かつ今回初めて知ったことですが、廃校となった都立芸術高校の跡地も擁することから、実際相当広い敷地を誇る学校であることは間違いあありません。
尚、旧都立芸術高校は、元々1950年に駒場高校芸術家(音楽科と美術科)としてスタートした学校ですが、1972年に単独の芸術高校として独立し、2012年には早くもその幕を閉じることになった数奇な学校です。
実は以前から、駒場東邦前に廃校校舎が建っているのは知っていました。
今回駒高を訪れるまでは、この学校跡地は区立中学の統廃合で利用されなくなった建物だと思いっていたのですが、改めて駒場高校の一部だったことを理解した次第です。
教室棟から陸上トラックに向かい、その先にあるテニスコートまで歩くのに、ちょっとした散歩以上の距離があります。個人的には何となく、慶應義塾高校の校舎からグランドに向かう雰囲気に近いものを感じます。
充実した施設
天井開閉型室内温水プール
実は駒場高校は、高校受験を迎える次男が通いたいと言っていた時期があります。
その心は室内温水プールがあるからという理由なのですが、今回自分の目で見てその意味が理解できました。
駒高の室内プールが特殊であるのは、大リーグ好きの方ならイチロー選手が所属したシアトル・マリナーズのセーフコフィールドのようなスライド方式で天井が開閉することです。
訪問した際は天井が開いており、青空が覗いていました。
室内型温水プールのため、水泳部は年中練習が可能であると同時に、授業でも比較的長い期間水泳の授業が行われるという事です。
陸上競技場
先にも書いた通り、駒場東大前の住宅街に、このような陸上トラックが存在するとは今まで想像もしていませんでした。驚きました。
このトラックはメインの学校グランドとは別に用意された、陸上競技専用の施設です。
競技場の奥には十分な広さを持つテニスコートが4面配置されています。
体操場とトレーニングジム
体育館や武道場などの充実ぶりはもちろんですが、体操専用練習場とトレーニングジムが存在することには驚きました。
ジムは簡易なベンチプレスが置いてあるのではなく、それなりの広さの講堂内に本格的な機器が並んでいるという印象です。
今回はいちいち驚いてばかりです。
都立駒場は保健体育科が設置されているだけあり、体育施設の充実には特に目を見張るものがあります。
こうした新鮮な発見や驚きは、学校パンプレットやHPなどで調べても実感できないことが多いですので、やはり実際に学校を訪問することの大切さを改めて感じた次第です。
音楽専用ホール
駒高は、先に記載した通り、かつては芸術学科を擁した学校であり、現在旧芸術高校の一部施設を利用しています。
その一つが音楽ホールです。
音楽室とは別に、このような立派なホールが存在することは、全く予想していませんでしたので、驚き以上に度肝を抜かれました。
この施設は、ちょうど日比谷高校の説明会が行われる星陵会館ホールを、専用入り口とホワイエのついたコンサート専用仕様にしつらえたような空間です。
駒場高には、駒場フィルハーモニーオーケストラ部が存在し、度々東京代表で全国大会に出場するなど実力ある高校フィル楽団ですが、その響きを支えるのがこのホールなのでしょう。
今回は残念ながら各パート練習の音しか確認する機会がありませんでしたが、いつか都内高校最高峰のオーケストラの響きを確認してみたいと思います。
余談ですが高校フィルは部活設置校自体が多くはないので、日頃から他校の生徒同士の交流がもっとあってもよいのではないかと感じます。
そして軽音部が利用するミニホールや、演劇部が利用するちょっとした撮影スタジオ施設など、他の普通高校ではあまり見られない施設の充実ぶりが目立ちます。
そして文化施設も
一般教室等については、都立高校全般に共通する平均的な構成で特筆すべき点はないと感じましたが、廊下などの公共部分は比較的ゆとりがあるように思います。
尚、駒場高校から駒場東大前駅方向には第一種中高層住居専用地域の住宅地が広がっているため、教室の窓からの眺めを遮るものが少なく、緑と家々の屋根の遥か向こうに新宿の高層ビル群がよく見渡せます。
仰光寮
今回新たな発見に驚くことの多い駒場高校ですが、学校アクセスについても北側の井の頭線だけではなく、南側の国道246に延びる田園都市線池尻大橋駅からも同程度の距離の徒歩圏にあることを再発見しました。
その敷地南側の裏門にひっそりと佇むのが「仰光寮」と呼ばれる純和風建築です。
仰光寮
淳皇后(昭和天皇の皇后陛下)が御学問所として使用された建物。昭和8年(1933年)、東京府を通じて本校に下賜された。当初麻布の校地にあり、昭和20年の空襲の際にも宿直の先生方の消火作業により、焼失を免れた。のち昭和26年(1951年)、同窓会「松桜会」の尽力で現在の校地内に移築された。本校の伝統を象徴する建物。
出典:駒場高校HP
今年創立120周年を迎える都立駒場高校は、その他校舎内の和室も充実するなど、注目されがちな運動施設だけではない文化的素養も兼ね備えた学校ということができるでしょう。
予備知識なしに訪れる者にとっては本当に驚きの多い、ちょっとした大学のキャンパスにも匹敵する学校施設を誇る高校です。
今回は、あまりの充実ぶりに施設の紹介のみの内容となりましたが、またの機会に進学実績その他の情報についてもお届けできればと思います。
都立駒場高校、それは駒場東大前という閑静な住宅学園都市に位置する、充実した学校施設と、さわやかな挨拶で訪問者を迎える気持ちのよい高校です。
学力レベルに関わらず、それだけでも選ぶ価値のある高校だと感じました。
是非一度訪問し、施設の充実ぶりをその目で確かめてみてはいかがでしょうか。
ではまた次回。