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日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

2017年東大合格速報 そして新たに日比谷高校を目指す受験生へ

合格点・内申点 大学合格実績

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 3月9日 日比谷高校三年生の皆さん、卒業おめでとうございます。

今年はまだ肌寒い中、凛と晴れた冬空が広がり、想い出に残るよい卒業式になったのではないでしょうか。

一保護者として、卒業生みなさんの今後の活躍をお祈りいたします。


 

東京大学合格速報に思う

 そして3月10日は、東京大学および京都大学の合格発表日。
 

来年は、一般的な常識から考えれば、おそらく東大の数字は落ちるでしょう。
合格実績は、どの進学校であれ浪人生の数などにより毎年上下を繰り返すのです。 もし日比谷が来年も更に実績を伸ばしたり、引き続き50人を確保するようなことがあれば、ここ数年の合格実績の伸びも驚異的ですが、それは本当に驚くべきことです。

また、全体の数字とは別に、現役合格者の実績も、今後の趨勢を占う一つの目安となりますから、特に注目です。

東大53人合格 東洋経済「高校力」に思う - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

 

今年の合格実績はまだ正式には発表されていませんが、日比谷高校教員によると、平成29年度の東京大学合格者は、 上の10月の記事の通り、昨年の53名を下回る40人台となりそうです。
現在の制度における公立高校としては、それでも十分立派な結果だと思います。

そしてもう一つ、特に気にしていた現役合格者は、昨年の27名から増やして、33名程度となるようです。

今年現役合格者を増やすとすれば、相当な健闘と言ってよいのではないでしょうか。

33人合格が正しいとすると、1学年320人の日比谷高校にとって、学年の1割以上が東京大学に現役で合格するということになりますから、この状況は、在校生や新入生にとっても、中学学習要領の進度で学び、高校入試から公立高校の門を叩く全国の生徒にとっても、この春の喜ばしいニュースのように思います。

もちろん、成績上位者がみな東大を受験しているわけではないでしょうし、他に国立医学部志望組も多数いるでしょうから、今では日比谷の学年50番程度であれば、東京大学に十分現役で合格する力が備わっているのと同時に、学年2桁程度の順位であれば、あくまでも結果状況から察する個人的な意見にすぎませんが、京都大学や国立医学部も含めた難関大学を現役合格で十分狙えるといった状況にあるのではないでしょうか。


 

まずは学年100番以内を確保したい

 この春入学する君や、これから受験生となる君にお伝えしたいことは、日比谷高生にとって、上記の通り学年100番以内に位置することが、学力や大学進学を考える上での一つの目安になるのではないかということ。

もちろん、成績は高いに越したことはありませんが、大部分の生徒にとって現実的な線引きとなる学年2桁の順位を確保するということは一つの目標であり、学力上位者にとっては最低限のラインとなる分かりやすい数字だと思います。


入学当初は、入学式直後の全体集会や保護者会などで、度々次のようなことが語られると思います。

 「最初のテストで、300番とか取ってもビックリしないでくださいね。」

日比谷高校に入学する生徒の大部分は、中学時代には学内の成績は1番を中心に1桁台の生徒でしょう。

ところが当たり前のことですが、一つの学校の中では改めて1番から最下位までの順位が並ぶわけです。
今まで1番しか取ったことのない生徒会長を経験した君が、いきなり学年順位300番となると、可能性は頭で理解していたとしても、それなりにショックでしょう。


現実問題として、現状の都立入試においては、制度構造的にこの入学時点での学力差が発生する仕組みとなっていますから、入学前に自分の立ち位置について、客観的に把握してみることが大切ではないかと思います。

日比谷高校の入学準備でいうと、春休みの事前課題がきついと感じるようであれば、学力的に上位学力層から後れを取っている可能性を示唆する一つの目安になるかもしれません。

かといって、不安になって高校生活のペースをつかむ前から無暗に塾に通うこともよい対応ではないように思います。
入学時点での学力と、実際の地頭なり賢さは、必ずしも一致するわけではないと考え、まずは焦ることなく自分の実情を自覚するということが必要だと思います。

そして入学後に努力する。
仮に3年生の受験期に300番台にいたとしても、大学受験生全体で見れば早慶現役合格は十分狙える位置にいるのですから。


そしてこの入り口の学力差は、ひとえに受験勉強への取組み方で決まる種類のものですから、これから日比谷高校をはじめ都立トップ校を目標とする受験生は、実際にどのように受験勉強に取り組むかは別にして、予め意識すべきものであるように思います。

では次に、この意識すべき入学時学力差について具体的に考えてみたいと思います。



 

入学時学力差発生の見える化

  まずは以下の図をご覧ください。

グループ作成問題における入学時学力

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これが今年平成29年度まで実施された、日比谷高校入学試験における学力と合格者の相関関係です。
この図は日比父オリジナルの図ですが、東京における高校受験の実態をすべて表した、貴重な情報がぎっしり詰まった概念図だと思います。

私は受験業界関係者でも教育関係者でもない一保護者ですので、正確性に欠ける点はあるかもしれませんが、個人的には高校受験の現状を概ねこの図のように捉えています。
図の見方は以下のようになります。

  • 縦軸(y軸)は学力試験の点数(換算700点満点)
  • 横軸(x軸)は内申の点数(換算300点満点)
  • 赤の斜線は日比谷高校合格想定ライン
  • 青の水平線は開成など難関国私立高校合格参考ライン
  • 台形の黄色斜線部は日比谷高校合格可能受験生
  • 長方形の青色破線は難関国私立高校合格可能受験生
  • 青色三角形は難関高校合格でも日比谷高校に合格しない受験生
  • 黄色三角形は日比谷高校合格でも難関高校に合格しない受験生

尚、学力試験は700点満点ですが、学力上位層のポテンシャルとして、700点以上にも色を付けてあります。

縦軸の試験得点は、5教科500点満点が、合格判定時に700点に換算されます。
また、内申45点満点は、合格判定時に300点に換算されます。

ちなみに理論上の内申最低点は、内申1を留年とみなせば、各科目最低2点ですから、

2点x5教科 + 2点x4教科x2倍 = 換算内申点26点
26x300/65 =120点が、都立受験生の内申最低点となります。

内申点の仕組みがよく理解できない方は、本記事の最後に内申点の仕組みについて詳しく解説した記事リンクを載せていますから参照ください。

尚、この図では、日比谷の合格想定ラインを分かりやすく800点で引いていますので、赤いライン上はすべて合格ボーダーの800点となりますが、もちろん合格最低点は毎年の受験生や試験の難易度で変わります(赤線が上下に平行移動します)。

 

この図は、以下の社会現象の発生メカニズムを端的に示していると思います。

  • 日比谷高校合格者の入学時学力差の要因
  • 都立トップ校と難関国私立高校合格者の学力差
  • 都立入試問題の難易度による合格者学力の高低

入学時学力差の要因

 ではまず、学力差の発生要因を見ましょう。
先ほどと同じ図を再度掲載しますので、上記観点でグラフを確認してみてください。

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このグラフで最も注目すべきは、赤いグラフが傾いているという事実です。

これが都立高校受験の極秘中の極秘情報です。
といっても、誰も隠しているわけではありませんが。

実はこの点を、今まで以下のような内申マトリクスという、より実際の受験合格点に絡んだ一覧表でお見せしてきたのです。
例えば以下の通りです。

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このマトリクスは、各内申点に応じた合格に必要な試験の想定得点を示していますが、上のグラフが示す豊かな表情の一つの特殊解(上記でいえば合格点を790点と想定した場合)を切り取ったにすぎません。
一方グラフでは、想定合格点はグラフの上下平行移動で表されますから、合格点に応じたすべてのケースを網羅することが可能になります。


では、なぜグラフが傾いていることが重要なのでしょうか?

答えは簡単です。
つまり、傾きにより、合格者の受験学力に上下差が発生することになるからです。

一般的な国私立高校受験における合格ラインは、図の青グラフのように、学力に対して水平になります。
つまり、内申点や学力以外の能力に依存しない、学力による足切り試験ですから、試験の難易度フィルターによって、ある一定学力の受験生以上を確保することが可能となるわけです。
もちろんこの場合でも上方向に合格者の学力差は生じますが、意図して入学者の下限を抑えることができるわけです。

そして入学試験の難易度で、この合格ラインが水平のまま上下に平行移動する。


ところが都立の場合、内申点が加味される結果、この合格最低点に傾きが生じます
このため、受験学力の下限が一定でない受験生が同時に合格するわけです。
つまり、同じ学校の合格者であっても、入学時点の学力の差が生じることになります。

そして都立には推薦入試による入学経路も存在する。

日比谷の推薦合格者は、x軸方向ではグラフの一番右、内申満点の300点辺りに位置する生徒が多いと思いますが、上下方向は全く拘束されません。
推薦であれば、学力試験の赤い合格ラインより下の学力でも合格は可能となるのです。
もちろん、上振れもあるでしょう。

そもそも都立入試においては、この学力面の下限を抑えるのが内申点ということかもしれませんが、中学校の指導要領内での学力の達成度ですから、例え内申満点であっても、実際の受験業界における学力の上限を抑えたものでないことは周知の通りです。

そして、この傾きによるグラフの左上端と右下端のy軸方向の差が、合格時の学力差となって生じるわけです。
しかも傾きがあるために、学力差のばらつきがより生じやすい構造にある。
グラフの右下方向で合格する受験生が多いほど、難関国私立高校との学力差も大きくなるわけです。


ただし、個人的にはこの制度をダメと言っているわけではありません。

逆にこのグラフの傾きによって、受験学力に一元化された合格ラインでは拾いきれない合格者の多様性を生み出しているわけです。
推薦入試然りです。
そしてその点が、公共教育である都立高校の社会的な役割の一つなのでしょう。


こうした状況がありますから、日比谷高校を志す学力上位の受験生は、せっかく取り組む受験勉強において、単に合格を目指すだけでなく、どの学力をもって合格するのか、という点を意識することが大切ではないかと思うのです。



 

自校作成問題復活の影響の見える化

 では次に、同じグラフを使って、来年平成30年度からの日比谷高校をはじめとする都立トップ校学力試験および高校受験業界への影響を見てみましょう。

まずは百聞は一見に如かず、グラフをご覧ください。

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はい出ました。

少しグラフの傾きが変わっていますね。
先ほどまでのグループ作成問題のグラフが赤い破線グラフです。

尚、上記グラフは、自校作成問題となった場合には、現状のグループ作成問題よりも入試問題の難易度が上がる前提で考えています。

この場合、学力試験の点数がグループ作成問題の場合よりも得点しにくくなる、つまり受験学力差が得点差として表れやすくなるため、学力試験における内申点の影響が従来よりも低くなり、

  • 高内申者に求められる学力は上がり
  • 高学力者に求められる内申点は下がる
    (低内申点者に必要な学力が下がるのではない)

合格ボーダーはあくまで1次関数の直線ですから、結果的に、グラフが回転するように変化するのだと思います。
試験の難易度が上がれば、グラフの傾きは水平に近づくことになる。

実際にはグラフの傾きを決定する最大要因は試験得点と内申点の比率であり、入試問題の難易度による傾きの変化はその枠組内での調整要素と考えるべきものではあります。


そうした中、学校側の新入生に求める生徒像により、この難易度の調整が決まってくるのだと思います。

難しすぎても易しすぎても、試験での得点差が開かず逆に内申点有利の状況が生まれますから、受験生へのメッセージが込められた、いわゆる良問を如何に作成するか。
自校作成問題を通じた日比谷教師陣の腕の見せ所です。 

 

 

一般的な公立高校共通問題での状況 

 参考までに、都立一般校や多くの都道府県で実施されている各校共通問題での入試の状況を見てみましょう。
グラフは概ね以下のようになります。  

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共通問題を利用する場合は、ちょうど大学入試センター試験と同様に、学習指導要領の理解度を試す内容となりますから、入試問題の難易度は下がります。

この場合、難関高校の試験問題に対して、公立高校の赤い合格ラインのグラフが下がります。

こうなると、公立上位校といえども、学校側が試験を通じて学力の高い受験生を選択することが困難となりますから、私立との学力差が開くばかりです。
このため、東京都のように私立高校学力優位の地域では、公立高校が大学合格実績において難関校に伍することが難しい状況が生まれます。

ですから公立進学校においては、進学校としての体をなすために、求める学力の生徒を獲得できる仕組みとして、先ずは各校に合った独自の入試問題の設定を行うことが重要になるのだと思います。

そして一方で、私立の中堅校や下位校に対しては、それぞれのレベルに応じた高校との間で、図の青色破線との関係の通り、先の日比谷と難関高校の関係で見たものと同様の状況が生じるのでしょう。

 

さて、いかがでしょうか。

受験生となる君は、単に日比谷高校合格を目指すのではなく、図の台形で示された合格範囲のどの位置を狙って合格するのか、その点を意識することが、都立入試を効率よく進め、入学後のスタートを優位にするためのポイントとなるのではないかと思います。

そしてこの点は、受験勉強の方法や塾の選び方などと密接に関係してくるのです。


保護者の方であれば、台形グリーンのどこにボールを落すのか、そのために中学入学というティーグラウンドから3年間でどのようにボールを刻むのか、コースマネジメントならぬ受験マネジメントに近い状況があるかもしれません。

最終目的地である合格というカップインまでの道程は、時に池に落ちたりバンカーにつかまったり、模試で門前払いのOBをくらったりすることがあるかもしれない。

そして受験生となる中学3年生に進学した際に、グリーンを臨む絶好のフェアウェイに立っているのか、茂みの中から狙うのか、最後の最後に思わぬ緊張でショートパットを外したり、逆に大逆転のイーグルパットをねじ込むドラマが待っているかもしれない。

この都立高校の合格ラインの傾きは、グリーン上の傾斜が織りなす物語のように、さまざまなドラマを演出し、多様な受験生に優勝カップをもたらす要因となるのです。

ライバルひしめく難関コースに出る前に、学習塾という共に寄り添うキャディーが必要なのか、どう選ぶのか、親としては気になるところです。
この辺りのことは、また近いうちにお話ししたいと思います。


昨日11日は東日本大震災6周年。
当時わが家は海外赴任中で被災することはありませんでしたが、彼の地のテレビから流れる映像を、痛ましい気持ちで追っていたことを記憶しています。
震災で亡くなられた方々の冥福をお祈りいたします。

ではまた次回。

 

 

内申点制度を理解するために

 

半世紀を超えて訪れる日比谷復活の予感

 

2016年度大学合格実績の振り返り