日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

日比谷高校第一志望ながら、日比谷、開成、塾高のどこに入学すべきか、都立合格発表まで悩んだ父親が贈る、上をめざす君と家族を応援する徒然日記

2019年入試に向けた基礎知識 ~ライバルの学力を知る

 自校作成問題復活となった2018年度入試。
日比谷高校にとってこの制度変化は、求める学力層を選抜する手段として期待通りの結果をもたらしたようです。

「やはり自校作成に戻してよかった」。合格発表日、日比谷の武内彰校長は振り返った。
 グループ作成問題だった昨年、一昨年の入試の受験者平均は国語が73点、76点、英語は76点、67点と高かった。今年は英語も国語も記述問題を増やし、やや難しくした。(中略)結果、今年の受験者平均点は、国語、英語は60点台、数学は50点に下がった。
出典:朝日新聞デジタル 2018年3月3日

武内校長のこの心情は、2018年入試の半年以上も前の7月に日比父ブログが分析した、以下の状況そのものと言えるでしょう。

・・・全都共通問題である理社は仕方ないとしても、グループ作成問題が含まれた3教科の現状の入試問題は、現状の日比谷受験生にとってはそれほど歯ごたえがあるとは言えない問題、何点取るかよりもミスしないことが求められる試験になっていたのかもしれません。 この我慢比べのような状況は、受験生にとっては逆にきつかったことでしょう。 そういう意味でも、自校作成問題によって入試問題の難易度が受験者母集団のレベルに合ったものに引き上げられるのは、歓迎すべき変化だといえるでしょう。

平成30年度 自校作成問題で、記述問題が増加する理由 ~その傾向と対策

ミスを犯さないことが求められる選抜試験から、学力の高さを積極的に測る選抜問題への転換。それは、受験者レベルが年々上昇しているとされる日比谷高校にとって、一般入試で学校が求める学力の生徒を見極めるために死守すべき生命線でもあります。

2019年度日比谷入試の傾向

 2018年度自校作成問題復活における入試傾向が判明した現在、平成31年度向けの入試対策の足がかりができました。学校説明会他、様々な学習塾が継続的に情報を発信するでしょう。少なくとも日比谷高校では、3教科の試験問題については難易度が下がることはもはやないでしょう。

では2019年入試においても、今年と同じ状況、具体的には同じ難易度と合格点を想定して対策すればよいのでしょうか? 

結論から言うと、それでは十分とは言えない可能性があると思います。
何故でしょうか?

それは先に記載した通り、日比谷高校受験生のレベルが現在進行形で年々上がっていると言えるからです。 つまり、入試問題のレベルは概ね維持されるとしても、受験者母集団のレベルが上昇傾向にあるため、これに伴い合格点も上がる可能性があるからです。
逆に、平均点を概ね60点台とするために、試験問題が更に難化するかもしれない。

受験者母集団の学力が上昇している点は、グループ作成問題時代の合格平均点の上昇や、後述する客観的な数字が示す事実です。
そして更に来年度入試では、

  • センター試験史上初の満点
  • 東大合格者トップ10復活

こうした象徴的な話題に対するメディアでの露出の増加など、受験者レベルが上がりこそすれ下がる要素がないと考えるのが妥当でしょう。西高校の今年度大学合格実績が振るわなかったという影響もあり、2019年度入試では都内の最優秀層が日比谷に集結する下地が確立しつつあると言えるでしょう。

では、日比谷高校受験生の学力はどのレベルまで来ているのでしょうか?
客観的なデータに基づき確認したいところです。そこで今回は、確かな情報源として、大手学習塾が2018年入試レビューとして一般向け説明会で公表した数字を参照しながら、2019年度入試に向けた基礎データとして、現在の日比谷高校受験生のレベルについて確認します。

尚、今回お届けする内容は、著作権者である学習塾が情報取り扱いについて定めた禁止行為に該当しない範囲での情報提供である旨について、予めお断りしておきます。
 

2018年新入生は近年最高学力か

 まずは私個人の主観的な情報から。

今年3年生となる長男が2016年に日比谷高校に入学した年、学年担当教官が入学後の早い段階でこんなことを保護者に語っていました。

「今年(2016年)の新入生の学力は近年最高だ」と。

これは毎年実施される模試の結果を過年度の学年と比較した定点観測の結果だと思いますが、翌年2017年の新入生が入ってくると次のような言葉に変わりました。

「今の2年生は、新入生(2017年度)の足元にも及ばない」

1年でずいぶん態度が変わるなと思いましたが、実際そうあってもおかしくありません。というかそう聞いて安心しました。そうあってほしかった。

なぜならば、具体的な理由は記載しませんが、愚息が入学した2016年度入試では、日比谷高校は難関私立や国立と比較して、まだまだ学力的にずいぶん入りやすい学校だったと後から実感したからです。特別選考枠廃止や4教科内申2倍も影響したでしょうか、当時近年最高と評された学年に子を持つ親としては、本当にそうなのかな?もしそうであるならば、学年全体で見た母集団の学力レベルはまだまだ大したことはないな、という冷めた目で見ていました。

確かに学力上位レベルは青天井としても、学年全体のレベルは難関中高一貫校と比較して決して高くはないようだ、と家族でよく話をしていました。

今にして思えば、男女別枠制や推薦入試、そして内申点が合否判定に3割影響を与える都立入試制度では、学力上下差のある合格者が出るのは当然の結果なのです。日比父ブログの読者の方なら既に周知の事実ですし、これは今後も同じでしょう。

ただし上下幅広い学力層が入学することは、例えば東大や医学部など難関大学の合格実績が高いことが是という価値観ではマイナスになるかもしれませんが、逆に東京大学が現在喉から手が出るほど欲しい、男女同一比率や多様性確保といった観点から見れば、むしろ一歩進んだ教育環境を実現した状況であり、大部分の中高一貫校に対する大いなるアドバンテージだということができるのも確かです。

いずれにしても、日比谷高校入学者全体の学力レベルはまだまだ上昇する余地があると共に、実際そのような傾向があると、この後示す数字は物語るのです。

 

S社オープン模試11月偏差値

 次は大手塾の客観的な情報です。

入試終了後の3月から春先にかけて、多くの塾では新規学生の確保やプロモーションのために様々な入試結果についての無料報告会を実施しています。その中の一つ、高校入試専門塾であるS社中学部の公開情報について、日比父ブログの視点で確認してみたいと思います。

まず情報の基になるのは、首都圏難関受験大手の一角を占めるS社所属の受験生です。
この学習塾の2018年入試における日比谷高校合格者は2桁に達してはいますが、大手の中では中堅的な実績です。ただし同社は開成、慶應女子といった最難関校への合格者が日比谷合格者よりも多いことや、塾への社会的な評価から見ても、在籍生徒母集団としては上位学力層が多い印象の学習塾であると考えられます。

こうした大手進学塾に鍛えられた日比谷高校受験者たちの、2018年度入試における実力がどの程度だったのか、見ていきましょう。

まず初めに、実際の合格者の模試における偏差値データを確認します。
比較のため、都立西高校および学芸大附属一般の情報も記載します。

日比谷合格者の模試偏差値

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この一覧は、あくまでS塾に通い、それぞれの学校に合格した生徒のデータですので、受験生全般の数字ではないことに注意が必要ですが、上位学力層に近い受験生の動向を確認するための資料として見ることができるように思います。

尚、S社偏差値は学力上位母集団が主に受けるため、V模擬、W模擬よりも10~15程度低い数字となるようです。

この情報に対する塾のコメントとしては、

  • 日比谷男子合格者の平均偏差値が初めて60を超えた
  • 学大附属は合格者数を大幅に増やした結果、上下幅広い層が合格した
    (昨年までは上位層のみ合格した)

ということですので、昨年度と比較して、日比谷高校合格者の平均学力が上昇していることが客観的に伺えます。数字の中で気になるのは、特に西高女子と日比谷女子の差異が大きい点ですが、これはもしかすると、対象者が少なく特異値を示した結果かもしれません。

また、日比谷女子の最低偏差値47かつ内申40の生徒は、とても受かる水準にないため、直前期に相当学力を上げたことが伺えます。おそらく中学時代は部活中心で、引退後の冬休みに驚異の集中力で一気にライバルを抜き去ったのではないでしょうか。

 

日比谷受験生の併願校

 次は合格者に限らず、S社中学部に通う日比谷受験生全体の併願校について受験者が多い順に並べたものです。一覧の上の学校ほど併願者が多いことを示します。

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今年この塾から日比谷高校を志望した受験生の併願校は、首都圏高校受験地図の中では最上位学校が多いようです。この一覧で特に興味深いと感じたのは、

  • 男子慶應義塾高校が一覧ににない

という点です。
これはつまり、日比谷高校受験生については、2月10日受験において、義塾よりも開成高校を選択している受験生が相当多いということを表しているのではないでしょうか。

入試改革や首都圏私大合格者制限により、高校受験でも大学附属校人気が高まる中で、日比谷高校を目指す男子は、難関大学受験を積極的に考えている集団だということが言えそうです。女子も最難関であるために慶應女子を受験こそすれ、気持ちは大学受験という雰囲気ではないでしょうか。

安易に大学附属校進学を選択せず、難関国公立大学や医学部を目指すという、なかなか気骨ある集団のようです。

ちなみに西大和学園は奈良の高校ですが、1月に東京で受験可能な点と、試験結果の開示が行われるため、受験する生徒が増えているのだそうです。地方の有力高校も、生き残りをかけて、あの手この手で優秀学生の確保を図っているようです。

 

合格・不合格者内申点

 では次に、多くの方が気になる内申点について見てみましょう。

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この一覧も、あくまでS社受験生母集団の実績に限られますが、こうした内申点に関わる一定規模の合否情報はあまり見ないため貴重な情報といえるかもしれません。特に、5教科と4教科がそれぞれ明記してある点が資料として評価できます。

個人的にこの一覧で最も重要な情報は、(換算51=235点)と記載してある数字だと考えます。これは、内申満点45点を実技2倍の65点満点に換算した場合の換算内申点で、オリジナルにない情報を日比父ブログが追記しました。

換算内申点が特定できるのは、9教科内申最低点から4教科内申最低点を引いた値が、5教科満点と同じ25となるためです。それぞれの4教科内申最低点に対して、5教科が25点でなければ、9教科最低点を下回ってしまうのです。ただし、男子不合格の9教科内申28の換算内申点については、様々な組合せ可能性があるため特定できません。

この換算内申点情報以外は、入試の合否判定には直接影響しないので、どちらかというと心象的な情報です。

男子は内申点に関わらず、高い学力に物を言わせて逆転を狙う攻めの受験生が多そうです。4教科内申が13点、つまりほぼオール3でも合格している点が心強い情報ではないでしょうか。

逆に女子の場合は内申点が高止まりしており、合格者も不合格者も内申点はほとんど変わりません。どの教科も平均点を死守するという守りの受験生が多そうです。

内申点に関し、受験生全体で見れば男子で38、女子で40以上ないと合格できない訳ではなく、逆に男子で内申43点以上、女子で44点以上あれば必ず合格する訳でもないでしょう。単にこの塾の生徒はそうだったということです。

 

ガチバトルモードの日比谷男子

 最後に、一般情報としての都立受験状況を確認します。

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 日比谷男子受験生は、直近7年間で見ると減少傾向にあります。
特に今年の2017年から18年にかけて、日比谷以外の主要4校が受験者数を伸ばしたのに対し、日比谷高校だけは逆に受験者を減らしています。

これは、学力上位層が日比谷に集結している状況と一見矛盾するかのように見えますが、実はそうではないようです。実際には、学力上位層が集結しているからこそ、むしろボーダー上の不安な受験生が危険回避のために他校へ流れたことを示すサインだといえるでしょう。

そして2015年から16年にかけての大幅な受験者の減少は、内申点を考慮しない特別枠廃止の影響と考えられます。ネット上では、この特別枠廃止と実技4教科内申2倍の影響により、高学力の受験生が日比谷に入学しなくなるという制度批判や悲鳴にも似た声が多いように思いますが、実際にはそうではないと思います。

むしろ内申点の壁があることにより、本当に日比谷で学びたいと強く願う受験生による、本気モードで勝負を決するバトル場が形成されているのだと思います。

これは、「開成国立附属がダメなら日比谷でいいや」という受験生が排除され、日比谷第一志望を真剣に考える集団の形成につながっているように思います。

そういう意味では内申点の壁は、ルサンチマンの鬱積した淀んだ環境を浄化すると共に、日比谷の学びの環境に共感し、学生生活に積極的な生徒を選抜するフィルターの役割を果たすという意味において、決して悪いことばかりでないように思います。

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日比谷女子は先に見た通り、元来高偏差値が集う受験集団であるためか、2016年の制度改定にも影響されずに安定した受験者を維持しています。

大学受験を希望する都内の高校受験女子にとっては、そもそも高偏差値の進学校の選択肢が多くはない状況の中で、日比谷高校は引き続き魅力的な存在として支持が集まるのではないかと思います。


さて、3月24日は日比谷高校の学校説明会が行われました。
2018年入試における平均点や内申点などについて情報をご提供いただける方がありましたら、入力フォームからお知らせいただくと助かります。
本年度合格点情報の検証などについて、記事として発信していきたいと思います。
是非ご協力ください。

ではまた次回。

入学時の学力による推定学校順位

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