親として迎える、初めてのセンター試験が終了しました。
生まれて初めて体験する、親としての大学受験本番がまず一つ終わったことになります。自分で受ける試験ではないのに何だか疲れました。
大学受験に関しては、完全に本人任せにしていますので、目標点など事前に全く聞いていなかったのですが、目標は9割突破より高いところにあったようです。
そうなると、当然どの科目も1問落とす事が目標達成を脅かす状況になりますから、9割確保するのは、本当に大変なことだと思います。
難関大学や医学部受験生にとって、一つの目安と言われるこのセンター9割確保に向けた試験前後の心の揺れ動きを、身近に見守った保護者の視点からお届けします。
センター試験を待つ親の心
基礎テストとはいえ入試本番が近づいてくると、何といってもインフルエンザに罹らないかが保護者としては一番心配になります。
長男が大学受験に向けて勉強し始めたのは2年生の11月に入ってからですから、世間的には取り掛かりが遅い組なのかもしれません。しかし、この1年はそれなりに集中して勉強していましたので、体調不良で日頃の実力が発揮できない状況がなければいいな、という気持ちを強く抱いていました。
センターが近づくにつれ、日頃の放任的な心の余裕も後退し、体調を心配する過保護な気持ちが、親心という自らへの言い訳を伴って顔を現します。
2022年度より成人年齢となる18歳の青年に向かって、出かける時にはマスクしろよ、などと声をかけるのは大人げないとは思いつつ、インフルエンザ予防などには全く無関心な本人の態度に親の方がやきもきし、ついついマスクを手渡したりしてしまいます。
私自身も本番2週間程前からは、通勤移動の際にはマスクをするように心がけました。
また、正月早々に加湿機を追加し、少しでも長男のインフルエンザリスクを減らそうと心がけましたが、本来であればむしろもっと早くから対応すべきことだったかもしれません。子が子なら、親も親というところでしょう。
本人も正月明けからは零時前には就寝し、朝早めに起きて勉強する生活に移行していたことも幸いしたのでしょう。結果的にセンター試験本番も、良好な体調で余裕をもって会場に向かうことができたようです。
センターに棲む魔物との闘い
実は私自身はセンター試験の時間割を把握していなかったため、夕方には帰って来るだろうと思っていたのですが、実際に帰宅したのは19時を回ってから。18時過ぎまで試験が詰まっているとは知りませんでした。
初日は9時間も拘束される訳ですから、マークシートの基礎試験といえども、間違えてはいけないというプレッシャーの中での、かなりハードな入試だと思います。
愚息は玄関に入るなり開口一番、
「国語がよく分からなかった」との声。
国語は現代文も古文も、どの問題も自信をもって解答できなかったのだそうです。しかも、いつもはかなり余る試験時間にも余裕がなかったと言います。何点取れているかすごく不安だと口にしますから、聞いている親の側もかなり不安な気持ちになります。
2019年度のセンター国語は大幅易化となり、古文は近年もっとも易しいとの評価結果が出た科目。全国平均も前年比で15点以上も上がっていますから、本来ならば易しく感じる設問であったはずです。
ところが本人は、模試や過去問も含めたこれまで経験したセンター試験の国語の中で、正解なのかどうか、一番判断がつかない解答ばかりだったと言います。
もちろん、帰宅後の数時間は結果は分からない状況ですから、本人も親も、なんだかもやもやした落ち着かない状況のまま食卓に向かいます。何かがずっと喉に詰まったような、すっきりしない気持ちの中での食事です。
国語の出来にはあまり触れない中でも、玉水物語の「百合」の世界観については話をしました。女性が女性に対してそっと想いを寄せる、二次元世界における「百合」の概念を、今どきの若者である長男から教えてもらうと共に、それが古の時代から存在することについて話をしました。
そうこうする内に、予備校のセンター速報が流れてきます。
その中で、国語が易化しているという情報を目にして、かなり複雑な気持ちになりました。本人は初日の結果情報には敢えて触れないようにしていたのでしょう。国語易化の情報について、認識していないようでしたので本人には伝えませんでした。
一番気持ちが悪いのは本人のはずですが、それでも2日目の数学の確認を少しして早く寝ることにしたようです。実際疲れていたこともあるのでしょう。23時には早々眠っていました。
初日の結果を、その日の内に自己採点するべきかどうか、という話題をネット上ではよく見かけます。日ごろはスマホで様々検索する長男も、その夜はセンター試験の結果や動向については全く確認することなく過ごしたようです。
周囲も同じ気持ちなのでしょうか、友人とのLINE上での情報交換もないまま、センター1日目が終わりました。
ヒアリング四天王の登場
2日目も早朝に起きて準備を行う息子に対し、朝食の席でヒアリング試験での野菜キャラの話題を振ってみました。ネット上ですごく話題になっているよと。
そうすると即座に「やはり」、という反応が返ってきました。
表紙をめくった瞬間に、撃ち抜かれるような衝撃が体を貫いたようです。こんな感じだったといって見せてくれたイラストがこれです。
自分の中ではかなりの衝撃的な事件だったようですが、全国的に話題になっていることを聞いて少し気が紛れたようです。国語の出来が頭に引っかかっていたのか、その点について夜に話題に上がることはありませんでした。
いずれにしても1日目の出来を後悔してみても仕方がないのは本人が一番よく理解しているようで、2日目に気持ちを切り替えて家を出て行きました。
2日目の建て直しと自己採点
2日目は、おそらくは試験に集中する本人よりも、残された親の方が緊張して過ごしたのかもしれません。試験場にわが子を送り出した後は信頼して待つしかない、親力への挑戦のような状況です。
本人は、初めて経験する大学受験の前哨戦であるセンター試験2日間を、気持ちを崩さず最後まで何とか乗り越えたようです。
体調を崩さず試験に臨めた点と、試験場までの道中に大きなトラブルもなく終了したことに、とりあえず安心しました。
わが子が高校生にもなれば、親が直接口出しせずに、子が自発的に行う行為を静かに見守るという親の立場が多くなります。
試験にしても、本番は本人の力に委ねるしかないのは当たり前のことですが、手も口も出さずに子の状況を見守るという姿勢を維持することは、実は親にとっては一番力量が試される状況なのではないかと、センター試験を通じて改めて感じるに至りました。
帰宅後の長男は、夜までは何もしないと言って、いつものようにソファーに寝そべってスマホで動画を見ながら気分転換を図ります。くだらない動画を何も考えずに見ることと、小学生の弟とカードゲームで対戦することが、本人にとっては長い受験期間を通してのリラックスの方法になっているようです。
夕食を済ませ、再びスマホに逃避しようとする愚息に対し、早めに自己採点するよう促します。やはり1日目の国語の結果を知ることが怖いのか、なかなか自己採点しようとしません。いつもは物事に淡々と向かい合う性格であるものの、今回は流石に現実に向き合うことに対して躊躇しているようにも見えます。
長男の受験勉強は、100%リビングの食卓で行われていますから、自己採点の様子も間近に感じる状況です。
「えっ」とか「あれ」とか感嘆詞を発する度に、何か大きなミスでも犯していたのではないかと、こちらもものすごく緊張します。
センター9割を確保しようとする場合、教科によっては1問間違えるともう後がない状況に陥ります。自己採点を傍で見守る親の方も、なかなか落ち着かない長い時間が流れます。
他教科は大崩れせずに乗り切ったという結果の最後に、自信を持てなかった国語の採点が残ります。本人も採点したくないと声に出して躊躇するほど、子も親も、本当に緊張した時間を迎えました。
強かった全教科型学習
結局、総合得点は9割を越え、最低限の目標には達したようです。
国語も何とか大崩れせず、結果的には易化した状況ではよくはないものの、悪いわけでもないという点数に納まりました。
そして今回、国語の伸び悩みをカバーしたのが理科社会です。どの科目も、今まで模試や過去問で取っていた点数と比べ、複数の満点を含めた良い点が並んだようです。
本人のセンター対策は、本番2週間程前から各教科1週間程度で取り組んだようですので、最低限の労力で必要最小限の成果を獲得した事になります。
本人曰く、地理と世界史、そして地理と生物などは互いに密接に関連しているなど、関係性のある教科に取組む事で、他の理社の点数も上がるのだそうです。
そしてセンター試験が終わった感想として本人が語ったのは、理科社会も含めて1、2年生で全教科必須としてそれなりに取組んだ授業が、結果を見ればセンター試験には有利に働いているのではないかという点です。
高校時代、塾や通信教育を利用していない者にとっては、学校の授業がベースとなる入試ですから、国立大学を目指す5教科7科目、6教科8科目が必要となる受験生にとって、理科社会全科目が必須となる授業カリキュラムは、少なくともセンター試験を受ける上で、受験科目の選択の幅を広げる意味も含め、下支えとして効いてくるようです。
そしてもう一つ、センターを体験した本人が身にしみて理解したことは、センター満点を取ることの凄さ。大学受験は必要最小限の勉強で乗り切ろうとしている愚息にとっては、準備周到な、夢のまた夢の別世界に感じるに至ったようです。
それぞれの大学入試それぞれの春
親として初めて迎える大学受験本番の最初の一歩が終わりました。
国立大学二次試験まで残り1か月、悔いのないように引続き体調は万全に、しっかりとした準備ができればよいなと思います。
次の緊張の瞬間は、主要私立大学のセンター利用受験の合否判定。
結果によっては私立大学は1校も受験せず、国立二次に向かうことができますから、心理的にも実際の受験準備的にも、相当負担が軽減されるからです。
落とすことができないセンター試験の緊張感とはまた異なる、二次試験本番に向けた心の変化がどのようなものになるのか、人生初めての経験を、ある意味楽しみながら、そして悩みながら、私自身冷静に迎えることができればよいなと思います。
平成最後の短い春は、わが家にとってどの様なものになるのでしょうか。
良くも悪くも人生の一つの経験です。
ではまた次回。
センター試験後の第一志望に向けた1か月の葛藤
東大生の親である心理
医学部を目指す君へのメッセージ