@初心者ゴルフ108の心得

ゴルフバッグ

 コロナが始まって生じた暮らしの変化の一つに、ゴルフに出かけるようになったということがあります。

海外赴任中に、取引先のコンペなどに騙し騙し参加することはあったものの、スコアは毎回付き合い程度の120前後といったところで、趣味として生活の中に定着するということはありませんでした。

帰国後は、家族サービスが必要な年齢の子供たちを横目に一人で遊びに出かけるということには抵抗感もあり、道具に触れることもなく長い年月が過ぎていきました。

ところが昨年末に、ふとしたことからゴルフに誘われた際に、コロナで遠出する機会も減っていることから話に乗ることにしました。子どもたちも親と一緒に出かける年齢を過ぎ、家族を気にし過ぎる必要がなくなったということもあります。

そしてこの12月でちょうど1年が経ちました。

最初は外出の機会と考え誘いに乗ったものの、結果的にその仲間との交流が生まれて年9回ラウンドするに至り、初心者の領域を出ないとはいえ、自分なりのゴルフの楽しみ方を心得た感があります。

その心得の基本となるのは、ラウンドを108で回るというものです。

108を目標にすることは、初心者がラウンド中に人知れず感じる焦りや徒労感から早々に解放され、ラウンドを楽しむための身近な方法論でもあるように思います。

そしてちょうど1年が経つ頃に、その目標は達成されました。

当サイトをご覧になる方は子育て世代の30代から40代が多いと感じていますので、これからゴルフを始める方への一つの考え方の提供に加え、記録を残す意味も含めてそこに至る過程で気づいたゴルフの統計学的側面について考えてみたいと思います。

中上級者の方には、記載されたレベルの稚拙さを笑いながら、昔を思い出していただければと思います。

ラウンド108の心得

 初心者が当面の目標として設定するとよいと考える108という数字は、具体的には全てのホールについて、

  • 3オン+3パット6打のダブルボギー平均

で回ることを意味します。

個人の記録で恐縮ですが、この108までの到達イメージは、以下のようになります。

@初心者ゴルフ_初年度スコア履歴

一般的には100切りを最初の目標にすることが多いと思いますが、それ以前に108で回ることができれば、初心者にとってはプレーへの十分な満足感を得ることができますし、上級レベルの同行者にも迷惑をかけることなく自分自身のゴルフを楽しむことができる状況を手に入れることができます。

全ホールを6打で回るという分かりやすさも取り組みやすい点です。

そしてこの煩悩と同じ数である108を目標とすることは、様々な欲望や悩みから解放されることでもあります。100切りを最初の目標にするよりは、圧倒的に到達しやすく、かつ具体的な戦略を立てやすいというメリットも伴います。

2オンを狙わないゴルフ

 初めに2オンを狙わないと決めてしまうと、ゴルフが非常に現実的な競技に感じます。パー4であれば平均370ヤードとして1打124ヤード平均で前に進めばよく、初心者にとっても無理のない飛距離の積み重ねでクリアできますし、パー3なら貯金、パー5ではそれなりに挑戦的なコースマネージメントも味わえます。

そして3パットでよいと割り切ることで、グリーン上でもだいぶ気持ちが楽になります。グリーン上2パットで寄せて最後の1打はOKで切り上げることを想定すると、初心者にもそれなりにクリア可能な等身大の目標とすることができます。

そしてこの初心者にも無理のないショット目標と、クリア可能なパット目標を同時に達成することで、108というゴルフ煩悩を超えることが可能になるのです。

ラウンド108のスコアイメージ

 先のラウンド108までの到達イメージをスコア内訳で見ると以下のようになります。

@初心者ゴルフ_スコア内訳

最初の120~130を叩く辺りは、自分でも何をやっているのよく分からない状況です。

18ホール中10ホール以上がトリプルボギー以上である現実から見ると、コースマネジメント以前に、ティーショットでもアプローチでも、クラブがボールにまともに当たらず長い距離が残り、焦って距離を取り戻すべく高い番手のクラブを手に取ってまたミスを犯すということの繰り返しです。

この状況を打破するためには、ゴルフを本格的な趣味として練習に打ち込むような方であれば技術を磨くという選択肢もあるのかもしれませんが、五十を過ぎた初心者で、ラウンドの前に1,2回練習するだけの身であれば、頭を使う他ありません。

そして今振り返ると、この最初の段階で解決すべき項目は、この時期のクラブ構成を見ると自ずと理解できます。

初期クラブセット_父の形見

上のグラフは様々あるゴルフクラブの性能値の中から、長さとロフト角のみを抽出したものです。個人的な実感として気づいていたことですが、7番アイアンでもまともに当たらないことが多々ある中で、ドライバーが長すぎて自分のレベルにはとても扱えない代物であることに気づきます。

実は、コロナ禍でゴルフを始める際に、ゴルフが好きだった父が高齢と認知症のためにプレーすることができなくなり、クラブセットが実家に無為に置かれていたことを思い出して取り寄せたセットアップです。まだ元気なので形見とは言えない代物ですが、私の中では形見として大切に利用しようと考え手元に残した道具です。

その中で、この46インチを超えるドライバーを使ってラウンドすることは、父には申し訳ないですが、初心者にとってはゴルフを楽しむどころか、むしろ自虐のために行うロシアンルーレットのようなものだと直ちに気づき、まずは以下の対策を行いました。

ドライバーを使わないという選択です。

108到達にドライバーは不要

 トリプルボギー以上を叩く最大要因の一つに、OBを含めてティーショットがどこに行くか分からないということがあります。

しかし108を達成するためには3オンでよいのですから、そもそもドライバーを使うこと自体が目標達成に対する必要条件ではないはずです。

この点に気づいたラウンドからは、ティーショットではランを含めて180~200ヤード飛べば御の字と考えることにしました。このためドライバーは早々バッグから外し、主に5番ウッドで1打目に対応することにしました。

この効果は絶大で、その後はラウンド内でOBを叩くことが激減すると同時に、技術的には全く変わらない中でスコアも自然に120を切ることが普通となりました。

そして1年経ち、108目標を達成した際のクラブ構成は以下の通りです。

クラブ構成_108到達時

ドライバーを抜くと同時に、ティーショット用の5Wを短いものに替えています。飛距離への爽快感を放棄することで、むしろ逆に初心者ながらコースマネジメントを楽しむことへの切符を密かに手に入れた感じです。

ドライバーなし3オン狙いのゴルフは、中上級者から見ると気の抜けたビールのように感じるかもしれませんし、初心者ゴルファーとしても、特に若い男性であればプライドが許さない方法論かもしれません。

ただ冷静に考えると、初心者には技術の低いながらに楽しめるマネジメントの妙があるにもかかわらず、背伸びしてプロや上級者と同じ結果を得ようとするのは、むしろ勿体ない気もするのです。

アイアンの打ち分けを放棄

 ドライバーを抜くことで、OBが出にくくなると同時に、ティーショットでフェアウェイバンカーなどのハザードに捕まる確率も低くなります。コース設計者がマネジメントの要と考える地点まで、第1打が到達しないからです。そして第2打もグリーン周りのバンカーの手前まで運べばよいため、打ち損じが減ると同時にラウンドを通じてバンカーに捕まることがほとんどなくなります。

そしてドライバー不要の次に気づいた点は、クラブ全体の構成です。

ロングアイアンは使わないにしても、確かに、残りの距離への対応を考えると、7番からピッチングまでの10ヤード毎のクラブ設定は欲しいセットに感じます。ただし初心者の場合はそもそも振ってもまともにヒットするかどうか分からないため、実質的に短い距離の打ち分けをクラブのセッティングに任せることにはあまり意味を感じません。

結局は、自信の最も打ちやすいクラブを多用することに落ち着くからです。

私自身は37インチ前後が打ちやすいため、アンダー108を定着させると共に100切りを念頭に置きながら、次なる戦略を立て準備しました。

それが次のような構成です。

クラブ構成_100切り向け

先の108セットから、以下の変更を行います。

  • 超短尺ドライバーの導入
  • アプローチの絞り込みと脱アイアン化

実は5番ウッドでのティーショットについては、常に不安を抱えていました。クラブが短いので振りやすい反面、ヘッドが小さくまともに当たる気がしないというネガティブな感情が伴うからです。

これを克服するために様々探してみると、世の中には同じ道具を探求している方がいるもので、短尺ドライバーなるクラブが存在することを知り、早々手配しました。

長さ41.5インチの短尺でヘッド体積は460ccある、一見違和感のある外見を伴うドライバーです。

実際に打ってみた感じでは、5番や7番ウッドでティーアップして打つよりも圧倒的な視覚上の安心感があり、素直に前に飛ぶ確率が高い印象です。もとより200ヤードも飛べば満足なので、思い切り振る必要もありません。

これでティーショット向けのクラブはこの1番と、長いショートホールで利用する7番ウッドの2本、5番ウッドはドライバーの控えとして携行することになります。

そして2打目の重要なアプローチに関しては、こちらも新たに購入した短尺の6番ユーティリティと、父の形見の中で今まで利用していなかった9番ハイブリッドを導入し、思い切って7番から9番までのアイアンを外しました。

  • ティーショットは40インチ前後の3本
  • 第2打は37インチ前後のユーティリティ
  • アイアンはグリーン周りとバンカーのみ

このような3種類の長さのクラブ構成となり、その中で距離に応じてロフトを変えながら、一打一打の確実性を高めようと意図しています。世の中にはワンレングスアイアンという、長さの同じセットアップがあるようですが、今度の構成は結果的に、用途に合わせた自分なりのワンレングスセットになっているように思います。

果たしてこの構成で回る次のラウンドでは、どのような結果が出るのでしょうか。自分の仮説に対する答え合わせが待ち遠しいです。

ゴルフと統計学

 50歳を過ぎてからゴルフに向き合うようになって感じたことは、ゴルフは確立統計のスポーツだということです。

現代のスポーツはどの競技でも、プロは勿論、勝敗にこだわるチームやプレイヤーであれば、データ分析と戦略が重要なことは言うまでもありません。

それに対してゴルフの場合は、初心者ほど統計に従う方が、無理なくスコアを縮めることができるのではないかと感じています。

そこにある統計的判断とは、初心者にとっては短いクラブほど芯に当たりやすく、飛距離もスコアもむしろよい結果が残るのではないかという仮説です。

そしてその点を愚直に実践しようとすると、高価で機能性の高い有名メーカーのクラブにその選択肢はなく、むしろニッチを狙ったネット通販専用品のような安価な道具の中に求めるツールが存在することに気づきます。

もしかするとその道は、ゴルフ業界全体が望まないタブーの領域なのかもしれません。通常の商品ラインアップでカバーすることができない構成であるからです。もしかすると広告とは、消費者が生産者にとって誤った道に進まないための道しるべなのかもしれません。やはり初心者は、トッププロや上級者の語るアドバイスに素直に耳を傾け、彼らが使用する道具やファッションに憧れるべきなのでしょう。

今回は、初心者ゴルファーがラウンドを楽しむための独自のアプローチについて書いてみました。もちろんもっと参照すべきお役立ち情報はいくらでもあるでしょう。

それでも恥を忍んで書いたこの文章が、憧れと現実の間で悩める初心者ゴルファーの一助になれば幸いです。

ではまた次回。