令和最初の星陵祭に訪れました。
台風の影響で雨が懸念された2日間でしたが、両日とも穏やかな天候に恵まれ、過ごしやすく快適な文化祭日和となりました。
今年は観劇チケットの配布ルールが変わると共に、わが家の長男が卒業して初めての開催となり、3年ぶりに一般の参加者として客観的に楽しめる星陵祭となりました。
2019年度 日比父星陵祭大賞
クラス演劇や部活の発表、ポスターや装飾、そして運用面も含めてすべての星陵祭コンテンツの中で個人的に本年度の最優秀賞を選ぶとすれば次の結果となります。
- 日比父星陵祭大賞2019<グランプリ>
『体育館のブルーシート』
本年度は何といっても、体育館に敷き詰められたブルーシートを最高評価したいように思います。
本年度より、観劇チケットの配布が体育館に変更となったことに伴う対応として、メインアリーナだけでなく、1階のエントランスから3階の階段や廊下まで、体育館のすべての床にブルーシートが敷かれました。
これは星陵祭運営委員会であるチーフ会が自ら発案して実行に移したものだと思いますが、シートの施設面積が大きいので、例年にない大変な重労働だったのではないかと想像します。大幅な負担増加を容認する大きな決断です。
しかも、フロアや階段の隅々にブルーシートがぴったり納まるように、シートを大小様々な大きさににカットして養生テープで固定するなど、細部まで集中する仕事へのこだわりが訪問者にも伝わってきました。
二日間、何千人もの訪問者がシートを踏みしめたにも関わらず、テープの剥がれやほころびもなく最後まで機能美を保ったのは、チーフ会の熱意の賜物だと思います。
おかげで見学者も靴を脱ぎ履きするストレスなく、気持ちよく整理券の配布に集中することができました。
チーフ会の皆さま本当にお疲れさまでした。
体育館でのチケット配布への評価
変更となった体育館でのチケット配布については、先のブルーシートの敷設やチケット配布時間の変更含めて、ここ5年連続して星陵祭を訪問している者として評価できる点がいくつもあります。
- ゲートから校舎への混雑緩和
- 暑さや雨天対策の参列者への配慮
- 多くの来場者へのチケット配布機会の提供
などなど。
その一方、人の流れが校舎から離れることによって、校舎エントランス付近の活気がやや失われてしまった印象も受けました。
クラス演劇の呼び込みも、体育館敷地内のアプローチに限定した運用となっていましたが、こちらは従来星陵像から校舎エントランス前に並んでいたように、星陵像からテニスコート、グランドに向かう歩道上に立たせてもよいのではないかと感じました。
星陵祭の期間中、正門方面への人の流れは多くはありませんし、何といっても、呼び込み看板の列が周囲から見えるメインストリートに出る方が、星陵祭自体に活気が生まれ盛り上がるように思うからです。この辺りは来年への課題かなと感じます。
案外確保できるチケット
また、今年から変更となったチケット配布時間についても、当初想定していた状況とは異なり、その気になれば1日に3枚以上確保することも十分可能だと分かりました。
3年生の人気チケットを連続した公演で確保することは難しくなったものの、人気がそれほど高くない公演のチケットと組み合わせると、3年生の公演であっても従来よりもむしろ確保しやすくなったようにも感じました。
特に土曜日の午前中は、まだ各クラスの出来栄え評価が定まっていないのと、日曜と比べて来場者がそれほど多くはなかったため、その気になれば多くのチケットを確保できたのではないかと思います。
朝早く来てなるべく多くの公演を見たいコアな来場者と、無理のない時間に来場して1、2公演程度を見たい一般の来場者の利便性についてどのように折り合いをつけるのか、本年度の成功や反省を来年以降に生かしてほしいと思います。
私自身は土曜日は11時頃、日曜日は10時頃に来場しましたが、目的のチケットを無理なく確保することができました。ただし2日間で3年生のすべての公演を観たい方は、やはり土曜日の朝一番から並ぶ必要があろうかと思います。
いずれにしても、毎年生徒が様々な検討を重ねて実施する星陵祭の変化と深化を、引き続き緩やかに見守っていこうかなと考えています。
日比父星陵祭ポスター大賞2019
本年度は視点を変えて、例年あまり評価されることのない各公演のポスターに注目してみました。
そこには美的センスの詰まったレベルの高い作品から、一見間に合わせのようなチラシまで、作品のレベルや力の入れ具合に違いが出ており興味深いです。
- 日比父ポスター大賞2019<最優秀賞>
『37R レ・ミゼラブル』
最優秀賞はダントツでレ・ミゼラブルに決まりました。
これは例年のポスターの中でも秀逸な1枚のように感じます。このポスターを目にした瞬間、この公演を観たいという衝動に包まれました。そして実際に鑑賞しました。
ポスターも、見ている人はちゃんと見ているので、美術担当者の腕の見せどころではないかと思います。全体的にポスターは、まだまだ力を入れる余地のある分野の一つだと個人的には思います。
- 日比父ポスター大賞2019<第2位>
『一水会 勝山臨海合宿』
第2位は一水会です。
この作品は先のレ・ミゼラブルとは対照的に、力の抜けそうな構成ですが、シンプルな脱力系デザインの構成力に1票です。
このあと臨海合宿の展示にも訪れましたが、展示してある写真のサイズがもっと大きければいいのにと感じました。
- 日比父星陵祭ポスター大賞<第3位>
『筝曲部 筝の調と和の心』
第3位は筝曲部です。
この作品は正統派の香り漂う1枚です。
手書きであるのかデジタル上の作品であるのかは分かりませんが、心が和むのと同時に、大胆な遠近法による奥行きと、さくらのメロディーが聞こえてくるような立体感のある作品となりました。
ただ見た瞬間、色彩のせいであるのか分かりませんが、茶道部のポスターかなと思ってしまいました。薄茶を一服いただきたいという気にさせる作品です。
筝曲部と茶道部は、星陵祭コラボなども馴染むのではないかと感じます。
リアル星陵大賞2019
そしてプロ劇団員の選ぶ、本年度の公式演劇大賞は31Rの『ノートルダムの鐘』に決まりました。
実は31Rの公演は鑑賞しました。やっぱりなという気持ちです。
脚本も演出もキャストも総合的に出来がよく、劇中に引込まれる感動に包まれました。
今年は3年生を3公演観たのですが、おそらくは大賞と標準点とブービー辺りの3作品をうまく観分けたのではないかという気がします。
ポスター大賞に選んだレ・ミゼラブルは、標準点かなと感じました。
昨年もレ・ミゼラブルを鑑賞したということもあり、同じ演目でも台本や演出によって全く異なる作品に仕上がることが理解できました。台本は、同じ作品であれば概ね先輩から後輩へ引き継がれるものかと考えていましたが、どうやら違うようです。
毎年、生徒の熱意と葛藤が、オリジナル作品として出来上がるのだなと納得しました。
星陵大賞を狙え
毎年期待される3年生の作品ですが、それでも出来栄えの差は大きく現れます。
クラスのノリが悪いなどの理由によりあまり力が入らなかった場合を除き、出来の違いはキャスト以上に脚本や演出や裏方の力量に大きく依存することは間違いないですが、先輩の作品をどの程度自分の目で観てきたかという経験値も大いに関係するように思います。
脚本、演出、舞台、衣装、小道具、照明、音響といった裏方を目指す後輩は、上位作品に求められるレベル感を確認するために、できる限り多くの3年生の作品を鑑賞した方がよいと思います。志望校の赤本で、予め入試の難易度を確認するのと同じです。
こうした経験値がない場合、もしかすると初めから合格点よりも低いレベルの問題を解いているのと同じ状況になりかねない。求められている水準が理解できないからです。
他者の作品を実際に見ることで、50分という短い時間の中で実現すべき表現や注意すべき項目が客観的に垣間見えてくるものです。
1年生の間はなかなか難しいようにも思いますが、2年生から3年生にかけてはクラス替えがありませんので、役割を分担しながら戦略的に先輩の公演を回るということも重要かなと感じます。
’彼を知り己を知らば百戦殆うからず’
の組織的な実践です。
そして総合的に、本年度は大きな運用の変更もありながら、天候にも恵まれた落ち着いた星陵祭になったように思います。
今年度の課題や反省を生かし、来年はどのような星陵祭に深化するのでしょうか。2020年、オリンピックと共に訪れる星陵祭が今から楽しみです。
ではまた次回。
2018年度星陵祭レビュー
2017年星陵祭レビュー
2016年度星陵祭レビュー