都立高校を受験された皆さん、お疲れさまでした。
合格発表まで落ち着かない日がまだ続きますが、既に都立の結果に応じた進学先を決めているのであれば、君の高校受験は終了。
あんなに長かった日々が、終わってしまえば一瞬の出来事のような、やり切ったという思いともう少しうまくできたのではないかという思いが重なり合った、夏休みの終わりにも似た、少し複雑な感傷的な気分。
そんなセンチメンタルな思いを抱き、まずは今日まで我慢した「君の名は。」を思いきり観に行って、合否を待つ複雑な気持ちと、これから始まる高校生活で出逢うまだ見ぬ誰かへの憧れを想うのもよいのではないでしょうか。
平成29年度 日比谷高校受検倍率
本年度日比谷高校の受験倍率は、
- 男子: 受検254/募集132 1.92倍
- 女子: 受検214/募集122 1.75倍
となりました。
4教科内申点2倍と、内申点に関係なく合否を決定する特別枠廃止後初めての入試となった昨年平成28年度入試は以下の通りです。
- 男子: 受検241/募集133 1.81倍
- 女子: 受験221/募集121 1.83倍
昨年は、初めて男子の倍率が女子より低いとい結果となりました。
女子は例年と大きく変わりませんでしたが、男子は例年概ね2.3倍程度の倍率で推移していましたので、制度改訂の影響が出たと考えられます。
おそらくは、内申点の苦手な男子と得意な女子の差がそのまま表れたものでしょう。
学力試験での逆転が厳しくなる、というイメージが先行した結果、内申点に自信のない男子の挑戦組が回避した結果ではないかと推測します。
実際には学力が高い君であれば、内申点の逆転は十分可能だと思いますが、株価も受験生の動向も、それらしい不確かな情報や思い込みといった心理に左右されるもの。
正しい情報をしっかりと見極め、行動に反映したいものです。
その反動か、今年の男子は2倍近くまで戻し、女子は減少しました。
受験制度が同じであれば、来年度以降も男子は2倍程度、女子は1.8倍程度の状況が続くように思いますが、何といっても来年からは、出願倍率にも影響しそうな大きな受験ルールの改訂があります。
そう、進学指導重点校における自校作成問題入試の復活です。
これにより、再び内申点と受験学力の実質的なウエイトバランスが変わる可能性がありますので、平成30年度以降の受験生は、今後の入試情報に注視することが需要です。
参考に、その他の進学指導重点校の受験倍率も載せておきます。
( )内は昨年平成28年度です。
- 西 :男1.70 /女1.51(1.64/1.34)
- 国立:男1.40/女1.45(1.66/1.73)
- 戸山:男1.59/女1.56(1.86/1.62)
- 青山:男1.73/女1.87(2.14/2.11)
- 立川:男1.52/女1.46(1.43/1.49)
- 八王子東:1.29/1.36(1.34/1.53)
こうして並べてみると、昨年の青山高校の人気が落ち着いたのが分かります。
戸山高校も1クラス増加のためか、落ち着きました。
今年は夏ごろから雑誌などでの露出が高かったにもかかわらず、国立高校の志願者が減っていますが、全体的にはうまく志願者が調整されたように思います。
自校作成問題の動向と学校説明会
まだ詳細について公の発表がない、来年平成30年度からの自校作成問題への対応ですが、普通に考えると、グループ作成問題導入前、平成13年度から25年度まで実施された状況に戻ると考えるのが自然でしょう。
特に日比谷高校は、グループ作成問題が混じった現状より練られた難易度の高い問題が並ぶ可能性が高いでしょうから、その場合は内申点の影響がより小さくなり、試験当日の得点での逆転が生じやすい状況が生まれると考えられます。
ただしこうした考えも、現時点では個人の想定でしかありません。
今後ネット上では、自校作成問題対応について様々な憶測や想像が飛び交うように思いますが、実際の受験生の君や保護者の方は、あくまで東京都教育委員会や各学校が公表する情報を拠り所として行動することが大切です。
あるいは塾や通信教育などを利用している場合は、入試動向として、そちらの予測情報が先に入るかもしれません。
いずれにしても、来年度の受験生となる新3年生にとっては、どの程度の受験対策を行えばよいのかも含めて、今一番気になるところではないかと思います。
そんな折、日比谷高校では、本年度入試が終了した直後、2月24日付で、平成30年度入試に向けた学校説明会参加の募集を開始していますから見逃せません。
日比谷高校 学校説明会
3月25日(土)
第1回目
9:30 ~ 10:30(学校説明会)
10:45 ~ 11:30(学校見学会)
第2回目
11:00 ~ 12:00(学校説明会)
12:15 ~ 13:00(学校見学会)
内容
1)学校概要
2)平成29年度入試結果
3)平成28年度進路結果(中間報告)
4)校内見学
となっています。
内容を見ると、日比谷高校の自校作成問題への対応について詳細の説明があるようには書いてありませんが、2)の中で簡単に触れる可能性はあります。
また、1)の中で、SSHやグローバル10の紹介と合わせて、本ブログでも既にお知らせしている、ニュージーランド姉妹校について公表されるのではないかと思います。
新2年生の保護者に対しては、入試直前の2月中旬に、来年度の海外派遣事業の一環として、この4月入学式の直後から来校予定のニュージーランド姉妹校からの短期交換留学生受入れのスケジュールおよび、8月上旬に実施されるニュージーランド校への短期留学の説明がありました。
姉妹校については実は女子高のため、来年度の短期留学は女子のみが対象です。
ただし、この春新入生となる君が2年生を迎える頃には、男子校や他の海外校との交流が新たにスタートしていることでしょう。
3月の日比谷高校学校説明会は、以下のURLから直接確認できます。
http://www.hibiya-h.metro.tokyo.jp/pdf/28setsumeikai3gatsu.pdf
リンクがうまくつながらない場合は、日比谷高校ホームページに新着情報として掲載があります。
平成30年度受験生となる新3年生で、日比谷高校に関心がある君は、次の機会は夏休みまで飛びますから、逃さず参加したいイベントです。
私も参加したいですが、参加資格がないため我慢です。
出席された方は、本年度の入試得点などの情報を頂けると助かります。
尚、この春休みに行われる学校説明会は、進学指導重点校では日比谷高校のみが毎年実施しています。
平成29年入試でのトラブル事例(おまけ)
今年度の都立入試では、あれ?と思うような対応ミスが散見されました。
来年度受験生の親となる保護者の方は、こんなことも起きるんだなという参考情報としてご覧ください。
以下の情報は、すべて東京都教育委員会のホームページに公表されています。
都立小石川中等教育学校
人気の都立中高一貫校である小石川で発生したトラブルですが、繰上げ合格者数の根拠となる入学手続き情報について、実際の手続き完了数よりも8人分少なく公表してしまったというものです。
このため、実際は29人であった繰り上げ合格者数が、繰上げ待ちの保護者に37人と解釈され、本来は繰上げ合格対象外であった生徒および保護者が繰上げ合格したと解釈してしまったというものです。
一揉めありそうな状況です。
結果的に、本来不合格だった8人については、入学を希望する場合は全員受け入れるということになっています。
このような事態が生じた原因は、正規合格者の内、8人が手続き締切り時間までに手続きを完了できていない状況にあったため、としています。
はっきり明記していませんが、教育委員会の説明文から判断すると、手続き締切り時間を過ぎた後に8人の入学手続きを受領したことが、数字の差異が発生した直接の原因のようです。
教育委員会も、暗に小石川学校の対応を批判しています。
いずれにしても、都立中高一貫校の場合、合格発表と同時に繰上げ合格順位番号を通知しているようです。
こんなことが実際に起きるんですね。
厳格な線引きルールを設けないと、再発する種類のトラブルだと思います。
都立西高校
西高の英語の試験では、リスニング試験と筆記試験の2種類の問題冊子を配布しているのですが、リスニングテスト開始時点で、受験生1名に対してリスニング試験問題冊子の配布漏れが判明。
事実がうまく本部に伝わらず、当該会場(教室のことだと思います)すべての受験生に問題冊子が配布されていないと認識した校長が、該当する1会場のみリスニングテストを中止した。
該当会場は男子受験生用の会場だったため、
「男子受検者のみ全員に一律20点を加点する」そうです。
20点はリスニング試験の満点です。
教育委員会の文章を読んでよく分からないのは、中止となった1会場の男子全員なのか、他の教室も含めた男子受験生全員を満点とするのかですが、常識的に考えて、後者でしょうか。
この対応はつまり、男子のリスニングの試験そのものを取り止めにしたのと同じですから、リスニングが苦手な生徒にとっては逆に大きなボーナス点です。
リスニング全員満点の影響
日比父ブログらしく、この影響を少し詳しく見てみましょう。
当日の合否は、内申点45点満点が300点換算されます。
5教科試験500点満点は700点換算、合計1000点満点です。
リスニングは4点x5問で20点。
試験の4点は、合否基準の700点換算すると4x700/500=5.6点です。
1問間違える受験生は5.6点、2問は11.2点、3問は16.8点のマイナスです。
逆にこの得点が、リスニングが苦手な受験生のボーナスポイントになります。
英語含む主要5教科の内申点1点は300点換算すると、1x300/65=4.6点です。
実技4教科の内申点1点は、1x2倍x300/65=9.2点です。
(分母の65は換算内申点ですが、ここでは説明を省略します)
つまり、リスニング1問の得点は、内申点換算すると、
- 主要5教科: 5.6/4.6=1.2点
- 実技4教科: 5.6/9.2=0.6点
ですから、リスニングで満点が取れない受験生にとっては、
- 1問ミス:5教科+1.2点 or 4教科+0.6点
- 2問ミス:5教科+2.4点 or 4教科+1.2点
- 3問ミス:5教科+3.6点 or 4教科+1.8点
それぞれ内申点上がった事に等しいですから、影響は小さくありません。
リスニングは共通問題ですから満点でもおかしくありません。
そこをミスした受験生への加算ですから少し腑に落ちませんが、これが現実です。
小石川同様、本来不合格の受験生が合格する、あるいは本来合格するべき受験生が不合格という逆転現象があるかも分かりませんが、リスニングを中止した1教室分の得点は永遠に分かりませんから、逆転があったのかないのか神のみぞ知るです。
入試トラブルは結構起きるもの
そういえば私が大学に入った際、直後の講義で担当教授が、
「君たちの中に、採点ミスで間違って入学した者が1名いる」
と笑いながら話をしていたのを思い出しました。
その時私は、「自分だな」と心の中で確信したものです。
自分だと思った者がその場に何人いたかは分かりませんが、この種の手違いは、影響の大小は別にして、日々世界中で発生しているものなのでしょう。
個人的にはこの種のことを耳にすると、人知を超えた存在が、特定の誰かに影響を及ぼすために起こしているのだなと、宗教的なのかスピリチュアル的なのか適切な表現は分かりませんが、そんな風に感じてしまいます。
あるいは、奇跡と呼ばれるものの発生過程を垣間見たような気持ち。
いずれにしても、小石川や西という、ある意味トップと目される組織でもこうした考えられないような事態が発生するのです。
理不尽なようですが、人間の営みの精度は概ねこの程度のものかもしれません。
他の学校でも、リスニングの音声不具合など、大小のトラブルが発生しています。
尚、上記内申点の得点換算についてよく理解できなかった方は、以下のリンクから換算方法について確認ください。受験生には必須の知識です。
内申点と合格点の探求 ~導入編 - 日比谷高校を志す君に贈る父の言葉
入試情報には敏感にアンテナを
少しおまけが長くなってしまいましたが、とにかく、来年平成30年度は日比谷高校の入試問題傾向も変わりますから、この点には常にアンテナを張り、受験勉強の到達目標を決める際には必ずこの自校作成問題の難易度と傾向を確認する必要があるでしょう。
平成29年度入試が終わり、平成30年度入試は既に始まっています。
少なくとも日比谷高校では、本年度入試直後から新年度入試が始まっています。
新3年生である君の入試の終わりはもう始まっています。
新年度入試の始まりはもう終わっています。
2月24日は終わりの始まり、そして始まりの終わり。
日比谷高校入試カウンターはもう365日を切っているのです。
平成30年度入試の情報を求めてこの文章を目にした時点で、既に3月25日の説明会の募集が終了している場合、君の入試はライバルより出遅れているかもしれません。
あるいはアンテナの感度が鈍いかもしれない。
都立入試はルールの調整が結構な頻度で行われますから、自分が受験する入試制度をしっかり把握しておかないと、無駄な努力や空回りが発生する可能性があります。
ですから受験生となる君は、これからは志望校のホームページや教育委員会の入試情報を定期的に訪問することを強くお勧めします。
さて、日比谷高校の3年生の先輩の国立大学入試が始まりました。
親としては、どこであっても、希望する学校に入学できれば十分。
君のこの春の合格の知らせと共に、先輩たちの活躍を祈ってやみません。
ではまた次回。
平成30年度自校作成問題の動向はこちらから
都立入試の鍵!内申点の試験合否への影響換算