日比谷高校出身中学4年実績 ~都心に通う教育x住まい情報

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 東京には毎年40万人ほどの転入者がありますが、まず最初にぶつかる悩みが、居住地の問題です。

子を持つ家庭にとっては、特に教育面で少しでも優れた地域を選びたいもの。最近は「公立小移民」という言葉と共に、都内でもブランド小学校区に引っ越しする教育ママの話題が取り上げられることもしばしば。

 子どもが大きくなるにつれ、住まい選びの基準になってくるのは「教育環境」だ。最近では小学校の受験もさることながら、より良い教育環境を求め、中学校受験率が高い公立小学校の学区に「公立小移民」する家庭も増加しているという。

出典:プレジデント・ウーマン 2018年2月号

教育意識が高い地域を分かりやすく伝える指標の一つが、一般的には中学受験率という数字なのでしょう。

しかしながら、小学校区を限定するのはただでさえエリアが狭いうえに、ブランド学区ともなれば完全な売り手市場。不動産価格が驚くほど割高であるものです。

不動産業者も、保護者の心理はもちろん意識しているでしょう。都心の大企業本社に栄転するようなビジネスマンであっても、敷居の高い現実があります。

そうした状況の中、日比父ブログは日比谷高校の合格中学に着目した不動産情報について、これまで2年続けて記事を配信してきました。

 

日比谷合格中学に注目する理由

 都内に転入する子育て保護者にとって、住まい選びの一つの判断材料になるのが、公立高校東大合格者数最多となる都立日比谷高校に通う生徒の出身公立中学校。

人口分布に基づき都内全域に存在する公立中学校には、教育に熱心な家庭が回避しようと考える学校がある一方、積極的に子どもを通わせてもよいと考える学校があるなど地域差が顕著であるため、教育環境中心でみた東京での住まい選びに対して多くの有効な情報を発信しているからです。

その中でも企業の本社が多く集まる千代田区に位置し、23区を中心に、都内全域から広く生徒を集める日比谷高校の出身中学情報は、丸の内や大手町など都心へ通勤するビジネスマンにとっての居住地選びの参考情報になるだけでなく、それぞれの地域において特に教育に熱心な家庭が集まるエリアを推し測る指標になるのではないでしょうか。

日本を代表する公立高校生の出身中学からみた、教育と住まいについて考えます。

 

都内引っ越し経験から得たもの

 私自身、地方から東京に転勤する際と、海外赴任から都内に戻る際の2回、それぞれどちらも公立小中学校区を意識した不動産選びを経験しました。

私立受験を前提としない家庭にとっては、できる限り公共の教育レベルが高く、保護者の教育意識も相対的に高い学区を選びたいという気持ちは同じです。

ところが実際には、そのような居住地選びは容易なものではありません。公立学区に関する情報は、私立受験などの情報量と比較して圧倒的に少ないからです。

結局は、前評判のよさそうなエリアに実際に足を運び、街の雰囲気やそこに住まう人々の様子から暮らしを推し測るという、ある意味これまでの人生経験で得た個人の価値基準を総動員した居住地選びです。

しかし、そうしたアナログで本能的な住まい選びを経たにも関わらず、結果的にはわが家が選んだ異なる二つの学区は、日比父ブログを始めて気づいたことには、どちらも日比谷高校合格常連中学校区だったのです。

私自身の子育て不動産に対する選択基準が、ある種の客観的な指標で裏付けられたという気持ちを強く持った瞬間です。

ですから推察するのです。

日比谷への合格者が多い地域であれば、まだ訪れたことがない土地であっても、伝統的に教育熱心な保護者が集まる地域ではないのかと。

そしてその街並みはおそらく、都心や郊外の違いこそあれ、多くの子育て家族が望む落ち着いた雰囲気を持つ、日々の暮らしや子供の教育に適した地域ではないのかと。

今回4年間の実績を得たことで、結果に対してより確からしい傾向が現れたのではないかと思います。では早々結果を見てみましょう。

 

行政区別 日比谷生の出身常連中学

 2018年4月1日現在、都内には分校を除き605校の市区町村中学校が存在します。この内、4年間で日比谷高校への合格者を1名でも輩出した公立中学は 373校です。

その中で、各地域毎に毎年相対的に多くの日比谷生を輩出する学校があります。

今回は、各行政区の日比谷常連校として、合格者の累計数と生徒数双方を考慮した、学年100人当たりの合格者数に注目して学校を抽出してみます。

抽出条件は以下の通りです。

  • 合計4名以上かつ生徒100人当たり1名以上の学校
  • 生徒数に関係なく合計8名以上の学校
  • 該当校数の多い行政区順に表示
  • 校数が同一の場合は土地相場の低い順

どのような学校が登場するのでしょうか。

尚、本情報を公開する目的は、公立中学校の優劣を競うためではない点、および日比谷高校への合格者が多くみられるエリア以外にも、もちろん暮らしやすく教育環境に優れた地域は多くある点を予めお断りしておきます。


11校 世田谷区

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日比谷常連校というべき公立中学校の最多行政区は世田谷区となりました。

世田谷区は、特に若い子育て世代に人気の高い二子玉川を通る東急田園都市線から地下鉄半蔵門線に続く南寄りのエリアと、日本を代表する高級住宅街の一つである成城を通り、複々線化により利便性の向上した小田急小田原線から千代田線へと向かう中央エリア、そして高尾山、八王子方面から都営新宿線に接続する北寄りのエリアに分かれる人気行政区の一つです。

世田谷は言わずと知れた日本を代表する住宅地として、都心とは異なるゆとりを持ちながら、中学受験も含めた教育へのこだわりを感じる良好な子育てエリアだと言えるでしょう。

ただし世田谷エリアは、23区の内陸部に位置し、先の3本の大動脈をつなぐ公共交通機関がバス中心となるため、車を持たない世帯にとっては南北の移動に不便を感じることや、飛行機利用が多いビジネスマンにとっては空港へのアクセスにやや難がある点などが、住まいを考える上での留意点となります。

7校 大田区

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大田区は、町工場で有名な東京湾寄りの蒲田エリアと、田園調布や久が原など高級住宅街を擁し世田谷区および目黒区と隣接する調布・大森エリアに街の性格がはっきり二分される行政区です。

日比谷高校への合格上位に入る学校は、後者の調布・大森エリアに属する学校が中心であり、このエリアの不動産価格などは、むしろ世田谷区に近い状況となります。

このエリアは、羽田空港や東海道新幹線へのアクセスが抜群であり、また京浜東北線で横浜方面から東北方面への南北の移動も良好な行政区であると同時に、若い子育て世代に人気の高い二子玉川、武蔵小杉や定番の自由が丘へのアクセスも良好です。

ただし大田区は、先に記載した通り調布・大森エリアと蒲田エリアで世帯の年収や教育に対する関心度も大きく分かれるため、教育を意識した居住地を選択する際にはその点に留意する必要があります。

6校 文京区

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文京区は、公立中学の数が世田谷区の29校、大田区の28校と比較して、10校と少ない中で、半数以上が毎年コンスタントに日比谷への合格者を輩出しており、どの学区も一定の教育水準にある家庭が多いことを裏付けています。

文京の名前通り、東京大学をはじめ多くの有名大学や小中高校が集まっており、教育熱心な保護者が集まる地域であるのは間違いないですが、不動産価格が山手線内の都心価格となることに加え、ブランド小学校区をはじめ、千代田区と並んで中学受験率の著しく高い行政区でもありますから、その辺りを予め意識する必要がありそうです。

4校 江戸川区

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江戸川区は、城東エリアの誇る都心に向けた一大ベットタウン。
ディズニーランドを千葉県側に見ながら、葛西臨海公園、若洲海浜公園、お台場へと続くウォーターフロント地域を中心に、自然豊かな新興住宅街が展開しています。
東京湾を挟んで向き合う西の大田区と東の江戸川区は、リオ・オリンピックの閉会式でも登場したゲートブリッジや首都高速湾岸線を介して海上で南北に繋がっており、都心の渋滞を回避して千葉から横浜、川崎方面への移動も良好な地域です。
そして何よりも、地域の不動産価格は城南エリアに位置する世田谷、大田エリアよりも相対的に低いため、より多くのファミリーにとって、教育を意識した際の住まい選びの有効な選択肢の一つとなるでしょう。

これ以降のエリアについては、主に結果のみ掲載します。

4校 練馬区

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4校 北区

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4校 品川区

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4校 目黒区

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4校 新宿区

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3校 板橋区

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3校 杉並区

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都立西高校を擁する杉並区ですが、平成30年度はこの4年間で最も多い13人の合格者を出しており、増加傾向にあります。今後とも杉並区からの日比谷受験生が増えるのか、気になるところではあります。

3校 港区

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2校 荒川区

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1校 町田市(多摩地区唯一)

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そして今回多摩地区から唯一登場すると共に、日比谷高校の合格中学校として度々登場する町田市つくし野地区。何故日比谷への合格者が安定的に現れるのでしょうか。

このエリアから都心へのアクセスは、主に東急田園都市線です。

これは結局、先の世田谷エリアと同じ沿線の郊外版ということになりますので、この地区は世田谷区の衛星エリアとして捉えることができるかもしれません。しかも市の平均不動産相場は、23区と比較にならないほど割安です。

現在近郊の南町田駅では大型の駅前再開発が進んでいますから、数年後には多くの子育てファミリーが押し寄せて、公立小中学生の数が大幅に増加するかもしれません。 

1校 葛飾区

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1校 墨田区

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1校 江東区

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1校 豊島区

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1校 渋谷区

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1校 中央区

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1校 千代田区

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最後はブランド小学校区と重なる千代田区立麹町中学。日比谷高校最寄りの公立中学校です。

実は、千代田区内には公立中学校は2校しかありません。しかも同区は学区を設定しない学校選択性を採用していますから、通学手段を確保すれば好きな中学校へ通うことができます。他の行政区の保護者から見れば非常にうらやましい状況があります。

ただし、不動産相場が常識的な価格を遥かに超えていますので、会社指定の社宅などがない場合は、一般ビジネスマンにとっては住まいとして現実的なエリアではないように思います。

それでもこの地域には、教育意識高い系ファミリーが公立小移民と称して転入する実態がありますから、東京という場所は、お金に余裕のある家庭がずいぶん多いものだと感心します。

 

以上が日比谷常連校とでも呼ぶべき先の定義に該当する中学校です。20区1市の計67校が該当しました。

尚、生徒数が少ない学校の方が、合計合格者数よりも100人当たりの合格数に影響しやすいですので、結果については合格者累計の絶対数と合わせて判断いただくとよいと思います。

また23区の中で、足立区、中野区、台東区の3区については、先の基準での該当校がありませんので、100人当たり0.5人以上の合格者のある学校を参考として掲示します。

足立区

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台東区
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中野区

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以上が日比谷出身中学に関する直近4年の累計結果です。

 

合計合格数の多い中学校

 最後に、合格数はやっぱり率ではなく数だ、という方のために、4年累計で日比谷合格者の多い出身公立中学校を並べてみます。毎年平均2名以上の合格となる、計8名以上の合格者のある学校を掲載します。

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いかがでしょうか。
平成30年度入試結果を加味した4年間の累計は、個人的にはなかなか興味深い結果であると感じます。

その理由は、日比父ブログを始めてから出会った各地の日比谷常連校の傾向が、一段とはっきり現れているからです。

例えば、合計14名合格の江戸川区清新第一中学校は、今年都内公立中学では最多となる6名の合格者を出して、一気に合格数を増やしました。

この結果、過去の記事でご紹介した、かつて誰が呼んだか公立中学御三家と称する、千代田区麹町中学、文京区第六中学、そしてこの江戸川区清新第一中学がそろって上位に顔を並べ、言葉通りの収まりを得たと感じます。

この一覧に登場する中学校は、各行政区の中でも、特に地元で古くから教育水準が高いと言われる地域なのではないでしょうか。全ての学校を知るわけではありませんが、そのような推察をせずにはいられません。

繰り返しになりますが、今回挙げた中学校は、あくまで日比谷高校に対する合格者に基づく判断に過ぎません。元来公立中学は受験進学校ではないのですから、今回の結果が各学校の教育力を表すわけではありません。

逆にだからこそ、合格者の多い学校が現れる要因としては、そこに住む教育意識の高い家庭の存在と、その意識に引き寄せられる学習塾をはじめとする教育機関が、地域の教育環境クラスターというものを形成した結果である可能性が高く、それがまた相乗効果となって新たに教育熱心な家庭を惹きつけ、地域の更なる教育力の向上につながっているのではないでしょうか。


日比父ブログでは、海外赴任や地方から都内に転入する家庭を特に意識しながら、引き続き、地域の公立中学校を中心とした教育と不動産の関係について、発信していきたいと思います。

ではまた次回。

 

 日比谷出身中学6年累計の傾向

 合格5年実績からみる教育不動産価値

都内伝統小学校の系譜 

千代田区九段に見る公立小移民

「教育不動産」という価値観

日比谷出身公立中学で考える住まい

ブランド学区のある映画の暮らし