東京住まい探し、日比谷合格公立中学8年分

 東京で子育てをする場合、どの街に暮らしたらよいですか?

都内に転勤する、そんな若いカップルの漠然とした疑問に対する一つの明確な答えは、

”日比谷高校への合格実績が高い公立中学校区に住む”

という選択です。

その理由は以下の通り、本ブログでこれまで繰り返し述べてきました。

日比谷高校への合格実績が高い公立中学校区は、

  • 教育意識や教育環境の高い地域の目安となる。
  • 荒れた教育環境を避ける目安となる。
  • 丸の内をはじめ、都心への通勤可能圏の目安となる。
  • 都心の中高一貫校への通学可能圏の目安となる。
  • 都内には公立中学が615校あり、約650ある路線駅と概ね一致するため、最寄駅選びと同様の意味を持つ。
  • 日比谷合格中学は多数の行政区から構成されているため、選択肢の幅が広い。
  • 行政区内でも特定校区への合格偏りが見られるため、住居地域を絞りやすい。
  • 中学校別日比谷合格数は毎年公開されており、客観的エビデンスとなる。

要するに、日比谷高校合格数の多い中学は、都心への通勤通学を前提とする全ての家庭に対し、教育意識の高い保護者やインフラが整う、子の教育に適した環境を選ぶためのフラグを立ててくれているということです。

将来子には中学受験をさせる決意をしている場合であっても、良好な教育環境下で子育てをすること自体を、否定する要素はありません。何らかの理由で、万一、中高一貫校に進学しない場合でも、納得して公立中学に進学する押さえにもなります。

これほど分かり易い教育不動産選びの基準があったとは、かつてそのような子育て環境をを求めて苦労した私自身が当時最も知りたかった事実に違いありません。

今回はデータをアップデートし、2015年から2022年までの8年間の実績に基づいた、日比谷合格公立中学校の状況を確認します。

日比谷高校合格者数・8年累計

 まずは子育て不動産情報の基本となる、日比谷高校への合格累計数を掲載します。

学校の規模や生徒数に関わらず、8年間の単純合計数の多い順に並べています。尚、一覧内で色の付いている中学校は、各行政区の中でトップとなる学校です。

2015-22年・日比谷高校合格通学8年累計合格数

2015-22年・日比谷高校合格通学8年累計合格数

全体として50校程度に納まるよう、8年平均で毎年1.5人以上の合格者を輩出する、累計12人以上合格の中学校を表示しています。

統計も8年目となると、それが教育水準なのか保護者の意識なのか、学習塾や図書館といった公共インフラの充実度なのか、あるいは内申点の取りやすさなのか理由はともかく、周辺校区とは異なる何らかの明確な違いが存在すると言ってよいと思います。

ここに並ぶのは、日比谷合格という基準から見た場合に定番となる中学校です。

どの学校もそれぞれの地域で、教育意識の高い学校と認識される中学が多いのではないかと推察します。

その中でも他校を大きく引き離して独走を続ける麹町中学は、2019年に全校生徒370人だった状態が、2022年には540人となり、わずか3年の間に170人、実に3割以上も生徒が増える異常人気を続けています。

一覧の中学校は全部で42校となり、全公立中学校615校の6.8%の中学校が該当します。公立中学全体の状況は以下の通りです。

2015-22年_日比谷合格数8年総覧

2015-22年_日比谷合格数8年総覧

毎年平均1人の合格数を輩出する8年8人の中学校に範囲を広げても95校、全体の15%程度に絞られます。

逆に1人も合格を出していない中学校は154校、25%もあるなど、都立最上位校を目指す地域や家庭には、エリア毎に明確な偏りが見られます。

その傾向は教育意識の違いに起因するものもあれば、塾などの教育インフラの違いもあれば、都心にアクセスするための時間や利便性の影響もあるでしょう。

これだけ明確な違いが出るからこそ、日比谷合格者の多い公立中学校区には、その理由が何であるのかは別にして、都心への通勤や通学を前提とした、教育意識の高いエリアを探すための、有効な参考情報となるのです。

日比谷高校合格者”率”・8年累計

 先の累計数を基準とした場合、例えば多摩地区にある町田市の学校は3校が掲載されていますが、どの中学も生徒数が700人を越えるマンモス校ばかりです。

都心の中学校には、各学年2,3クラス、3学年全体で300人に満たない程度の小規模学校も多数存在することから、累計数のみに着目すると、生徒数の少ない学校は上位に現れにくい現状があるのも確かです。

そこでここでは、数のランキングと比較のために、生徒100人当たりの日比谷合格数の高い順で並べた合格率一覧を掲載します。

先の麹町中学で見たように、生徒数が大きく動くエリアも散見されます。過去の結果は、過去の生徒数が生み出した数字であることは十分理解した上で、ここでは2022年単年度の生徒数に基づく結果を掲載します。

2015-22年・日比谷高校合格通学8年累計合格率

2015-22年・日比谷高校合格通学8年累計合格率

こちらも50校を目安に、生徒100人当たりの毎年の日比谷合格数が1人以上となる学校を掲載しています。

合格率で並べると、今度は文京区の2校がトップに並びます。

そして上位には、いわゆる”城南エリア”と呼ばれる地域の学校が多く並ぶ印象です。

こちらの一覧は、例えば大田区の田園調布中学や豊島区の駒込中学のように、小規模中学校の中で日比谷合格志向の高い学校に光を当てる指標として参考になると思います。

合格数と合格率を併せ持つ中学校

 日比谷合格<数と率>、二つの一覧を見比べてみると、どちらの表にも登場する中学校が散見されることに気づきます。

こうした中学校は、ある程度の学校規模、すなわち学区内の不動産数をそれなりに多く抱えながら、毎年安定的に日比谷合格者を輩出し続ける学校となります。

該当する27校を、23区を中心に、含まれる中学の数が多い行政区順に並べます。

2015-22年・日比谷高校合格8年累計上位学区

2015-22年・日比谷高校合格8年累計上位学区

ここに並ぶ公立中学校は、それぞれの地域の中でも、特に教育意識が高いと目された中学校が多いのではないでしょうか。

公立中学の場合は、学校教育法が制定された昭和22年 (1947年)以降に設立された学校が多いと思いますが、品川区の中学校については、2000年以降に義務教育学校として私立のような”学園”の名を冠した小中一貫校に生まれ変わった新しい学校となります。

それぞれの中学校区周辺の住環境が実際にはどのようなものであるのか、共通する特徴があるのかなど、少しずつ調べていきたいと考えています。

今回は、2015年から2022年度の日比谷高校入試における、8年分の合格中学校の実績についてお話ししました。

これからも、海外や地方から23区を中心とした都内に移転する子育て世帯が住まいを選択するための、有効な情報を発信していきたいと考えています。

2023年令和5年度日比谷合格中学情報

 そして最後に一つお願いです。

例年、日比谷合格中学の情報は、夏以降の学校説明会の資料として配布されます。

本年度7,8月に行われる説明会に参加された方の中で、該当ページの情報を提供いただける方は、サイト内の『お問合せ・情報提供』のフォームから是非共有いただくと助かります。ファイル形式は、pdfでも画像データでも構いません。

いただいた情報に基づき、9年、10年と、これからも中学校情報をアップデートしていきたいと考えています。

既に子供たちの高校受験を見送った身ですので、今後は学校説明会などには参加できませんのでご協力いただくと助かります。

2023年令和5年度日比谷高校夏の学校説明会
  • 07/17(祝)、07/25(火)、07/26(水)、08/14(月)、08/15(火)

是非ご協力をお願いいたします。

ではまた次回。

動画版もご覧ください