日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

世間知らずな父の元で、東大生の兄と勉強嫌いな弟が織りなす家族の物語

Z会駿台アドバンスト模試と日比谷高校

駿台とZ会の業務提携

駿台とZ会の業務提携

 受験業界のライバルが業務提携し、2019年度より新しいサービスを始めた駿台とZ会。その一つが「アドバンスト模試」の実施です。

駿台Z会 アドバンスト模試

駿台Z会 アドバンスト模試

難関大合格に実績のあるZ会と駿台が共催します。難関大学を早くから志望している受験生を対象に、学力上位層の弁別を考慮した良質な問題を提供することで、学習習熟度や2学期中盤の段階での実力を確認できます。先取り型進度による試験範囲で、私立を中心とした中高一貫校に対応します。
出典:駿台ホームページ

先取り授業を前提とした中高一貫校向けのこのアドバンスト模試に、2019年度より公立高校として全国で唯一参加しているのが日比谷高校です。

今年から本校2年生は、Z会・駿台共催の「高2アドバンスト」という模試を受けています。同模試は中高一貫進学校を母集団として実施されているものであり、公立高校としては日比谷が全国唯一の参加校となりました。

出典:日比谷高校Intellectus 2019年第5号

公立高校としては授業進度の早い日比谷高校ですが、それでも1年前倒しとなる中高一貫校と比較すれば早いとは言えません。模試を受ける段階では未就学の範囲もある中での挑戦です。

「数学で一部未習の部分がある」、「理社科は進度が異なるため対応が難しい」、「公立高初の参入になる」等、不安視される部分もありましが、結果としてはかなりの好成績でした。

出典:日比谷高校Intellectus 2019年第5号

学校が一定の不安を覚える挑戦ともいえる状況の中で、模試の結果はそれなりに高い得点が出たようです。

 

英語に強い日比谷高校

 英語のアクティブラーニングの積極的な導入や、長男が日比谷に入学した年から始まったケンブリッジ英検の全生徒の受験など、大学入試改革も睨みながら日比谷高校では特に英語教育に関してはかなり積極的に新しい学習に取り組んでいる印象があります。 

初めて受験する駿台アドバンスト模試でも、それを裏付ける結果が出たようです。

得られた他校との成績比較では次のとおりです。

英語 ⇒成績は全国トップ。しかも一定の差をつけている。
国語 ⇒全国トップレベル。
数学 ⇒十分に渡り合えている。
理科 ⇒やや出遅れている。
社会 ⇒ややリードがある。

出典:日比谷高校Intellectus 2019年第5号

日比谷高校がホームページで公表している情報の中で注目すべき点は、英語の成績が全国のトップであると明言していることです。

おそらくは学校平均点の比較だと思いますが、国語の「全国トップレベル」という表現とは異なり、「点差をつけての全国トップ」と断言していることから、並み居る中高一貫校を抑えての単独1位の点数であることがうかがえます。

長男の在学中の頃には既に、英語に関しては全国模試でいつも灘高校とトップを争うような状況がありましたが、点差をつけての全国1位となる状況を考えると、当時よりも下位層の底上げが進んでいることが想像されます。

中学入試の段階で実質的に中学学習範囲の先取りをしている数学とは対照的に、入験で英語が出題されない中学入試組よりも、高校入試組の方が英語に関してはアドバンテージがあると耳にすることがありますが、それを裏付けるような状況があるといえそうです。

都立進学重点校の英語は長文総語数が3,000語を超える西高を筆頭に、各校相当高い処理能力が求められる試験です。

日比谷の場合は語数よりも記述力が求められる入試になっていますから、実は高校入試を通じて難関大学入試に向けた準備を行っているということがいえるでしょう。

それでも公立高校入試ですから、教科書に登場しないレベルの単語にはすべて日本語訳が示されているのですが、それらを確認しながら英文を読んでいては理解が進まず時間が不足しがちになるのと同時に、難関私立高校受験では高校レベルの単語や文法表現も注釈なしに当たり前に出題されるため、日比谷受験生の多くが受験を通じて結果的に高校レベルの内容を先取りしている状況があるのだと思います。

英語は理系文系全ての大学入試の基礎となる学科ですから、英語が強いというのは実際に大学入試に臨む際には相当なアドバンテージになるでしょう。

 

公立高校生の難関大学入試に向けて

 今回の日比谷高校の結果の中には、公立高校生が難関大学に挑戦するための指南が示されています。

つまり、高2の11月の時点では、他の中高一貫進学校と比較して英国2教科は他をリード、数学は中間に位置し、理科はやや出遅れ、社会が少しリード、ということになる。
しかし一方で、この9か月後に行われている任意模試の「東大オープン(河合)」や「東大実戦(駿台)」では、理社科目の差が大きく開いてしまう。

このことから見えてくることは、みなさんの進路実現を果たすためには「高2秋の時点の理社科目の状況を直視する」ということです。

具体的には1年生から、見通しをもって理社科目に取り組むこと、そして2年生の理社科からの「早期の学習指針(進路通信第4号参照)」をに沿って、具体的な学習を始めていく、ということです。

2年生までに英数国の基礎力完成を目指しながら、理社科目への目くばせを絶えず行う

出典:日比谷高校Intellectus 2019年第5号

大学受験に関し最近よく耳にする分析として、中高一貫生は中学入試で理科社会を先取りして学んでいるために難関大学受験に強いという指摘がありますが、日比谷高校のアドバンスト模試結果の分析の中にも同様に理社が課題である旨が明記されています。

都立高校入試では、理社は全校共通テストで行われるため、国立附属や開成高校など5教科型の入試科目を課す難関高校を併願しない限り、国立大学入試へのアドバンテージとなる強度ある理科社会の勉強体験が中学時代に行われないという状況が発生します。

最近は、日比谷を第一志望とし、第二志望を早慶附属高校とする選択も主流になっているように思いますが、この場合には、大学受験に向けた理科社会への取り組みに課題が残るという点を意識する必要があるのかもしれません。

高校2年生の11月というのは、わが家の長男が正に大学受験に向けて勉強し始めた時期と重なりますから、そこからの1年間でどのような対策が可能であるのか、それまでにどのような学習がなされているのか、東大をはじめとする難関国立大学を志す公立高校生にとって共通の課題であるといえるのではないでしょうか。

今にして思うと、高2の秋から塾に通い始めた長男が、英数国3教科に加え、東大本番記述対策のために理社1科目も受講したいと自ら望んだのは、ここで指摘されている理社への対応不足を図らずも自分自身で感じていたからかもしれません。 

 

都立入試・理科社会への対応

 共通問題が課せられる都立高校入試ですが、2019年度からレベルが上がったとの評価です。

具体的には社会科において、知識の精度の高さが要求される問題が増加した点や、教科書の本文以外の情報、例えば図表や資料集などからの出題が見られたという変化が挙げられます。

この出題傾向の変化はおそらくは、大学共通テストの出題形式への対応や、もしかすると、平均点が9割近くで高止まりしている進学指導重点校の受験生への対応も含まれるのかもしれませんが、いずれにしても理社に対して従来よりもきめの細かい対策が必要になっているのは間違いありません。

ですから日比谷高校や都立上位校を目指す受験生の場合には、高校入試の合格という近視眼的なゴールに目を奪われすぎず、日比谷が中高一貫校向けのアドバンストテストで示した結果や対策も意識しながら、大学受験に向けて中学からできる基礎固めと考えて、理社への対応も抜かりなく進めることが必要だと感じます。

正直言って日比谷高校の入試問題は、開成など難関私立の入試問題と比較してまだまだ易しい。というよりは、学習指導範囲の枠組みが存在するために、賢い生徒にとってはそれほど大きな負担なく対策が済んでしまいます。

この状況は、学習指導要領の枠組みに縛られる以上はこれからも変わらないでしょう。

ですから学力上位で内申点もそこそこの受験生にとっては、日比谷入試はそれほど骨のある入試ではありません。

早慶附属ではなく日比谷高校を第一志望とする高校受験生は、まず間違いなく難関国立大学志望の生徒だといえるでしょう。

私立高校を第二志望とする受験生は、その先の大学入試を見据えた場合には、開成・国立附属を併願する受験生が、重箱の隅をつつきながら、理科社会も相当の負荷を感じながら必死になって勉強しているという点を心に留める必要があると言えそうです。

 

日比谷高校『Intellectus』

 アドバンスト模試の学校分析が掲載された『Intellectus』は、2019年度から始まった日比谷高校進路通信です。

そこに書かれた情報は、単に日比谷生向けだけではなく、日比谷高校が全国の公立高校生に向けて発信する難関大学受験指南だといえるでしょう。

地方の公立高校の生徒だけでなく、学校の先生にとっても、公立の雄である日比谷高校の取り組みや学習のリアルタイムな情報が、惜しげもなく公開されている。

大手学習塾にもアクセスが難しい公立高校に所属して、独り密かに難関大学を目指している受験生にとっては、おそらくは日本で最も進んだ公共高校教育が行われている学校の一つの現実を確認するための、同時に大学受験に向けての強力なガイドとなる貴重な情報源となることでしょう。

その言葉はある意味で、Z会の通信講座で届けられる普遍性の高い情報よりも、少し背伸びをした、より身近でリアルな温度を感じるものとなるでしょう。

本来は、学内のみで共有されるべき大学入試対策情報の公開に踏み切った日比谷高校の新しいディスクローズの取り組みを、興味をもって見守ってみたいと思います。

そして最後に一つ。公立高校現役受験生は、センター試験後の1ヵ月が最も学力が伸びる時期だと長男も口にしていますから、最後まであきらめずに強い気持ちで本番に臨むことが今最も大切なことだと思います。

ではまた次回。

>>日比谷進路通信『Intellectus』2019第5号

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